情シスに必要なスキル11選!効率よく知識・スキルを身につけるコツを解説

IT業務を丸ごと任されて、何から覚えればよいかわからない
他部署との調整やトラブル対応に追われてばかり
自分に情シスとしてのスキルが足りているか不安
情シスの仕事は範囲が広く、求められるスキルも多岐にわたります。しかし、多くの担当者が「スキルの全体像」を知らないまま、日々の業務に追われています。
筆者は3,000人規模の事業会社の情シスに未経験から入社し、IT担当者として必要なスキルを身につけながら活躍してきました。
そのため、未経験からでも情シスに必要なスキルを効率よく身につける方法を経験則から伝えることが可能です。
本記事では、情シスとして求められる11のスキルを体系的に解説します。さらに、効率よくスキルを身につける具体的な方法や、初心者でも学びやすい研修サービスまで紹介します。
「情シスとしてもっと頼られる存在になりたい」と思う方は、最後まで読んでください。
情シスに欠かせない5つのビジネス系スキル

情シスは単なる技術職ではありません。社内全体のITを支える存在として、人と関わるスキル=ビジネススキルが不可欠です。
情シスに欠かせない5つのビジネススキルは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
コミュニケーションスキル
情シスは、業務のなかで多くの人とのコミュニケーションが発生します。
- 社内ITサポート
- 他部署との連携・調整
- ベンダーコントロール
- 経営層への相談・提案 …etc
特に、社内ITサポートの際は相手のITリテラシーに合わせて専門用語をわかりやすく解説する必要があります。
たとえば「サーバーのリソースが逼迫しています」と伝えても、非IT部門には伝わりません。「システムが遅い原因はサーバーの性能不足です。すぐに増強すれば改善します」と言い換える必要があります。
社内システム開発の際に要望を適切に汲み取ったり、経営層にシステム導入に必要性を説明したりと、ほかにもさまざまな場面で情シスはコミュニケーションが求められます。
マネジメントスキル
業務改善やシステム導入など、プロジェクトを推進する立場である情シスはマネジメントスキルも必要です。
たとえば、SaaSを導入する際は関係部署とSaaSベンダーとのスケジュールを調整したり、コストを意識したりする必要があります。
「導入プロジェクトが遅れてしまった」「誰が何をするのか不明確なまま進行してしまった」などの事態は、マネジメント不足が原因です。
ITの専門知識だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰して調整できるスキルが、長期的に活躍するうえで不可欠です。
問題解決能力
「社内システムにアクセスできない」「PCが起動しない」といったトラブルが発生した際は、情シスは迅速かつ正確な対応が求められます。
- スキャンができない問い合わせに対して原因を特定し、接続設定を確認する
- 非効率かつ人的ミスの多い業務の原因を分析し、自社に適したシステム・ツールを導入する
- システム同士が連携できるように改修し、関係者への情報共有を円滑にする
社内の人が快適に業務に取り組むためには、情シスが主体的に問題発見に取り組み、解決策を見つける必要があります。
普段から改善できる部分はないか業務をよく確認し、問題解決能力を高めていくようにしましょう。
プレゼンスキル
社内のIT環境を改善するには、他部署の理解や協力が不可欠です。経営層や他部署に理解してもらうためにも、情シスにはプレゼンスキルが求められます。
たとえば、システムの入れ替えを提案する場合でも「導入費用が高いから却下」となるケースは多々あります。
経営層に提案する場合は、費用対効果やリスク削減効果などの数字を資料に盛り込み、説明することでITの重要さを認識してもらえる可能性が高いです。
社内環境を改善していくためにも、プレゼンスキルを磨くようにしておきましょう。
ヒアリングスキル
システム要件を決めるときや、業務改善の相談を受ける際に重要なのが本音を引き出すヒアリング力です。
たとえば「Excelで困っている」と言われたときに、単に関数の使い方を教えるだけでは不十分です。根本的な原因が「フォーマットが複雑すぎる」「入力が手作業で手間がかかる」など、構造的な課題である可能性もあります。
相談の潜在ニーズまで気づけるようになると、情シスとしての市場価値は非常に高いといえるでしょう。
ヒアリング力を高めるためには、日常的に以下のような質問を繰り返すのがおすすめです。
- それによってどんな不便が起きていますか?
- その作業、1日に何回やっていますか?
- 現場として理想はどういう状態ですか?
現場で即戦力になる6つの技術スキル

ビジネススキルだけでは、情シスとして活躍できません。現場で即戦力として扱われるためにも、情シスは以下のような技術スキルを身につけておくようにしましょう。
それぞれ詳しく解説します。
OS・ネットワークに関する知識
PCトラブルの原因は、OSやネットワークにあることが多くあります。即戦力として活躍するためにもOSとネットワークの基本知識を身につけておくようにしましょう。
- OSI参照モデル
- IPアドレスの仕組み
- DHCP・DNS・ルーター・スイッチの役割 …etc
「インターネットに繋がらない」といった問い合わせも、ネットワークの切り分けができればすぐに解決できます。知識がなければ、調査に数時間かかるだけでなく、社内の生産性も落としてしまいます。
IPアドレスの仕組みやDHCPなど、業務によく利用される知識については早めに身につけておくようにしましょう。
ハードウェアに関する知識
社内のPCやプリンタ、NASなどの機器にトラブルが発生した際、ハードウェアの知識があると原因を特定する際に役立ちます。
PCを構成するハードウェアが故障すると、PCが起動しなくなる、データ保存できなくなるなど業務に支障をきたします。
- スペックの読み方(CPU・メモリ・ストレージ)
- 周辺機器の接続方法と相性
- 故障時の基本的な診断フロー
CPUやHDDなどのパーツがどのような役割を持っているのかなど、ハードウェアに関するトラブルが発生した際に原因特定できるよう、最低限身につけておくようにしましょう。
情報セキュリティに関する知識
ランサムウェアや標的型攻撃など、サイバー攻撃のリスクが高まるなか、情シスは脅威から情報資産を守るために情報セキュリティの知識が求められます。
「よく知らずにUSBメモリを差した結果、マルウェアに感染」「社外にメールを誤送信してしまった」などの事故を未然に防ぐためにも、社内ルール作成や教育も情シスの仕事です。
- マルウェアやウイルスなどのサイバー攻撃
- セキュリティ対策の導入と管理
- 権限設定やパスワードポリシーの設計
- 社員向けセキュリティ研修の実施方法 …etc
セキュリティの重要度は年々増しているため、セキュリティに強い情シスは社内でも重宝されるでしょう。
システム開発に関する知識・スキル
情シスはプログラマーのようにシステム開発をおこなうケースは少ないですが、業務効率化ツールの開発や社内システムの開発案件に携わることがあります。
- Googleフォームの回答を特定の宛先の人に自動でメール送信する
- 電子帳簿保存のデータアップロードをRPAで自動化する
- アンケート結果を自動集計してパワーポイントにする
最低限プログラミングの知識・スキルを身につけておくと、業務効率化の際に役立ちます。
また、社内システムの開発においては、要件定義〜設計フェーズの上流工程から参画するケースが多く、システム開発の流れも確認しておくと良いでしょう。
コマンドの知識
情シスは社内のトラブルを解決する際、コマンドの知識が必要になります。
- ipconfig:ipアドレスの表示
- ping:疎通確認
- Tracert:NW経路確認コマンド
たとえば「共有ファイルにアクセスできない」と問い合わせを受けた際、PCからpingによって疎通確認をおこなうことで、不具合の切り分けが可能です。
ログ確認、プロセス監視、ネットワーク状態の把握など、必要となる場面が多いので、頻繁に使われるコマンドは把握しておくようにしましょう。
SaaS活用のスキル
クラウド時代において、情シスが避けて通れないのがSaaSの運用スキルです。
Microsoft 365 や Google Workspace、Slack、Notionなど、業務を支えるSaaSは多岐にわたります。導入から権限管理、セキュリティ設定、運用マニュアル作成まで、情シスが主導すべき領域です。
- 機能を理解し、業務に合わせて最適化する
- 利用状況をログから可視化し、不要アカウントを削減する
- トラブル発生時に素早く切り分け・対応する
SaaSを“導入しただけ”の企業は意外と多いです。導入後に実際に使いこなせているかを管理することが、情シスに必要なスキルといえるでしょう。
未経験でもOK!情シススキルを効率よく習得する3つの方法

情シスの仕事に配属されたばかりの人や、スキル不足に悩む人にとって、最初にぶつかる壁が「どうやって学べばいいか分からない」などの悩みです。
しかし、学習法さえ間違えなければ、未経験からでも半年以内に現場で活躍することは可能です。
ここでは、忙しい情シス担当者でも継続できる効率的な学習方法を3つ解説します。
外部のコミュニティやSNSを活用して他社の情シスと人脈を広げる
情シス業務の悩みは社内にITに詳しい人がおらず、社内で共有しづらいことが多いです。
外部のコミュニティやSNSを活用して他社の情シスと人脈を広げることで、悩み相談ができるほか、効率よくスキルを身につけられます。
- Slackの情シス系オープンチャンネル
- Twitterの#情シスハッシュタグ
- connpassやDoorkeeperで開催されるIT勉強会
「うちもその課題ありましたよ」「その製品、運用してみて微妙でした」など、リアルな体験談やノウハウを無料で手に入れられる可能性もあります。
自分だけで抱え込まず、外部のコミュニティやSNSで人脈を広げれば、成長スピードも大きく変わってくるでしょう。
展示会や外部セミナーに積極的に参加する
最新のITトレンドやSaaS製品の情報収集には、展示会や無料セミナーへの参加がおすすめです。
多くのベンダーが製品の比較デモや導入事例を紹介しており、製品の使い勝手を実際に確認できる貴重な場でもあります。
- 今後主流になりそうな製品のトレンドが分かる
- 無料で資料やテンプレートをもらえる
- 導入時の比較検討材料として活用できる
最新トレンドをキャッチアップできる情シスは、社内からも重宝されます。
動画で時間と場所を問わずにスキマ時間で知識・スキルを身につける
忙しい日々の中でまとまった勉強時間が取れない情シス担当者は、動画での学習がおすすめです。
- 時間と場所を問わずにスキマ時間で学習できる
- 自分の理解度に合わせて何度でも再生できる
- 学習管理システムを使えば進捗・習熟度を可視化できる
動画はインターネットに接続していれば、通勤時間、昼休み、帰宅後の15分など、スキマ時間でインプットできる柔軟さが最大の魅力です。
また、自分の理解度に合わせて何度でも採用できるほか、学習管理システムを活用すれば進捗・習熟度の可視化もおこなえます。
日々の業務をこなしながらでも継続できるので、無理せずに情シスのスキルを身につけたい人におすすめの方法です。
情シスに必要な知識・スキルを隙間時間で身につけたい人は「情シスカレッジ」がおすすめ

- マイクロラーニング形式で無理なく学習できる
- 情シスに必要な研修動画が見放題
- 最新トレンドのテーマも随時更新
情シスカレッジは、社内IT担当者に特化した動画学習サービスです。
情シスに必要な知識やスキルを網羅した研修動画がいつでも・どこでも見放題なうえ、動画はすべて5〜15分のマイクロラーニング形式なので、通勤中やスキマ時間でも学習できます。
情報セキュリティ、ネットワーク、SaaS、OSの基礎から最新トレンドまで、現場で今すぐ使える実践的な内容が満載です。
さらに、動画コンテンツは定期的に更新されるため、常に最新情報をキャッチアップできます。
未経験からでも無理なく学べる構成で、社内で頼られる情シスを目指す人に最適な学習ツールです。
情シスに必要なスキルに関するよくある質問
情シスがスキルを身につけるのにおすすめの資格はありますか?
情シスにおすすめの資格は、以下のとおりです。
- ITパスポート
- 基本・応用情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
- ITILファンデーション
- ネットワークスペシャリスト試験
- クラウドに関する資格 …etc
おすすめの資格に関する詳細は、下記の記事でもわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

情シスのキャリアパスは?
情シスのキャリアパスは、以下のとおりです。
- ヘルプデスク
- システムエンジニア
- プロジェクトマネージャー
- 他企業の情シス
- ITコンサルタント
- CTO・CIO
社内の問い合わせサポートを日常的におこなう情シスは、ヘルプデスクへのキャリアパスが挙げられます。
システム開発に興味がある場合は、システムエンジニアとしてのキャリアも考えられるでしょう。
また、実績やキャリアを積めば、プロジェクトマネージェーやCTO・CIOといった職種へのキャリアアップも可能です。
まとめ | 情シスに必要なスキルを効率よく習得し、社内の頼れる存在になろう
情シスとして活躍するためには、ビジネススキルと技術スキルの両方が不可欠です。特に、コミュニケーション・セキュリティ・SaaS運用など、現場で即使えるスキルを優先的に身につけることが重要です。
また、学習方法を間違えなければ、未経験からでも半年以内に現場で信頼される存在になることは十分可能です。
コミュニティ参加や展示会、動画学習など複数の方法があるため、自分に合った方法で継続的に学習をおこないましょう。