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ファイアウォールとは?仕組み・種類・選び方を徹底解説

目次

想定読者:社内のセキュリティ対策を検討する情シス担当者や、基礎知識を学びたいIT初学者・中小企業の経営者

社内のセキュリティ対策を任されて、以下のような悩みを抱えていませんか?

  • ファイアウォールという言葉は聞くが、仕組みを正確に説明できない
  • 種類が多すぎて、自社にどれを導入すべきか判断できない
  • サイバー攻撃が増える中、何から対策すればいいか分からない

不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まる今、ファイアウォールの基礎知識は情シス担当者や経営者にとって必須のスキルです。

当サイトはセキュリティ分野の実務経験者が監修し、初学者にも分かりやすい解説を提供しています。

本記事では、ファイアウォールの仕組み・種類・選び方を徹底解説します。

読了後は、自社の環境に合ったファイアウォールを自信を持って選定でき、適切なセキュリティ対策を実行できる状態になります。

社内のセキュリティを一段階引き上げたい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。

目次

ファイアウォールとは?基本の意味をわかりやすく解説

ファイアウォールという言葉は耳にするものの、具体的な意味や役割を正確に説明できる方は意外と少ないものです。ここでは、ファイアウォールの語源や基本的な役割、現代において必要とされる理由、アンチウイルスソフトとの違いを整理し、基礎知識をわかりやすく解説します。

ファイアウォールの語源と役割

ファイアウォールは、外部ネットワークから社内ネットワークを守る「防火壁」の役割を担うセキュリティ機能です。語源は建物火災の延焼を防ぐ「防火壁(Fire Wall)」で、被害の拡大を食い止める仕組みをネットワーク領域に応用した名称だといえます。

命名の通り、ファイアウォールはインターネットと社内LANの境界に設置され、不正な通信を遮断する関所として機能します。通信の送信元・宛先・ポート番号などを監視し、あらかじめ定めたルールに基づいて通過の可否を判断する仕組みです。

たとえば社外から社内サーバーへの不審なアクセスがあった場合、ファイアウォールが通信を遮断し、情報漏えいやマルウェア感染を未然に防ぎます。許可された業務通信だけを通し、不要な通信はブロックする動作を自動で行います。

つまりファイアウォールとは、語源通り「延焼を防ぐ壁」としてサイバー攻撃から社内資産を守る、ネットワークセキュリティの基盤となる存在です。

なぜ今ファイアウォールが必要なのか

ファイアウォールが今まで以上に必要とされる理由は、サイバー攻撃の急増と働き方の多様化により、社内ネットワークが常に脅威にさらされているからです。

警察庁の報告によると、ランサムウェア被害や不正アクセスは年々増加傾向にあります。テレワークやクラウド利用の普及で、社外からアクセスする機会が増え、従来の境界型セキュリティだけでは守りきれない状況になりました。中小企業も例外ではなく、取引先経由で攻撃を受けるサプライチェーン攻撃の被害も拡大しています。

具体的な脅威と対策の関係を整理します。

脅威 ファイアウォールの役割
不正アクセス 許可されていない通信を遮断
マルウェア感染 外部からの攻撃経路をブロック
情報漏えい 内部から外部への不審な通信を制御

攻撃の高度化と業務環境の変化に対応するため、ファイアウォールは企業規模を問わず導入必須のセキュリティ基盤となっています。

アンチウイルスソフトとの違い

ファイアウォールとアンチウイルスソフトは、守る対象と役割が明確に異なります。ファイアウォールは「外部からの不正な通信」を防ぐ関所の役割を担い、アンチウイルスソフトは「端末内に侵入したマルウェア」を検知・駆除する役割を持ちます。

両者は防御の段階が違うため、どちらか一方だけでは十分なセキュリティ対策になりません。具体的な違いを以下の表で整理します。

項目 ファイアウォール アンチウイルスソフト
目的 不正な通信の遮断 マルウェアの検知・駆除
守る対象 ネットワークの境界 PCやサーバー内部
主な脅威 不正アクセス・侵入 ウイルス・ランサムウェア
動作タイミング 侵入前の入口段階 侵入後のファイル実行時

ファイアウォールは入口で通信を制御し、アンチウイルスソフトは端末内で動く脅威に対処します。役割の異なる両者を組み合わせて導入することで、多層的な防御を実現できます。

ファイアウォールの仕組みと基本的な動作原理

ファイアウォールが「通信を制御する壁」として機能する仕組みを理解するには、パケット単位での判断方法やルール設計の考え方を押さえる必要があります。ここではパケットフィルタリングの基本から、送信元・宛先・ポートによる制御の流れ、許可と拒否のルール設計まで体系的に解説します。

パケットフィルタリングの考え方

パケットフィルタリングとは、通信データを「パケット」単位で検査し、通過可否を判断する仕組みです。ファイアウォールの最も基本的な動作原理として広く採用されています。

理由は、パケットに含まれるヘッダー情報(送信元IP・宛先IP・ポート番号・プロトコル)を照合するだけで、高速かつ効率的に不正通信を遮断できるためです。事前に設定したルール(ACL)に基づき、許可・拒否を自動判定します。

具体的には、以下のような条件でフィルタリングを行います。

検査項目 判断例
送信元IPアドレス 社外の不審なIPを拒否
宛先ポート番号 業務で使わないポートを遮断
プロトコル種別 TCP/UDPの用途に応じて制御

たとえば「社内から外部Webサーバーへの80番ポート通信のみ許可」といったルールを設定すれば、不要な通信を排除できます。

パケットフィルタリングは、ファイアウォールの土台となる技術です。仕組みを理解すれば、自社に必要なセキュリティルールを設計する第一歩となります。

送信元・宛先・ポートによる制御

ファイアウォールは「送信元IPアドレス」「宛先IPアドレス」「ポート番号」の3要素を組み合わせて通信の可否を判断します。3要素を照合することで、許可すべき通信と遮断すべき通信を正確に切り分けられるからです。

具体的には、あらかじめ設定したルール(ACL)に従い、パケットのヘッダ情報を1件ずつチェックします。下表は代表的な制御要素の役割です。

制御要素 内容 制御例
送信元IP 通信の発信元アドレス 社外からの不審なIPを遮断
宛先IP 通信の到達先アドレス 特定サーバーへのアクセスのみ許可
ポート番号 サービスの種類を示す番号 Webは80/443のみ開放

例えば「社内LANから外部Webサーバーの443番ポートへの通信は許可、それ以外は拒否」といったルールが組めます。3要素による制御により、必要な通信だけを通し不要な通信を遮断する土台が作られます。

許可と拒否のルール設計

ファイアウォールの許可と拒否のルール設計は、「原則すべて拒否し、必要な通信だけを許可する」方針が基本です。業務に不要な通信を遮断することで、外部からの攻撃や内部からの情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。

理由は、許可を基本にすると未知の脅威や想定外の通信を止められないためです。拒否を基本にすれば、管理者が把握している安全な通信だけを通し、リスクの芽を事前に摘めます。

具体的なルール設計の考え方を以下にまとめました。

項目 推奨設定 目的
デフォルトポリシー 拒否(Deny All) 不要通信の遮断
業務用通信 送信元・宛先・ポートを限定して許可 最小権限の原則
ログ記録 拒否通信を中心に取得 不正アクセスの検知
定期見直し 3〜6か月ごと 不要ルールの削除

適切なルール設計は、ファイアウォールの効果を最大化する鍵です。「拒否が基本、許可は最小限」を徹底し、定期的な見直しと合わせて運用することで、自社のセキュリティ水準を確実に高められます。

ファイアウォールの主な種類と特徴

ファイアウォールと一口に言っても、その仕組みや防御範囲は種類によって大きく異なります。ここでは、基本となるパケットフィルタリング型から、近年主流となっている次世代ファイアウォール(NGFW)やUTMまで、代表的な4つのタイプの特徴と違いを解説します。

パケットフィルタリング型

パケットフィルタリング型は、通信データの「ヘッダー情報」をチェックして通過可否を判断する最も基本的なファイアウォールです。社内ネットワークの入口で不要な通信を素早くブロックしたい場合に有効な選択肢になります。

処理がシンプルで高速に動作し、機器への負荷が小さいためです。送信元IPアドレス・宛先IPアドレス・ポート番号・プロトコルといった情報をルールと照合するだけで判定が完結します。複雑な解析を行わないため、大量の通信をさばく環境でも遅延が発生しにくい特徴を持ちます。

たとえば「社外から社内サーバーの22番ポート(SSH)への通信は拒否」「80番ポート(Web)への通信は許可」といったルールを設定します。ルーターやL3スイッチに標準搭載されていることも多く、追加コストを抑えて導入できます。

項目 内容
判定対象 IPアドレス・ポート番号・プロトコル
メリット 高速・低負荷・低コスト
デメリット 通信の中身まで検査できない

パケットフィルタリング型は、低コストかつ高速に基本的な防御を実現する入門的なファイアウォールと言えます。ただし通信内容までは見ないため、単体運用ではなく他の対策との組み合わせが前提になります。

ステートフルインスペクション型

ステートフルインスペクション型は、通信の「状態」を記録しながらパケットを監視するファイアウォールです。現在の企業ネットワークで主流となっている方式といえます。

通信の流れ全体を把握できる点が強みだからです。従来のパケットフィルタリング型は、個々のパケットを単独で判断するため、不正な応答パケットを見逃すリスクがありました。ステートフルインスペクション型は、送信元と宛先のやり取りをセッション単位で管理し、正規の通信に対する応答のみを許可します。

具体例として、社内から外部Webサイトへのアクセスが発生した場面を考えます。通信を記録し、対応する戻りパケットのみ通過を認める仕組みです。不正な外部からの一方的なアクセスは自動で遮断されます。

比較項目 パケットフィルタリング型 ステートフルインスペクション型
判断基準 パケット単体 通信の状態(セッション)
セキュリティ強度 低め 高い
処理負荷 軽い やや重い

通信の文脈を理解した上で判断できるため、ステートフルインスペクション型は高いセキュリティと利便性を両立する方式として広く採用されています。

アプリケーションゲートウェイ型(プロキシ型)

アプリケーションゲートウェイ型は、通信をアプリケーション層(レイヤー7)で中継・検査する最も防御力の高いファイアウォールです。

プロキシとしてクライアントとサーバーの間に立ち、通信内容そのものを解釈して許可・拒否を判断するため、パケットフィルタ型では見抜けない不正なデータや攻撃コードまで検知できます。HTTPやFTPなどプロトコルごとに専用のプロキシを用意し、通信をいったん終端して精査する仕組みです。

項目 内容
検査レベル アプリケーション層まで精密に検査
メリット 不正な通信内容やウイルスを検知しやすい
デメリット 処理負荷が高く通信速度が低下しやすい
用途例 Webサーバー公開、機密情報を扱う業務

具体例として、社内から外部Webサイトへアクセスする際、プロキシが一度通信を受け取りURLや中身をチェックしてから転送するため、マルウェア配布サイトへの接続を遮断できます。高度な防御を求める企業には、アプリケーションゲートウェイ型が有力な選択肢となります。

次世代ファイアウォール(NGFW)とUTM

次世代ファイアウォール(NGFW)とUTMは、従来型では防ぎきれない高度な脅威に対応するための統合型セキュリティ製品です。

サイバー攻撃は年々巧妙化し、通信の可否判断だけでは不十分になりました。アプリケーション単位の制御や、ウイルス・不正侵入の検知を一台で担える機能が求められています。

NGFWはアプリケーション識別や高度な脅威分析に強みを持ち、大企業や通信量の多い環境に適します。一方UTMは複数のセキュリティ機能を統合し、運用負荷を抑えたい中小企業に向いています。

項目 NGFW UTM
主な強み アプリ識別・高度な脅威検知 機能統合・運用の簡便さ
導入先 大企業・高トラフィック環境 中小企業・拠点単位
コスト感 高め 比較的安価
処理性能 高速処理に対応 機能併用で低下しやすい

自社の規模・通信量・運用体制を踏まえ、NGFWとUTMを使い分けることが、現代の脅威に対応する近道となります。

ハードウェア型とソフトウェア型・クラウド型の違い

ファイアウォールは設置形態によって、ハードウェア型・ソフトウェア型・クラウド型の3つに分類されます。それぞれ導入コストや運用負荷、保護範囲が異なるため、自社の環境に適した選択が重要です。ここでは各タイプの特徴と向いている利用シーンを解説します。

ハードウェア型(アプライアンス)

ハードウェア型ファイアウォールは、専用機器をネットワーク境界に設置して通信を監視・制御する方式で、中規模以上の組織に最適な選択肢です。

専用ハードウェア上で動作するため処理性能が高く、ネットワーク全体を一括で保護できる点が強みです。端末ごとに設定する手間がなく、管理を一元化できるため運用負荷も軽減されます。

代表例として、拠点の入口に設置するUTM(統合脅威管理)機器や、データセンター向けの大規模アプライアンスが挙げられます。FortinetやPalo Alto Networks、Cisco等のベンダーが提供する製品が国内外で広く導入されています。

項目 内容
設置場所 ネットワーク境界(ルーター直下)
処理性能 高い(専用ハードウェア)
初期費用 数十万円〜数百万円
向いている組織 拠点や社員数が多い中堅・大企業

安定性と処理速度を重視し、社内ネットワーク全体を境界で守りたい企業にとって、ハードウェア型は有力な選択肢となります。

ソフトウェア型(ホスト型)

ソフトウェア型(ホスト型)ファイアウォールとは、サーバーやPCなどの端末に直接インストールして動作するタイプです。端末ごとに個別の通信制御ができ、社内ネットワークの内部からの脅威や端末単位の不正アクセスを防げます。

端末単位で動作する理由は、OS上で通信を監視・制御する仕組みだからです。ハードウェア型が境界防御に特化するのに対し、ソフトウェア型は端末そのものを守ります。テレワークで社外に持ち出すノートPCや、クラウド上の仮想サーバーなど、ネットワーク境界の外で稼働する端末にも保護を適用できる強みがあります。

具体例として、Windowsに標準搭載されている「Windows Defender ファイアウォール」や、法人向けのエンドポイントセキュリティ製品が挙げられます。導入コストは比較的安く、端末ごとにポリシー設定が可能です。

項目 内容
導入対象 個別の端末・サーバー
メリット 低コスト・端末単位で制御可能
デメリット 端末ごとの管理負荷・処理性能に影響

端末単位で柔軟に守れるソフトウェア型は、テレワーク時代の補完的な防御策として有効です。

クラウド型(FWaaS)

クラウド型(FWaaS:Firewall as a Service)は、機器を自社に設置せずクラウド事業者が提供するファイアウォール機能を利用するサービスです。テレワークや複数拠点を持つ企業に最適な選択肢といえます。

物理的な機器が不要なため、初期投資を抑えつつ短期間で導入できる点が理由です。運用や保守もベンダー側が担うため、情シス担当者の負担を大幅に軽減できます。トラフィック増加時の拡張もクラウド上で柔軟に対応可能です。

具体的には、支社や在宅勤務者が自宅から直接クラウドのファイアウォールを経由してインターネットや社内システムへ安全にアクセスする使い方が代表的です。代表的なサービスにはZscalerやPrisma Accessなどがあります。

項目 FWaaSの特徴
初期費用 低い(機器購入不要)
運用負担 ベンダー側が担当
拡張性 高い(契約変更で柔軟に対応)
向いている企業 多拠点・テレワーク中心

拠点分散やクラウド利用が進む現代において、FWaaSは運用負荷と柔軟性を両立する有力な選択肢です。

ファイアウォール導入のメリットと限界

ファイアウォールは社内ネットワークを守る基本的な仕組みとして広く導入されているが、その効果と限界を正しく理解しておく必要がある。ここでは、導入によって得られる具体的なメリットと、ファイアウォール単体では防ぎきれない脅威について整理する。

導入によって得られる主なメリット

ファイアウォールを導入する最大のメリットは、外部からの不正アクセスを遮断し、社内ネットワークを安全に守れる点にあります。企業が扱う顧客情報や機密データは、漏えいすれば信用失墜や損害賠償に直結するため、入口対策が不可欠です。

通信を監視・制御する仕組みを備えることで、サイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。不正通信の遮断に加え、社員による不適切な外部接続も防止できるため、内部統制の強化にもつながります。

導入によって得られる主なメリットを整理しました。

メリット 具体的な効果
不正アクセス防止 外部ハッカーの侵入を遮断し情報漏えいを防ぐ
通信の可視化 ログを記録し、異常な通信を早期に検知できる
業務効率の維持 マルウェア感染によるシステム停止リスクを軽減
コンプライアンス対応 セキュリティ基準や法令遵守の要件を満たしやすい

ファイアウォールは情報資産を守る最前線の防御策として、企業規模を問わず大きな導入効果を発揮します。

ファイアウォールだけでは防げない脅威

ファイアウォールは万能ではなく、防ぎきれない脅威が数多く存在します。通信の出入口を監視する仕組みのため、許可された通信に紛れ込む攻撃や内部から発生する脅威には対処できません

具体的には、メール添付ファイルによるマルウェア感染、標的型攻撃、ゼロデイ攻撃、フィッシング詐欺などが代表例です。正規の通信経路を使って侵入するため、ファイアウォールの検査をすり抜けてしまいます。

脅威の種類 ファイアウォールでの防御可否
外部からの不正アクセス 防げる
メール経由のウイルス 防げない
標的型攻撃・ゼロデイ攻撃 防げない
内部不正・情報持ち出し 防げない
Webサイト閲覧時の感染 ほぼ防げない

したがってファイアウォール単体では、現代の多様化したサイバー攻撃から企業を守り切れません。アンチウイルスソフトやEDR、メールセキュリティなどを組み合わせた多層防御が不可欠です。

自社に合ったファイアウォールの選び方

ファイアウォールは製品ごとに機能や価格が大きく異なるため、自社に最適な一台を選ぶには複数の観点からの比較が欠かせません。ここでは、規模や用途に応じた製品選定の考え方、運用体制とサポートの確認ポイント、導入・運用コストの比較方法を解説します。

規模・用途に応じた製品選定

ファイアウォールは企業規模や用途に合わせて選ぶのが鉄則です。過剰なスペックはコストの無駄を生み、逆に性能不足はセキュリティリスクに直結するからです。社員10名のオフィスと拠点を持つ中堅企業では、必要な処理性能も機能も大きく異なります。

規模別の目安を以下にまとめます。

企業規模 推奨タイプ 重視すべき機能
小規模(〜50名) UTM一体型 導入のしやすさ・運用負荷の低さ
中規模(50〜300名) 次世代ファイアウォール(NGFW) アプリ制御・IPS・VPN性能
大規模・多拠点 NGFW+クラウド型併用 スループット・冗長化・一元管理
リモートワーク主体 クラウド型(SASE等) ゼロトラスト・場所を問わない保護

自社の従業員数、通信量、拠点数、リモート環境の有無を整理し、要件に合致する製品を選定してください。身の丈に合った一台が、最も費用対効果の高いセキュリティ投資になります。

運用体制とサポートの確認ポイント

ファイアウォールを選ぶ際は、導入後の運用体制とサポート内容を必ず確認すべきです。製品の性能が高くても、運用やトラブル対応が追いつかなければ、セキュリティホールを放置するリスクが生じます。

特に情シス担当者が少ない中小企業では、ベンダーのサポート品質が実質的な防御力を左右します。自社で24時間監視できない以上、外部の専門家による支援が不可欠になるからです。

確認すべきポイントを整理すると、以下の比較軸で候補を評価するとわかりやすくなります。

確認項目 チェック内容
サポート時間 平日日中のみか、24時間365日対応か
対応範囲 設定変更・障害対応・ログ監視の有無
問い合わせ方法 電話・メール・チャットなど選択肢の多さ
保守契約 機器交換や定期点検の費用と頻度
運用代行 MSS(マネージドセキュリティサービス)の有無

製品スペックだけで判断せず、運用フェーズまで見据えてサポート体制を比較することが、自社に最適なファイアウォール選びの決め手になります。

導入・運用コストの比較

ファイアウォールの導入・運用コストは、製品タイプによって大きく異なります。自社の予算と運用体制に合わせて選ぶべきです。

初期費用だけで判断すると、後の運用負担で総額が膨らむケースがあるためです。ハードウェア費用に加え、ライセンス更新料、保守費用、運用人件費まで含めて総所有コスト(TCO)で比較する必要があります。

種類 初期費用 運用費用 向いている企業
UTM(統合型) 20〜100万円 年10〜30万円 中小企業
次世代ファイアウォール 100〜500万円 年30〜100万円 中堅〜大企業
クラウド型(FWaaS) 低〜無料 月数万円〜 拠点分散型企業
ソフトウェア型 数万円〜 自社運用 IT人材がいる企業

中小企業ならUTMで初期費用を抑えつつ一括管理が可能です。拠点が多い場合はクラウド型で柔軟に拡張できます。総所有コストと運用体制を軸に比較し、自社に最適な製品を選びましょう。

最新トレンド:ゼロトラスト時代のファイアウォール

境界型防御の限界が叫ばれる現代、ファイアウォールは「すべてを信頼しない」ゼロトラストの考え方と融合し、進化を続けています。ここでは、ゼロトラストセキュリティとの関係性や、SASE・SSEといった最新のクラウド型セキュリティ基盤への統合動向を解説します。

ゼロトラストセキュリティとの関係

ゼロトラストセキュリティの時代でも、ファイアウォールは重要な構成要素として機能し続けます。「何も信頼しない」を前提とするゼロトラストでは、境界防御だけに頼らず、あらゆる通信を検証する発想が必要だからです。

従来型ファイアウォールは社内と社外を分ける「境界」を守る役割が中心でした。一方ゼロトラストでは、社内通信も含めて常に認証・検証を行い、マイクロセグメンテーションで細かく区切って守ります。

項目 従来型 ゼロトラスト型
防御範囲 社内外の境界 すべての通信
信頼モデル 社内は信頼 常に検証
区分け 大きな単位 マイクロ単位

ファイアウォールはゼロトラスト構成の中で、アクセス制御や通信可視化を担う中核装置へ進化しています。次世代ファイアウォール(NGFW)やSASEと組み合わせ、多層防御の一翼として活用する姿勢が求められます。

SASE・SSEへの統合

ファイアウォールは、SASE(Secure Access Service Edge)やSSE(Security Service Edge)といったクラウド型セキュリティ基盤に統合される流れが加速しています。単体製品ではなく、ネットワークとセキュリティを一体化したサービスの一機能として提供される形が主流になりつつあります。

背景には、クラウド利用やリモートワークの拡大があります。従来の境界型防御では、社外から直接クラウドへアクセスする通信を守れません。SASE・SSEはファイアウォール機能をクラウド上に集約し、場所を問わず同じセキュリティポリシーを適用できます。

構成要素 SASE SSE
ネットワーク機能(SD-WAN) 含む 含まない
FWaaS(クラウド型FW) 含む 含む
SWG・CASB・ZTNA 含む 含む

代表的なサービスにはZscaler、Netskope、Cato Networksなどがあり、FWaaSとしてクラウド上で全通信を検査します。情シス担当者は機器の保守から解放され、運用負荷を大幅に削減できます。今後のファイアウォール選定は、SASE・SSEへの統合を前提に検討するのが賢明な選択です。

まとめ:ファイアウォールを正しく理解し安全な環境を構築しよう

ファイアウォールを正しく理解し、多層防御の一部として運用することが、安全なネットワーク環境の構築につながります。外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐには、仕組みを把握した上で自社に合った種類を選び、他のセキュリティ対策と組み合わせる必要があります。

単体のファイアウォールだけでは、巧妙化するサイバー攻撃を完全に防ぎきれません。標的型攻撃やゼロデイ攻撃、内部不正など脅威は多様化しており、通信の可否を判断する境界防御だけでは不十分だからです。EDRやIDS/IPS、WAFなどを組み合わせた多層防御が標準となっています。

自社環境に合った選定の観点を整理します。

環境 推奨タイプ 組み合わせ例
小規模オフィス UTM + アンチウイルス
中堅企業 次世代ファイアウォール + EDR + WAF
クラウド利用 クラウド型WAF + ゼロトラスト

導入後は運用フェーズが本番です。ログを定期的に監視し、ポリシーを見直すことで、想定外の通信や不審な挙動を早期に検知できます。ルールを設定したまま放置すると、穴が生じて攻撃の温床になりかねません。

ファイアウォールはセキュリティの土台であり、仕組みの理解、多層防御の採用、自社環境に合った選定と運用の3点を押さえることが、安全な情報資産の保護につながります。基礎を固めた上で継続的に改善し、変化する脅威に備えましょう。

まとめ

ファイアウォールは、社内ネットワークと外部の境界で通信を制御し、不正アクセスやサイバー攻撃から情報資産を守る基盤的なセキュリティ対策である。パケットフィルタリング型・アプリケーションゲートウェイ型・次世代ファイアウォール(NGFW)・WAFなど種類ごとに役割が異なるため、守るべき対象と運用体制に合わせて選定することが重要だ。まずは自社のネットワーク構成と通信要件を洗い出し、既存環境に不足している機能を見極めてほしい。そのうえで、導入後は定期的なルール見直しとログ監視を徹底し、継続的な運用で効果を最大化しよう。

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