【初心者向け】メモリとは?役割やストレージとの違いをわかりやすく解説

メモリってどのような役割があるの
ストレージとメモリは何が違うの
メモリはどうやって選べばいいの
PCが重いと感じる原因の多くに、メモリ不足が挙げられます。メモリはCPUやストレージと並んで、コンピュータの性能を左右する重要な部品です。
しかし、ストレージ(HDDやSSD)との違いを誤解している人は少なくありません。
この記事では、メモリの役割やストレージとの違い、代表的な種類や規格、そして選び方のポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
メモリとはデータを一時的に保存して処理を高速化する装置

ここからは、メモリがどのような役割を担うのか、ストレージとは何が異なるのかについて解説します。
メモリの役割は「一時的な作業領域」としてPCやスマホの処理を支える
コンピュータにおけるメモリは作業机のような役割を持ちます。CPUが処理するデータを一時的に保存することで、必要な情報を素早く呼び出せる点がメモリの役割です。
仮にメモリがなければ、毎回ストレージからデータを読み込まなければならず、処理速度は大幅に低下します。
十分なメモリを搭載することで、アプリの起動や複数作業の同時進行がスムーズになるため、全体の操作性が向上します。
そのため、メモリはPCやスマホにとって処理の快適さを決める重要な役割を担っているといえるでしょう。
メモリとストレージの違い
メモリとストレージは、いずれもデータを扱う点では似ていますが、役割と性質が異なります。
メモリは電源を切ると内容が消える揮発性の記憶装置であり、作業中の一時データを保持します。一方、ストレージはHDDやSSDのようにデータを長期間保存できる不揮発性の記憶装置です。
項目 | メモリ(RAM) | ストレージ(HDD/SSD) |
---|---|---|
保存期間 | 電源を切ると消える | 電源を切っても保持 |
主な役割 | 作業中データの一時保存 | データの長期保存 |
処理速度 | 非常に高速 | メモリより遅い |
容量の目安 | 数GB〜数十GB | 数百GB〜数TB |
メモリの種類はRAM・DRAM・SRAM・ROMに分類できる

メモリはRAM、DRAM、SRAM、ROMの4つに分類することが可能です。ここからは、メモリの具体的な種類について解説します。
RAMは作業中データを保持する揮発性メモリ
RAM(Random Access Memory)は、パソコンやスマホでよく使用されるメモリです。作業中のデータや実行中のアプリケーションを一時的に保存し、CPUと連携して処理を高速化します。
RAMの特徴は揮発性であり、電源を切ると内容が消えてしまうことです。そのため長期保存には向かず、あくまでも処理中の一時的な作業領域として機能します。
たとえば、ブラウザで複数のタブを開いたり、Excelや動画編集ソフトを同時に操作できるのは、十分なRAMが搭載されているためです。
DRAMは大容量で安価だがアクセス速度はやや遅い
DRAM(Dynamic RAM)は、大容量を比較的安価に実現できるため、PCやサーバーの主記憶装置として採用されています。
ただし、データを保持するためには定期的なリフレッシュ動作が必要で、アクセス速度はSRAMよりも遅くなります。
コストと容量のバランスに優れており、一般的な用途はDRAMが主流です。現代のパソコンやスマホに搭載されるメモリの多くはDRAMを基盤にしています。
SRAMは高速で消費電力が少ないが高価
SRAM(Static RAM)は、DRAMと異なりリフレッシュ動作を必要としないため、高速かつ安定したデータ保持が可能です。さらに消費電力が少ない利点もあります。
そのため、CPU内部のキャッシュメモリなど、処理速度が求められる部分に採用されています。
しかし製造コストが高く、大容量化が難しいため、限られた用途で高性能を発揮する補助的なメモリとして利用されているのが特徴です。
ROMはデータを保持し続ける不揮発性メモリ
ROM(Read Only Memory)は、電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリです。名前の通り基本的には読み出し専用で、ユーザーが自由に書き換えることはできません。
パソコンのBIOSやスマホのファームウェアなど、起動に不可欠なプログラムを格納する役割を担っています。
ROMは通常ユーザーが増設したり交換したりするものではありませんが、機器の安定稼働に欠かせない存在です。
メモリの規格(DDR規格)

パソコン用メモリには「DDR(Double Data Rate)」と呼ばれる規格があります。DDR規格は世代ごとに性能や消費電力が改善されてきました。
ここからは、メモリの規格について解説します。
DDR規格とは
DDRメモリは、クロック信号の立ち上がりと立ち下がりの両方でデータを転送する仕組みを採用し、従来のSDRAMより大幅な高速化を実現しました。
世代が進むごとに転送速度や省電力性能が向上し、PCの処理能力を引き上げてきました。
たとえば、DDR4はDDR3に比べて消費電力を抑えつつ速度を改善し、DDR5ではさらに帯域幅を拡大しています。
DDR規格は単なる部品の違いではなく、PC全体の処理性能に直結する要素といえます。
DDR3
2007年頃から普及し、長らく標準規格として利用されてきたのがDDR3です。
転送速度は最大2133MHz程度で、当時の一般用途には十分な性能を発揮しました。しかし現在では旧世代規格となり、最新PCではサポートされていません。中古パソコンや一部の古い環境で利用され続けています。
DDR4
2014年頃から主流となった規格で、現在も多くのPCに採用されています。転送速度は最大3200MHz程度に達し、消費電力も1.2Vと抑えられています。
オフィス作業からゲーム、クリエイティブ用途まで幅広く対応可能で、コストと性能のバランスが優れています。
DDR5
最新規格であるDDR5は、2021年頃から登場しました。転送速度は最大8400MHzと飛躍的に向上し、AIや高性能ゲーム、動画編集など処理負荷の高い用途に最適です。
消費電力はさらに下がり、1.1V程度で動作します。価格は高めですが、将来的に主流となることが確実視されています。
インターフェースの規格も確認しよう
DDR規格だけでなく、メモリの物理的な形状や接続方式も重要です。デスクトップPC用は「DIMM」、ノートPC用は「SO-DIMM」と呼ばれ、サイズが大きく異なるため互換性はありません。
さらにECC機能を持つサーバー用メモリなど、特殊なタイプも存在します。
購入時は「DDRの世代」「動作周波数」「インターフェース形状」の3点を必ず確認することが、失敗しないための基本です。
適切なメモリを選ぶポイント
適切なメモリを選ぶためには、以下のポイントを意識しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
パソコンに対応した規格を選ばないと動作しない
メモリは互換性のないパソコンに挿しこんでもうまく動作しません。たとえばDDR3対応のマザーボードにDDR4メモリを挿しても動作しません。
さらにノートPC用のSO-DIMMをデスクトップPC用のDIMMスロットに差し込むこともできません。
ECC付きメモリなど特殊用途向けの製品も存在するため、必ず「PCがどのDDR規格・形状に対応しているか」を事前に確認する必要があります。
パソコンメーカーの仕様書や取扱説明書に記載されている情報をチェックし、規格を間違えないようにしましょう。
使用目的に応じて必要な容量を選ぶことが重要
メモリの容量は、利用するアプリや作業内容によって必要なスペックを選ぶことが重要です。
- 8GB:ネット閲覧、WordやExcelなどの文書作成、YouTube視聴
- 16GB:複数アプリを並行利用、ビジネス用途全般、軽い画像編集
- 32GB以上:動画編集、3Dゲーム、プログラミング、クリエイティブ用途
必要容量を下回ると動作が遅くなり、逆に過剰に積んでも使い切れずコストが無駄になります。現在の利用環境を振り返り、自分の作業に合った容量を選ぶことが重要です。
メモリスロットの空きを確認して増設可否を判断する
メモリを増設したい場合は、マザーボードやノートPCに空きスロットがあるかを確認する必要があります。
空きがあれば追加で差し込むことで容量を増やせますが、スロットがすべて埋まっている場合は既存メモリを取り外して交換する必要があります。
また、デュアルチャネル構成を活用すると性能が向上するため、同じ容量や規格のメモリを2枚セットで搭載するのがおすすめです。
メモリに関するよくある質問
メモリが不足するとどうなりますか?
メモリが不足すると、パソコンやスマホはストレージを仮想メモリとして代用します。
ストレージはメモリよりも処理速度が遅いため、アプリの起動や画面の切り替えに時間がかかり、フリーズやクラッシュのリスクが高まります。
快適に利用するためには、用途に応じて十分な容量を確保する必要があります。
メモリを増設すると動作は快適になりますか?
はい。
特に容量不足が原因で動作が重くなっている場合、増設による改善効果は大きいです。ブラウザのタブを複数開いたり、複数のソフトを同時に起動してもスムーズに動作しやすくなります。
ただし、CPUやストレージがボトルネックになっている場合は効果が限定的なこともあります。そのため、増設を検討する際は「自分の端末で本当にメモリが不足しているのか」を確認することが重要です。
メモリに寿命はありますか?
メモリは半導体部品であるため、基本的には長寿命です。通常の使用環境では数年以上問題なく利用できます。しかし、熱や静電気、経年劣化によってエラーが発生することがあります。
特にサーバーや業務用PCでは、誤り検出機能を備えたECCメモリを採用するケースが多いです。
家庭用PCでは故障のリスクは低いですが、不具合を感じた場合はメモリ診断ツールを利用してチェックするのがおすすめです。
メモリは8GBと16GBのどちらがおすすめですか?
用途によって最適な容量は変わります。日常的なネット閲覧やOfficeソフトの利用が中心なら8GBで十分です。
しかし、ビジネス利用で複数アプリを同時に扱う場合や、画像・動画編集、最新ゲームをプレイする場合は16GB以上がおすすめです。
将来の拡張性を考えると、予算が許す限り16GBを選んだほうが安心です。
まとめ | メモリはPCやスマホの快適さを決める重要な部品で選び方がポイント
メモリは「PCやスマホの処理速度を左右する作業領域」であり、快適な操作環境を得るために欠かせない部品です。
ストレージとの違いを理解し、種類や規格を把握すれば、買い替えや増設時に迷うことはありません。さらに、自分の用途に合わせた容量を選び、将来的な拡張性を見越して判断することで、無駄のない投資ができます。