ルーターとスイッチの違いとは?初心者にもわかる役割・使い分け・選び方を解説

会社や自宅のネットワーク環境を整えたいが、ルーターとスイッチの違いが分からず困っている
インターネットで調べても専門用語が多く、結局どう使い分ければいいのか分からない
これからネットワーク機器を導入するので、失敗したくない
このような悩みを抱えている人は少なくないでしょう。
ネットワーク機器を選ぶ際、ルーターとスイッチの違いを正しく理解できていないと、無駄な出費や通信トラブルの原因になります。
この記事では、ルーターとスイッチの違い、使い分け方、導入時の注意点まで初心者向けにわかりやすく解説します。
ルーターとスイッチは何が違うの?

ルーターとスイッチは、ネットワーク機器という点では共通していますが、役割と使い方が大きく異なります。
ここでは、ルーターとスイッチの違いを詳しく解説します。
ルーターの役割:ネットとLANをつなぐ機器

ルーターは、社内ネットワークとインターネットを接続するために必要な機器です。
- 社内ネットワークとインターネットを接続するための機器
- 外部からの不正アクセスを防ぐ
- IPアドレスを自動で配布する
たとえば、家庭用のWi-Fiルーターを思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。インターネット回線(WAN)を受け取り、社内のパソコンやスマートフォンなどに振り分けて接続する役割を担います。
また、外部からの不正アクセスを防ぐファイアウォール機能、IPアドレスを自動で配布するDHCP機能など、ネットワークを安全かつ効率的に運用するための機能も備えています。
ネットワークとの接続だけではなく、安全性の高い通信を実現するのもルーターの役割です。
スイッチの役割:同じネットワーク内で通信を最適化する機器

スイッチは、同じネットワーク内に接続された複数の機器間で、データのやり取りを効率化する役割を持っています。
たとえば、オフィス内でパソコン同士がファイルを共有したり、プリンターに印刷データを送ったりする場合、スイッチが各機器を適切につないで通信の最適化をおこないます。
データを必要な機器にだけ届ける制御機能がスイッチの主な特徴です。無駄な通信の発生を防ぎ、ネットワーク全体の速度低下を回避できます。
どちらが必要?ルーター・スイッチの選び方ガイド

ネットワーク環境を整える際に、ルーターだけで十分なのか、それともスイッチも必要なのかは、利用する環境によって異なります。
自宅のように少数の端末をつなぐだけなら、ルーター1台でも十分対応可能です。しかし、オフィスや複数の機器が集まる環境では、スイッチを併用することで、通信の安定性や拡張性が大きく向上します。
ここからは、自宅・小規模オフィス・中~大規模ネットワークといったシーン別に、適切なルーター・スイッチの選び方を詳しく解説していきます。
自宅の場合:基本はルーターのみでOK
自宅でインターネットを使う場合、多くのケースではルーターのみで十分です。
市販の家庭用Wi-Fiルーターには、有線接続用のLANポートが複数搭載されており、パソコン、スマートフォン、ゲーム機などを直接接続できます。
また、近年のルーターは無線LAN機能(Wi-Fi)が標準装備されているため、有線・無線問わず柔軟に接続できる環境が整っています。
家庭内ネットワークを構築する際は、まずルーター1台でスタートするのがおすすめです。
小規模オフィス:台数や階層に応じてスイッチを追加
社員数が10人を超える小規模オフィスでは、ルーター単体だけではネットワーク接続台数が不足することがあります。
ルーターのみで足りない場合は、スイッチを導入してLANポート数を拡張するのがおすすめです。
たとえば、1台のルーターに5台しか有線接続できない場合でも、スイッチを接続することでさらに10台、20台と機器を増やすことが可能になります。
また、オフィス内に複数の部署やフロアがある場合、スイッチを階層ごとに設置することで、通信の効率化とネットワーク管理の簡素化を図ることが可能です。
中~大規模ネットワーク:L2/L3スイッチとルーターを組み合わせる構成も検討
社員数が100名を超えるような中~大規模ネットワークでは、単なるルーター+スイッチの構成では対応しきれません。
中〜大規模ネットワークを運用する場合は、レイヤ2スイッチ(L2スイッチ)やレイヤ3スイッチ(L3スイッチ)を活用し、ネットワークを階層化・最適化することが重要です。
L2スイッチは機器間通信を効率化し、L3スイッチは異なるネットワーク同士の通信をルーティングする機能を持ちます。
L2・L3スイッチの組み合わせによって、部署ごとにVLAN(仮想LAN)を構成し、セキュリティや通信効率を高めることが可能です。
大規模な環境ほどトラブル時の影響も大きいため、設計段階からスイッチの選定と適切なネットワーク設計を意識することが欠かせません。
よくある誤解|「ハブ」と「スイッチ」の違いにも注意

スイッチと混同されやすい機器に「ハブ」がありますが、役割も性能も大きく異なります。
ハブは、接続されたすべての機器にデータを一斉に送信するだけの単純な機器です。そのため、通信が衝突しやすく、ネットワーク全体の速度低下や安定性の低下が発生しやすいです。
一方、スイッチはデータの宛先を識別し、必要な相手だけにデータを届けるため、無駄な通信を防ぎ、高速かつ安定した通信ができます。
ネットワークを効率よく運用するためには、ハブではなくスイッチを選択することが主流です。
まとめ | ルーターとスイッチの違い正しく理解して、ネットワーク構築をスムーズに
ルーターとスイッチは、ネットワークを構築・運用するうえでそれぞれ欠かせない役割を担っています。
ルーターは外部インターネットと社内LANを接続する機器であり、スイッチは社内ネットワーク内部の通信を最適化する役割を持ちます。
環境に応じて適切に選定・導入することで、安定した通信環境を実現できます。
ネットワークトラブルや通信速度の低下を防ぐためにも、まずはルーターとスイッチの違いを正しく理解し、自宅・オフィスそれぞれに最適なネットワーク環境を整えましょう。