【初心者でも失敗しない】IT資産の棚卸とは?目的や効率化のコツを解説

IT資産の棚卸って具体的に何をすれば良いの?
IT資産って何が対象なの?
IT資産の棚卸を行う手順が知りたい
企業が抱えるIT資産は年々増え続けています。PCやサーバー、スマホ、クラウドサービス、アカウントなど管理を怠るとコストが膨らみ、情報漏えいやコンプライアンス違反のリスクが高まるのが現状です。
実際、IT資産を適切に棚卸できていない企業では、年間数百万円規模の無駄な支出が発生しているケースも少なくありません。
この記事では、IT資産の棚卸をはじめておこなう担当者でもスムーズに進められるよう、基本の流れから効率化の方法、注意点までを解説します。
IT資産の棚卸とは?
IT資産の棚卸とは、企業が保有するパソコンやサーバーなどのハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスやアカウントまでを整理・把握することです。
どの資産を誰が利用しているかを明確にできるため、重複や利用されていない資産を発見してコスト削減につなげることができます。
さらに、セキュリティリスクやコンプライアンス違反を防ぐ役割も果たすため、経営に直結する重要な業務といえるでしょう。

総務省の調査によると、令和6年時点で80.7%の企業がクラウドサービスを利用していると報告されています。
クラウドやリモートワークの普及によって管理対象は拡大しており、正確な棚卸の必要性はますます高まっています。
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棚卸の対象はハード・ソフト・アカウントまで幅広い

IT資産の棚卸の対象は、ハードやソフト、アカウントまで幅広いです。
それぞれ詳しく解説します。
ハードウェア
IT資産の棚卸において基本となるのが、パソコンやサーバー、スマートフォン、タブレット、プリンターなどのハードウェアです。
- パソコン
- サーバー
- Wi-Fiルーター
- タブレット
- プリンター
ハードウェアは企業活動を支える基盤であり、どの部署に配布されているか、誰が利用しているかを明確に把握する必要があります。
台帳には「機器名」「型番」「シリアル番号」「導入日」「利用者」「設置場所」などを記録するのが一般的です。
廃棄やリプレイスのタイミングを適切に管理することで、老朽化によるトラブルやセキュリティリスクを減らすことができます。
ソフトウェア
ソフトウェアの棚卸では、OSやオフィスソフト、業務アプリケーション、セキュリティソフトなど、企業で利用している全てのソフトを対象とします。
- OSやオフィスソフト
- 業務アプリケーション
- セキュリティソフト
特に重要なのは「ライセンス数」と「インストール状況」が一致しているかどうかです。契約以上の台数にインストールされているとライセンス違反になり、監査や法的リスクにつながります。
棚卸では「ソフト名」「バージョン」「契約ライセンス数」「インストール済み台数」「利用部門」を整理することが基本です。
定期的にチェックすることで、不要なソフトを削除し、セキュリティリスクの低減やコスト削減につなげることができます。
アカウントライセンス
クラウドサービスの普及により、アカウントやSaaSライセンスの棚卸は欠かせない業務になっています。
Google WorkspaceやMicrosoft 365、Salesforceなどのクラウドツールは便利ですが、退職者のアカウントが残ったままになっているケースや、利用していないのに契約が続いているライセンスが見つかるケースは少なくありません。
未使用アカウントはコストの無駄だけではなく、不正アクセスや情報漏洩のリスクにもつながります。
棚卸では「サービス名」「契約ライセンス数」「利用者」「利用状況」「更新日」を確認し、利用実態と契約内容を照合することが重要です。
定期的な見直しを行うことで、不要なライセンスを削減し、セキュリティとコストの両面を最適化できます。
IT資産の棚卸を行う目的

IT資産の棚卸をおこなうのは、以下のような目的があるためです。
それぞれ詳しく解説します。
コストの最適化
IT資産の棚卸を行うことで、利用されていない端末や重複して契約しているソフトウェア、放置されたクラウドライセンスを発見できます。
未使用の端末やアカウントは企業にとって無駄なコストであり、毎月数万円から数百万円規模のコストを生み出す要因となります。
たとえば、退職者のアカウントが残っているだけで、毎年ライセンス費用が継続的に発生してしまうでしょう。
棚卸を通じて不要なIT資産を整理すれば、ランニングコストを大幅に削減できます。
コンプライアンスの遵守
IT資産の棚卸をおこなう目的の一つとして、コンプライアンス違反を防ぐことが挙げられます。
特にソフトウェアライセンスの利用状況は注意が必要で、契約以上のインストールはライセンス違反となり、監査で指摘を受ければ罰則や損害賠償のリスクが生じます。
また、サポートが終了した古いOSやアプリケーションを放置していると、セキュリティ基準を満たさず外部監査や取引先審査で不適合と判断される場合もあるでしょう。
定期的な棚卸を通じてライセンス数や利用状況を正しく把握することで、法令や契約条件を遵守し、企業としての社会的信頼を守ることにつながります。
セキュリティリスクの低減
IT資産の棚卸をおこなうことで、セキュリティ上のリスクを大幅に低減することができます。
たとえば、退職者のアカウントが残ったまま放置されていると、不正アクセスの入り口となり、情報漏洩の原因になります。
また、古いPCやサーバーを管理せずに放置すると、セキュリティパッチが適用されないまま利用され、サイバー攻撃の標的になりやすくなるでしょう。
定期的な棚卸を通じて、利用されていない端末やアカウントを洗い出し、速やかに削除・廃棄すれば、リスクを未然に防止できます。
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IT資産の進め方を4ステップで解説
IT資産の棚卸は具体的には、以下の4ステップでおこないます。
IT資産の棚卸は、一度だけ実施して終わりではなく、定期的に繰り返すことが重要です。
実施頻度は企業規模や業種によって異なりますが、一般的には年に1回、決算期や新年度の直前に行うケースが多いです。
セキュリティや監査を重視する企業では、四半期ごとに棚卸を実施することもあります。
スケジュールを立てる際には、対象範囲と担当部署を明確にし、関係部門に事前に周知しておくことで、当日の混乱を防げます。
また、余裕をもって準備期間を設けることで、台帳整備や機器ラベルの貼付といった事前作業をスムーズに進められます。
棚卸を進める際の中心的な作業が、IT資産を網羅的に洗い出し、資産管理台帳を作成することです。
- 資産名
- 型番
- シリアル番号
- 利用者
- 設置場所
- 購入日
- ライセンス数
- 更新期限
台帳には「資産名」「型番」「シリアル番号」「利用者」「設置場所」「購入日」「ライセンス数」「更新期限」などを記録します。
ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやアカウントライセンスも対象に含めることが重要です。
台帳の作成が完了したら、台帳上の機器やソフトウェアが実際に存在しているかどうかを確認します。
確認時は、ハードウェアに管理番号シールを貼付しながら目視で確認する方法が一般的ですが、バーコードやRFIDなどのシステムを導入すると効率よくおこなえます。
棚卸の結果を反映した資産管理台帳は、常に最新の状態を保つ必要があります。棚卸を終えた直後は正確でも、異動や新規調達、退職によるアカウント削除漏れなどで、状況はすぐに変化してしまうためです。
そこで、定期的に台帳を更新し、継続的にモニタリングする体制を整えることが重要です。
具体的には、資産の追加や廃棄が発生した時点で必ず台帳に記録するルールを設けたり、IT資産管理ツールを活用して自動的に利用状況を可視化したりする方法があります。
IT資産の棚卸を効率よく行う方法

IT資産は実際に実施する場合、多くの時間と労力を要します。そのため、以下のようにIT資産の棚卸を効率よくおこなう方法を押さえておくと良いです。
それぞれ詳しく解説します。
現場に協力してもらう
IT資産の棚卸を効率的に行うためには、情報システム部門だけでなく、現場の社員や各部署の協力が不可欠です。
実際に機器を利用しているのは利用者本人であるため、部署ごとに担当者を選任し、機器の利用状況やアカウントの確認を依頼することで正確な情報を集められます。
協力を得る際には、棚卸の目的や作業の重要性を事前に周知し、単なる「面倒な作業」ではなく「会社全体のコスト削減やセキュリティ強化につながる活動」であることを理解してもらうことが重要です。
また、入力フォーマットやチェックリストを用意すれば、現場担当者も迷わず対応でき、全体の効率が高まります。
IT資産管理ツールを導入する
Excelや紙での管理では、資産の数が増えるにつれて情報が煩雑になり、入力漏れや更新忘れが発生しやすくなります。そこで効果的なのが、IT資産管理ツールの導入です。
- ライセンスや利用状況を自動で照合でき、監査対応の精度が高まる
- 利用状況をリアルタイムに可視化でき、不要なコストを削減できる
- 更新期限や契約状況を通知し、抜け漏れを未然に防げる
専用ツールを利用すれば、ハードウェアやソフトウェア、アカウントの利用状況を自動で収集し、常に最新の情報を可視化できます。
さらに、ライセンス数と利用数の照合や、更新期限のアラート機能を備えたものもあり、属人的な作業を減らすことが可能です。
台帳への記載ルールを整備する
IT資産の台帳は、ただ作成するだけでは十分ではありません。記載方法や管理項目にルールがなければ、部署ごとに書き方が異なり、後から集計や分析を行う際に大きな手間が発生します。
たとえば、「ノートPC」「PC(ノート型)」といった表記揺れや、シリアル番号・利用者名の未記入は、棚卸の正確性を損なう典型例です。
そのため、台帳に記載する項目を標準化し、入力方法を統一しておくことが重要です。
また、資産の状態を示す「利用中」「予備」「廃棄予定」といったステータスをあらかじめ定義しておけば、資産のライフサイクルを正しく把握できます。
バーコードやRFIDを活用する
IT資産の棚卸は、数が多くなるほど手作業では非効率になり、ミスの原因にもなります。
そこで有効なのが、バーコードやRFID(無線自動認識)の活用です。資産ごとにラベルを貼付し、ハンディ端末やスマートフォンで読み取ることで、現物確認と台帳更新を同時に行うことができます。
特にRFIDは非接触で複数のタグを一括スキャンできるため、大量の機器を扱う企業やデータセンターで効果を発揮します。
導入時には初期コストがかかりますが、その後の作業効率や正確性を考えると十分に投資効果が見込めます。
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IT資産の棚卸を行う際の注意点

IT資産の棚卸をおこなう際は、以下の点に注意しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
役割分担を明確にする
IT資産の棚卸は情報システム部門だけで完結する業務ではなく、全社的な取り組みになります。そのため、関係者ごとの役割を明確にすることが重要です。
たとえば、情報システム部門は棚卸全体の計画と統括、各部署の担当者は現物確認や入力作業、経理部門は会計処理や固定資産台帳との突合せを担うといった形です。
責任者・担当者・確認者を事前に割り当てることで、誰が何をすべきかが明確になり、作業の抜け漏れを防ぐことができます。
台帳への記入ルールを設ける
台帳は資産管理の基盤になるため、記入ルールを設けて統一性を保つことが重要です。ルールがなければ、担当者ごとに表記が異なり、後から集計や検索を行う際に大きな混乱を招きます。
たとえば「ノートPC」「ノートパソコン」「Laptop」といった表記揺れがあると、同一資産でもわかりづらいと感じるでしょう。
こうした問題を防ぐために、資産区分や型番、シリアル番号、設置場所、利用者名、ステータス(利用中・予備・廃棄予定など)を統一した形式で記録するルールを作成しましょう。
IT資産の棚卸に関するよくある質問
IT資産はどのくらいの頻度で実施するべきですか?
IT資産の棚卸は、最低でも年に1回は実施することが推奨されます。決算期や新年度の直前に行えば、会計処理や予算策定に役立ちます。
また、セキュリティやコンプライアンスを重視する企業では、四半期ごとに実施するケースも珍しくありません。
おすすめのIT資産管理ツールはありますか?
IT資産管理を効率化するには、専用のツールを導入するのが効果的です。
代表的なものとしては、国内で広く利用されている「SKYSEA Client View」や「AssetView」、海外製で多機能な「ManageEngine AssetExplorer」などがあります。
いずれもハードウェアやソフトウェア、アカウントの利用状況を自動収集し、ライセンス数との突合や利用状況の可視化を可能にします。
IT資産の棚卸をアウトソースするのは有効ですか?
結論から言えば、IT資産の棚卸をアウトソースすることは有効な選択肢です。
- 専門知識とノウハウを持つ外部スタッフにより、棚卸の精度とスピードが向上する
- 社内リソースの負担を軽減でき、担当者は本来業務に集中できる
- 外部視点を取り入れることで、社内では見落としがちなリスクや改善点を発見できる
特に、大規模な組織や短期間で正確な棚卸を求められる場合、社内リソースだけで対応すると負担が大きく、精度の確保も難しくなります。
アウトソースを活用すれば、専門知識を持つスタッフが効率的に作業を進め、棚卸結果の信頼性を高めることができます。
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まとめ | IT資産の棚卸はコスト最適化とセキュリティ強化を同時に実現できる
IT資産の棚卸は、単なる在庫確認ではなく、企業の経営基盤を強化するための戦略的な取り組みです。定期的に棚卸をおこなえば、無駄なライセンスや利用されていない機器を削減でき、コストの最適化につながります。
また、退職者アカウントの放置や古い機器の利用を防ぐことで、セキュリティリスクを低減し、コンプライアンス対応にもつながります。
IT資産の棚卸は「コスト削減」「セキュリティ強化」「コンプライアンス遵守」を同時に実現できる取り組みです。
自社でも小規模な範囲から始め、継続的に改善していきましょう。
