情シスになるには?未経験から目指す方法と必要スキル・資格を完全ガイド

情シスに興味あるけど未経験でもなれるの?
情シスって実際どのような仕事をしているの?
未経験から情シスを目指すには何をすればいい?
企業のITを支える情シスは、多くの人が注目する職種の一つです。しかし、仕事内容が見えづらく、キャリアパスや必要なスキルもイメージしにくいと感じている人も多いのが現状です。
情シスになるためには、仕事内容や必要なスキルを確認し、適切な行動を取ることが重要です。
この記事では、未経験から情シスを目指す人に向けて必要なスキル・おすすめ資格・採用されるためのコツまで、プロの視点でわかりやすく解説します。
情シスの仕事内容と平均年収を知ろう

まずは、情シスの仕事内容や平均年収について解説します。
情シスの仕事内容は、パソコンやシステムの設定・管理だけでなく、セキュリティ対策やクラウド活用、IT戦略の立案など、業務の範囲は多岐にわたります。
具体的な仕事内容を把握し、情シスがどのような部署なのか確認しておくようにしましょう。

情シスの仕事内容
情シスの仕事は、大きく以下の4つに分けられます。
- 社内ITインフラ管理・運用
- 社内システム開発・管理
- ヘルプデスク業務
- セキュリティ対策
ネットワークやサーバーの構築や自社に適したシステムの導入や保守など、情シスの仕事内容は多岐に渡ります。社内からのITに関する問い合わせに対応するのも情シスとしての役割です。
また、近年はサイバー攻撃のレベルも上がってきており、情シスは企業の情報資産を守るためにもセキュリティ対策も求められます。
情シスは、ITのあらゆる業務を担当するため「何でも屋」と考えられるケースも多いです。
情シスの平均年収
求人ボックスの調査によると、社内SEの平均年収は約499万円と報告されています。
また、国税庁の令和5年分 民間給与実態統計調査によると、日本人全体の平均年収は460万円とされています。
調査結果から、情シスの給与水準は日本全国の中でも比較的高水準であることがわかるでしょう。
ただし、情シスとしての年収は実績やスキル、役職によって大きく異なるため、調査結果は参考程度に考えておくようにしましょう。
参考元:社内SEの仕事の平均年収は499万円/平均時給は1,299円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス
即戦力情シスになるための4つのスキル

情シスに必要なスキルは、以下のとおりです。
情シスとして活躍するためには、単なるIT知識だけでなく、コミュニケーションスキルやヒアリング力など多様なスキルが求められます。
ここでは、未経験からでも即戦力を目指せる情シスに求められるスキルを解説します。

ITの幅広い知識
情シスは、社内のあらゆるIT業務を担当します。
- ネットワーク
- サーバー・OS
- クラウド
- セキュリティ
- 業務アプリ
- ハードウェア管理
ネットワーク、サーバー、OS、クラウド、セキュリティ、業務システムなど、幅広い分野を浅く広く理解しておくことが求められます。
たとえば、社内ネットワークが不安定な場合、LAN配線の物理的な問題からルーターの設定、DHCPやDNSの知識まで、さまざまな要素を切り分ける力が必要です。
また、WindowsやMacの操作、Office365、Google Workspace、会計や労務管理システムなど、業務ツールにも精通している必要があります。
コミュニケーションスキル
情シスは、他部署やベンダー、現場の人などさまざまな人とコミュニケーションを取る機会が豊富です。
- ヒアリング力
- プレゼン・説明力
- 調整・交渉力
社内の問い合わせ対応やトラブルシューティングでは、専門知識よりも相手のITリテラシーに合わせてわかりやすく説明するスキルが求められます。
たとえば、ITに詳しくない社員から「PCが遅い」「ネットに繋がらない」といった曖昧な相談を受けた際、状況を整理し、分かりやすくヒアリングを進める力が必要です。
また、導入したシステムを使いこなしてもらうための説明や研修も、情シスの重要な役割です。
プログラミングスキル
情シスはプログラマーではないため、開発業務が主な仕事ではありません。ただし、業務の自動化やデータ処理、ツール作成など、現場の業務を効率化する上で、プログラミングスキルは非常に有効です。
- Excel VBA
- Python
- Power Automate
- GAS(Google Apps Script)
たとえば、Excel VBAを使って社内の定型作業を自動化したり、Pythonでデータを集計・可視化したりといったケースがあります。
また、Microsoft Power AutomateやGoogle Apps Scriptなど、ノーコード/ローコード系のツールを使いこなせば、開発知識が浅くても業務改善が可能です。
マネジメント力
情シスは現場のトラブル対応だけでなく、社内ITの中長期戦略やIT予算管理などにも携わるケースがあります。
特に中堅層以上になると、社内外の関係者を巻き込みながら、ITプロジェクトを計画・遂行するマネジメントスキルが求められます。
- プロジェクト管理
- ベンダー管理
- 予算管理
- リスクマネジメント
たとえば、クラウド導入やシステム更改をおこなう際には、部門間の調整・スケジュール管理・ベンダー交渉・導入後の運用設計までを一貫して担当します。
専門スキルだけではなく、進行管理や交渉力もなければ、プロジェクトを成功に導くことはできません。
情シスになるにはどんな資格が必要?おすすめ4選

情シスになるには特別な資格は不要です。しかし、次のような資格を取得しておくと、客観的なスキル証明が可能なため、採用したもらえる確率は高くなるでしょう。
それぞれ詳しく解説します。

ITパスポート試験
ITパスポート試験は、経済産業省が実施する国家試験であり、ITを活用するすべての社会人に必要な基礎知識を問う内容です。
- IT未経験でも体系的な知識を習得しやすい
- 基礎的なITリテラシーを証明できる
- 独学でも合格を狙いやすい
IT知識だけでなく、情報セキュリティや業務改善、会計や法務といったビジネス領域まで広くカバーしており、ITの基礎が身についた人材として評価されやすくなります。
試験は選択式で、独学でも十分に合格を狙えるため、働きながら学びたい人や転職活動中のアピール材料を作りたい人にもおすすめです。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしての基本的なスキルを証明する国家資格です。
- 情シスに必要な知識を幅広く学習できる
- ベンダーや開発会社と技術的な会話が可能になる
- 資格手当の対象になる場合も多い
情シスを含むIT系職種全般において評価が高く、インフラ・開発・セキュリティ・マネジメントなど広範な知識が求められます。
論理的思考能力やアルゴリズムの基礎なども問われるため、幅広い知識・スキルが求められる情シスにおすすめの資格です。
CCNA
CCNAは、世界的なネットワーク機器メーカーであるCisco Systems社が提供する国際資格で、ネットワーク構築や運用のスキルを証明できます。
- ネットワーク全般の設計・運用・保守スキルを証明できる
- ルーター・スイッチの実機操作を想定した知識が身につく
- 社内インフラ管理の専門性を高めてキャリアアップに直結する
試験内容はルーティング・スイッチング・IPアドレス管理・ネットワークセキュリティなど、企業のITインフラを支える基礎が中心です。
ベンダー資格ではありますが、他のネットワーク機器にも応用が可能な知識が詰まっており、ネットワークのスキルを身につけたい人におすすめです。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験(SG試験)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家資格です。
- 情シスに必須のセキュリティ対策の基礎を体系的に習得できる
- 社内ルール策定やインシデント対応力を評価されやすくなる
- 非エンジニア系人材でもセキュリティ専門職を目指せる足がかりになる
情報セキュリティ中心の内容が出題されるため、セキュリティ事故の防止、内部統制、インシデント対応など、情シスに必要なセキュリティを体系的に学習できます。
エンジニアだけではなく、総務・法務・管理部門など社内のセキュリティ対策を強化したいと考えている部門にもおすすめの資格です。
情シスに向いている人の5つの特徴

情シスに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。自分に適性があるか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
幅広い業務を経験したい人
情シスは、ネットワーク構築、PC設定、業務システム導入、ベンダー交渉、トラブル対応など業務範囲は多岐にわたります。
- インフラ関連:LAN/Wi-Fi設計、VPN構築、サーバー運用
- 業務支援:勤怠・会計システムの導入、ユーザーアカウント管理
- トラブル対応: PC不調、メール送受信エラー、ソフト不具合
- 社員教育・対応: 操作マニュアル作成、セキュリティ研修、ヘルプデスク業務
そのため、1つの業務に絞らず、多様な経験を積みたいと考えている人に向いています。
たとえば、午前中にサーバートラブルを対応しながら、午後はクラウドサービスの契約更新、夕方は新入社員へのIT研修をおこなうといった働き方も珍しくありません。
幅広い業務に関わることで、自分の得意分野専門性も自然と見えてくるようになるでしょう。
コミュニケーション能力の高い人
情シスにとって、IT知識と同じくらい重要なのがコミュニケーション能力です。
現場の社員はITに詳しくないケースも多く、相手の目線に立って、わかりやすく説明したり、的確にヒアリングしたりする力が求められます。
たとえば、ネットが遅いといった漠然とした相談に対して、焦らず丁寧に状況を確認し、技術的に正しい対応をとるには、安心感のある対話力が必要です。
また、システム導入や外部ベンダーとの折衝では、社内外の意見を調整しながらプロジェクトを進める力も不可欠です。
人とのコミュニケーションが得意な人や誰かの役に立つのが嬉しいと感じる人は、情シスの仕事にやりがいを感じやすいでしょう。
IT技術や変化に興味があり、学ぶことが苦にならない人
IT業界は、クラウドやAI、SaaSなど数年前にはなかった技術が更新されていきます。情シスはその最前線で社内IT環境を支えるため、「学び続ける姿勢」が必要不可欠です。
たとえば、社内のクラウド化を進める場面では、AzureやGoogle Workspaceの知識を自ら調べ、他社事例を分析して、最適な移行方法を提案するなど、主体的に知識を深める力が問われます。
学ぶことが好きな人は、次のような行動を自然にできているケースが多いです。
- 新しいツールやサービスを試すのが楽しい
- IT関連のニュースを日常的にチェックしている
- 「なぜこうなるか」を調べて納得するのが好き
- わからないことを放置せず、すぐに調べる習慣がある
情シス含めエンジニアは、学ぶことが仕事につながります。探究心が強い人にとっては、向いている職種といえるでしょう。
マルチタスクが得意な人
情シスは突発的なPCトラブルに対応しながら、社内システムの導入を進めることや、ベンダーとの打ち合わせやIT予算の調整も並行しておこなうなど、マルチタスクが求められる場面が多いです。
そのため、マルチタスクが得意な人または複数業務を整理しながら進めるのが得意な人は、情シスに向いているといえるでしょう。
やるべきことを優先順位ごとに整理し、スケジュールを立てて着実に処理していく力が、結果として社内の信頼につながります。
忙しくても冷静に動ける人や優先順位を瞬時に判断できる人は、情シスとして活躍できる可能性が高いです。
経営・事業戦略に興味のある人
情シスは、単に社内のPCやネットワークを整備するだけの役割ではありません。近年では、経営目線でIT戦略を企画・推進する存在としての役割が求められるようになってきています。
そのため、経営や事業そのものに興味を持ち、全体最適の視点でITを活用できる人は、情シスに向いています。
- クラウド導入によるインフラコストの削減提案
- RPAや業務改善ツールによる人件費の圧縮
- 社員満足度を上げる社内システムの最適化
- データ分析による事業部支援やKPIの見える化
たとえば、業務の非効率をヒアリングしたうえで、SaaSツールの導入を提案したり、経営課題をITで解決する方法を企画するなど、経営と現場をつなぐ立場になることも少なくありません。
企業が成長していくためにはITの活用が不可欠な時代であるため、経営目線でIT運用に携われる人は、優秀な人材として重宝されるでしょう。
情シスになるには?未経験から採用されるための5つの方法

未経験から情シスになるためには、以下の5つの方法を実践しましょう。
情シスは専門性の高い仕事ですが、未経験からでも目指すことは可能です。ここでは、未経験から情シスに転職・異動するために実践すべき具体的な5つの方法を解説します。
ITに関する幅広い知識を身につける
まず取り組むべきは、情シスに必要なITに関する幅広い知識を身につけることです。
ネットワーク・クラウド・OS・情報セキュリティなど、広く浅くで良いので、各ジャンルの基本を押さえましょう。
- 資格取得
- 書籍・動画・学習サイトの活用
- 実践してみる
重要なのは、インプットだけで終わらせず、小さなアウトプットを重ねることです。たとえば、自宅のWi-Fi環境を見直したり、Excel業務をマクロで自動化したりすると、実務に近い経験となります。
未経験でも学習した内容を具体的に示れば、採用担当者に与える印象は大きく変わります。
マルチタスク経験をアピールする
情シスでは、日々のルーチン業務をこなしながら、突発的なトラブルや社内からの相談、プロジェクト進行などを同時並行で対応する必要があります。
そのため、複数の業務を同時にこなした経験のある人は、大きなアピールポイントになるでしょう。
たとえば、営業職で「顧客対応・見積作成・社内調整」を並行していたり、事務職で「資料作成・電話対応・会議準備」を切り替えながら処理していた経験などは、マルチタスクといえるでしょう。
アピール時は、単に忙しかったではなく、何を・どのように・どんな成果でこなしたかを具体的に伝えることが重要です。
リーダー・マネジメント経験がある場合は伝える
情シスには、単独プレーヤーとしてのスキルだけでなく、プロジェクトの進行や外部ベンダーとの調整など、マネジメントスキルも求められます。
そのため、リーダー経験やチーム管理の経験がある場合は、積極的にアピールしましょう。
たとえば、現場で「3名のチームをまとめていた」「後輩の教育係を担当していた」「社内プロジェクトの進行管理をしていた」などの経験があれば、それは十分に活かせる強みです。
情シスは多くの関係者と連携して仕事を進めることも多いため、リーダー・マネジメント経験がある場合は伝えておくと、採用担当者から評価してもらえる可能性が高いです。
自己分析・企業研究を徹底する
未経験で情シスを目指す場合、なぜ情シスになりたいのかや、なぜこの企業なのかなどを明確にしておく必要があります。その際に必要なのが、自己分析と企業研究です。
自己分析では「自分の強み」「過去の経験」「どんな環境で力を発揮できるか」を言語化しておきましょう。
企業研究では、業界やIT環境の成熟度、導入済みのシステムなどを調べ、企業ごとにカスタマイズした志望動機を準備することが重要です。
SEとの違いを踏まえた志望動機を用意しておく
情シスになりたい場合は、SEとの違いを踏まえた志望動機を用意しておくようにしましょう。
SEは顧客企業向けのシステム開発が中心なのに対し、情シスは「自社内でITをどう活用し、業務改善や経営課題を解決するか」に注力します。
両者の違いを理解していなければ「開発がしたい」「最新技術を使いたい」などの志望理由になってしまい、ミスマッチと判断される可能性があります。
- 現場の課題を自分で見つけ、ITで解決することに魅力を感じている
- 一時的な開発ではなく、継続的な運用と改善に関わりたい
- 社内の困りごとに寄り添い、業務全体を支えたい
上記のような志望動機を考えておくことで、情シスの仕事を正しく理解していると評価され、未経験でも高確率で採用してもらえるようになるでしょう。
情シスに関するよくある質問
情報システム室担当者のキャリアパスは?
情シスのキャリアパスは、以下のとおりです。
- ヘルプデスク
- システムエンジニア
- プロジェクトマネージャー
- CTO・CIO
- ITコンサルタント
- 各種スペシャリスト
情シスは幅広い業務に携わるため、さまざまなキャリアパスが考えられます。
特定のスキルを極めたい場合はスペシャリストを目指したり、エグゼクティブ人材になりたい場合はCTO・CIOを目指したりと、さまざまな選択肢があります。
情シスの将来性はありますか?
結論から言えば、情シスの将来性は非常に高いです。
- IT業界全体が人手不足
- 新技術の対応が必要なため
- 企業はITを前提とした経営活動が求められている
クラウド・SaaSの普及、サイバー攻撃の増加、リモートワークの定着などにより、社内ITの整備と運用が企業には求められています。
従来の情シスは保守的な部署が強い印象でしたが、現在では経営課題を解決するポジションとして経営層からも注目されています。
未経験でも情シスになれますか?
未経験から情シスになることは十分可能です。実際、現場では営業・事務・接客業など、ITとは無縁のキャリアから転職して活躍している人が多数います。
- 日常業務でITを活用し、業務改善に貢献した経験がある
- ヘルプデスクやサポート対応のような、相手視点での対応力がある
- 資格や自主学習で、IT知識を継続的に身につけている
たとえば「Excel業務をVBAで自動化した」「社内ツールのマニュアルを作成した」など、実務に近い経験は大きなアピールポイントになります。
また、ITパスポートや基本情報技術者試験などの資格を取得しておくと、スキルを客観的に証明できるため採用してもらえる可能性が高くなります。
まとめ | 情シスになるには知識と経験の積み上げが鍵
情シスはただの何でも屋ではなく、社内のIT課題を解決する部署です。未経験からでも目指せる職種ですが、事前に資格取得や必要なスキルを身につけておくことで、より採用してもらえる確率が高くなります。
情シスは、単にITのスキルだけではなく、コミュニケーションスキルやマルチタスクスキルなどのビジネススキルも必要です。
ITを使って人の役に立ちたい人や経営視点で企業を支える仕事がしたいと考えている人は、情シスは最適なキャリアといえるでしょう。