情シスに配属されたらどう勉強する?必要スキル・おすすめ資格・学習方法を徹底解説

情シスに異動したが、何を勉強すればいいかわからない
IT知識に自信がなく、配属後の業務が不安
情シス向けの勉強方法を効率よく知りたい
新しく情シスに配属された担当者の多くは、「どこから学べばいいのか分からない」と感じるでしょう。IT未経験で配属されるケースも多く、専門的な知識の幅広さに戸惑うのは当然です。
私は情シス未経験から事業会社の情シスに配属され、右も左も分からない状態から社内のITを支えてきました。現在は、未経験からでも成長できる勉強方法やスキルアップの手順を体系化して提供しています。
本記事では、情シスに必要なスキルの全体像から、具体的な勉強方法、おすすめ資格、そして継続的な学習によるキャリアアップの道まで詳しく解説します。
結論として、効率よくスキルを習得し、組織から信頼される情シスを目指すには、体系的な学習と継続的なスキルアップが不可欠です。
情シスに求められる知識・スキル

情シスに求められる知識・スキルは、次のとおりです。
情シスに求められるのは、特定の専門知識だけではありません。
業務をスムーズに進めるためには、ネットワーク、サーバー、セキュリティ、クラウド、ソフトウェア、ハードウェアといったIT全体の仕組みを理解しておく必要があります。
ここでは、情シスに求められる知識・スキルを詳しく解説します。
ITに関する幅広い知識
情シスは、社内のあらゆるITに関わるため、広範な分野の知識を求められます。
- ネットワーク・サーバーに関する知識
- クラウドに関する知識
- 情報セキュリティ対策
- 業務システムの開発・運用
- デバイス管理 …etc
ネットワーク、サーバー、ストレージ、クラウド、セキュリティ、業務システム、デバイス管理など、どれか一つだけでは業務を遂行できません。
たとえば、社員の「ネットがつながらない」という相談にも、ネットワークの構造やルーター、DNSといった仕組みの理解が必要です。
重要なのは、すべてを専門レベルで理解するのではなく、全体像をつかみ、問題が発生したときに適切な判断や対応ができる状態を目指すことです。
ヘルプデスクの運用方法
ヘルプデスク業務は、情シス業務のなかでももっとも現場に近い仕事です。社員の「困った」に迅速かつ的確に対応することで、信頼を得られるポジションです。
- PC・スマートフォンの不具合
- プリンターの印刷・スキャン設定
- ログインIDとパスワードの再発行
- アプリのインストール …etc
対応する内容は、パソコンの不具合、プリンタートラブル、アカウントロック、ソフトのインストールなど多岐にわたります。重要なのは、相手のITリテラシーに合わせて分かりやすく説明する力です。
また、同じ問い合わせが繰り返される場合は、マニュアル化やナレッジ共有を進め、対応の効率化を図ります。
プログラミングスキル
情シスは開発者ではありませんが、軽微なプログラムが書けるだけで業務効率は格段に上がります。
- Excel VBA
- Google Apps Script
- Python …etc
特に、Excel VBAやGoogle Apps Scriptを活用した定型業務の自動化は、少人数体制の情シスでは非常に効果的です。
毎月の帳票作成やログ集計、申請データの自動チェックなど、時間のかかるルーチン作業をスクリプトで自動化すれば、人的ミスの防止にもつながります。
また、PowerShellによるWindows端末の一括設定や、Pythonを用いたログ処理・通知の自動化などもニーズが高まっています。
難易度が高いと感じるかもしれませんが、最初は既存のコードを参考にするだけでも十分です。実務に直結するテーマから取り組むことで、学んだスキルをすぐに成果として還元できます。
法律に関する知識
情シスは、社内システムやデータを扱う以上、法律の知識も欠かせません。
- 個人情報保護法
- 著作権法
- 不正アクセス禁止法 …etc
とくに重要なのが「個人情報保護法」と「著作権法」、「不正アクセス禁止法」などの基本的なIT関連法です。
たとえば、社員情報や顧客データを扱うシステムでは、保存期間やアクセス制御、外部提供のルールなど、法律を正しく理解して運用しなければ企業の信用を失うリスクがあります。
また、ソフトウェアのライセンス違反や無断利用といったコンプライアンス違反も、情シスの管理不備が原因となることがあります。
すべての法条文を暗記する必要はありませんが、自社に関係する基本的なルールとその背景を理解し、違反リスクを未然に防ぐ姿勢が求められると考えておきましょう。
コミュニケーションスキル
情シスは「ITの専門家」であると同時に、「社内の相談窓口」でもあります。そのため、コミュニケーションスキルが非常に重要です。
技術的な知識をいくら持っていても、社内の人に適切に伝えられなければサポート業務は成立しません。
特に、ITに詳しくない社員に対して、専門用語を使わずに分かりやすく説明する力が求められます。
また、他部署との連携や外部ベンダーとのやり取りでは、要件定義やトラブル対応など、論理的かつ正確な説明が必要になります。
相手の立場や業務背景を理解しながら会話を進めることで、信頼関係が生まれ、業務もスムーズに進みます。
業界知識と顧客ニーズの理解
情シスが成果を出すためには、ITの知識だけでなく、自社の業界知識や顧客ニーズへの理解が欠かせません。
どれだけ優れたシステムを導入しても、業務に合っていなければ現場で使われず、コストばかりがかかってしまいます。
業務プロセスを深く理解し、現場の要望を正確に把握することで、最適なIT施策を提案できます。情シスは業界と社内の業務について理解する必要があると考えておきましょう。
最新技術に関する知識・スキル
情シスは社内のIT環境を維持するだけでなく、最新技術を業務に取り入れる役割も担います。
- 生成AIなどのAI
- クラウドサービス
- ゼロトラストセキュリティ
- 量子コンピューティング
- 6G回線 …etc
近年は、クラウドサービスやゼロトラストセキュリティ、SaaS導入、AI活用など、さまざまな最新技術が普及してきています。
最新技術を知らないままでいると、時代について行くことができず、他社との競争力にも差がつく可能性が高いです。
一方で、技術の本質を理解し、業務にどう活用できるかを考えられる情シスは、経営層からの信頼も厚くなります。
ニュースや技術メディア、勉強会などを通じて継続的に情報収集を行い、自社にとって必要な技術を日常的に取り入れておくようにしましょう。
情シスに配属された場合の勉強方法

情シスに配属された場合は、以下の勉強方法がおすすめです。
情シスに配属された直後は、何をどこから学べばいいのか分からず、不安になる人も少なくありません。
ここでは、情シスに配属された場合の勉強方法を4つ解説します。
資格取得を通じてスキルを身につける
情シスとしての基礎力を効率よく身につける方法のひとつが、資格取得です。
- ITパスポート
- 基本・応用情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
- ITILファンデーション
- ネットワークスペシャリスト試験
- AWSやAzureなどクラウドに関する資格
資格の学習は体系的な知識を得られるだけでなく、「理解したつもり」を避けられる大きなメリットがあります。
とくに未経験からスタートする場合、何を重点的に学ぶべきかが明確になるため、最初のステップとして最適です。
たとえば、ITパスポートはITの基本用語やセキュリティの初歩を網羅でき、実務の全体像をつかむのに役立ちます。
さらに、基本情報技術者試験や情報セキュリティマネジメントなどの取得を目指すことで、業務に直結する知識を体系的に習得できます。

書籍やセミナーで学習する
知識を体系的に学ぶには、書籍やセミナーを活用する方法が効果的です。
- 情シスに必要な知識を体系的に学習できる
- ネット検索で得られない情報を得られる
- 実務で必要な知識を効率よく学習できる
信頼できる専門書は、ネット検索だけでは得られない正確な情報と背景知識を得ることができます。
また、IPAや自治体、ITベンダーが主催する無料・有料のセミナーでは、実際に業務で求められる知識を実践的に学ぶことができます。
講師から直接質問できる機会もあるため、理解が深まりやすく、現場での即戦力につながります。紙の本とセミナーを組み合わせることで、インプットとアウトプットのバランスも整います。
情シスコンサルのサポートを受ける
独学に限界を感じたときは、情シスサポートに特化したコンサルタントからサポートを受けるのもおすすめです。
- 現役の情シス経験者やITコンサルから指導してもらえる
- 日常業務のサポートが受けられる
- 現場に必要な知識・判断力を身につけられる
現役の情シス経験者やITコンサルが直接指導してくれるため、実務に即した知識と判断力が短期間で身につきます。
たとえば、自社の業務に合ったセキュリティ対策の導入方法や、ベンダーとの交渉時の注意点など、書籍では学べないリアルなノウハウが得られます。
また、定例ミーティングやチャット相談を通じて、日常業務の中で継続的な支援を受けられる点も大きなメリットです。
スキルを「現場でどう活かすか」を知りたい場合は、情シスコンサルの活用がおすすめです。
オンライン学習サービスを活用する
忙しい情シス担当者にとって、場所や時間を選ばず学べるオンライン学習サービスは非常に便利です。
- Udemy
- 情シスカレッジ
- Skillhub
- TechAcademy
特にUdemyやSkillhub、TechAcademyなどのプラットフォームでは、情シスに特化した講座や、ネットワーク・クラウド・セキュリティなど実務直結のコンテンツが多数用意されています。
動画形式で学べるため、通勤時間や業務のスキマ時間を使って効率的に知識を吸収できます。
また、視覚と音声で学ぶことで理解しやすく、反復学習もしやすい点が特徴です。価格も比較的リーズナブルで、セール期間中は1,000円台で質の高い講座が手に入ることもあります。
自分のペースで継続できるオンライン学習は、忙しい情シスの勉強を継続するうえでおすすめの勉強方法といえるでしょう。
情シスが継続して勉強するメリット

情シスが継続して勉強するメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
スキルアップによって市場価値が向上する
情シスがスキルを継続的に磨くことで、社内外での評価が上がります。IT業界は実力主義のところが多く「何ができるか」が転職市場やフリーランス市場での価値を左右します。
とくに中小企業やスタートアップでは、情シスに広範なスキルが求められるため、学び続ける姿勢がある人材は重宝されるでしょう。
また、資格取得や実務経験を積み重ねることで、より高年収のポジションへのキャリアアップも実現しやすくなります。
市場価値を高めるために歯も、日常的な勉強を欠かさずおこなうようにしましょう。
最新技術の知識・スキルの習得が業務効率化につながる
情シスが新しい技術を積極的に学ぶことで、業務の効率化やコスト削減につながります。
たとえば、従来のオンプレミス環境からクラウドへ移行するだけで、システム保守や障害対応の手間が大幅に削減されます。
RPAやノーコードツールを活用することで、情シス自身だけでなく、他部署の業務も自動化・効率化が可能です。

キャリアアップの機会が増える
継続的に学びスキルを磨くことで、情シスとしてのキャリアアップの道が大きく広がります。
- CIO・CTO
- ITコンサルタント
- 他企業の情シス
- フリーランス
最初は現場の問い合わせ対応が中心でも、知識と経験を積み重ねることで、IT企画やシステム導入プロジェクトのリーダーを任される機会が多くなるでしょう。
知識・スキルアップに取り組んでいると、CIOやCTO、ITコンサルタントなどの職種に転職できるようになります。
転職市場では「成長意欲があり、最新技術にも強い情シス人材」が高く評価されるため、選択肢の幅が広がります。
無理なく情シスの勉強をするなら「情シスカレッジ」がおすすめ
- 情シスに必要な知識・スキルを動画で学習できる
- マイクロラーニング形式のため自分のペースで無理なく学べる
- 最新トレンドの研修テーマも取り扱っている
情シスに必要な知識を効率よく学びたい場合は、「情シスカレッジ」の利用がおすすめです。
情シスカレッジは、マイクロラーニング形式の動画を活用したオンライン研修プラットフォームで、IT未経験者や多忙な担当者でも無理なく継続できるのが最大の特徴です。
動画はすべて5〜10分程度に区切られており、短時間で集中して学べるため、スキマ時間でも着実に知識を習得できます。
- 情報セキュリティ
- ネットワーク・サーバー
- クラウド
- ヘルプデスク …etc
情シスが実務で求められる分野を網羅しており、AIやクラウドといった最新トレンドにも対応しています。
情シスとして今よりもう一歩レベルアップしたい方や、社内で教育体制を整えたいと考えている企業は、ぜひ情シスカレッジを利用してみてください。
\ 情シスに必要な勉強を動画形式で /
情シスの勉強方法に関するよくある質問
情シスにおすすめのイベント・セミナーを探す方法は?
情シスとしてスキルアップを目指すなら、リアルタイムの情報や実務ノウハウが得られるイベントやセミナーへの参加が効果的です。
ただし、数が多いため「何を基準に選べばよいか」「どこで探すか」が重要になります。
- 勉強会コミュニティに参加
- ITベンダーが主催するイベントに参加
- IT系専門メディから情報収集
connpassやTECH PLAYなどのプラットフォームでは、情シス向けやインフラ系の勉強会が頻繁に開催されています。
現場の課題やノウハウを共有し合える環境なので、実務に直結した知識が得られるほか、同じ立場の仲間と出会える点も大きな魅力です。
そのほかにも、ITベンダーが主催するイベントやITmedia・日経クロステックなどのメディアからの情報収集もおすすめです。
情シスが取得するべき資格は?
情シスにおすすめの資格は、以下のとおりです。
- ITパスポート
- 基本・応用情報技術者試験
- 情報セキュリティマネジメント試験
- ITILファンデーション
- ネットワークスペシャリスト試験
- AWSやAzureなどクラウドに関する資格
いずれも資格勉強を通じて情シスに必要な知識・スキルを身につけることができます。
どのような資格なのか具体的に知りたい場合は、下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

自分に合った勉強方法で情シスとしてのスキルアップを目指そう
情シスの勉強方法は、資格取得、書籍、セミナー、オンライン講座、外部コンサル支援など、多くの手段が存在します。重要なのは、自分に合った方法を見つけ、無理なく継続することです。
「何から学べばいいかわからない」「独学が続かない」と感じている方は、情シス向けに特化した研修サービス『情シスカレッジ』の活用もおすすめです。
短時間のマイクロラーニング形式で、必要な知識を効率よく吸収できます。
学び続ける情シスは、技術力だけでなく、キャリアアップや市場価値にも直結します。自分に合った学習方法で無理なく勉強を続けるようにしましょう。

成田 大輝
(株式会社ウェヌシス 代表取締役)
【保有資格】
・ITパスポート試験
・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験
・MOS(Microsoft Office Specialist)
【経歴】
・2021年4月 〜
2022年7月:プログラマー
・2022年8月 〜 現在:
事業会社の情報システム部門
・2025年3月 〜 現在:
株式会社ウェヌシスの代表取締役
【紹介文】
新卒で大手SIerに入社後、半年間でスタートアップのSES企業で開発支援を経験。2022年8月より、従業員約3,000名・全国166拠点を展開する事業会社にて社内SEとして着任。業務効率化や情報セキュリティ対策、社内インフラ管理のほか、月間200件以上のヘルプデスク対応、約1,000台以上の社内端末・ネットワーク管理を行う。2025年3月には株式会社ウェヌシスを創業し、年間50社以上の中小企業に対して情シス内製化支援・教育・ITコンサルティング・アウトソーシングサービスを提供している。