ヘルプデスクはやめとけと言われる理由は?向いている人や将来性まで解説

ヘルプデスクの仕事って、やりがいがなさそう…
ずっと雑用ばかりでキャリアアップできないのでは?
ヘルプデスクを続けて将来大丈夫か不安…
IT業界に興味はあるけれど「ヘルプデスクの仕事はやめとけ」といったネガティブな声を目にして、悩んでいる人は少なくありません。
結論、ヘルプデスクは負荷の高い業務が多く、キャリア形成に不安を感じる人も多い職種です。しかし、その一方でIT業務の土台を支える存在として、重要な役割を果たしています。
この記事では、ヘルプデスクが「やめとけ」と言われる理由を深掘りしつつ、向いている人や将来性、やりがいまで解説します。
ヘルプデスクはやめとけと言われる5つの理由

ヘルプデスクはやめとけと言われる理由は、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説します。ヘルプデスクの仕事に不安を感じている人は、なぜやめとけと言われるのか理由について確認しておくようにしましょう。
業務範囲が広くて負担が大きい
ヘルプデスクは、パソコンの初期設定からシステムトラブルの対応、社員からのITに関する質問まで、多岐にわたる業務を担当します。
- PCの初期セットアップ・修理対応
- ネットワーク・プリンターのトラブル対応
- 社内ツールやアプリの操作方法に関するサポート
- アカウントやパスワードの発行・管理
- IT資産管理、ライセンスのチェック
- 社員からの問い合わせ対応(対面・電話・メール)
多くの業務を並行しながら対応しなければならないため、業務負荷が大きく、心身ともに疲弊しやすい点がやめとけと言われる理由のひとつです。
広い業務範囲はスキルの幅を広げる反面、「何が専門なのか分からなくなる」といった不安にもつながりやすくなります。
専門性が身につきにくくキャリア形成が難しい
ヘルプデスクの業務は、ITの幅広い知識が求められますが、特定の業務に特化した職種と比較すると専門性が身につきにくいデメリットがあります。
スキルの習得よりも「聞く」「説明する」といったコミュニケーション能力が重視される場面が多く、転職やキャリアチェンジの際にアピールできる技術的な実績を持ちづらいと感じている人も少なくありません。
しかし、実際には幅広い業務に携わることができるため、さまざまなスキルを身につけられます。
AIや自動化で将来的に仕事が減るリスクがある
近年、社内サポート業務にAIチャットボットやFAQシステムが導入されるケースが急増しています。
- チャットボットやAIによる自動応答の精度向上
- ナレッジ共有ツールによる自己解決の促進
- 社内ポータル・FAQ整備による“問い合わせ前提”の見直し
- RPAなどによる定型業務の置き換え
よくある質問に対しては自動で回答が返される仕組みが整いつつあり、定型的な問い合わせ対応に関しては、人が対応しなくてもよくなってきつつあります。
反対に、マニュアルにはない問い合わせや新規トラブルに柔軟に対応できる人材は市場価値を高く評価してもらえる可能性が高いでしょう。
今後のヘルプデスクは単に問い合わせ対応するだけではなく、ナレッジの整備や自動化ツールの運用など、仕組みの改善ができる人材が求められるようになるでしょう。
突発対応が多くスケジュールを立てづらい
ヘルプデスクの業務は、問い合わせベースで発生するためスケジュールを立てづらいと感じる人も多いです。
たとえば、朝一番に立てたスケジュールが突発的に発生した緊急度の高い問い合わせによって崩れるケースも少なくありません。
月末・年度末、入退職の多い時期などは繁忙期と重なることもあり、対応件数が増加する傾向にあります。
ヘルプデスクでうまく複数のタスクをこなすためには、タスクの優先づけや問い合わせ管理システムを導入するなどの対策が必要です。
クレーム対応で精神的に疲弊しやすい
ヘルプデスクは、社内ユーザーの困りごとに対応する職種です。不満のある社員からクレームを受けるケースも多く、精神的にきついためにやめとけと言われることがあります。
ただし、クレームの量は社内か社外、会社の規模によって大きく異なります。
社内の場合は同じシステムを利用するケースが多いため、問い合わせ内容も似たようなものが多く、クレームの頻度は少なくなるでしょう。
ヘルプデスクの仕事内容

ヘルプデスクの仕事内容は、大きく「社外ヘルプデスク」と「社内ヘルプデスク」に分かれます。
ここでは、社外ヘルプデスクと社内ヘルプデスクそれぞれの仕事内容と役割について解説します。
社外ヘルプデスクの仕事内容
社外ヘルプデスクは、ITベンダーや製品提供企業のコールセンターやサポートセンターに所属し、社外ユーザー(顧客)からの問い合わせ対応をおこないます。
- 製品やシステムの使い方に関する問い合わせ
- エラーやトラブル発生時の一次対応・手順案内
- 操作ミスによる不具合の相談
- クレーム対応や障害対応の窓口業務
問い合わせは主に電話やメール、チャットが中心で、遠隔による対応が基本です。
加えて、問い合わせ内容のデータベース化(ナレッジ蓄積)や、対応が困難な問題のエスカレーション(別部署への引き継ぎ)など、問い合わせから解決までの全体管理を担います。
社内ヘルプデスクの仕事内容
社内ヘルプデスクは、企業のIT部門または情シス部門に所属し、社内の従業員を対象にITサポートを提供します。
- パソコンや周辺機器の設置・設定・修理
- 社内ネットワークやVPNの接続トラブル対応
- 社内システムやツールの操作案内・マニュアル作成
- IT資産(PC、ソフトウェアライセンスなど)の管理
- アカウント発行・削除、パスワード管理
- 入退社時の機器設定や削除対応
問い合わせ対応のみならず、PCの初期設定やトラブル対応、IT資産管理など幅広い業務を担当するのが特徴です。
特に中小企業では、社内SEと業務が重複するケースも多く、明確な線引きがないこともあります。
大企業であれば、役割分担が明確になっており、ヘルプデスクが一次対応を、SEが設計や改善を行うといった形で連携しているケースが多いです。
ヘルプデスクのメリット・やりがい

ヘルプデスクのメリット・やりがいは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
ユーザーから感謝される喜びを得られる
ヘルプデスクのやりがいにひとつが、直接ユーザーに感謝される点です。
困っている人をサポートし、業務の支障を改善することで社内外の多くの人から「ありがとう」と言葉をもらえるのは、ヘルプデスクならではの魅力です。
システムトラブルで作業が止まってしまったときに迅速な対応を行えば、「助かった」「あなたがいてよかった」といった声をもらうことも珍しくありません。
誰かの役に立つ仕事をしたいと考えている人は、ヘルプデスクの仕事に大きなやりがいを感じやすくなるでしょう。
IT業務の基礎が幅広く身につく
ヘルプデスクの仕事では、パソコンの設定、ネットワークトラブルの対応、アカウント管理、IT資産の棚卸しなど、IT業務の基礎にあたる作業を網羅的に経験できます。
- OS(Windows、Mac)の操作や管理
- ネットワーク(LAN・VPN)の基本知識
- 業務システムやクラウドツールの操作理解
- アカウント・セキュリティポリシーの運用
- IT資産管理ツールの活用
幅広い業務を経験できるため、興味のある分野でスキルを磨き、スペシャリストを目指すことも可能です。
プログラミングだけではなく、幅広いITに触れたいと感じている人はやりがいを感じられるでしょう。
トラブル解決力や柔軟な対応力が鍛えられる
ヘルプデスクにはユーザーからの情報をもとに原因を特定し、最適な改善策を見つけ出し、対応する必要があります。
そのため、業務を通じてトラブル解決力や柔軟な対応力が身につけられるでしょう。
トラブル解決力や柔軟性は、どのような業種・職種でも求められる汎用スキルであるため、市場価値の高いスキルを身につけられる点もヘルプデスクのメリットといえるでしょう。
ヘルプデスクに向いている人の特徴

ヘルプデスクに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
ヘルプデスクの仕事は、単にITに詳しければ務まるものではありません。ここでは、ヘルプデスクに向いている人の特徴を詳しく解説します。
コミュニケーションスキルの高い人
ヘルプデスクは、多くの人と関わりながら業務に取り組むため、コミュニケーションスキルの高い人に向いています。
会社によっては組織全体のITリテラシーが低い場合もあるため、専門用語を使わずにわかりやすい説明をする必要もあるでしょう。
また、コミュニケーションは単に会話ができるのではなく、相手の状況を引き出すヒアリング力も求められます。
忍耐力の高い人
ヘルプデスクは、対応時に理不尽なクレームを受けるケースも少なくありません。感情をぶつけてくる相手に対しても、冷静かつ丁寧に対応し続ける必要があります。
冷静にトラブル解決に取り組むためにも、ヘルプデスクには忍耐力も必要です。
焦って対応すると状況が悪化することもあるため、相手のペースに巻き込まれず、落ち着いて対応できる人が活躍しやすいでしょう。
ヘルプデスクの将来性

DX推進や新規技術の登場など、ITの加速する現代ではヘルプデスクの需要が高くなっています。
AIやチャットボットの進化により、定型的な問い合わせ対応は自動化の波にのまれつつありますが、人の感情や文脈を汲み取りながらの対応は人間でないと厳しい部分が多いです。
問題解決に向けてユーザーと向き合うことができるスキルや問題解決能力は、どのような業界でも重宝されるでしょう。
ヘルプデスクに関するよくある質問
未経験からヘルプデスクに転職できますか?
結論、ヘルプデスクは未経験でも転職可能です。
未経験歓迎の求人は市場に豊富にあるほか、多くの企業では研修を用意しており、入社後にヘルプデスクに必要な知識・スキルを学べます。
ヘルプデスクに未経験で応募する場合は、コミュニケーションスキルや問題解決スキルを積極的にアピールするようにしましょう。
ヘルプデスクのキャリアパスは?
ヘルプデスクのキャリアパスは、以下のとおりです。
- 社内SE
- ネットワークエンジニア
- システムエンジニア
- プロジェクトマネージャー
ITの幅広い分野に触れることができるため、ネットワークエンジニアやシステムエンジニアのように特定の分野に特化したキャリアパスがあります。
また、タスク管理やスケジュール管理も重要なヘルプデスクは、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアパスもおすすめです。
ヘルプデスクの離職率は高いですか?
企業によって異なりますが、ヘルプデスクは離職率が高い傾向にあるようです。
- 理不尽な問い合わせを受ける
- 業務量が多い
- 不規則な問題に対するプレッシャーが大きい
問い合わせのなかには理不尽なクレームを受ける可能性があるほか、業務量が多いことなどが離職率の高い理由として挙げられます。
また、突発的に発生する問題に対するプレッシャーの大きさも離職につながっていると考えられるでしょう。
まとめ | ヘルプデスクは合う人には良職だが、将来を見据えた行動が必要
ヘルプデスクは、業務の幅広さや専門性が身につきづらいなどの理由からやめとけと言われることも少なくありません。
しかし、実際にはユーザーに直接感謝されるやりがいがあるほか、ITの基礎を業務を通じて身につけることができるため、努力次第では確実に成長につながります。
ヘルプデスクとして働きたい場合は、今後どのようなキャリアを築きたいか明確にしたうえで業務に取り組む必要があります。

成田 大輝
(株式会社ウェヌシス 代表取締役)
【保有資格】
・ITパスポート試験
・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験
・MOS(Microsoft Office Specialist)
【経歴】
・2021年4月 〜
2022年7月:プログラマー
・2022年8月 〜 現在:
事業会社の情報システム部門
・2025年3月 〜 現在:
株式会社ウェヌシスの代表取締役
【紹介文】
新卒で大手SIerに入社後、半年間でスタートアップのSES企業で開発支援を経験。2022年8月より、従業員約3,000名・全国166拠点を展開する事業会社にて社内SEとして着任。業務効率化や情報セキュリティ対策、社内インフラ管理のほか、月間200件以上のヘルプデスク対応、約1,000台以上の社内端末・ネットワーク管理を行う。2025年3月には株式会社ウェヌシスを創業し、年間50社以上の中小企業に対して情シス内製化支援・教育・ITコンサルティング・アウトソーシングサービスを提供している。