IP制限とは?仕組み・メリット・デメリット・運用の注意点をわかりやすく解説

アイキャッチ画像

社内ネットワークに外部から不正アクセスされないか心配

テレワークで業務システムにアクセスする際に安全性を高めたい

コストを抑えながら強力なセキュリティ対策を導入したい

多くの企業は不正アクセスをどうのようにして防ぐべきか悩んでいますが、IP制限の導入がおすすめです。

IP制限は特定のIPアドレスからのみアクセスを許可・拒否する仕組みであり、外部からの攻撃をシンプルかつ低コストで防ぐことができます。

金融機関や大手企業だけでなく、中小企業やスタートアップでも広く利用されています。

この記事では、IP制限の仕組みやメリット・デメリット、導入時の注意点をわかりやすく解説します。

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
目次

IP制限とは特定のIPアドレスからのみアクセスを許可・拒否する仕組み

IP制限とはの画像

IP制限とは、インターネット上の住所にあたるIPアドレスを基準にし、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可・拒否する仕組みです。

管理者が許可したIPアドレス以外からの接続を遮断できるため、不正アクセスや情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。

IP制限の多くは、社内の重要なサーバーやシステムの管理画面など、機密度の高さが求められるシステムへのアクセス管理に用いられます。

IP制限の設定は、サーバー側のファイルに制限のルールを記述して制御をおこなうことが一般的です。

ただし、近年はクラウドサービスや業務ツール上で管理画面からIP制限を設定できるものも増えており、スキルがなくてもセキュリティを強化できます

IP制限の仕組み

IP制限の仕組みの画像

IP制限は、主に以下の2種類に分けられます。

それぞれの仕組みについて詳しく確認しましょう。

ブラックリスト方式|禁止リストに登録されたIPからのアクセスを遮断する方法

ブラックリスト方式は、拒否する対象をあらかじめ登録しておき、登録されたIPアドレス以外のアクセスを許可する仕組みです。

既知の攻撃元IPや危険とされる国・地域のIPをリスト化することで、悪意あるアクセスを防ぎやすくなります。

ただし、ブラックリスト方式は遮断するIPが運用中に増加することも多く、リストを常に更新する手間が発生する点がデメリットです。

ホワイトリスト方式|許可リストに登録されたIPからのみアクセスを許可する方法

ホワイトリスト方式は、許可する対象を登録し、リストに含まれていないIPはすべて遮断する仕組みです。

許可された端末や拠点のみがアクセスできるため、セキュリティの堅牢性は非常に高い特徴があります。

一方で、利用者や拠点が増えるとリスト管理の負担が大きくなり、正規ユーザーであっても登録漏れがあるとアクセスできないリスクがあります。

IP制限のメリット

IP制限のメリットの画像

IP制限のメリットは、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

不正アクセスの防止

IP制限を行えば、許可されたIP以外からの接続を遮断できるため、不正アクセスのリスクを大幅に軽減できます

たとえば、社外からの攻撃や不審な海外IPからのアクセスがあった場合に、事前に登録した許可リスト以外のIPであれば、自動的にブロックすることが可能です。

また、ユーザー認証やパスワード管理といったセキュリティ対策と併用すれば、よりセキュリティレベルを高めることができるでしょう。

アクセスログの活用

IP制限を導入すると、誰がどの拠点から接続しているかを明確に把握することが可能です。アクセスログを参照すれば、不審なアクセスがあった場合の原因究明が容易になります。

さらに、利用者の行動傾向や利用時間を把握することで、業務改善やセキュリティルールの見直しにも役立ちます。

ネットワークのパフォーマンスを向上させられる

IP制限は不要なアクセスを遮断できるため、システムへの無駄な負荷を減らす効果があります。結果としてサーバーやネットワークの安定性が高まり、業務システムのレスポンスを向上させられます。

効率性と安全性を両立できるのは、IP制限を導入する大きな導入メリットです。

IP制限のデメリット

IP制限のデメリットの画像

IP制限のデメリットは、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

管理の手間が発生する

IP制限はシンプルで効果的な仕組みですが、運用面では管理の負担が発生しやすい点がデメリットです。

利用者が増えるたびに新しいIPを許可リストへ登録する必要があり、異動や退職など組織変更の際にもメンテナンス作業が欠かせません。

さらに、拠点の追加やテレワーク環境の拡大によって許可対象が増加すると、設定を変更する頻度も多くなります。

正当なアクセスを遮断する可能性がある

IP制限はセキュリティを高める一方で、正規の利用者であってもアクセスできなくなるリスクを伴います。

たとえば、拠点の追加や在宅勤務などの導入により新しい接続元が生じた場合、許可リストに登録されていなければ遮断されてしまう可能性があるでしょう。

また、動的IPを利用している環境では、IPが変更されるたびに接続できなくなるケースもあります。

IP制限を導入する際には、利用者の利用環境を事前に把握し、柔軟に設定を更新できる体制を整えておくことが欠かせません。

スケーラビリティの課題がある

IP制限は小規模環境では有効に機能しますが、拠点や利用者数が増える大規模組織ではスケーラビリティに課題を抱えやすくなります。

許可リストや拒否リストに登録するべきIPが膨大になるため、管理コストや設定作業が煩雑になります。

また、クラウドサービスやモバイルワークが普及する現代では、接続元の多用化に対応しきれないケースも少なくありません。

結果として、セキュリティレベルを維持するための管理負担が増大し、運用効率を損なう可能性があります。

IP制限を適切に行うポイント

IP制限を適切に行うポイントの画像

IP制限は適当に実施すると不便になる可能性があります。そのため、IP制限をおこなう際は以下のポイントを意識しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

動的IPアドレスへの対応を考える

IP制限を導入する際に注意すべき点の一つが、動的IPアドレスの存在です。

多くのインターネットプロバイダは契約者に固定ではなく動的IPを割り当てており、一定期間ごとにアドレスが変更されます。

許可リストに登録していた社員の端末が、IP変更によって突然アクセスできなくなるケースがあります。

動的IPアドレスへの対応方法
  • 固定IPを契約する
  • VPN経由で接続を統一する
  • クラウドサービスの提供する専用ゲートウェイを利用

動的IPアドレスによるリスクを防止するためには、固定IP契約を利用する、VPN経由で接続を統一する、あるいはクラウドサービスの提供する専用ゲートウェイを利用するなどの工夫が必要です。

アクセス制限のルールを定期的に見直す

IP制限は一度設定すれば終わりではなく、定期的な見直しが必要です。組織の拠点追加や人事異動、テレワーク導入などによって利用環境は変化します。

古いIPが許可リストに残ったままだと、不要なアクセスを許してしまうリスクがあるほか、更新が遅れると正規のユーザーが利用できないトラブルも発生するでしょう。

定期的にアクセスログを確認し、利用実態に合わせてルールを更新することが重要です。

また、更新作業は属人的になりやすいため、手順を文書化し、複数の担当者が確認できる体制を整えることで、セキュリティと業務効率の両立が可能です。

他のセキュリティ対策と併用する

IP制限は有効な手段ですが、それだけでは万全とはいえません。VPNを経由すればアクセス元のIPを偽装できる可能性があり、攻撃者が制限を回避するリスクも残ります。

IP制限との併用におすすめのセキュリティ対策
  • 多要素認証
  • ファイアウォール
  • 侵入検知システム(IDS/IPS)

そのため、多要素認証やファイアウォール、侵入検知システム(IDS/IPS)などと併用することが推奨されます。

特に多要素認証を組み合わせれば、仮にIDやパスワードが漏えいしても不正利用は困難です。

また、IP制限で外部攻撃を遮断し、ファイアウォールで通信内容を制御するなど、複数の防御を重ねることでセキュリティの堅牢性が高まります。

設定ミス防止の仕組みを作る

IP制限は設定内容を誤ると、正規のユーザーすらアクセスできなくなる重大なトラブルを招きかねません。

特にホワイトリスト方式では、許可リストから自社の拠点IPを誤って外してしまうと、全社員がシステムに接続できなくなる恐れがあります。

そのため、導入時には必ず検証環境でテストを行い、本番反映前に動作を確認することが重要です。

また、設定変更の際には複数人でレビューを行う承認フローを取り入れると、ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。

さらに、バックアップ設定を残しておけば、万一のトラブル時に迅速に復旧できます。

IP制限に関するよくある質問

IP制限を回避されないための対策を教えてください。

IP制限は強力な仕組みですが、VPNや匿名プロキシを利用されると回避される可能性があります。そのため、IP制限だけに依存せず、複数の防御策を組み合わせることが重要です。

IP制限を回避されないための対策
  • 多要素認証の導入
  • アクセスログの関し
  • 信頼できるVPNサービスに接続を限定する

具体的には、多要素認証を導入してアクセス時に追加の本人確認を行う、アクセスログを監視して不審な挙動を早期に検知する、信頼できるVPNサービスに接続を限定する、といった方法があります。

IP制限の解除は可能ですか?

可能です。

IP制限の解除方法は、以下のとおりです。

IP制限の解除方法
  • Apacheでの制限であれば、「.htaccess」や「apache2.conf」に記載されたIP制限の記述を削除
  • ファイアウォールの管理画面にログイン後、対象となるルールの削除 or 無効化

まとめ | IP制限は低コストで導入できる強力なアクセス制御だが運用体制が鍵

IP制限は、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可・拒否できるシンプルかつ効果的なセキュリティ対策です。

不正アクセスを防止し、アクセスログを活用できる点やネットワーク負荷を軽減できる点は大きなメリットといえます。一方で、正規利用者の遮断リスクや管理負担、拡張性の課題といったデメリットも存在します。

そのため、定期的なルール見直しや動的IPへの対応、多要素認証との併用など、運用体制の工夫が不可欠です。

低コストで導入できる強力なアクセス制御だからこそ、安定した管理体制を築き、他のセキュリティ対策と組み合わせることで最大限の効果を発揮できます。

目次