PC管理とは?重要性・課題や不十分な場合のリスク、実施方法まで徹底解説

従業員がどのPCを使っているのか把握できていない
気付けば不要な端末が増えており、更新や廃棄のタイミングもあいまい
セキュリティ対策も人任せで、情報漏えいが心配
PCの管理が甘い企業では、こうした状況が日常的に起こっています。しかしそのまま放置すれば、情報漏えいやライセンス違反といった重大な問題につながります。
実際、多くのセキュリティインシデントは管理ミスによるもので、PC管理の不備が企業の信用を失墜させる原因になるのです。
この記事では、PC管理が求められる背景や目的、怠った場合のリスク、基本的な管理項目、よくある課題、効率化の方法までを解説します。
PC管理とは?

PC管理とは、企業や組織が業務用に使用しているパソコンとその周辺機器、ソフトウェア、アカウント、ライセンスなどを包括的に把握・運用することを指します。
ここからは、より掘り下げてPC管理が必要な理由と目的について詳しく解説します。
PC管理が必要な理由|なぜ今重視されているのか
PC管理は、以下のような理由から重視されています。
- DX推進・テレワークの普及によって1人に対して複数台のPCを支給されるケースが増えた
- 自宅やカフェなどオフィス以外で勤務する機会が多い
- 購入したPCが使用されずに放置されるコストの無駄を防ぐため
現代ではDX推進や・テレワークの普及によって、1人の従業員に対して複数台のPCを支給するケースが少なくありません。
また、働き方の多様化により、自宅やカフェなどオフィス以外で勤務する機会も増加しました。
便利な世の中になる一方で、PC管理を煩雑化しており、セキュリティリスクやライセンス違反、コストの無駄遣いといった問題が顕著になっています。
このような背景から、近年の企業活動には効率的なPC管理が求められるようになりました。
PC管理の目的
PC管理の目的は、以下のとおりです。
- セキュリティ対策
- コストの最適化
- コンプライアンス遵守の徹底
セキュリティ対策では、PCの使用状況やアップデートの実施状況を把握し、ウイルス感染や情報漏えいを未然に防ぎます。
利用されていないPCや不要なソフトウェアを洗い出し、無駄な保守費用やライセンス更新料を削減することも、PC管理の目的のひとつです。
また、ソフトウェアライセンス契約や個人情報保護法といった規制に対応するためにも、正確な台帳管理が求められます。
ライセンス違反や違法性のあるソフトウェアのインストールを防ぐことも、PC管理の目的です。
PC管理で実施すべき基本管理項目

PC管理で実施すべき基本管理項目は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
インベントリ管理で端末の所在と状態を把握する
PC管理は、以下のようなインベントリ管理によって情報を正確に記録・更新することが重要です。
- 資産番号・シリアルナンバー
- 利用者の氏名・所属部署
- 設置場所(フロア・拠点など)
- 利用状況(使用中/休止中/廃棄予定)
- 購入日・保守契約・保証期間
資産番号や利用者の氏名、設置場所などを定期的に見直しておけば、PCの所在や使用状況が明確になり、紛失や不正使用のリスクを最小限に抑えられます。
とくにリモートワークや複数拠点での勤務が一般化した現代では「誰が・どこで・何を使っているか」を把握することが重要です。
ライセンス管理で違反リスクと無駄なコストを防ぐ
使用中のライセンスを把握することも、PC管理でおこなうべき作業です。
- インストールされているソフトウェアの名称
- 使用している端末と利用者の情報
- ライセンスの契約台数・使用状況
- 契約期間・更新期限
- 購入証明書や契約書の保管状況
ライセンスを管理していないと、ライセンス違反や未使用ライセンスなどによる無駄なコストが発生する可能性があります。
たとえば、既に退職した社員の端末にインストールされたソフトが契約に含まれたままの場合、実際には使用していないにもかかわらず費用が発生してしまうケースもあります。
ライセンス管理を適切におこなうことが、コンプライアンスとコストの両面から企業を守ることにつながるでしょう。
IT資産管理でPC・周辺機器を一元的に管理する
PC管理では、PCに付帯する周辺機器やネットワーク機器などの管理も重要です。
- PC本体(ノート・デスクトップ)
- 周辺機器(モニター、マウス、キーボード、プリンター等)
- ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、アクセスポイント)
- ソフトウェアライセンス
- 各種アカウントやログイン情報
モニターやマウス、ルーターといった機器も一元管理しておくと、業務効率とセキュリティレベルの両方を向上させられます。
また、ライセンスやアカウント情報も含めて管理対象にすることで、セキュリティインシデントのリスクも大幅に低減可能です。
PC管理を怠ると起きる3つの重大リスク

PC管理を怠ると起きる重大リスクは、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
無駄なコストが発生する
PC管理をおこなうと、以下のように無駄なコストが発生する可能性があります。
- 利用されていないPCの保守・管理費
- 退職者が使用していたソフトウェアライセンスの更新費用
- 同じ部門でのPCや周辺機器の重複購入
- 使用実態がないクラウドサービスの月額課金
ソフトウェアライセンスや周辺機器などのコストは一見すると小さく見えますが、積み重なれば年間で数十万〜数百万円に達することも珍しくありません。
たとえば、退職者が使用していたPCが台帳に残ったままだと、不要な保守契約やライセンス費が継続して発生します。
無駄なコストを発生させないためにも、常に最新のインベントリ情報を整備し、不要な資産を早期に把握・対応することが重要です。
ライセンス違反につながる
ライセンス契約はさまざまな形態がありますが、一般的には利用ユーザー数やデバイス数、利用期間による契約です。
複数のライセンスを保持していると管理が煩雑化し、不要なライセンスによって無駄なコストが発生したり、ライセンス数の超過によってライセンス違反を起こしたりするリスクがあります。
そのため、ライセンスを一括管理することによって、賠償請求や無駄なコストの発生を防ぐことが重要です。
セキュリティ管理の甘さが情報漏えいを招く
PC管理を怠ると、企業の情報漏えいにつながる可能性が高くなります。
- OSやアプリのアップデート未適用
- ウイルス対策ソフトの未導入または期限切れ
- 外部デバイス(USB等)の使用制限なし
- 社外持ち出し端末の暗号化未対応
- 退職者のアカウントや端末の放置
OSやウイルス対策ソフトは常に最新状態を維持しておくことが、セキュリティ対策において重要です。
しかし、従業員に1人1台〜複数台のPCが貸与される環境では、OSアップデートなどの管理は従業員に任せるケースが多いです。
忙しいから後回しにする人やセキュリティ意識が低く更新していない人など、社内すべてのPCを最新状態で維持するのが困難に感じる人も少なくないでしょう。
PC管理によって機器を一元管理しておくことで、適切に管理されていないPCを洗い出し、対応することが可能です。
PC管理の際によくある課題

PC管理を現場で進めるうえで、次のような課題があります。
それぞれ詳しく解説します。
専門人材が不足し、管理が属人化してしまう
PC管理の際によくある課題として、専門人材の不足によって管理が属人化する点です。
オフィス以外の自宅や外出先で使用するPCの管理には、社内ネットワークやサーバーなど、システム全体に関する専門知識が求められます。
専門人材が不足した状態でほかの業務と兼任で片手間にPC管理をおこなうと、管理が甘く、結果的にセキュリティリスクにつながる可能性が高くなります。
また、PC管理業務が属人化すると、担当者が退職・休職した際のリスクが大きいでしょう。
デバイスとアプリの多様化に対応しきれない
現代では、PCに加えてスマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスが普及しています。
PCに関しても、WindowsやMac、Chromebookと異なるOSが存在しており、管理はより煩雑化しているといえるでしょう。
また、クラウドサービスも多数普及しており、従業員によって使用しているアプリケーションも異なります。
利用アプリが統一されていない場合は、情シスや企業のIT担当者の管理負担は非常に大きくなります。
ライセンス管理が徹底できない
社内のPC管理には、PCで使用中のソフトウェアライセンスなども含まれます。
「契約台数や更新期限を管理する仕組みがない」「ソフトウェアの利用状況が可視化されていない」といった状況の企業では、コストの無駄が生じたり、ライセンス違反を起こしたりとさまざまな問題につながります。
ライセンス違反に関しては契約解除や賠償金の請求といったリスクにも発展するため、ライセンスの使用期限や各従業員の使用状況は常に把握する必要があるでしょう。
PC管理を効率化する4つの実践方法

PC管理を効率よくおこなうためには、以下の方法を実践してみてください。
それぞれ詳しく解説します。
ExcelでIT資産管理台帳を作成する
中小規模の企業やIT資産がそれほど多くない企業では、ExcelでIT資産管理台帳を作成するのがおすすめです。
- 資産番号
- 利用者名/所属部署
- 設置場所
- 購入日/保証期限
- インストール済ソフト
- 管理者備考
Excelは誰でも扱えるツールであり、初期コストもかからないため、少数端末を扱う企業やスタートアップにとって導入しやすい方法です。
しかし、手入力のため更新ミスや記入漏れが起きやすく、管理対象が数十台を超えると運用が煩雑になります。
そのため、定期的な棚卸しや入力ルールの統一をおこない「使いやすく、ミスが起きにくいフォーマット」を構築することが重要です。
PC管理ツールを使用する
効率よくPC管理をおこなうには、PC管理ツールの導入がおすすめです。
- 情報システム部門や資産管理担当者の負荷を削減できる
- セキュリティ対策を漏れなく適用できる
- 従業員の内部不正を防止できる
- 資産購入の適正化につながる
PC管理ツールでは、Excelや紙台帳では対応しきれない情報をリアルタイムで把握できます。
インベントリ情報だけではなく、端末の操作ログから従業員の不正を防止したり、更新プログラムを一元管理したりできるため、セキュリティ対策にもつながります。
また、ライセンスや端末が無駄にならないように資産購入の適正化が可能な点も、PC管理ツールのメリットといえるでしょう。
アウトソーシングを活用する
PC管理に必要なリソースが不足している場合は、アウトソーシングの活用がおすすめです。
- 自社に専門人材がいなくてもPC管理が可能
- 情シスの負担を軽減し、本来の業務に集中できる
- 最新のセキュリティ対策や管理ノウハウを活用できる
- 契約内容に応じて柔軟に対応範囲を調整できる
中小企業や情シスが1人しかいないような現場では、PC管理業務が属人化しやすく、担当者が休職・退職した際のリスクが大きくなります。
専門スキルを有した事業者にアウトソーシングすることで、情シスや企業のIT担当者にかかる業務負担を大幅に軽減可能です。
事業者によってはインベントリのみやライセンスのみといった契約も可能なため、自社のリソースや予算を確認し、アウトソーシングの利用も検討してみてください。
PC管理に必要な情シス人材を育成する
PC管理をおこなうためには、以下のようなスキルが必要です。
- ハードウェアやソフトウェアに関する基礎知識
- OS・ネットワーク・セキュリティの基本理解
- IT資産管理やライセンス管理の運用経験
- Excelや管理ツールを用いた台帳運用スキル
- 複数部門と連携するためのコミュニケーション能力
自社に専門知識を有した人材がいない場合は、教育によって育成することも検討してみてください。
まずは「PC管理の基本とは何か」「何をどのように管理するか」といった基本知識から学習させ、知識・スキルを身につけておくと、属人化させずにPC管理業務をおこなえるようになります。
社内育成が難しい場合は、外部講座や研修サービスをうまく導入することで、人材を効率よく育成できます。
情シス人材の育成は「情シスカレッジ」がおすすめ

- 企業IT担当者に必要な知識・スキルを動画で学習できる
- マイクロラーニング形式でスキマ時間に利用できる
- 最新トレンドの研修が随時更新される
PC管理に必要な知識を教育させたい場合は、情シスカレッジの利用がおすすめです。
情シスカレッジは、情報システム部門や企業のIT担当者に必要なITの基礎知識〜実務で活用できる内容まで網羅した動画研修サービスです。
ネットワークやOSといった知識をマイクロラーニング形式で公開しているため、スキマ時間に無理なく学習できます。
また、契約中は最新トレンドの研修が料金に変更無しで随時更新されていくため、最新技術などの情報を押さえておきたい場合にもおすすめです。
PC管理だけではなく、基礎的なITリテラシーを身につけておきたい人は、ぜひ情シスカレッジを利用してみてください。
\ PC管理に必要な知識がスキマ時間に学べる /
まとめ|PC管理はさまざまなリスクを防止する社内インフラ整備
PC管理は、単なる機器の台帳管理ではなく、企業全体のセキュリティ、コスト最適化、業務効率化を支える重要な業務です。
放置されたPC1台が、情報漏えいや法令違反など、重大なトラブルの引き金となるリスクもあります。
まずはExcelなどで資産情報を整理し、できる範囲から着手していきましょう。また、組織としての体制を整えるために、情シスカレッジを利用するのもおすすめです。
企業の情報資産を守ったり、コストの無駄を防いだりするためにも、PC管理を徹底しておこなうようにしましょう。
\ PC管理に必要な知識がスキマ時間に学べる /