生成AIを仕事に使ってみたいけれど、こんなところで止まっていませんか。
- 取引先へのメール文面を整えるのに、毎回時間がかかる
- 会議のメモをまとめる作業を減らしたい
- 生成AIを一度試したが、何に使えばよいか分からず止まっている
生成AIは、文章で頼むと文章で答えを返す道具です。使い方の基本は、作業を1つ決めて頼み、答えを読んで直し、事実を確かめることです。 無料のプランでも、この流れは試せます。
この記事では、生成AIでできることと苦手なこと、無料で試す始め方、仕事での使いどころを順に紹介します。数値は総務省と情報処理推進機構(IPA)の調査から引き、調査年と答えた人の条件をそのつど書きます。
この記事のポイント
- 2025年度の総務省の調査で、テキスト生成AIを使ったことがない人に理由を聞きました。「使い方がわからない」は38.8%でした
- 2026年のIPAの調査は、仕事でAIを使っている人2,000人の回答です。文書作成・修正に生成AIを「毎日」と「週数日」使う人を合計すると、49.2%です
- 2024年度の総務省の調査で、日本の個人に聞いた結果です。AIの回答が事実でない可能性を「非常にリスク」と感じる人は30.7%です。Gemini・Claude・Copilotの提供元も、回答が不正確な場合があると書いています
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」/IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」/総務省「令和7年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第2節 AIの爆発的な進展の動向)」
生成AIの使い方は「頼む・読む・確かめる」
生成AIの使い方を一言でいうと、「頼む・読む・確かめる」のくり返しです。細かい操作を覚える前に、この流れをつかむと迷いにくくなります。
例えば、取引先へのメールの下書きを頼む場面を考えてみます。用件を伝えて下書きを作ってもらい、読んで自分の言葉に直します。最後に、宛名や日付が合っているかを確かめてから送ります。
文章で頼むと答えが返る道具
生成AIは、チャット欄に日本語で頼むと、文章で答えを返してくれる道具です。検索のように言葉を短く区切る必要はなく、人に話すように頼めます。
中で動いているのは、大規模言語モデル(たくさんの文章から言葉のつながりを学んだしくみ)です。英語の略で「LLM」とも呼ばれます。Google のヘルプページ(2026年10月17日閲覧)にも、Gemini アプリは LLM を使うと書かれています。
同じページには、LLM を使ったサービスは不正確な情報を事実のように示すことがある、とも書かれています。つまり、答えはいつも正しいとは限りません。この点は、あとの「苦手なこと」の節で詳しく見ます。
使い方の基本は3つの動き
使い方の基本は、次の3つの動きです。どれか1つが抜けると、手間が増えたり、誤りに気づけなかったりします。
生成AIを使うときの3つの動き
- 作業を1つ決めて頼む
- 返ってきた文章を読んで、自分で直す
- 事実・数字・名前が合っているかを確かめる
例えば、会議の議事メモを箇条書きにまとめる場面です。メモを貼って「決まったことを箇条書きにして」と頼み、返ってきた文を読んで言い回しを直します。最後に、日付や担当者の名前を元のメモと照らします。
3つのうち、いちばん大事なのは最初の「作業を1つ決める」だと考えています。理由は、無料で試す手順の節で、調査の数値とあわせて説明します。3つめの「確かめる」は、苦手なことの節で取り上げます。
20歳以上の約2人に1人が試した段階
まずは、総務省の『令和8年版 情報通信白書』の数値です。2025年度の調査で、生成AIを使ったことがある20歳以上の人は52.2%でした。2024年度の同じ調査では26.7%です。2024年度の調査の対象は20歳以上で、52.2%は対象年齢をそろえた値です(白書の脚注)。
対象を15歳以上に広げた2025年度の値は58.8%です。個人の利用状況の詳しい数値は、別の記事でも紹介しています。
2025年度の調査を年代別に見てみます。使ったことがある人は、30代で56.3%、40代で49.0%、50代で44.2%でした。ここでいう「使ったことがある」は、過去に一度でも使った人を含みます。毎日使っている人の割合ではありません。
20歳以上の値は1年でおよそ2倍になり、30〜50代では使ったことがある人が半数前後です。まだ使っていない人も少なくない段階なので、今から始めても遅くはないと考えます。なお、年代による違いの理由は、この調査からは分かりません。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」/総務省「令和7年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第2節 AIの爆発的な進展の動向)」
生成AIでできること
生成AIには、文章を作るもののほかに、画像や音声、プログラムのコードを作るものもあります。ここでは種類ごとに、仕事での使い方の例と、使ったことがある人の割合を見ていきます。
例えば、営業職の人なら、提案書の文章を整えるのはテキスト生成AIの役目です。資料に入れる挿絵の案を作るなら、画像生成AIを使います。
この節の数値は、どれも総務省の白書の2025年度調査で、日本の15歳以上の個人の回答です。
文章を書く・まとめる・答える
2025年度の調査で、テキスト生成AI(文章を作る生成AI)を使ったことがある人は55.0%でした。生成AIの種類の中で、いちばん多くの人が使ったことがあります。
テキスト生成AIでできることは、大きく次の4つに分けられます。
- 書く: 取引先へのお礼メールの下書きを作る
- まとめる: 会議のメモや長い資料を、短い要点にする
- 言い換える: 硬い文を、やわらかい言い回しに直す
- 答える: 仕事で出てきた言葉の意味を、例を付けて説明してもらう
一般の個人にとって、生成AIを使った経験は、ほぼテキスト生成の経験だと読めます。そのため、この記事の残りの節も、文章を扱う使い方を中心に紹介します。
画像・音声・コードも作れる
生成AIは、文章のほかに画像や音声、コードも作れます。ただし、使ったことがある人はテキストよりかなり少なめです。
| 種類 |
仕事での使い方の例 |
使ったことがある人(2025年度) |
| 画像・動画生成 |
資料に入れる挿絵の案を作る |
16.3% |
| その他の生成AI |
調査の「その他」の区分 |
8.4% |
| プログラムコード生成 |
表計算の作業をまとめて行う短いコードを書く |
7.0% |
| 音声生成 |
説明動画のナレーションの試し版を作る |
6.5% |
| 音楽生成 |
動画に付ける短い音楽の案を作る |
5.8% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
表の値は、日本の15歳以上の個人のうち、各種類の生成AIを使ったことがある人の割合です。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度調査)をもとに作成
無料のプランで画像を作れるサービスもあります。例えば Google の Gemini の料金ページ(2026年10月17日閲覧)です。無料プランに画像生成が含まれると表示されています。
使ったことがある人の割合は、使いこなせているかどうかを測ったものではありません。少ない理由もこの調査からは分からないため、「苦手だから使われていない」とは言えないと考えています。
一般の個人がAIを使う目的は「情報の理解」が最多
総務省の白書には、AIを何の目的で使っているかを聞いた集計もあります。2025年度の調査で、日本の15歳以上の個人が答えたものです。
この集計は、生成AIに限らない「AI」の利用目的です。答えた人には、AIを使ったことがない人も含まれると読めます。ただし、割合を出すときの人数は、白書の図表にははっきり書かれていません。
| 目的 |
定期的に利用している |
過去に何度か利用したことはある |
2つの回答の合計 |
| 情報の理解 |
33.7% |
19.7% |
53.4% |
| 文書作成や校正 |
20.1% |
18.0% |
38.1% |
| 翻訳 |
13.7% |
17.7% |
31.4% |
| アイデアの発想や企画の構想 |
14.4% |
15.3% |
29.7% |
| 日常の行動・判断にかかわる相談 |
14.6% |
13.0% |
27.6% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
表は、11の目的のうち、2つの回答の合計が大きい5つを並べたものです。「過去に何度か利用したことはある」は、白書の選択肢では「ほとんど利用しないが、過去に何度か利用したことはある」です。
例えば、営業職の人が、取引先の業界のニュースを読む前に要点をつかむ使い方は「情報の理解」に当たります。お礼状の言い回しを直すなら「文書作成や校正」です。
この集計は、後の「仕事での使いどころの例」の節で紹介するIPAの表とは、答えた人も聞き方も違います。2つの表の値は、比べないようにしてください。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
生成AIが苦手なことと注意点
生成AIには、苦手なこともあります。ここでは機能の一覧ではなく、仕事で起きやすい失敗の形で整理します。
例えば、調べものの下読みに使った答えを、そのまま上司への報告に貼ってしまう場面です。答えに誤りがあれば、その誤りがそのまま報告に入ってしまいます。
この節の数値は、2つの調査から引いています。総務省の白書は一般の個人、IPAの調査は仕事でAIを使っている人の回答で、互いに比べられる値ではありません。回答の確かめ方の詳しい方法は、この記事では深く触れません。
もっともらしい誤りを出すことがある
生成AIは、正しそうに見える誤った答えを出すことがあります。提供元自身も、そのことを注意書きに書いています。
提供元の注意書き(いずれも2026年10月17日閲覧)
- Google のヘルプページ: Gemini アプリは、不正確な情報や不快な情報を出すことがある。原文には「inaccurate information」とある
- Anthropic の利用規約: Claude の出力は、常に正確とは限らない。原文は「Outputs may not always be accurate」。自分で確かめずに頼らないように、とも書かれている
- Microsoft の「透明性に関する注意」: 「AI は間違いを犯す可能性があります」。応答をもとに動く前に、内容を確認するよう勧めている
英語の原文は、この記事で日本語に訳しています。
次は、総務省の『令和7年版 情報通信白書』にある2024年度の調査です。AIの回答が事実でない可能性を「非常にリスク」と感じる人は、30.7%でした。精巧な偽の映像や画像を本物と思ってしまう可能性を「非常にリスク」と感じる人は32.1%です。どちらも一般の個人の回答です。
なお、これらは最新の値ではありません。令和8年版の白書には2025年度の値もありますが、この記事では2024年度の値を使っています。
生成AIの答えは下書きとして受け取り、事実は自分で確かめる前提で使いましょう。
同じ質問でも答えが変わる
生成AIは、同じことを頼んでも、毎回同じ答えを返すとは限りません。一度で決めずに、出てきた答えを読み比べると選びやすくなります。
例えば、同じメールの言い換えを2回頼むと、別の文面が返ってくることがあります。2つを見比べて、相手に合うほうを選んだり、よいところを組み合わせたりできます。
IPA(情報処理推進機構)のテクニカルウォッチ『AIの動作・分析・利用等の説明に関する意識調査』を見てみます。集計データの資料名は『2026年度 AIの説明に関する意識調査』です。2026年3月に、仕事でAIを使っている人2,000人に聞いた調査です。使う人が受けておくべき説明も聞いています。「同じ質問でも繰り返すと回答がかわりうること」を挙げた人は、58.3%でした。この値は、「受けておくべきだ」と「どちらかといえば受けておくべきだ」の2つの回答の合計です。
同じ調査で、「生成AIで誤った回答があること」の説明を受けておくべきと答えた人は59.1%です(2つの回答の合計)。仕事で使っている人の多くも、答えの揺れや誤りを知っておくべきことと考えています。
入力した情報の扱いに気をつける
生成AIに入力する情報にも、気をつける必要があります。お客さまの名前や個人情報、社外に出せない資料は、そのまま貼らないようにしましょう。
2024年度の総務省の調査では、入力した情報が第三者に漏れる可能性についても聞いています。「非常にリスク」と感じる人は28.8%、「どちらかと言えばリスク」と感じる人は35.2%でした。この2つの回答を合計すると、64.0%です。
一方、2025年度の調査では、テキスト生成AIを使ったことがない人に理由を聞いています。「情報漏えい、セキュリティ、安全性に不安がある」を挙げた人は10.4%でした。2つは調査年も、答えた人も、聞き方も違うため、差の大きさはそのまま比べられません。
そのうえで、情報漏えいの心配は「使うときに気をつける点」として考えるのが実態に近いと読んでいます。「使わない理由」の上位には来ていないからです。
勤務先に生成AIの利用ルールがある場合は、そちらに従ってください。名前や社名を「A社」「Bさん」のように置き換えるだけでも、貼る情報を減らせます。
確かめずに使うのが典型的な失敗
仕事で生成AIを使うときの典型的な失敗は、答えを確かめずにそのまま使うことです。
IPAの2026年の調査では、仕事でAIを使っている人に、知りたい情報を聞いています。その一つが、回答の真偽を確認せずに引用するといった事例です。こうした不適切な使い方の事例を知りたい人は、61.4%でした。不適切な質問の事例を知りたい人も62.3%です。どちらも、「知りたい」と「どちらかといえば知りたい」の2つの回答の合計です。
確かめずに使う
長い資料の要約を頼み、返ってきた文章をそのまま上司への報告に貼る。数字や日付が元の資料と合っているかは見ていない。
確かめてから使う
要約から気になる点を拾い、元の資料で数字と日付を確かめる。合っていた部分だけを、自分の言葉に直して報告に使う。
確かめ方のくわしい手順は、別の記事で扱う予定です。まずは「数字・日付・名前は元の資料で見直す」の一つだけを習慣にすると始めやすくなります。
出典: 総務省「令和7年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第2節 AIの爆発的な進展の動向)」/IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」/総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
無料で試す始め方の手順
生成AIは、無料のプランから試せます。ここでは、始めるまでの流れを4つの手順に分けて紹介します。
例えば、平日の昼休みに少し時間を取り、メール1通の下書きで試す場面を想像してください。手順1から4までを順に進めると、その時間の中で最初の1回を試すことを目指せます。
サービスの条件は、提供元の公式ページで確かめた範囲だけを書きます。紹介する順番は、順位ではありません。
手順1 試す作業を1つ決める
最初に決めるのは、使うサービスではなく、試す作業です。作業が決まっていると、頼む内容も、うまくいったかどうかの判断もはっきりします。
2025年度の総務省の調査で、生成AIを使ったことがある人に、使う理由を聞いています。1位は「利用にかかるお金が無料又は安い」で、53.9%でした。
一方、テキスト生成AIを使ったことがない人の理由もあります。「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%、「使い方がわからない」が38.8%でした。前の数値とは、答えた人の集まりが違います。
無料で試せる環境はすでにあり、入口で止まりやすいのは「どこで使うか」が見えていない点ではないか、と考えています。これは調査から立てた仮説で、費用が壁ではないと言い切れるものではありません。
最初に試す作業の候補には、次のようなものがあります。
- 取引先へ送るメールの文面を整える
- 会議のメモを、決まったことと宿題に分ける
- 調べものの前に、テーマの要点を下読みする
- 硬い文を、読みやすい言い回しに直す
手順2 アカウントと年齢の条件を確かめる
次に、使うサービスのアカウントと年齢の条件を確かめます。条件は提供元ごとに違い、それぞれの公式ページに書かれています。
| サービス(提供元) |
必要なアカウント |
年齢の条件 |
確かめたページ |
| Gemini(Google) |
個人の Google アカウント。仕事用・学校用のアカウントにも別の条件がある |
個人のアカウントは13歳以上(国によって決まった年齢以上)。仕事用は18歳以上 |
Google のヘルプ「Geminiアプリの利用条件」 |
| Claude(Anthropic) |
Claude のアカウント。使えるのはサポート対象の地域だけ |
18歳以上 |
Anthropic のヘルプ(使い始めの案内、年齢の条件) |
| Copilot(Microsoft) |
Microsoft アカウント(閲覧したページは、サインインして使う場合の説明) |
年齢の制限が適用される場合がある、とだけ書かれていた。具体的な年齢は確認できなかった |
Microsoft の個人向け Copilot のページと「透明性に関する注意」 |
表は、2026年10月17日に各社の公式ページを閲覧した時点の内容です。Google のヘルプには、Gemini のウェブ版の一部の機能はログインしなくても使える、とも書かれています。
ChatGPT など、表にないサービスの条件は、提供元の公式ヘルプで確認してください。
手順3 無料プランの範囲と上限を知る
無料のプランには、使える量に上限があります。上限に達したら、時間をおくか、有料のプランで上限を広げるという考え方になります。
2026年10月17日の閲覧時点で、各社の公式ページには次のように書かれていました。
- Gemini: 料金ページで、無料プランは「¥0 JPY/月(Google アカウントをお持ちの方)」と表示。有料のプランでは利用上限が広がる
- Claude: 料金ページで、Free は0ドル。使い始めのヘルプには、無料プランは5時間でリセットされる上限があり、送れるメッセージの数は混み具合で変わると書かれている
- Copilot: 閲覧したページでは、無料版の範囲と上限は確認できなかった。個人向けのページには、有料のプランが載っている
金額や上限は、変わることがあります。使う前に、その時点の公式ページを確かめてください。有料プランの金額は、この記事では載せていません。
手順4 最初の1回を頼んでみる
条件を確かめたら、最初の1回を頼んでみます。頼み方の細かいコツより、まず1回やってみることを大事にしましょう。
例えば、「取引先に納期の延長をお願いするメールを、丁寧な文面でいくつか作って」と頼む場面です。次の順で進めると、迷いにくくなります。
- 目的と相手を書く(例: 取引先の担当者に、納期を少し延ばしてほしいと伝えたい)
- 素材を貼る(元の予定や、伝えたい事情。名前や社名は伏せる)
- 返ってきた案を読み、使えるところを選んで自分で直す
名前を伏せる理由は、苦手なことの節の「入力した情報の扱い」で紹介しました。頼み方の詳しい書き方は、別の記事で扱う予定です。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
試したあとに続けるコツ
生成AIは、一度試しただけで止まってしまうことがあります。ここでは、使ったことがある人の利用頻度を見たうえで、続けるための作業の選び方を紹介します。
例えば、毎週月曜に週報の下書きを作っている人なら、その作業を「生成AIに頼む日」と決めてしまう方法があります。決まった曜日に決まった作業で使うと、使う場面を毎回考えずに済みます。
使った人の約3分の1は月1回以下
総務省の白書の2025年度調査で、生成AIを使ったことがある人に利用頻度を聞いた結果は次のとおりです。割合は、日本の個人全体ではなく、使ったことがある人の中の割合です。
- ほぼ毎日(1日に合計1時間以上): 11.1%
- ほぼ毎日(1日に合計1時間未満): 18.8%
- 週に少なくとも1回(毎日ではない): 35.5%
- 月に少なくとも1回(毎週ではない): 19.8%
- 年に少なくとも1回(毎月ではない): 9.6%
- 最近1年間は使用していない: 5.1%

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度調査)をもとに作成
四捨五入のため、6つの回答の合計は99.9%です。週に1回以上使う人は、上の3つの回答を合計して65.4%です。月1回以下の人は、下の3つの回答を合計して34.5%です。
使ったことがあることと、使い続けていることは、別の状態だと読めます。ただ、月に1回の決まった作業で役立てている人もいるはずで、頻度が低いことが悪いとは限りません。
週に1回使う作業を決める
続けるための一つの方法は、週に1回は使う作業を、先に決めておくことです。
同じ2025年度の調査で、生成AIを使ったことがある人が挙げた使う理由(複数回答)には、次のものがあります。
- 時間や手間を省いてくれ、作業の効率が上がる: 42.8%
- 多様な発想や視点を示してくれる: 34.1%
- 自分の好みや状況に合わせて整理・提案してくれる: 31.6%
手間を省く、整理してもらうといった理由に当てはまる作業ほど、続ける理由を感じやすいと考えています。次のチェック項目に当てはまる作業を、1つ選んでみてください。
- 毎週くり返す作業である
- 頼むための素材(メモや元の文)が手元にある
- 返ってきた結果が正しいかを、自分で判断できる
- 個人情報や社外秘を含めずに頼める
このチェック項目は、調査の結果ではなく、一般的な目安です。まずは週に1回、決まった作業で使うことから始めましょう。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」
仕事での使いどころの例
ここからは、仕事の中で生成AIをどこに使えるかを、用途ごとに見ていきます。
この節の数値は、IPAの調査(2026年3月)で、仕事でAIを使っている人2,000人の回答です。一般の個人の割合ではありません。割合を出すときの人数には、その用途で「使ったことがない」人も含みます。
| 用途 |
毎日使う |
週数日使う |
月数日使う |
過去に使ったことがある |
使ったことがない |
| 文書作成・修正 |
16.6% |
32.6% |
25.0% |
10.4% |
15.5% |
| 情報収集・要約・分析 |
17.7% |
31.3% |
23.5% |
9.6% |
18.0% |
| 翻訳 |
14.1% |
25.4% |
23.5% |
13.4% |
23.7% |
| 規則・契約等の遵法性チェック |
9.0% |
15.3% |
18.2% |
10.1% |
47.5% |
| デジタルコンテンツ生成 |
6.2% |
14.5% |
17.2% |
12.5% |
49.7% |
| ソフトウェア開発支援 |
6.5% |
12.7% |
13.5% |
10.1% |
57.4% |
出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
表の値は、仕事でAIを使っている人の、用途ごとの生成AIの利用頻度です。

出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査」(2026年3月)をもとに作成
例えば、事務の仕事をしている人が、どの作業から生成AIを使い始めるか迷う場面です。表の上の3つの用途は、毎日〜週数日使う人が多い用途で、最初の一歩を選ぶ手がかりになります。
使い方は「書く・直す」「調べてまとめる」「訳す」の3つに集まり、ほかの3つの用途は使ったことがない人が多いと読めます。
一般の個人がAIを使う目的は、「生成AIでできること」の節で総務省の集計を紹介しました。答えた人も聞き方も違うため、この表とは比べないでください。
メール文面を整える(文書作成・修正)
仕事でAIを使っている人に、文書作成・修正での利用を聞いた結果です。生成AIを「毎日使う」人は16.6%、「週数日使う」人は32.6%でした。この2つの回答を合計すると49.2%で、約2人に1人です。「使ったことがない」人は15.5%です。
例えば、取引先との日程調整のメールや、社内向けのお知らせ文の言い回しを整える場面です。自分で書いた下書きを貼ってから頼むと、直したい点が伝わりやすくなります。
頼み方の例は、「次の文を、取引先に送る日程調整のメールとして、丁寧な言い回しに整えてください。日付と時間は変えないでください」です。返ってきた文では、日付・時間・相手の名前が元の文と同じかを確かめましょう。
議事メモの整理と調べものの下読み
情報収集・要約・分析に生成AIを「毎日使う」人は17.7%、「週数日使う」人は31.3%です。この2つの回答を合計すると、49.0%です。「使ったことがない」人は18.0%でした。
例えば、会議のメモを「決まったこと・宿題・期限」に分ける場面です。長い資料を読む前に、要点を先につかむ使い方もあります。
頼み方の例は、「次の会議メモを、決まったこと、宿題、期限に分けて箇条書きにしてください。メモにないことは書かないでください」です。要約は元の資料と食い違うことがあるので、報告に使う前に数字と日付を元の資料で見直してください。
英文のメールや資料を訳す(翻訳)
翻訳に生成AIを「毎日使う」人は14.1%、「週数日使う」人は25.4%です。この2つの回答を合計すると、39.5%です。「使ったことがない」人は23.7%でした。
例えば、海外の取引先から届いた英文メールの下訳を作る場面です。こちらから送る英文が、伝えたい意味になっているかを確かめる使い方もできます。
訳した文では、人や会社の名前、金額、日付を原文と照らしてください。大事なやり取りでは、意味が合っているかを自分の目でも確かめましょう。
使う人がまだ少ない用途
次の3つの用途は、仕事でAIを使っている人でも、使ったことがない人が多い用途です(IPA、2026年)。
- 規則・契約等の遵法性チェック(勤務先の規則や契約書の確認など): 使ったことがない人は47.5%です。「毎日」と「週数日」の合計は24.3%です
- デジタルコンテンツ生成(画像や動画などを作る): 使ったことがない人は49.7%です。「毎日」と「週数日」の合計は20.7%です
- ソフトウェア開発支援(プログラムを書く手伝い): 使ったことがない人は57.4%です。「毎日」と「週数日」の合計は19.2%です
これらは、その仕事をしている人に限られる用途である可能性が高いと考えます。回答した人に開発の仕事の人が少ないためとも考えられ、役に立たないという意味ではありません。最初の一歩は、表の上の3つの用途から選ぶのが目安になります。
Microsoft のサービス規約(2026年10月17日閲覧)も見てみます。AI サービスは専門家の助言の代わりではない、と書かれています。契約や規則の最終的な判断は、専門家や勤務先の担当部署に任せましょう。
出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
仕事でAIを使う人の利用歴と理解度
副業や転職で、AIを使う仕事に挑戦したい人もいると思います。ここでは、仕事でAIを使っている人が、いつ使い始め、どのくらい理解しているかを見ていきます。
例えば、転職先の求人に「生成AIの活用経験」とあり、どの程度を求められているのか気になる場面です。今使っている人の利用歴が分かると、自分との距離をつかむ手がかりになります。
この節の数値も、IPAの2026年の調査で、仕事でAIを使っている人2,000人の回答です。
業務での利用は2024年以降が6割超
| 使い始めた時期 |
個人として使い始めた |
業務で使い始めた |
| 2022年以前 |
17.6% |
10.9% |
| 2023年 |
21.8% |
19.5% |
| 2024年 |
25.4% |
29.4% |
| 2025年1月以降 |
27.5% |
34.8% |
| 経験なし |
7.9% |
5.6% |
出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
表の値は、仕事でAIを使っている人が、AIを使い始めた時期です。質問は生成AIに限らず、AI全般についてです。
業務で使い始めたのが2024年以降の人は、「2024年」と「2025年1月以降」の回答を合計して64.2%です。個人として使い始めた時期と比べると、業務での利用は全体に遅めです。
仕事でAIを使っている人の多くも、業務での利用歴はまだ長くないと読めます。これから仕事に取り入れる人と、経験の差が大きく開いているわけではないと考えます。
ただし、同じ人が個人、業務の順に始めたかどうかは、この集計からは分かりません。「2025年1月以降」の区分は、ほかの区分より期間が長い点にも気をつけてください。
仕組みを説明できる人は44.9%
IPAの2026年の調査で、仕事で生成AIを「利用している」と答えた人は81.5%でした。同じ調査で、生成AIの理解の程度を聞いた結果は次のとおりです。
- 内容を他の人に説明できる: 44.9%
- 断片的な知識はあるが説明は難しい: 40.3%
- キーワードくらいしかわからない: 12.6%
- 知識・知見がない: 2.3%
この結果は自分で答えた評価で、テストで測ったものではありません。
仕事で使っていることと、仕組みや限界を分かっていることは、別だと読めます。使いながら、しくみや苦手なことを順に学んでいくことが、仕事で安心して使う助けになると考えます。
出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
よくある質問
生成AIを使い始めるときによく出てくる質問に、本文の内容をもとに答えます。例えば、在宅で事務の副業をしている人が、仕事の資料を生成AIで扱ってよいか迷う場面などを想定しています。
有料プランに入らないと仕事に使えませんか
無料のプランでも試せます。Gemini と Claude の料金ページには、それぞれ無料のプランが載っています(2026年10月17日閲覧)。Gemini の料金ページでは、有料のプランで利用上限が広がると表示されています。
勤務先で業務用のアカウントが用意されている場合は、そちらを使いましょう。無料プランの上限については、「手順3 無料プランの範囲と上限を知る」で紹介しました。
仕事の資料をそのまま入力してもよいですか
そのまま入力するのは避け、個人情報や社外秘の部分は伏せてください。
IPAの2026年の調査では、仕事でAIを使っている人に、職場のAI利用での心配ごとを聞いています。「情報漏えい(不適切なプロンプト入力等)」の心配が大きいと答えた人は53.6%でした。「非常に大きい」と「やや大きい」の2つの回答の合計です。プロンプトとは、生成AIへの頼みごとの文のことです。勤務先にルールがあれば、それに従いましょう。
どのサービスから始めればよいですか
この記事では、サービスに順位は付けていません。年齢やアカウントの条件を満たし、ふだん使っているアカウントで始められるものを選ぶと、手間が少なくて済みます。
条件は「手順2 アカウントと年齢の条件を確かめる」の表にまとめました。ChatGPT の条件は、提供元の公式ヘルプで確認してください。
頼み方はどこまで覚えればよいですか
最初は、「頼み方によって答えが変わる」ことだけを押さえておけば始められます。
IPAの2026年の調査で、仕事でAIを使っている人の56.0%が、ある説明を受けておくべきと答えました。プロンプトの入力によって、回答が変わりうるという説明です。この値も、「受けておくべきだ」と「どちらかといえば受けておくべきだ」の合計です。詳しい頼み方の書き方は、この記事では触れません。
出典: IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
この記事の範囲と未解決事項
この記事は、公的な調査と、提供元の公式ページで確かめられた範囲に限って書いています。主張していないことは、次のとおりです。
- 特定のサービスの優劣や順位
- 生成AIを使うことで得られる効果の大きさ(作業時間がどれだけ減るかなど)
- 利用頻度と、仕事の成果や満足度の関係
- 年代による利用の違いの原因
- 有料プランの費用の相場や、特定の企業・個人の実績
まだ確かめられていないことや、使っていない値は、次のとおりです。
- ChatGPT の無料枠・年齢の条件・注意書き。公式ページを取得できず、確認できていないため書いていません
- Copilot の無料版の範囲と年齢の条件。閲覧したページには、はっきりした記載がありませんでした
- テキスト生成AIを使わない理由のうち、この記事で紹介した選択肢以外の値。白書の図表にはありますが、データベースに登録されていないため使っていません
- 2025年度のAIのリスク認識の値。令和8年版の白書にありますが、データベースに登録されていないため、この記事では2024年度の値を使っています
- 個人が生成AIを使うときの著作権に関する公的な数値
- 一般の個人が、無料と有料のどちらのプランを使っているかの公的な数値。今回参照した範囲では見当たりませんでした
- 一般の個人の目的別の集計は、生成AIに限らない「AI」についての値です。作業ごとの利用頻度は、仕事でAIを使う人に聞いたIPAの調査の値だけを使っています
料金や条件は、2026年10月17日に閲覧した時点の内容で、変わることがあります。また、総務省の白書は一般の個人、IPAの調査は仕事でAIを使っている人の回答です。答えた人の集まりが違うため、この記事では2つの数値を比べていません。
生成AIの使い方:できること・始め方・使いどころ(まとめ)
この記事の要点を振り返ります。
- できること: 文章を書く・まとめる・言い換える・答えるのが中心です。2025年度の総務省の調査で、テキスト生成AIを使ったことがある人は55.0%でした
- 苦手なこと: もっともらしい誤りを出すことがあります。提供元も注意書きで、回答が不正確な場合があると書いています
- 無料の始め方: 作業を1つ決め、アカウントと年齢の条件、無料プランの上限を公式ページで確かめてから、最初の1回を頼みます
- 続け方: 2025年度の総務省の調査で、使ったことがある人のうち、月1回以下の3つの回答の合計は34.5%でした。週に1回使う作業を決めておくと、続けやすくなると考えます
- 仕事での使いどころ: 2026年のIPAの調査は、仕事でAIを使っている人の回答です。文書作成・修正に「毎日」と「週数日」使う人の合計は49.2%です
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書(第Ⅰ部第1章第1節 個人におけるAI利用の現状)」/IPA「2026年度 AIの説明に関する意識調査(付録2 単純集計データ)」
BoostAI のオンライン講座で生成AIを学ぶ
この記事では、生成AIの使い方を「頼む・読む・確かめる」の流れで紹介しました。メール文面や議事メモなど、自分の仕事で実際に手を動かしながら身につけたい人もいると思います。
BoostAI では、動画と演習で、AIの基礎から仕事の進め方までを段階的に学ぶオンライン講座を準備しています。講座は公開準備中で、アカウント登録は無料で受け付けています。受講開始日や正式な料金は、公開時に案内されます。
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出典一覧