情シスの内製化すべき業務と外注するべき業務を現場経験者が解説

情シス業務の一部を外注したいけど、何を内製化するべきかわからない
社内のノウハウが蓄積されず、毎回ベンダー依存になっている
内製化と外注のメリット・デメリットがそれぞれ知りたい
多くの情シス担当者が、外注と内製化のバランスについて悩みを抱えています。
IT人材の採用難が続くなか、内製化を進める企業も増えていますが、安易にすべてを内製化すると、かえってコストやリスクが増えるケースもあります。
結論、情シス業務の内製化すべき業務と外注すべき業務を把握しておけば、生産性を向上させ、企業の発展を促進させることが可能です。
この記事では、情シスの内製化すべき業務と外注するべき業務を現場経験者の目線で解説します。
内製化すべき情シス業務

内製化すべき情シス業務は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
企業の売上や利益につながる業務
企業の成長を支える売上や利益に直結する業務は、情シスが主体的に内製化すべき領域です。
- IT戦略の策定と企画
- 事業戦略プロジェクトの推進
他者との差別化が重要となるコア業務では、内製化を通じて独自のノウハウを社内に蓄積し、企業の競争力を向上させることができます。
また、内製化によって市場や顧客のニーズに素早く対応し、新たな価値を生み出し続けるための迅速な意思決定と開発への着手が可能です。
経済産業省の「2025年の崖」レポートでも指摘されているように、外部ベンダーへの過度な依存は競争力の低下を招きます。そのため、自社の中核を担うIT基盤は、情シスが主導して継続的に改善・最適化することが不可欠です。
採用単価のやすい業務
一般的に外部委託にかかるコストは、内製化の場合よりも高くなります。そのため、採用単価の比較的安価な業務は外注せずに、内製化するべきといえるでしょう。
たとえば、すでにマニュアル化が済んでおり、非正規雇用の従業員を採用すれば問題ない場合は、内製化するべきです。
知見・ノウハウのある業務
自社で知見やノウハウを持つ業務は、内製化しておくことで、長期的な内製力を確立できる重要な領域です。
外部ベンダーに依存し続けると、運用ノウハウや開発知識が社内に蓄積されず、トラブル対応力や改善力が低下します。
結果として、ベンダーがいなければ何も決められない状態に陥りやすくなるでしょう。

ガートナージャパンの調査では、企業が内製化を進める理由として「自社ビジネス・ノウハウの活用(46.6%)」と「自社における開発スキル、ノウハウ、ナレッジ、経験の改善・蓄積(42.9%)」が上位にランクインしています。
内製化によって、社員が開発・運用・改善のプロセスを自ら経験することで、スキルや知見が社内に蓄積されます。
こうした知見の共有と人材育成が進むことで、情シス全体の技術力が高まり、結果としてビジネスの成長や継続的な改善を支える基盤が形成されるのです。
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外注すべき情シス業務

外注すべき情シス業務は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
運用管理および監視業務
システムの運用管理や監視業務は、企業の競争力に直接関わらないため、外注を検討すべき情シス業務です。
運用管理や監視業務は、定型的・反復的な作業が多く、外部委託することでリソース効率と品質の両面で大きなメリットを得られます。

株式会社ソフトクリエイトの調査によると、情シス業務の中で「システム運用・保守・報告」は2024年度で26.2%と多くの時間を要していることがわかるでしょう。
そのため、運用管理や監視業務を外部委託することによって、情シスはDX推進やセキュリティ戦略といったコア業務に専念できます。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクは、パスワードリセット・プリンタ設定・システム利用方法の問い合わせ対応など、定型的で反復性の高いノンコア業務に該当します。
ヘルプデスク業務は企業の競争優位に直接寄与しないため、外部委託によって業務効率と対応品質を両立することが合理的です。

株式会社ソフトクリエイトの調査によると、情報システム部門が最も時間を費やしている業務の第1位は「問い合わせ・障害対応」で、全体の26.7%を占めています。
新システム導入時やツール更新直後には問い合わせが急増し、情シスのリソースを圧迫します。
そのため、ヘルプデスク業務の外注によって、担当者は企画立案やDX推進などのコア業務に時間を使えるようになるでしょう。
PCおよびデバイスのライフサイクル管理
PCやスマートデバイスのライフサイクル管理は、IT資産管理の一部であり、ノンコア業務に分類されます。
機器の購入から廃棄まで一連の作業を自社で行うには、膨大な時間とリソースが必要なため、外部委託による効率化が有効です。
外部LCMサービスでは、機器の購入から廃棄までをトータルサポートし、契約・請求も一本化できます。
デバイスのライフサイクル管理を外部委託することで、初期設定から配送・回収・廃棄までのプロセスを一元管理でき、担当者は戦略業務に専念できます。
専門知識が必要な業務・システム開発
高度な専門知識を要する業務やシステム開発は、社内リソースだけで完結させるのが難しく、外部の力を戦略的に活用することが現実的です。
- 情報セキュリティ対策
- データ分析
- AI・クラウド開発
情報セキュリティ、データ分析、AI・クラウド開発といった領域では、教育コストが高く、人材の確保も困難なため、外部パートナーとの協働がおすすめです。
システム開発においては、新規開発や機能拡張、テスト、リリースといったフェーズは人的リソースを多く要するため、外部ベンダーを活用することでスピードと品質を両立できます。
情シス業務を外注する場合に把握しておくべきこと

情シス業務の外注を検討する場合は、以下のことを把握しておくべきです。
それぞれ詳しく解説します。
まずは現状タスクを一覧化し「誰が・何を」しているかを可視化する
情シス業務を外注する場合は、まず業務可視化によって現状の業務内容と課題を正確に把握しておくことが重要です。
業務を可視化しない状態で、外注範囲を決定すると、委託漏れ・コスト超過・属人化の温存といったトラブルが起きやすくなります。
- 無駄な業務の特定と工数削減
- 属人化の解消と外注範囲の明確化
- 業務改革の起点としての役割
業務の可視化によって、無駄な業務の特定や工数削減につながるほか、属人化の解消や外注範囲の明確化も実現可能です。
外注コストと自社工数を比較して投資対効果を数値化する
情シス業務の外注化を検討する際には、外注費の方が安価かどうかだけで判断してはいけません。
自社で運用した場合の工数・人件費・間接コストをすべて洗い出し、外注コストと比較して投資対効果(ROI)を定量的に示すことが重要です。
まず、ITアウトソーシングを導入する目的の多くは、運用コスト削減と業務効率化にあります。
企業IT動向調査でも、「業務プロセスの効率化」「業務コスト削減」は経営課題の最上位に位置づけられています。

このため、可視化で明らかになった自社工数(担当者の作業時間×人件費)を基準に、外注後に削減できる時間と費用を数値化することが必要です。
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まとめ | 情シス業務の内製化と外注は適切な判断が必要
情シス業務における内製化と外注の選択は、単なるコストのみで判断するべきではありません。
重要なのは、どの業務が企業の競争力を高めるコア業務なのか、どの業務が効率化すべきノンコア業務なのかを洗い出すことです。
また、外注を成功させるには、現状業務の可視化と投資対効果(ROI)の数値化が欠かせません。
「誰が・何をしているか」を明確にし、自社工数と外注費を比較して、コスト削減・時間創出・品質向上の観点から判断することで、経営層にとっても納得性の高い決定が可能になります。
