【IPA・総務省データ】問い合わせ管理システムの選び方と導入効果|100名以下の企業でセキュリティ担当者を決めているのは約5割(2024年)

社内からの「パスワードを忘れた」「プリンターがつながらない」といった問い合わせを、毎日ひとりで受けていませんか。本業の合間に対応していると、次のような悩みが出てきますよね。

  • 問い合わせがメール、チャット、口頭に散らばり、どこまで対応したか分からない
  • 「あの件どうなった?」と聞かれて、対応したかどうか思い出せない
  • 自分が休むと問い合わせ対応が止まってしまう

結論から言うと、兼務の担当者ほど、問い合わせを記録して共有する仕組みを先に整えるべきです。IPAの2024年の調査では、従業員100名以下の企業(IPAの区分で、商業・サービス業6〜100名、製造業その他21〜100名。小規模企業者を除く)でセキュリティの担当者を決めているのは52.4%で、その約7割は兼務でした(計算値)。2016年の調査でも、従業員300人以上の日本企業の情シス・セキュリティ部門の責任者・担当者の54.9%がセキュリティ要員は不足していると答えています。

この記事では、問い合わせ管理システムの機能と種類、比較のポイント、導入の手順を解説します。「なぜ必要か」の部分は、IPAと総務省の公的データを根拠に組み立てました。

この記事のポイント

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
🎁 今だけ特典!
【期間限定】
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
  • 💻 IT資産管理台帳
  • 🧾 PC利用規定テンプレート
  • 🔐 パスワードポリシーサンプル
  • 🌐 IPアドレス管理表
\ 無料で全部もらう /
👉 トライアルに申し込む
目次

問い合わせ管理システムは社内外の問い合わせを受付から完了まで一元管理するツール

受付を一元管理

問い合わせ管理システムとは、問い合わせの受付から対応完了までを1か所で管理するツールです。メールやチャットなど、窓口ごとに散らばる問い合わせをまとめ、誰がどこまで対応したかを記録します。

社外の顧客対応で使われることが多いツールですが、社内のヘルプデスクにもそのまま使えます。ここでは、基本機能と提供形態の2点を押さえておきましょう。

基本機能は受付の一元化・ステータス管理・履歴の蓄積で、メールやExcelとの違いは対応状況を複数人で共有しやすい点

問い合わせ管理システムとメールやExcelとの一番の違いは、問い合わせごとの担当者やステータスを記録し、対応状況を複数人で共有する仕組みが最初から備わっている点です。主な機能は次のとおりです。

  • 受付の一元化:メール、フォーム、チャットの問い合わせを1つの画面に集める
  • 担当者の割り当て:誰が対応するかを明示し、二重対応を防ぐ
  • ステータス管理:未対応、対応中、完了を一覧で確認できる
  • 返信テンプレート:よくある質問への回答を定型文で返せる
  • 履歴・ナレッジ化:過去の対応内容を検索して再利用できる

メールやExcelで管理していると、「誰が対応中か分からない」「担当者が休むと止まる」といった問題が起きがちです。総務省の調査では、2025年時点でテレワークを導入している企業は50.1%でした。情報通信業では92.8%です(いずれも常用雇用者100人以上の企業、情報通信業は無回答を除く集計)。

テレワークを導入している企業では、近くの席に声をかけて確認する運用は、通じにくくなっています。離れた場所にいても状況が分かる仕組みが、以前より求められていると言えます。

提供形態はクラウド型が中心で、企業のクラウド利用率は2025年に83.5%まで伸びている

問い合わせ管理システムの提供形態は、現在はクラウド型(SaaS型)が中心です。その背景として、企業のクラウド利用そのものが広がっています。

総務省の通信利用動向調査によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は次のように推移しています。対象は常用雇用者100人以上の企業です。

企業のクラウドサービス利用率の推移(2021〜2025年)

出典: 総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」、同(2022年調査)、同(2023年調査)、総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」、同(別紙1)をもとに作成。常用雇用者100人以上の企業が対象。

2021年に70.4%だった利用率は、2022年に72.2%、2023年に77.7%、2024年に80.6%と上がり、2025年には83.5%に達しました。2025年時点で、利用企業の89.4%が「効果があった」と答えています(無回答を除く集計)。

利用する理由では「安定運用、可用性が高くなるから」が45.1%でした(2025年)。問い合わせ管理システムも、自社でサーバーを持たずにすぐ始められるクラウド型が選びやすい状況です。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」/総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」/総務省「令和5年通信利用動向調査」/総務省「令和4年通信利用動向調査」/総務省「令和3年通信利用動向調査」

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
🎁 今だけ特典!
【期間限定】
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
  • 💻 IT資産管理台帳
  • 🧾 PC利用規定テンプレート
  • 🔐 パスワードポリシーサンプル
  • 🌐 IPアドレス管理表
\ 無料で全部もらう /
👉 トライアルに申し込む

中小企業のIT体制は兼務の担当者が支えており、100名以下でセキュリティ担当者を決めている企業は約5割

兼務が支える体制

問い合わせ管理の仕組みが必要になる一つ目の背景は、中小企業の担当体制です。IPAの2024年度の調査から、企業規模によって担当者の置き方が大きく違うことが分かります。

注意

ここで扱うIPAのデータは「情報セキュリティ対策の体制」を尋ねた設問です。社内のIT問い合わせ全般を誰が受けているかを直接測ったものではありません。また規模区分は業種によって人数基準が異なり、小規模企業者は商業・サービス業で1〜5名、製造業その他で1〜20名の企業を指します。「100名以下」は商業・サービス業で6〜100名、製造業その他で21〜100名の企業を指し、小規模企業者は含みません。

担当者を決めている企業は101名以上で86.5%、100名以下で52.4%、小規模企業者で15.5%と段階的に減る

企業規模が小さくなるほど、担当者を決めている企業の割合ははっきり下がります。2024年度の調査結果を規模別に整理すると、次のとおりです。

企業規模 専門部署(担当者)がある 兼務だが担当者を任命 組織的には対応していない
101名以上 34.6% 51.9% 13.6%
100名以下 14.8% 37.6% 47.6%
小規模企業者 4.4% 11.1% 84.5%

企業規模別の情報セキュリティ対策の体制(2024年)

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」をもとに作成。情報セキュリティ対策の体制についての設問。101名以上の合計は端数の関係で100.1%。

「専門部署がある」と「兼務の担当者がいる」を足すと、担当が決まっている割合は101名以上で86.5%です。100名以下で52.4%、小規模企業者で15.5%でした(いずれも計算値)。

この並びから読み取れるのは、隣り合う規模の差が34.1ポイントと36.9ポイント(いずれも計算値)で、ほぼ同じ幅の段差が2つ続いている点です。規模が一段小さくなるたびに、担当者のいる企業が大きく減っています。

担当者がいても6〜7割は兼務で、問い合わせは本業の合間に処理されている

担当者が決まっている企業でも、その多くは専任ではなく兼務です。前の表の数値から、担当者を決めている企業のうち兼務が占める割合を計算してみます。

2024年時点で、101名以上では51.9%÷86.5%で約60%です。100名以下では37.6%÷52.4%で約72%、小規模企業者でも11.1%÷15.5%で約72%でした(いずれも計算値)。

つまり、どの規模でも担当者の6〜7割は兼務です(上の計算値による)。中小企業では「担当者はいても、本業の合間に対応している」形が標準になっています。

この数値から読み取れるのは、問い合わせの受付・記録・引き継ぎを担当者個人の記憶に頼らない仕組みが必要な層が厚いという点です。兼務の担当者が本業で手を離せないとき、問い合わせが埋もれずに残る仕組みがあるかどうかで、対応の質が変わります。

部署はあっても責任者は兼務という形は、日本では従業員300人以上の企業にも見られる

兼務中心の体制は、中小企業だけに見られるものではありません。日本では従業員300人以上の企業でも、責任者を専任で置く割合が低いという調査があります。

IPAの2016年の調査では、CISO等を専任で置いている企業は日本27.9%、米国78.7%、欧州67.1%でした。情報セキュリティの専門部署がある企業は、日本45.2%、米国69.1%、欧州51.7%です。

日米欧のCISO等専任設置率と専門部署設置率(2016年調査)

出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書をもとに作成。従業員300人以上の企業が対象(2016年調査)。

この結果から読み取れるのは、欧米では専任の設置率が部署の設置率を上回るのに対し、日本だけが逆になっている点です。部署はあっても責任者は他業務と兼ねる形が、2016年時点の従業員300人以上の日本企業でも少なくなかったと考えられます。

なお、このデータは2016年の調査で、対象は従業員300人以上の企業です。前の2つの見出しで扱ったIPA 2024年度の調査とは、年も母集団も異なります。そのため、数値を直接並べて比べることはできません。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」/IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書

SaaSの選定・承認を経験した人のうち情シスは約4分の1で、導入後のフォローは中小企業ほど手薄

広がるSaaS利用

問い合わせ管理が必要になる二つ目の背景は、部門ごとに増えるSaaSです。情シスが選定に関わらないまま導入されたツールの問い合わせが、後から情シスに届くケースがあります。

SaaSの選定・承認に関わった人のうち情報システム部門は26.9%にとどまる

SaaSの選定には、情報システム部門以外の人が多く関わっています。IPAが2022年に実施したSaaSの実態調査では、導入の選定・承認を経験した回答者のうち、情報システム部門の人は26.9%でした。

ただし、この数値は回答者の立場の内訳です。導入の意思決定に占める情シスの割合を示したものではない点に注意してください。

この結果から考えられるのは、現場の部門が主導してSaaSを入れる場面が少なくないということです。その場合、情シスは選定に関わっていないのに、使い方や権限、ログインに関する問い合わせだけが届きやすくなります。ただしこれはデータで確かめられた事実ではなく、仮説の段階です。

導入後に安全な設定方法を調べている割合は中小規模企業で50.5%と、大規模企業より14.8ポイント低い

SaaSの導入後のフォローは、企業規模が小さいほど手薄になる傾向があります。同じIPAの2022年の調査では、安全に運用するための設定方法を調べている割合は、中小規模企業で50.5%、大規模企業で65.3%でした。

この規模別の数値は、製造業・情報通信業・サービス業の回答に限った集計です。標本も中小規模企業109件、大規模企業150件と小さいため、傾向を見る参考値として扱ってください。

この差から読み取れるのは、中小企業ほど設定や使い方の疑問が解消されないまま残りやすいという点です。問い合わせの内容を記録しておけば、「どのツールで何の問い合わせが多いか」が分かり、利用中のSaaSを見直す手がかりになります。この点は後半の導入手順でも取り上げます。

出典: IPA「クラウドサービス(SaaS)のサプライチェーンリスクマネジメント実態調査 調査報告書」

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
🎁 今だけ特典!
【期間限定】
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
  • 💻 IT資産管理台帳
  • 🧾 PC利用規定テンプレート
  • 🔐 パスワードポリシーサンプル
  • 🌐 IPアドレス管理表
\ 無料で全部もらう /
👉 トライアルに申し込む

問い合わせ管理システムの導入効果は対応漏れの防止・負荷の可視化・人手不足への備えの3つ

導入効果を可視化

問い合わせ管理システムの導入効果は、対応漏れの防止、負荷の可視化、人手不足への備えの3つに整理できます。ここでは「工数が何%減る」といった数値は示しません。公的統計にそうしたデータが無いためです。

日々の運用の工夫については、ヘルプデスクの効率化の記事でも紹介しています。この章では、ツールを入れることで得られる効果を公的データと合わせて見ていきます。

対応状況を共有すると、兼務の担当者が不在でも対応漏れと二重対応を防げる

対応状況を共有できるようにすると、担当者が不在でも問い合わせが止まりにくくなります。これが一つ目の効果です。

IPAの2024年度の調査では、兼務の担当者を置いている企業は100名以下で37.6%、101名以上で51.9%でした。さらに100名以下の企業の47.6%は、組織的な対応をしていません(いずれも情報セキュリティ対策の体制についての設問)。

兼務の担当者が本業で席を外すと、その間の問い合わせはほかの人が把握しにくくなります。問い合わせ管理システムを使えば、次のような形で対応漏れと二重対応を防げます。ステータスで未対応の案件が一目で分かり、担当者の割り当てで「誰がやるか」がはっきりします。履歴が残るので、別の人が引き継いでも経緯を確認できます。

件数と対応時間の記録は、管理側から見えにくい負荷を説明する材料になる

二つ目の効果は、問い合わせの件数や対応時間を記録すると、自分の負荷を数字で説明できるようになることです。

IPAの2016年の調査(従業員300人以上の日本企業)では、CISO等の58.7%が「セキュリティ要員の人数は十分」と答えました。一方、情シス・セキュリティ部門の責任者・担当者の54.9%は「不足している」と答えています。

この組み合わせから読み取れるのは、人手が足りているかどうかの評価が、立場によって逆向きになりうるという点です。現場の負荷は、記録がないと管理側に伝わりにくいと考えられます。問い合わせの記録は、増員や外部委託を相談するときの材料になります。

なお、2つの数値は同じ設問の裏返しではなく、回答した企業が同じ組とも限りません。また、セキュリティ要員についての設問で、一般的な問い合わせ対応とは範囲が異なります。

IT人材の不足は2030年に44.9万人と推計され、不足は先端領域に集中している

三つ目の効果は、人手不足への備えです。IT人材は今後も不足が続くと推計されており、人を増やして問い合わせ対応を回すのは簡単ではないと考えられます。

経済産業省が2019年に公表した推計では、IT人材の需給ギャップは2020年に30万人、2025年に36万人、2030年に44.9万人です。2030年の内訳は、先端IT人材が54.5万人の不足、従来型IT人材が9.7万人の供給超過となっています。

2030年のIT人材需給ギャップの内訳(2019年推計、中位シナリオ)

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」をもとに作成。2019年時点の将来推計で、実績値ではありません。

これは実績ではなく推計です。2020年と2025年は標準ケース、2030年は中位シナリオと、前提も異なります。また、日本全体の需給を見た推計で、個々の企業の採用のしやすさを直接示すものではありません。経済産業省はその後、2040年に向けた就業構造の推計も公表しているため、最新の見通しはそちらもあわせて確認してください。

この内訳から読み取れるのは、足りないのは主に先端領域の人材だという点です。従来型IT人材は供給超過と推計されているため、問い合わせ対応の人手まで一律に不足するとは言えません。ただ、限られた人材を先端領域の業務に振り向けるためにも、問い合わせ対応のような定型業務は仕組みで負荷を抑えるほうが現実的だと考えられます。

DXに取り組む企業の85.5%が推進人材の量の不足を感じており、採用で補うのは難しい

人材不足の感覚は、企業側の調査でも確認できます。IPAの2025年度の調査では、DXに取り組む企業の85.5%が推進人材の「量」が不足していると答えました。

項目(2025年度、DXに取り組む企業) 割合
推進人材の「量」が不足(やや不足+大幅に不足) 85.5%
うち「大幅に不足」 50.1%
推進人材の「質」が不足(やや不足+大幅に不足) 88.8%
人材像を設定し社内に周知している 16.2%

出典: IPA「DX動向2026」

量と質のどちらも、不足と答える企業が大半です。一方で、必要な人材像を決めて社内に伝えている企業は一部にとどまります。採用だけで人手を補うのは難しく、今いる人で回せる仕組みを整える必要があります。

注意

この数値の母集団は、DXに取り組んでいる企業です。同じ2025年度の調査で、従業員100人以下の企業のうちDXに取り組んでいるのは41.6%にとどまります。取り組んでいない小規模企業の人手の状況は、この数値には表れていません。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」/IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書について(プレスリリース別紙)/経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」/経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」/経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)について」/IPA「DX動向2026」

問い合わせ管理システムは種類・提供形態・運用のしやすさの3軸で比較する

3つの比較軸

問い合わせ管理システムを選ぶときは、種類・提供形態・運用のしやすさの3軸で比べるのがおすすめです。機能の多さだけで選ぶと、兼務の担当者では使いこなせないことがあります。

ここでは特定の製品名は挙げず、自社の体制に合うものを選ぶための考え方を整理します。

種類はメール共有型・チケット管理型・チャットボット型・ヘルプデスク統合型の4つに整理できる

問い合わせ管理システムは、この記事では主に4種類に分けて整理します。分け方は製品や情報源によって異なり、複数の型を兼ねる製品もあります。自社の問い合わせチャネルを確認してから選びましょう。

種類 向いている問い合わせ 主な機能 情シスの運用負荷
メール共有型 メール中心 共有受信箱、返信テンプレート 小さい
チケット管理型 複数のチャネル チケット化、担当割り当て 中程度
チャットボット型 定型的な質問 自動応答、FAQの提示 回答データの整備が必要
ヘルプデスク統合型 IT資産や申請も扱う チケット管理、資産管理との連携 大きい

※一般的な区分であり、公的統計に基づく分類ではありません。

小規模なら表計算ソフトで自作する方法もあります(Office365で問い合わせを管理する方法)。

IPAの2025年度の調査では、AIを導入している企業は42.3%、試験利用を含めると58.0%でした。課題に「専門人材の不足」を挙げた企業も50.1%です。AI機能は運用できる人がいるかで判断しましょう。

提供形態はクラウド型が前提になるが、資本金1億円未満の企業では約16〜25%がクラウドを使っていない

クラウド型が主流ですが、自社で使える状態かを先に確認しましょう。2025年時点の利用率83.5%(常用雇用者100人以上の企業)も、資本金で差があります。

資本金規模別のクラウドサービス利用率(2025年)

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」をもとに作成。常用雇用者100人以上の企業が対象、無回答を除く集計。1,000万円未満(n=100)と5億〜10億円未満(n=65)の区分は回答数が少なく、業種構成の違いが影響している可能性がある。

2025年時点で、資本金1億円未満の4区分は74.8%〜84.1%です(1,000万円未満75.4%、5,000万〜1億円未満83.1%)。1億円以上は92.3%〜99.8%でした(5億〜10億円未満92.5%、10億〜50億円未満97.5%)。1億円未満の約16〜25%はクラウド未利用です(計算値)。

この分布から読み取れるのは、2つのグループの間に8.2ポイント(計算値)の空きがある点です。1億円未満では、クラウドが当たり前でない層が残っています。

導入前に、利用ルール、アカウント管理、社外アクセスの可否を確認しましょう。使えない場合は、初期費用と保守の手間がかかるオンプレミス型を検討します。

兼務の担当者でも回せるかを基準に、設定の簡単さとサポート体制を確認する

比較で最も重視したいのは、兼務の担当者でも無理なく回せるかどうかです。

前の章で見たとおり、2024年時点で100名以下の企業の担当者の多くは兼務です。また2022年時点で、安全な設定方法を調べている中小規模企業は50.5%にとどまりました。

この2つから考えると、機能の多さよりも、少ない手間で正しく設定できるかを優先するほうが現実的です。確認したい項目は次のとおりです。

  • 初期設定が簡単で、導入までの手順が分かりやすいか
  • 返信やステータスのテンプレートが用意されているか
  • 日本語のサポートを受けられるか
  • 権限やログの設定が分かりやすいか

一方で、導入には次のようなデメリットもあります。

  • 月額費用がかかり続ける
  • 社内に使ってもらえないと、結局メールや口頭の問い合わせが残る
  • 窓口の一本化や対応ルールの整備に手間がかかる

出典: IPA「DX動向2026」/総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」/総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」/IPA「クラウドサービス(SaaS)のサプライチェーンリスクマネジメント実態調査 調査報告書」

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
🎁 今だけ特典!
【期間限定】
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
  • 💻 IT資産管理台帳
  • 🧾 PC利用規定テンプレート
  • 🔐 パスワードポリシーサンプル
  • 🌐 IPアドレス管理表
\ 無料で全部もらう /
👉 トライアルに申し込む

導入はまず問い合わせの件数と内容を記録するところから始める

記録から始める

問い合わせ管理システムの導入は、いきなり製品を選ぶのではなく、問い合わせの件数と内容を記録するところから始めましょう。自社の実態が分かれば、必要な機能や種類も絞り込めます。ここでは3つの手順に分けて説明します。

手順1: 公的統計には問い合わせ件数や対応工数のデータが無いため、自社で1か月記録を取る

最初の手順は、自社の問い合わせを一定期間記録することです。判断に使える外部のデータが無いためです。

公的統計は、クラウドの利用(2025年時点で83.5%)やAIの導入・試験利用(2025年時点で58.0%)までは測っています。セキュリティ体制も、2024年時点で専門部署がある中小企業等は9.3%と分かります。一方で、情シスが受ける問い合わせの件数や対応時間、管理ツールの利用状況を測った公的な数値は、本記事で調べた範囲では見当たりません。

この空白から言えるのは、導入の効果を数字で示すには、自社で記録を取るしかないという点です。記録しておきたい項目は次のとおりです。

  • 受付日時と完了日
  • 依頼者と部署
  • チャネル(メール、チャット、口頭など)
  • 問い合わせの種類
  • 対応にかかった時間

最初はExcelでも、製品の無料プランや試用期間でも構いません。まず1か月記録し、1〜3か月後に記録を見比べて本導入を判断すると進めやすくなります。

手順2: 問い合わせの多いSaaSを洗い出し、利用中のツールを棚卸しする

次の手順は、記録した問い合わせをツール別に集計し、利用中のSaaSを棚卸しすることです。

前述のとおり、IPAの2022年の調査では、SaaSの選定・承認に関わった回答者のうち情報システム部門の人は26.9%でした。現場主導で導入されたSaaSは、情シスが全体を把握しきれていない可能性があります。

ここからは仮説ですが、問い合わせをツール別に並べると、情シスが把握していないSaaSや、設定が十分でないSaaSが見えてくるはずです。問い合わせが多いツールは、マニュアルの整備や設定の見直しを優先する候補になります。

あわせて、問い合わせの窓口を1つにまとめ、社内に周知しましょう。窓口が分散したままでは、記録にも漏れが出てしまいます。

手順3: 公的統計の「8割」「9割」は対象企業の条件を添えて、自社の記録と比べる

最後の手順は、上司に導入を提案するときの準備です。公的データを使うときは、どの企業を対象にした数値かを必ず添えましょう。

たとえば、クラウド利用率83.5%は常用雇用者100人以上の企業の値です(2025年)。資本金1,000万円未満の75.4%も、100人以上の企業のうち資本金が小さい企業を指します。DX推進人材の量の不足85.5%は、DXに取り組む企業に聞いた数値です(2025年度)。

注意

よく引用される「8割」「9割」は、ひとり情シスが多い小規模企業の実態を示した数値ではありません。2025年度の調査で、従業員100人以下でDXに取り組む企業は41.6%です。CISO等の専任設置率27.9%も、従業員300人以上の企業が対象の2016年の調査です。

この点から言えるのは、提案の場では「外の数字」と「自社の数字」を分けて示すのが大切だということです。公的データで全体の傾向を示し、手順1の記録で自社の負荷を示すと、説得力のある説明になります。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」/総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」/IPA「DX動向2026」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」/IPA「クラウドサービス(SaaS)のサプライチェーンリスクマネジメント実態調査 調査報告書」/IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書

兼務の情シスこそ、問い合わせを記録して共有する仕組みを先に整える(まとめ)

記録と共有の仕組み

兼務で問い合わせを受けている情シスほど、記録と共有の仕組みを先に整えることが大切です。この記事の要点を振り返ります。

  • 2024年時点で、100名以下の企業(小規模企業者を除く)のうちセキュリティ担当者を決めているのは52.4%で、その約7割が兼務です
  • 提供形態はクラウド型が中心ですが、2025年の利用率83.5%は常用雇用者100人以上の企業の値です。自社の前提を確認してから選びましょう
  • 現場の負荷は管理側に伝わりにくく、2016年の調査でも従業員300人以上の日本企業で現場の54.9%がセキュリティ要員不足と答えています。記録が負荷を説明する材料になります
  • 問い合わせ件数や対応時間の公的データは無いため、まず自社で記録を取ることが導入判断の出発点になります

いきなり高機能な製品を選ぶ必要はありません。まずは1か月、問い合わせを記録するところから始めてみてください。

\ 情シス専門オンラインスクール /
情シスカレッジ バナー
🎁 今だけ特典!
【期間限定】
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
  • 💻 IT資産管理台帳
  • 🧾 PC利用規定テンプレート
  • 🔐 パスワードポリシーサンプル
  • 🌐 IPアドレス管理表
\ 無料で全部もらう /
👉 トライアルに申し込む

情シスカレッジのご案内

情シスカレッジ|新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMS

問い合わせ対応を仕組みにしても、よくある質問への答え方や基本的なトラブル対応を知っている人が社内に増えなければ、担当者の負担は残ります。とはいえ、兼務の担当者が教育の仕組みまで一から整えるのは大変です。

情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。情シス業務に必要な知識を、短い動画で学べる形にまとめています。

情シスカレッジの特徴

  • 数分の動画と小テストで、すきま時間に学習を進められます
  • 必修の割り当て・期限設定・進捗ダッシュボードで受講状況を管理できます
  • 自社カリキュラムの編成と、CSVでの教育記録の出力に対応しています

5名からご利用いただけます。請求書払いにも対応しており、初期設定にかかる時間は約10分です。

情シスカレッジの詳細を見る

出典一覧

※出典
– 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(別紙1)」
– 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」
– 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
– 総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」
– 総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」
– IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 報告書」
– IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書
– IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書について(プレスリリース別紙)
– IPA「クラウドサービス(SaaS)のサプライチェーンリスクマネジメント実態調査 調査報告書」
– IPA「DX動向2026」
– 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」
– 経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」
– 経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)について」

目次