シングルサインオン(SSO)とは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説

シングルサインオン(SSO)とは?仕組みやメリット・デメリットを簡単に解説

ログイン作業が毎日面倒くさい

アカウントが多すぎて、パスワード管理が限界

シングルサインオンって具体的にどのような仕組み?

業務で複数のクラウドサービスを使用する現代では、毎回のログイン作業を面倒に感じている人が少なくありません。

このようなログインの面倒さの解消やセキュリティ強化を両立できるのは、シングルサインオン(SSO)です。

すでに大手企業や教育機関などで導入されており、一度の認証で複数システムへ安全にアクセスできる便利な仕組みとして注目を集めています。

この記事では、シングルサインオン(SSO)の基本的な仕組みから認証方式の違い、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。

記事を読めば、シングルサインオン(SSO)の仕組みを理解し、面倒なログイン作業の負担を減らすことが可能です。

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目次

シングルサイン(SSO)とは?

シングルサイン(SSO)とは?

ここからは、シングルサインオン(SSO)の仕組みや歴史について解説します。

シングルサインオン(SSO)とは、1回の認証で複数サービスにログインできる仕組み

シングルサインオン(SSO)とは、1度のログインで複数のサービスやアプリケーションにアクセスできる認証方式です。

シングルサインオン(SSO)の特徴
  • 一度の認証で複数システムに自動ログイン
  • ユーザーのログイン回数を削減し業務効率化
  • ID・パスワード管理の負担を軽減
  • 認証情報を一元管理し、セキュリティ強化
  • 多要素認証(MFA)との併用で堅牢なセキュリティ環境を実現

従来のようにサービスごとにログインし直す必要がなくなるため、業務効率を大幅に向上させながら、パスワード漏えいやアカウント管理ミスなどのリスクも軽減できます。

テレワークやクラウドサービスの普及により、多くの企業や学校でシングルサインオンの導入が進んでいます。

シングルサインオン(SSO)の歴史

シングルサインオン(SSO)は、もともと社内ネットワーク上の複数システムに対して、効率よくかつ安全にログインするための仕組みとして開発されました。

しかし、コロナ禍によるテレワークやリモートワークの拡大、SaaSなどのクラウドサービスの普及により、社外ネットワークへのアクセスが当たり前になりました。

その結果、ユーザーは多数のIDとパスワードを管理せざるを得なくなり、使い回しや単純なパスワード設定といったセキュリティリスクが増加しています。

このような課題に対して、外部ネットワークにも対応したシングルサインオン(SSO)の仕組みが整備され、複数サービスへの安全かつスムーズなアクセスを可能にする技術として、導入が加速しました。

シングルサインオン(SSO)が求められる背景

シングルサインオン(SSO)が求められる背景

シングルサインオン(SSO)が求められるようになった背景としては、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

複数ログインを削減し、生産性を大幅に向上できる

業務で使用するツールが5種類、10種類と増えていくなかで、都度IDとパスワードを入力するのは非効率です。

シングルサインオン(SSO)を導入すれば、初回ログインのみで複数のシステムにログインできるため、作業効率が大幅に向上します。

リモートワークやフレックス勤務が増えている今、社員がどこにいてもすぐに業務環境へアクセスできる点は、働きやすさの向上にも直結するでしょう。

アカウント管理を統合し、運用コストを削減できる

システムごとにアカウントを作成・管理することは、情シスやIT担当者にとって大きな負担となります。

異動や退職が発生するたびに、それぞれのサービスでID削除や権限変更をおこなうのは手間がかかるほか、ヒューマンエラーにもつながるでしょう。

シングルサインオン(SSO)を導入すれば、すべての認証情報の一元管理が可能です。

一元管理を実現できれば、誤設定や設定漏れなども確認できるため、運用工数だけでなく、セキュリティ体制の強化にもつながります。

パスワードセキュリティの強化が可能

複数のサービスで異なるパスワードを使用し、すべてを覚えておくのは現実的ではないでしょう。

多くの人がパスワードの使い回しや覚えやすいパスワードを設定するため、認証の際のセキュリティが弱く、セキュリティリスクが高くなります。

シングルサインオン(SSO)を導入することで、1度の認証で複数のシステムへログインできるため、システム全体のパスワードをそれぞれ覚える必要がなくなります。

使い回しや簡単なパスワードの設定によるセキュリティリスクを減らせるため、セキュリティを向上する目的からも導入する企業は増えているといえるでしょう。

シングルサインオンの認証方式と仕組み

シングルサインオンには、以下のように複数の認証方式が提供されています。

それぞれの認証方式について詳しく解説します。

SAML認証

SAML(Security Assertion Markup Language)認証は、ID管理と認証をおこなうIDプロバイダで保証されたユーザーの認証情報を利用して、連携中の各サービスにおけるシングルサインオン(SSO)を実現する仕組みです。

たとえば、Google WorkspaceやSalesforceなどはSAML対応済みで、IdP側で一度ログインすれば、連携されたサービスに自動ログインできます。

複数のサービスに対してID・パスワードを発行・管理が不要になるため、セキュリティの向上を実現可能です。

Basic認証

Basic認証は、HTTPリクエストのヘッダに、IDとパスワードを平文またはBase64で付与して認証をおこなう方式です。

手軽に導入できるため、開発段階のテスト環境や社内限定システムなどで利用されています。

フォームベース認証

フォームベース認証は、使用する端末にエージェントと呼ばれるソフトウェアをインストールし、シングルサインオン(SSO)をおこなう認証方式です。

エージェントは各サービスのIDとパスワードを保持した状態でPCに常駐しています。

各サービスのログイン画面が起動した際に、エージェントが検知し、ユーザーの代わりにログイン情報を自動入力してくれます。

リバースプロキシ方式

リバースプロキシ方式は、アプリケーションとユーザーの間に中継サーバーであるリバースプロキシを介してシングルサインオン(SSO)をおこなう方式です。

ユーザーはリバースプロキシに対してIDとパスワードの入力をおこないます。その後はリバースプロキシサーバーを経由して、各サービスにアクセスすれば、ユーザーのわかりに認証をおこなえるようになります。

エージェントをインストールする必要がないため、短期間で導入できます。

シングルサインオンを導入するメリット

シングルサインオンを導入するメリット

シングルサインオンを導入するメリットは、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

情報漏えいリスクを低減させられる

パスワードの管理ミスや使いまわしは、情報漏えいの原因のひとつです。

シングルサインオン(SSO)を導入すれば、ログイン操作が1回で済むため、ユーザーがパスワードを複数回おこなう機会を少なくできます。

そのため、パスワードリスト攻撃やフィッシング詐欺といったサイバー攻撃によるリスクを減らせるでしょう。

アカウント管理の工数が減り、運用コストを削減できる

業務で使用するシステムが増えるほど、アカウントの発行・削除・権限変更などの管理作業は煩雑になります。

手作業による設定ミスや対応漏れは、セキュリティ事故の原因にもなるため注意が必要です。

シングルサインオン(SSO)を導入すれば、ユーザーアカウントはSSO基盤で一元管理されるため、複数サービスのアカウントを個別に操作する必要がなくなります。

そのため、アカウント管理の工数を削減し、情シスやIT担当者の負担を減らすことが可能です。

ユーザーの利便性が向上し、業務効率も高まる

業務で複数のクラウドサービスや業務ツールを使い分ける際、都度IDとパスワードを入力することは大きなストレスとなります。

とくにITリテラシーが高くない従業員にとっては、ログイン操作が煩雑になるほど作業ミスや問い合わせが増加し、生産性の低下にもつながります。

シングルサインオン(SSO)を導入することで、ユーザーは1回のログインだけであらゆるシステムへのアクセスが可能です。

結果として、ユーザーの利便性が向上し、業務効率を上げることにつながるでしょう。

シングルサインオンを導入するデメリット

シングルサインオンを導入するデメリット

シングルサインオンを導入するデメリットは、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。デメリットも確認し、自社で導入するべきかどうか慎重に判断しましょう。

システムが停止すると利用できなくなる

シングルサインオン(SSO)は、すべてのログイン認証を1つのシステムに集約する仕組みです。

そのため、SSOの認証サーバーや基盤に障害が発生した場合、連携しているすべてのシステムにアクセスできなくなるというリスクを抱えています。

すべてをシングルサインオンで管理するのではなく、経営に関わるようなシステムは別で管理しておくなど、冗長化構成が重要です。

万が一侵害された場合、複数システムが一度に被害を受ける可能性がある

シングルサインオン(SSO)は、1つのアカウントが乗っ取られた場合、一度に複数のシステムが被害を受ける可能性がある点には注意が必要です。

たとえば、SSOアカウントのIDとパスワードが外部に流出すると、攻撃者はすべての連携サービスに自由にアクセスできる状態になります。

このような事態を防ぐためには、以下のような対策と組み合わせておくことが重要です。

シングルサインオン(SSO)と組み合わせるべき対策
  • 多要素認証(MFA)の標準化
  • ログイン通知やIP制限の導入
  • 定期的なパスワード更新・アカウント監査

シングルサインオン(SSO)は便利ですが、強固な本人確認対策と組み合わせておくと、よりセキュリティを万全にできます。

SSOに対応していないサービスでは使えないこともある

シングルサインオン(SSO)は、すべてのサービスやアプリケーションに対応しているわけではない点にも注意が必要です。

すでに複数のシステムを利用している場合は、連携できるシステムが多いシングルサインオン(SSO)を事前によく確認しましょう。

また、すべての認証を集約するのではなく、認証回数を減らす目的を持つとシングルサインオン(SSO)の選択肢が広がります。

まとめ | シングルサインオンは利便性とセキュリティを両立できる仕組み

シングルサインオン(SSO)は、1回のログインで複数のシステムにアクセスできる利便性の高い認証方式です。

ID・パスワードの管理負担を大幅に軽減しながら、情報漏えいや不正アクセスといったリスクも抑えることができます。

しかし、認証基盤が停止した際のリスクや、アカウント侵害時の影響範囲が広がる注意点もあるため、多要素認証との併用や障害対策の整備が前提となります。

また、すべてのシステムがシングルサインオン(SSO)に対応しているわけではないため、事前に対応しているシステムをよく確認しましょう。

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