生成AIに調べものを頼むと、すぐに答えが返ってきます。ただ、こんなところで手が止まっていませんか。
- AIがまとめた数字を、資料にそのまま入れてよいか迷う
- AIが挙げた参考URLを開いたら、ページが見つからなかった
- 速くて便利だけれど、どこまで信じてよいか分からない
生成AIの答えには、もっともらしい誤りが混ざることがあります。これをハルシネーションと呼びます。確かめ方の基本は、答えを下書きとして受け取り、印を付けた箇所を元の資料と照合する(見比べる)ことです。 印を付けるのは、数値・固有名詞・URL・日付の4か所です。
この記事では、AIの答えが間違う理由、確かめる4つの箇所、一次情報で確かめる手順、調べ先の一覧を順に紹介します。数値は総務省と情報処理推進機構(IPA)の調査から引き、調査年と答えた人の条件をそのつど書きます。
この記事のポイント
- 総務省の2025年度調査(日本の15歳以上)では、AIの回答が事実でない可能性をリスクと感じる人が、合計69.3%でした
- 同じ調査で、生成AIを使ったことがある人のうち、「他の方法で確認している」は38.2%、「特にない」は24.6%でした
- 確かめる箇所は、数値・固有名詞・URL・日付の4つです(この記事の整理)。元の資料は、e-Gov法令検索などの公的なサイトで探せます
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
ハルシネーションの確かめ方の要点
ハルシネーションの確かめ方は、3つの動きにまとめられます。答えに印を付ける、出典を開く、元の資料で照合する、の3つです。
例えば、営業職の人が、提案資料に入れる市場の数字をAIに聞いた場合です。数字に印を付け、AIに出典を聞き、その出典を開いて同じ数字が載っているかを見ます。AIが要約した制度の説明をブログに使うときも、流れは同じです。
答えは「確かめる前の下書き」
総務省の「令和6年版 情報通信白書」によると、生成AIは、事実と違う情報をもっともらしく作ることがあります。これをハルシネーション(幻覚)と呼びます。
この白書は、技術的な対策が検討されていても、完全には抑えられないとも書いています。
提供元も同じ立場です。Claudeを提供するAnthropicは、利用規約で注意を書いています。答えが細かく具体的で、正確に見えても、大きな誤りを含むことがあるそうです。そのうえで、自分で正しさを確かめずに頼らないよう求めています。
AIの答えは完成品ではなく、確かめる前の下書きとして受け取りましょう。 下書きなら、直す前提で読めます。
印を付ける・出典を開く・元で照合
確かめ方の3つの動きは、次のとおりです。
- 印を付ける:答えの中の数値・固有名詞・URL・日付に印を付けます
- 出典を開く:AIに根拠の資料を挙げてもらい、実際に開いて読みます
- 元で照合する:その情報を最初に出した機関の資料と見比べます
この白書は、検索も使うなどして、答えが正しいかを確かめることが望ましいと書いています。Anthropicのヘルプも、AIが挙げた出典を見直すよう利用者に勧めています。
答えの全部を同じ重さで確かめると、時間が足りなくなります。4か所に印を付けて絞るのは、この記事の整理です。確かめる量を減らし、大事なところに時間を使うための工夫です。
確かめている人は4割弱
確かめる習慣は、まだ当たり前とは言えない段階です。総務省の「令和8年版 情報通信白書」に、2025年度の個人向け調査の結果があります。生成AIを使ったことがある日本の15歳以上の人に、気を付けていることを聞いたものです。答えは複数選べます。
「生成内容が正しいか、他の方法で確認している」は38.2%でした。白書は、日本ではこの項目が最も高いと書いています。次は「生成内容の根拠や判断理由を確認している」で、27.4%です。
「そのまま利用しない、またはAI生成であることを記載・共有している」という項目は、26.0%でした。一方で、「特にない」は24.6%です。
生成AIを使ったことがある人でも、およそ4人に1人は「特にない」と答えています。 決まった手順を1つ持っておくと、確かめることを始めやすくなります。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度調査)をもとに作成。対象は生成AIを使ったことがある日本の15歳以上で、複数回答、4項目を抜粋しています。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
AIの答えが間違う理由
AIの答えが間違う理由は、提供元や公的機関の資料から、大きく4つに分けて読めます。理由が分かると、どこを確かめればよいかが見えてきます。
例えば、副業でWeb記事を書く人が、新しい制度についてAIに聞く場合です。AIは新しい出来事を知らないことがある、と分かっていれば、日付を先に確かめられます。
| 理由 |
資料の説明 |
確かめ方への影響 |
| もっともらしい文を作る |
生成AIのモデルは確率的で、間違えることがある(Microsoft) |
文が自然でも、数値と引用は元の資料で照合する |
| 聞くたびに答えが揺れる |
出力の段階のリスクに「一貫性のない出力」がある(総務省) |
答えの食い違いを、確かめる箇所の手がかりにする |
| 新しい出来事を知らないことがある |
分野によっては最新の情報で学習していないことがある(Anthropic) |
日付と「最新」の情報を公式サイトで確かめる |
| 根拠が外から見えない |
権威があるように見えても、事実に基づかない引用がある(Anthropic) |
出典を開き、本当にそう書いてあるかを読む |
誤りがあり得ると感じる人は約7割
誤りがあり得ることは、多くの人が知り始めています。総務省の2025年度調査は、日本の15歳以上の人に聞いたものです。「質問に対するAIの回答が事実ではない可能性があること」を、どう感じるかを聞いています。
「非常にリスクだと感じる」は34.8%、「どちらかと言えばリスクだと感じる」は34.5%でした。合わせると69.3%です。「わからない」は11.3%です。
前年度の2024年度調査(20歳以上)では、「非常に」が30.7%、「どちらかと言えば」が31.5%でした。「わからない」は21.2%です。対象の年齢が違うので、目安として見てください。白書は、リスクへの意識が広がりつつある可能性がある、と書いています。
「わからない」は1年で9.9ポイント減りました(対象年齢の違いを含みます)。誤りがあると知ることより、どこを確かめるかが次の課題だと考えられます。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度調査、参考欄の2024年度調査)・「令和7年版 情報通信白書」(2024年度調査)をもとに作成。2024年度は20歳以上、2025年度は15歳以上で対象年齢が異なるため、目安として見てください。
もっともらしい文を作る仕組み
生成AIの答えは、文として自然でも、中身が正しいとは限りません。提供元は、答えの作られ方そのものに誤りの原因があると説明しています。
Microsoftは、Copilotの透明性に関する注意事項を公開しています。そこには、生成AIのモデルは「確率的」で、間違えることがあると書かれています。確率的とは、答えが毎回同じ一つに決まるとは限らない、という意味の言葉です。
Anthropicのヘルプは、誤った答えを、今の生成AIが持つ限界から生まれるものと説明しています。
IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」の解説書にも、同じような注意があります。対話型AIは、架空の情報を事実のように示すことがあるそうです。文が整っていることと、中身が正しいことは別だと考えておきましょう。
聞くたびに答えが揺れる
生成AIは、同じことを聞いても、聞き方や聞くたびに答えが変わることがあります。総務省の「令和7年版 情報通信白書」は、AI事業者ガイドラインのリスクの分類を紹介しています。AIが答えを出す段階のリスクの一つが、「一貫性のない出力」です。
仕事でAIを使う人も、この点を知っておきたいと考えています。IPAの「2026年度 AIの説明に関する意識調査」は、2026年3月に行われました。仕事でAIを使っている(使っていた)人2,000人への調査です。プロンプトとは、AIへの頼み方の文のことです。「プロンプト入力によって回答がかわりうること」について聞いた結果です。説明を「受けておくべきだ」「どちらかといえば受けておくべきだ」と答えた人は、合わせて56.0%でした。
答えが揺れるのは、確かめが要るという印でもあります。 聞き直しの使い方は、あとの手順4で紹介します。
新しい出来事は知らないことがある
生成AIは、新しい出来事を知らないことがあります。Anthropicのヘルプによると、分野によっては最新の情報で学習していないことがあります。そのため、今の出来事について混乱することがあるそうです。
Anthropicの利用規約も、答えが正しい情報・最新の情報・完全な情報とは限らないと書いています。
例えば、法律の改正、料金の改定、制度が始まる日などは、時期によって変わります。時期で変わる情報は、AIの答えをそのまま使わず、日付を公式サイトで確かめます。 検索の機能が付いたAIの扱いは、よくある質問で触れます。
学習データや根拠は外から見えない
AIが何をもとに答えたかは、利用者から見えにくいものです。Anthropicのヘルプによると、AIは事実に基づかない引用を示すことがあります。その引用は、権威があるように見えたり、説得力があったりするそうです。答えの見た目だけでは、正しさを判断できません。
根拠を知りたいと考える人は多くいます。IPAの2026年度調査は、仕事でAIを使っている(使っていた)2,000人への調査です。「AIの学習データの信頼性情報」を「知りたい」「どちらかといえば知りたい」と答えた人は、合わせて62.8%でした。「AIの個々の判定に関する経緯の説明」は、同じく合わせて60.6%です。
根拠が見えないなら、利用者の側で出典を開いて確かめることになります。 この動きは、あとの手順2で説明します。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」/総務省「令和7年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第2節 AIの爆発的な進展の動向)」/独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「2026年度AIの説明に関する意識調査・単純集計データ(付録2)」
確かめる4つの箇所
確かめる箇所は、数値・固有名詞・URL・日付の4つに絞れます。どの箇所で誤りが多いかを測った公的な統計は、今回の調査では見当たりませんでした。そこで、提供元の注意書きに出てくる例をもとに、この記事で4か所に整理しました。
例えば、AIが書いたブログの下書きを、紙に印刷したとします。数字、人の名前、参考リンク、日付に蛍光ペンを引くと、確かめる場所がはっきりします。次のリストは「4か所+1」です。4か所に、専門家の判断が要る話を1つ足しています。
数値と引用文
数値と引用文は、具体的なほど信じやすい箇所です。先に見たとおり、細かく具体的な答えでも誤りを含むことがあります。権威があるように見える引用にも、同じ注意が要ります。
割合・金額・件数と、「〇〇は〜と述べている」という引用文に印を付けます。確かめるときは、元の統計や文書の該当ページを開きます。
例えば、提案資料に業界の数字を入れる場面です。数字が同じでも、調査年や聞いた相手が違えば、意味が変わります。確かめ方は、値・調査年・対象(誰に聞いたか)の3点を、元の資料と照合することです。
人名・書名・判例などの固有名詞
人名・会社名・書名・論文名・法律名・判例は、実在しないものが混ざることがある箇所です。IPAの解説書は、米国の弁護士の事例を紹介しています。その弁護士が出した意見書に、実在しない判例が引用されていました。弁護士は、生成AIでハルシネーションが起こりうることを知らなかったそうです。
この事例は、IPAが報道を引用したものです。裁判の一次の記録は、この記事では確かめていません。
固有名詞は、まず実在するかを調べます。確かめ方は、実在するかを先に調べ、次にその中に本当にそう書いてあるかを読むことです。 調べ先は、あとの一覧の国立国会図書館サーチや裁判例検索です。
URLとリンク先
AIが挙げたURLは、開けないことも、内容が合わないこともあります。Anthropicのヘルプには、題名に「動かないリンクを出す」と書かれた記事があります。同じ記事は、AIが自分にできないことを、できると誤って言うことがあるとも書いています。
また、AIの答えには、リンクやソースが付かないこともあります(手順1で触れます)。
確かめ方は、次の3段階です。
- まず、リンクを実際に開く
- 次に、開いたページに回答の内容が書いてあるかを読む
- 最後に、ページの発信元が公的機関か、企業か、個人かを見る
ページが開けることと、内容が合っていることは別です。
日付と「最新」の情報
日付と、「最新」「現在」と書かれた情報は、時期で変わる箇所です。先に見たとおり、AIの答えは最新とは限りません。
例えば、法律の施行日、申込みの締切、料金の改定日、発表日などです。「現在は」「最新の」と書かれた文にも印を付けます。日付と曜日の組み合わせが合っているかも、カレンダーで見ておくと安心です。
確かめ方は、公式サイトの公表日や更新日を見ることです。 告示の日付は官報、政府の発表は各府省のサイトで確かめます。
専門家の判断が要る話
法律・税・医療・お金の判断に関わる話は、専門家の確認も要る箇所です。総務省の2025年度調査(日本の15歳以上)にも、関係する質問があります。
「専門資格がなければ断定できないことをAIが回答する可能性があること」への回答です。「非常にリスクだと感じる」人は29.4%でした。「どちらかと言えば」は36.2%で、合わせると65.6%です。
Anthropicのヘルプも、AIを唯一の情報源にしないよう書いています。大事な判断に関わる助言は、慎重に確かめるよう求めています。大事な判断は、公的機関の窓口や専門家に確かめましょう。 この記事では、個別の判断についての助言はしません。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
一次情報で確かめる手順
一次情報とは、その情報を最初に出した人や機関の資料のことです。法律なら条文、統計なら調査の報告書が一次情報にあたります。確かめる手順は、出典を挙げてもらう、開いて読む、元の資料までたどる、聞き直す、の4つです。
例えば、AIが「〇〇の補助金の申込みは△月まで」と答えたとします。出典を聞き、開いて読み、補助金を出す機関の公式ページで締切を確かめます。
国の指針も、同じ方向を向いています。国の「AI事業者ガイドライン」は、AIを使う人に求めていることを書いています。AIの答えの正確さとリスクを理解したうえで使う、という内容です。
手順1 出典を挙げてもらう
最初に、AIに根拠の資料を挙げてもらいます。Anthropicの開発者向けの資料は、主張ごとに出典を示させる方法を紹介しています。出典が見つからなければ、その主張は取り下げさせます。開発者向けの資料ですが、考え方は個人の使い方にも参考になります。
頼み方の例は、次のような一文です。「根拠にした資料の名前とURLを、主張ごとに挙げてください。分からなければ、分からないと書いてください。」
Googleのヘルプによると、Geminiアプリのすべての回答に、ソースが付くわけではありません。[ソース]ボタンが出ない回答は、リンクを提供しなかったという意味です。出典が出てきても、その出典自体が誤っていることがあります。 だから、次の手順で開いて読みます。
手順2 出典を開いて読む
出典は、開いて読んで初めて確かめたことになります。 Anthropicのヘルプによると、元のサイトには、AIのまとめに入っていない情報があります。
読み方は、まず該当する段落を探し、回答と同じ数字や言葉かを見ます。次に、対象や期間などの条件が抜けていないかを確かめます。
根拠が見えにくいことは、多くの人が気にしています。総務省の2025年度調査(日本の15歳以上)にも、根拠の説明についての質問があります。「AIの回答の根拠や判断の理由について十分な説明がされない可能性があること」への回答です。「非常にリスクだと感じる」は26.8%、「どちらかと言えば」は39.0%でした。
この記事では、答えが合っているかの照合と、何に基づくかの確認を、別の手順に分けています。答えの照合だけでは、根拠の確認が抜けやすいと考えるためです。
手順3 元の資料までたどる
AIが挙げた出典が、まとめ記事やニュースのこともあります。その場合は、記事が引用している元の資料まで、1段さかのぼります。元の資料とは、白書、法令、機関の発表資料などです。
先に見た白書の考え方と同じで、検索も使って元の資料を探します。調べ先は、次の章の一覧を使ってください。
AI事業者ガイドラインには、「自動化バイアス」という言葉も出てきます。機械の答えを信じすぎてしまう傾向のことです。AIの答えと出典の記事が一致していても、元の資料で確かめるまでは下書きです。
手順4 言い換えて聞き直す
聞き直しは、確認の代わりではなく、確かめる箇所を見つける手がかりです。 Anthropicの開発者向けの資料は、同じ質問を何度かして、答えを比べる方法を紹介しています。答えの食い違いは、ハルシネーションの印になりうるそうです。
IPAの2026年度調査は、仕事でAIを使っている(使っていた)人2,000人への調査です。「同じ質問でも繰り返すと回答がかわりうること」について聞いています。説明を「受けておくべきだ」「どちらかといえば受けておくべきだ」と答えた人は、合わせて58.3%でした。
聞き方を変えて答えがずれた箇所は、手順2と手順3で確かめる候補になります。
聞き直すだけでは確かめたことになりません
何度聞いて答えがそろっても、正しいとは限りません。食い違いは「どこを確かめるか」の手がかりです。確認そのものは、手順2と手順3で元の資料に当たって行います。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」/独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「2026年度AIの説明に関する意識調査・単純集計データ(付録2)」
一次情報の調べ先
調べ先を手元に持っておくと、確かめる時間を短くできます。総務省の2025年度調査(日本の15歳以上)に、AIの利用目的を聞いた結果があります。「情報の理解」のために定期的に使う人は33.7%でした。ほとんど使わないが、過去に何度か使った人は19.7%です。この集計は、生成AIに限らないAIの利用目的です。
調べものにAIを使う人が多いぶん、確かめる先も要ります。個人が何で確かめているかの内訳は、公的な統計に見当たりませんでした。調べ先は、自分で持っておくのが近道です。
例えば、副業で記事を書く人なら、次の表のサイトをブックマークしておくと便利です。
| 確かめる対象 |
調べ先 |
サイトの説明 |
| 法律・政令・省令の条文 |
e-Gov法令検索 |
法令の内容を検索して提供するサイト |
| 判例・裁判例 |
裁判所の裁判例検索 |
裁判例を調べる検索システム |
| 告示・公告 |
官報 |
直近の官報を閲覧・ダウンロードできる。期間を過ぎた記事も、一部を除き閲覧できる |
| 統計の数値 |
e-Stat(政府統計の総合窓口) |
各府省などが公表する統計データを一つにまとめたサイト |
| 書籍・論文・資料 |
国立国会図書館サーチ |
国立国会図書館や全国の図書館の所蔵資料を検索できる |
| 税の取り扱い |
国税庁 |
国の税を担当する機関の公式サイト |
| 政府の発表・政策 |
首相官邸、各府省の公式サイト |
内閣や総理大臣に関する情報 |
| AIサービスや製品の仕様 |
提供元の公式ヘルプ |
機能や注意書きの説明 |
法律・判例・官報
法律の条文や条番号は、e-Gov法令検索で確かめます。AIが「〇〇法の第△条」と書いていたら、その条文を開き、同じ内容かを読みます。
判例は、裁判所の裁判例検索で、実在するかを調べます。固有名詞の節で見たとおり、実在しない判例が引用された事例があるからです。
国の告示や公告は、官報で確かめます。官報のサイトでは、直近の官報を閲覧・ダウンロードできます。法律や告示は、まとめ記事ではなく、条文や官報そのもので確かめましょう。
統計・本・論文
統計の数値は、e-Statか、調査を行った府省の報告書で確かめます。e-Statは、各府省などが公表する統計データを、一つにまとめたサイトです。調査年と、誰に聞いた調査かも一緒に見ます。
AIが挙げた本や論文が実在するかは、国立国会図書館サーチで調べられます。例えば、資格の勉強をしている人が、AIの勧めた参考書を買う前に確かめる場面です。
書名と著者名で探し、見つからなければ、そのまま使わずに別の資料を探しましょう。 表記の違いで見つからないこともあるので、言葉を変えて探してみます。
税・制度・政府の発表
税の扱いは、国税庁の公式サイトで確かめます。この記事では、国税庁のサイトの中の具体的なページ名までは確認していません。サイトの中で、該当する説明を探してください。
制度や政策の日付は、担当する府省の公式サイトや、首相官邸の発表で確かめます。AIの答えに「〇月から始まる」とあれば、発表した機関のページで日付を見ます。
税や制度は、担当する機関のページで確かめます。 自分のケースに当てはまるか迷うときは、その機関の窓口に問い合わせる方法もあります。
サービスの仕様は提供元へ
AIサービス自身の機能・料金・制限は、AIに聞くより、提供元の公式ヘルプで確かめます。先に見たAnthropicのヘルプのように、AIが自分にできることを、誤って説明する場合があるからです。
会社や製品の仕様も同じで、その会社の公式ページが一次情報です。ChatGPTについては、今回の調査で公式ヘルプの本文を取得できませんでした。仕様や注意書きは、提供元の公式ヘルプで確かめてください。
AIのことは、AIに聞くより提供元のヘルプで確かめましょう。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
良い確かめ方・悪い確かめ方
確かめ方には、つまずきやすい形があります。ここでは、よくある3つの場面で、悪い例と良い例を並べます。
例えば、ブログ記事、提案資料、SNSへの投稿、副業の納品物などで起きやすい形です。いずれも使い方の型を示した例で、実際の人の話ではありません。
AIに正しいか聞くだけで終える
同じAIに「これは本当?」と聞いて、「正しいです」と返ってきたら終わりにする。これは、確かめたことになりません。Anthropicの開発者向けの資料によると、誤りを減らす方法を使っても、誤りは無くなりません。大事な情報は確かめるよう書いています。
同じAIに聞いて終える
提案資料の数字について「本当?」と聞き、「正しいです」の返事を見て、そのまま資料に入れる。
元の資料に当たる
数字に印を付けて出典を開き、調査を行った機関の報告書で、値と調査年を確かめてから資料に入れる。
手順4の聞き直しは、確かめる箇所を探す手がかりでした。同じAIに聞き直しても、元の資料で確かめたことにはなりません。
辞書のように丸ごと写す
AIの答えを、辞書のように丸ごと写すのも、つまずきやすい形です。総務省の2025年度調査(日本の15歳以上)に、生成AIをどんな存在と感じるかを聞いた結果があります。「辞書・百科事典」と答えた人は28.9%でした。
同じ調査で、生成AIが「客観的な回答をしてくれる」と頻繁に感じる人は14.5%でした。時々感じる人は46.4%で、合わせると60.9%です。ただし、これらの集計は、何人のうちの割合かが白書に書かれていません。そう答えた人が、答えを信じ込んでいるとも限りません。
調べものに使うなら、答えを「確かめる前の候補」として扱う切り替えが役に立ちます。
悪い例は、AIの説明文をそのまま資料やブログに貼ることです。良い例は、4か所に印を付けて確かめてから使うことです。
確かめた跡を残す
確かめたら、その跡を残しておきます。先に見た総務省の2025年度調査の、生成AIを使ったことがある人への質問です。「そのまま利用しない、またはAI生成であることを記載・共有している」は26.0%でした。
良い例は、出典の名前・URL・確かめた日を、下書きの横にメモすることです。納品物や資料にも、出典を書いておきます。悪い例は、どこで確かめたかを残さず、後で聞かれて答えられないことです。
例えば、副業で記事を納品する人なら、出典の一覧を添えると、相手も確かめやすくなります。確かめた跡は、自分と相手の両方の役に立ちます。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
よくある質問
生成AIの答えの確かめ方について、よく出る疑問に答えます。
検索付きのAIなら確かめなくてよいですか
検索の機能が付いたAIでも、確かめる必要は残ります。先に見たとおり、ハルシネーションは完全には抑えられません。手順1で見たように、ソースが付かない回答もあります。
出典が付いた場合も、手順2のとおり開いて読みます。回答と同じことが書いてあるかを確かめましょう。
Anthropicの開発者向けの資料も、誤りを減らす方法を使っても、無くなるわけではないと書いています。出典が付いていても、開いて読むまでは確かめたことになりません。
全部を確かめる時間がないときは
時間がないときは、確かめる順番を決めます。次の目安は、この記事の整理です。
- 外に出すもの(納品物・公開する記事・送るメール)
- お金・契約・法律・健康に関わるもの
- 数字が結論を左右するもの
Anthropicのヘルプも、大事な判断に関わる助言は、慎重に確かめるよう書いています。そのうえで、4か所の印で確かめる量を絞ります。全部ではなく、影響の大きいものから確かめましょう。
使っているAIの注意書きはどこで読めますか
注意書きは、提供元のヘルプセンター、利用規約、透明性に関する文書で読めます。 この記事で参照したものは、次のとおりです。
- Anthropic(Claude):ヘルプセンターの記事、利用規約、開発者向けの資料
- Microsoft(Copilot):透明性に関する注意事項
- Google(Gemini):Geminiアプリのヘルプ
ChatGPTは、今回の調査で公式ヘルプの本文を取得できませんでした。提供元の公式ヘルプで確かめてください。この記事では、サービスどうしの優劣は比べていません。
間違いを減らす頼み方はありますか
頼み方で誤りを減らす工夫はありますが、無くすことはできません。IPAの2026年度調査は、仕事でAIを使っている(使っていた)2,000人への調査です。「生成AIの不適切な質問事例」を「知りたい」「どちらかといえば知りたい」と答えた人は、合わせて62.3%でした。
Anthropicの開発者向けの資料は、出典を求めることを挙げています。分からなければ分からないと答えてよい、と伝えることも勧めています。頼み方の詳しい書き方は、別の記事で扱う予定です。
頼み方を工夫しても、大事な情報は元の資料で確かめましょう。
出典: 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「2026年度AIの説明に関する意識調査・単純集計データ(付録2)」
この記事の範囲と未解決事項
この記事で主張していないことと、確認できていないことをまとめます。
主張していないこと
- 特定のAIサービスの優劣や、ハルシネーションの起こりやすさの比較
- 「リスクを感じても確かめない人が多い」という比較。リスクの感じ方は、15歳以上の個人への質問です。白書は母数を書いていません(生成AIを使ったことがない人も含まれると読めます)。確認の行動は、生成AIを使ったことがある人だけへの質問です(同じ調査で、生成AIを使ったことがある人は58.8%)。設問の形も違うので、比べられません
- 数値・固有名詞・URL・日付の4分類が、公的な分類であること(この記事の整理です)
- AIが、数字など特定の種類の情報を特に間違えやすいこと
- 確かめ方によって、誤りがどれだけ減るかという効果の大きさ
未解決事項
- 箇所ごとの誤りの頻度と、個人が何で確かめているかの内訳は、公的な統計に見当たりませんでした
- 年代別・職業別の確認行動は、白書に見当たりませんでした
- ChatGPTの公式ヘルプは本文を取得できず、内容を確かめていません
- 実在しない判例の事例は、IPAが報道を引用したものです。裁判の一次の記録は確かめていません
- 各調べ先サイトの、検索機能の細かな使い方は確かめていません
- リスクの感じ方の年度比較は、対象の年齢が違います(2024年度は20歳以上、2025年度は15歳以上)
- 公式ページの内容は、2026年10月17日に閲覧した時点のものです
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
生成AIのハルシネーションの確かめ方(まとめ)
生成AIの答えの確かめ方を、もう一度まとめます。
- 生成AIの答えは、確かめる前の下書きとして受け取る
- 間違う理由は、確率的に文を作る、答えが揺れる、新しい出来事を知らない、根拠が見えない、の4つ
- 数値・固有名詞・URL・日付に印を付けて、確かめる量を絞る
- 出典を開いて読み、元の資料(一次情報)で照合する。聞き直しは手がかりで、確認の代わりではない
- e-Gov法令検索やe-Statなどの調べ先を、ブックマークしておく
まずは、次にAIに聞いた答えで、1か所だけ確かめてみてください。 数字を1つ選び、元の資料で値と調査年を見るだけでも、確かめる流れがつかめます。
BoostAIの講座で「確かめる力」を学ぶ
BoostAIのオンライン講座では、この記事のような確かめ方を扱う予定です。対応するのは、STAGE 2「AIを使いこなす」のセクション「答えは仮説、一次情報で確かめる」です。印を付ける、出典を開く、元の資料で照合する。この流れを、手を動かしながら学ぶ構成を予定しています。
講座は現在、公開に向けて準備中です。アカウント登録は無料で受け付けています。講座の内容は、BoostAIの講座ページで確認できます。
出典一覧