【IPA調査】レガシーシステムとは|半分以上残る日本企業は約3割(2024年度)、問題点と刷新の進め方

社内に、何年も前から動いている古いシステムはありませんか。普段は問題なく動いていても、いざ手を入れようとすると誰も中身を説明できない、という状況はよくあります。
- 社内の古いシステムについて、誰も中身を説明できない
- 「2025年の崖」と言われた年は過ぎたけれど、自社は大丈夫なのか
- 刷新したいけれど、何から手を付ければよいか分からない
結論から言うと、レガシーシステムが半分以上残る日本企業は減ったものの、2023年度以降はほぼ横ばいです。IPAの調査では、2022年度の41.2%に対し、2024年度は約3割でした(出典: IPA「DX白書2023」「DX動向2025(データ集)」)。まずは自社の状況を把握することが出発点になります。
また、IPAの2022年度調査では、刷新の課題として最も多く挙げられたのは、古い技術よりも「刷新を進める人がいない」ことでした。この記事では、IPA・経済産業省・総務省の公的データをもとに整理します。扱うのは、レガシーシステムの意味、放置した場合の問題、刷新の進め方です。
この記事のポイント
- システムの半分以上がレガシーと答えた日本企業は、2022年度調査の41.2%に対し、2024年度調査は28.5%(本記事での計算)です。2023年度以降はほぼ横ばいが続いています(出典: IPA「DX白書2023」「DX動向2025(データ集)」)
- 2022年度調査で日本企業が挙げた刷新の課題の1位は「刷新・移行に長けたプロジェクトリーダーがいない」で、割合は33.5%でした(出典: IPA「DX白書2023」)
- 2022年度調査で、DXに取り組んでいない日本企業の40.8%は、自社のレガシーの状況を「わからない」と答えています(同上)
レガシーシステムとは長期間の運用で老朽化・ブラックボックス化・肥大化したシステムのこと

レガシーシステムとは、長く使い続けるうちに中身が古くなり、変更しにくくなったシステムのことです。 IPA(情報処理推進機構)の「DX白書2023」に沿うと、次の3つの状態を抱えたシステムを指します。
- 老朽化: ハードウェアやOS、言語が古く、保守できる人や製品が減っている
- ブラックボックス化: 仕様書や担当者がおらず、中身を説明できない
- 肥大化・複雑化: 機能や他システムとのつながりが増え、構造が分かりにくい
メインフレームの基幹系やCOBOLの業務システムがよく例に挙がります。ただし、「古いからレガシー」ではありません。 中身を把握できず、変えられない状態が問題の本質です。
経済産業省が2018年のDXレポートで「2025年の崖」と警告した2025年度に、IPAが実施した調査では、DXに取り組む企業は75.7%でした。一方、2024年度調査では、システムの半分以上がレガシーの日本企業が28.5%(13.0%+15.5%で本記事が計算)ありました。
ここから読み取れるのは、DXが広がる中でも、約3.5社に1社で半分以上がレガシーのまま残っている点です。
ポイント
- 問題は稼働年数ではなく、中身を説明できず変更しにくいことです
出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2025(データ集)」/IPA「DX動向2026」
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システムの半分以上がレガシーの日本企業は2022年度の41.2%に対し2024年度は約3割で、2023年度以降は横ばいが続いている

IPAは、2022〜2024年度に同じ設問でレガシーシステムの残存状況を調べています。2022年度は「DX白書2023」(日本542社・米国386社)にまとめられています。2023・2024年度は「DX動向2025(データ集)」で、日本は1,002社・1,516社、米国は2024年度の509社が回答しました。
ただし、2022年度と2023年度以降では、回答企業の選び方と数が異なります。推移は目安として読む必要がある点を、先に押さえておきましょう。
半分以上残る企業は2022年度の41.2%から2023年度に28.8%へ下がり、2024年度も28.5%とほぼ変わっていない
半分以上がレガシーの日本企業は、2023年度に減った後、横ばいです。 「半分程度」+「ほとんど」は、2022年度41.2%(19.2%+22.0%)、2023年度28.8%(13.8%+15.0%)、2024年度28.5%(13.0%+15.5%)です(後2つは本記事の計算)。

出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2025(データ集)」より作成
2023→2024年度の減少は0.3ポイントにとどまります(本記事の計算)。この間、「既にない」24.0%→20.0%、「わからない」12.3%→16.8%、「ほとんど」15.0%→15.5%でした。「一部」は28.2%→34.0%→34.2%、2022年度の「既にない」は12.2%、「わからない」は18.5%です。
改善は2023年度以降、足踏みしていると読み取れます。
注意
2022年度は19業種の企業の経営層やICT・DX関連部門を対象とした調査(542社)、2024年度は企業データベースから業種・従業員規模で割り付けてランダムに抽出した企業を対象とした調査(1,516社)で、2023年度(1,002社)を含め、調査の設計と回答企業数が異なります。12.4ポイントの減少(本記事の計算)には、回答企業の変化も含まれえます。2022年度の集計(DX白書2023)には「その他」の区分がなく、2023年度・2024年度は1.0%、0.6%でした。
2023年度以降は、ほぼ横ばいが続いています。
2022年度調査では「一部に残っている」まで含めると日本企業の約7割がレガシーシステムを持っていた
2022年度調査では、何らかの形でレガシーシステムが残っている日本企業が約7割にのぼりました。 図表1の2022年度の棒のとおり、「一部」28.2%、「半分程度」19.2%、「ほとんど」22.0%でした。
3区分を合わせると69.4%です。この値は本記事が足し合わせて計算したもので、公表値ではありません。一方、「わからない」と答えた企業も18.5%ありました。
この内訳から読み取れるのは、2022年度の41.2%が控えめに出ている可能性です。「わからない」を分母から除くと、半分以上が残る企業は約50.6%になります。
計算式は「41.2%÷(100%−18.5%)」で、公表値ではない本記事の参考値です。ただし、「わからない」と答えた企業の実態が、ほかの企業と同じ分布だとは限りません。41.2%は、実態を把握できていない企業も分母に含んだ数値として読んでください。
日米の差は2022年度に18.4ポイントあったが、2024年度は「わからない」を除くとほぼ同じ水準になった
日米の差は、2024年度にはほぼ消えました。 2022年度は、半分以上が残る企業が日本41.2%、米国22.8%でした。

出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2025(データ集)」(2022年度・2024年度調査)より作成
2022年度の米国は「一部」41.5%、「半分程度」17.6%、「ほとんど」5.2%、「わからない」12.4%でした。「ほとんど」は日本22.0%との差が16.8ポイントで、18.4ポイント差の約9割を占めます。
2024年度は「半分程度+ほとんど」が日本28.5%、米国31.3%(23.0%+8.3%)です(本記事の計算)。米国の「一部」は44.0%、「その他」0.2%、「わからない」は日本16.8%・米国9.2%でした。
「わからない」を除くと、日本約34.3%(28.5÷83.2)、米国約34.5%(31.3÷90.8)です。違いは残り方で、日本は「ほとんど」と「わからない」が多く、米国は一部〜半分程度が中心です。
ただし、米国の「既にない」が2022年度23.3%から2024年度15.3%へ下がっており、回答企業の変化もありうるため「逆転」とは言えません。
日米の差は、大小より残り方の違いとして読むのが妥当です。
出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2025(データ集)」
レガシーシステムを放置すると改修・移行が難しくなり、人材不足の影響も受けやすくなる

レガシーシステムを放置する問題は、保守の手間が増えることだけではありません。 いざ刷新しようとしても、中身が分からず影響範囲も読めず、担える人もいないという形で表れます。
ブラックボックス化したシステムは中身を解析できず、改修やセキュリティ対応が後回しになる
ブラックボックス化は、日本企業が刷新を進めるうえでの大きな課題の一つです。 2022年度調査では、日本企業の31.8%が「ブラックボックス化により解析が困難」を挙げ、米国の22.3%を9.5ポイント上回りました。
中身が分からないと、どこを直せばよいか判断できません。改修のたびに調査の時間がかかり、手を入れること自体が避けられがちです。
セキュリティ対応も同じで、サポートが終わったOSには修正プログラムが提供されず、対応範囲を決めるにも中身の把握が欠かせません。詳しくはEOL(サポート終了)の解説記事で紹介しています。中身を説明できない状態が続くほど、改修もセキュリティ対応も後回しになっていきます。
注意
レガシーシステムが原因のセキュリティ被害について、件数などを示す公的な統計は見つかりませんでした。そのため、この記事ではセキュリティ面のリスクを仕組みの説明として扱っています。
肥大化したシステムは移行の影響範囲を見積もれず、この課題は日米ともに約4社に1社が抱える
肥大化したシステムは、どこを変えると何に影響するのかを見積もれなくなります。 2022年度調査で「肥大化し、移行の影響度を想定できない」を挙げた企業は、日本24.2%、米国25.1%でした。
機能追加を重ねると、プログラム同士や他システムとのつながりが複雑になります。その状態で一部を変えると思わぬところで不具合が起きるおそれがあり、移行計画を立てにくくなります。
「古い技術を理解した技術者を確保できない」も、日本19.5%、米国17.9%とほぼ同じ水準でした。この2項目から読み取れるのは、システムの古さに由来する課題は日米の差が2ポイント未満で、国を問わず共通しているという点です。
「古い言語を扱える人がいない」ことが一番の問題だと思われがちです。しかし日本企業では19.5%で、「その他」を除く8項目のうち7番目にとどまりました。技術者の確保は、刷新の課題の中心ではないと考えられます。
データ収集・解析システムを導入していない企業のうち、「使いこなす人材がいない」を理由に挙げる割合は2022〜2024年に4割台で横ばいが続いている
人材不足で新しいシステムを入れられない企業の割合は、3年間ほぼ横ばいです。 総務省が、常用雇用者100人以上でデータ収集・解析システムを導入していない企業に理由を尋ねた結果です。
「使いこなす人材がいない」は2022年調査43.9%、2023年調査42.1%、2024年調査43.7%でした。2024年調査では建設業が53.2%と、全体を上回りました。

出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」より作成
なお、データ活用についての設問で、「企業全体の4割」という意味でもありません。
新しいシステムを運用できる人がいない状況が続いていると読み取れます。これは、古いシステムを使い続けざるを得ない状況と重なります。
出典: IPA「DX白書2023」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」
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日本企業が挙げる刷新の課題の1位は「プロジェクトリーダーがいない」の33.5%

IPAの2022年度調査では、レガシーシステムの刷新・移行の課題を日米の企業に尋ねています(複数回答)。日本企業で最も多かったのは「刷新・移行に長けたプロジェクトリーダーがいない」の33.5%でした。

出典: IPA「DX白書2023」(2022年度調査)より作成
刷新に長けたプロジェクトリーダーがいない日本企業は33.5%で、米国の約2.4倍にのぼる
日本企業が刷新の課題として最も多く挙げたのは、刷新を率いる人がいないことです。 2022年度調査で「刷新・移行に長けたプロジェクトリーダーがいない」を挙げた企業は、日本33.5%、米国14.0%でした。日本は米国の約2.4倍で(33.5÷14.0で本記事が計算)、米国では8項目中で最も低い値でした。ただし日本の2位(32.2%)・3位(31.8%)との差は2ポイント以内で、上位3項目はほぼ並んでいます。
ただし、日本企業の方が多くの項目を選ぶ傾向があります。「その他」を除く8項目の選択率の合計は、日本205.8%、米国186.3%でした(各項目を足した本記事の計算値)。合計の差19.5ポイントは1項目あたり平均約2.4ポイントにすぎません(19.5÷8で本記事が計算)。この項目だけで19.5ポイント開く理由は、回答傾向では説明しきれません。
日本企業は「ブラックボックス化で解析が困難」も31.8%と高く、刷新を進める人と中身を説明できる情報の両方が足りないと読み取れます。推進役の不足は、米国に比べて日本企業で際立って多い課題として受け止める必要があります。
米国で最も多い課題は、経営層に困難さが理解されず予算や納期を確保できないことの36.8%
米国企業の最大の課題は、経営層との関係にあります。 2022年度調査で「経営者に困難さが理解されず、十分な予算や納期を確保できない」を挙げた米国企業は36.8%で、全項目の中で最も高い値でした。
日本企業は25.7%で、米国より11.1ポイント低いものの、約4社に1社が挙げています。「経営者に必要性が理解されない」も、日本18.8%、米国22.5%でした。
この2項目から、経営層に伝えるべき内容は「なぜ刷新が必要か」と「刷新がどれだけ大変か」の2つだと分かります。必要性だけを伝えて承認を得ても、困難さが伝わっていなければ予算や納期が不足しかねません。刷新を提案するときは、必要性と困難さの両方を説明することが大切です。 具体的な進め方は、後の章で紹介します。
現場の業務フローや操作性へのこだわりは、日米ともに約3割の企業が課題に挙げている
利用部門が今のやり方を変えたがらないことも、刷新を止める大きな要因です。 2022年度調査で「ユーザーの既存業務フローや操作性へのこだわりが解消できない」を挙げた企業は、日本32.2%、米国29.0%でした。
日本ではプロジェクトリーダーの不在に次ぐ2位の課題で、日米差は3.2ポイントです。国を問わず起きる課題だと言えるでしょう。
使い慣れた画面や手順を変えたくない、という声は自然なものです。しかし、古い操作を新しいシステムでそのまま再現しようとすると、改修が増えて刷新の効果も小さくなります。
そのため、刷新は「システムの入れ替え」ではなく「業務の見直し」として捉える必要があるでしょう。早い段階から利用部門を巻き込み、何を変えて何を残すかを一緒に決めてみてください。現場の合意づくりも、刷新の計画に含めておく必要があります。
DXを推進する人材の「質」が不足している企業は2025年度に88.8%で、推進役の不足と重なっている
刷新を率いる人材の不足は、DX人材全体の不足と同じ傾向です。 IPAの「DX動向」調査で、DXに取り組む企業に人材の過不足を尋ねた結果です。
| 指標(DXに取り組む企業) | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|
| 人材の「質」が不足(やや不足+大幅に不足) | — | 86.1% | 88.8% |
| 人材の「量」が不足(やや不足+大幅に不足) | — | — | 85.5% |
| 人材の「量」が大幅に不足 | 62.1% | 58.5% | 50.1% |
| DX推進に必要なスキルを把握できていない | — | — | 52.8% |
出典: IPA「DX動向2026」より作成。「—」は本記事で値を確認していない年度です。
「量」の大幅な不足は3年で12.0ポイント下がりましたが、やや不足を含めると2025年度も85.5%です。
ここから読み取れるのは、日本企業の「推進役がいない」という課題が、人材全般の質の不足と同じ方向を示している点です。ただし、総務省の「使いこなす人材がいない」は横ばいで、母集団や設問も異なるため、不足が和らいだとは言い切れません。
推進役の不足とDX人材の不足は、同じ構造の問題として捉えるべきです。
出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2026」
レガシーシステムの刷新は、現状把握・体制づくり・段階的な移行の順に進める

ここまでのデータを踏まえると、刷新は「現状把握→体制づくり→段階的な移行」の順に進めるのが現実的です。 各ステップの要点は次のとおりです。
ポイント:刷新の3ステップ
- 現状把握:システムを棚卸しする
- 体制づくり:刷新を任せる人材像を決める
- 段階的な移行:影響の小さい部分から移す
最初に自社システムを棚卸しし、どこがレガシーなのかを把握する
刷新の第一歩は、自社のどのシステムがレガシーなのかを把握することです。 2022年度調査では、DXに取り組んでいない日本企業(157社)の40.8%が、自社のレガシーの状況を「わからない」と答えました。
DXに取り組む企業(376社)の8.2%と比べ、約5倍です(40.8÷8.2で本記事が計算)。日本企業全体では18.5%でした。

出典: IPA「DX白書2023」(2022年度調査、日本企業)より作成
社数に直すと、「わからない」は取組なしで約64社、取組ありで約31社です(157×40.8%、376×8.2%で逆算した概数)。約3分の2がDX未着手の企業から出ている計算です。
どちらが原因かは判断できませんが、刷新の判断より前に、まず棚卸しが必要です。 システムごとに次の項目を確認してみてください。
- 稼働時期とハードウェア・OS・言語
- 保守期限
- 仕様書・設計書の有無と鮮度
- 中身を説明できる担当者
- 他システムとのつながり
台帳の作り方は、IT資産管理の解説記事も参考になります。
刷新を任せる人材像とスキルを明確にすると、人材不足の深刻さが和らぐ傾向がある
推進役の不足に対しては、まず「どんなスキルを持つ人が必要か」を決めることが出発点になります。 IPAの2025年度調査では、必要なスキルを把握している企業とそうでない企業で、人材不足の感じ方に差がありました。
人材の「質」が大幅に不足と答えた割合は、スキルを把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%でした。差は23.4ポイントです(本記事による計算)。
一方で、DXを推進する人材像を設定して社内に周知している企業は16.2%にとどまり、DX人材の評価基準が「ない」企業は76.1%にのぼりました。
なお、これらはDXに取り組む企業のDX人材についての数値で、レガシー刷新の担当者に限りません。また、スキルの把握と不足感の関係は相関で、因果までは示していません。
それでも、必要なスキルを言葉にしておくと、社内で育てるか外部に頼るかを判断しやすくなります。ひとり情シスの場合も、外部パートナーに任せる範囲を決めるときに同じ整理が使えるでしょう。刷新を任せる人材像を先に決めておくことが、体制づくりの前提になります。
移行に割ける要員が限られる企業は、リホストなどを使って段階的に移行する
要員が限られる企業は、一度に全部を作り直さず、段階的に移行するのが現実的です。 2022年度調査では、日本企業の20.1%が「DXなど他の案件に手一杯で、十分な要員を移行に割けない」を挙げ、米国も18.7%とほぼ同じ水準でした。主な手法は次のとおりです。
| 手法 | 内容 | 変更の大きさと手間 |
|---|---|---|
| リホスト | プログラムはそのままに、動かす基盤(サーバーやクラウド)だけを移す | 小さい。中身の問題は残る |
| リライト | 同じ機能のまま、プログラムを新しい言語に書き換える | 中程度。仕様の把握が前提になる |
| リビルド | 業務を見直したうえで、システムを新しく作り直す | 大きい。業務の見直しも伴う |
| リプレース | パッケージ製品やSaaSに置き換える | 製品に合わせた業務の変更が必要になる |
手法の名称や分類は資料によって異なります。IPAの「DX白書2023」は、機能ごとに「再構築・追加・廃棄・現状維持」のどれにするかを評価することを刷新の出発点とし、段階的に移行する方法の例として、機能を少しずつ新システムに置き換える「ストラングラーフィグパターン」を挙げています。
費用や期間の公的データは見つからないため、表に数値は載せていません。クラウドへの移し方はクラウド移行の解説記事で紹介しています。
段階的な移行では、影響の小さい部分から移し、問題がないことを確かめながら進めます。経営層には、必要性と手間の大きさを併せて伝えてください。一度に全部を変えず、小さく始めて順に広げる方法が、要員の限られる企業に向いています。
出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2026」
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2024年度はユーザー企業の61%がレガシーシステムを保有し、保有率は大企業ほど高い

経済産業省の「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」(2025年5月公表)は、保有の有無を企業規模別に示しています。もとになったのは、2024年12月〜2025年2月の2024年度ソフトウェア動向調査です。IPAの残存状況とは指標が異なるため、同じ推移としては並べません。
保有率61%は一部だけ残る企業も含む数値で、システムの半分以上がレガシーの企業は約3割にとどまる
「約6割の企業がレガシーを保有」は、一部だけ残る企業まで含めた数値です。 経済産業省のレポートでは、2024年度のユーザー企業の保有率は61%(図表の表示は整数)でした(516社)。
IPAの2024年度調査で「一部」34.2%、「半分程度」13.0%、「ほとんど」15.5%を合わせると62.7%で、61%とほぼ一致します。ただし最も多いのは「一部」で、半分以上がレガシーの企業は28.5%です(いずれも本記事の計算)。残りは「既にない」20.0%、「わからない」16.8%などでした。
2つを並べて読み取れるのは、「約6割」を刷新が急がれる企業の割合として使うと、実態より深刻に見えるという点です。
なお、経済産業省側の選択肢や「保有」の基準は未確認です。「わからない」を除けばIPAは約75.4%(62.7÷83.2)で、一致は偶然かもしれません。回答企業数(516社、1,516社)や調査時期も異なります。
「約6割」は、刷新が急がれる企業の割合として使わないようにしましょう。
大企業の保有率は74%で、全体の61%を約13ポイント上回る
経済産業省のレポートでは、大企業ほどレガシーシステムを保有している傾向が示されています。 2024年度の保有率は大企業で74%(402社)で、全体の61%より約13ポイント高い値でした。
同レポートも、大企業の方が中小企業より保有率は高いとしています。中小企業の保有率は数値の記載が無いため、本記事では扱いません。
この結果から、長い期間に多くのシステムを積み上げてきた企業ほど、古いシステムを抱えやすいと考えられます。
ただし、全体は業種別(516社)、大企業は企業規模別(402社)の集計で、対象が異なります。約13ポイントは、大企業と中小企業の差そのものではない点に注意が必要です。「大企業」の定義は未確認で、保有の有無だけの指標のため深刻度の差も読み取れません。
レガシーシステムは「IT化が遅れた中小企業の問題」に限らず、大企業でより広く見られる課題として捉える必要があります。
企業規模別の残存度合いを示す公的データは見当たらず、中小企業は自社の棚卸しで状況を確かめる必要がある
中小企業が自社と比べられる、規模別の残存度合いの公的データは見当たりません。 IPAは全体と業種別の値のみ、経済産業省は大企業の保有の有無のみです。
一方、IPAの2025年度調査では、DXに取り組む企業は従業員1,001人以上で98.7%、100人以下で41.6%でした。差は57.1ポイントです(本記事の計算)。
規模による違いは大きいと考えられるのに、残存度合いのデータは空白だと読み取れます。2022年度調査ではDX未着手企業の40.8%が状況を「わからない」と答えており、中小企業の保有率の低さが実態か把握不足かは判断できません。
他社と比べるより、前の章の棚卸しで自社のシステムを確かめるのが最も確実です。
注意
同レポートによると、もとになった調査の全設問と回答データは、IPAの「2024年度ソフトウェア動向調査」の公開ページで公開されています。規模別の詳しい傾向は、このデータで確認できる可能性があります。
出典: 経済産業省「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」/IPA「DX動向2025(データ集)」/IPA「DX動向2026」/IPA「DX白書2023」
まとめ:レガシーシステムは「中身を把握できているか」から見直す
レガシーシステムは、古さそのものより、中身を把握できず変更しにくいことが問題です。この記事の要点を整理します。
- 老朽化・ブラックボックス化・肥大化の3つの状態を抱えたシステムを指します
- 半分以上がレガシーの日本企業は2022年度41.2%、2024年度28.5%(本記事での計算)で、2023年度以降はほぼ横ばいです。日米は2024年度、「わからない」を除くとほぼ同水準です
- 2024年度の大企業の保有率は74%で、大企業ほど多い傾向です
- 2022年度調査での刷新の課題1位は、プロジェクトリーダーの不在(33.5%)です
- 棚卸し→人材像の整理→段階的な移行の順に進めます
中小企業の残存度合いは公的データで確認できず、2022年度調査ではDX未着手企業の40.8%が状況を「わからない」と答えています。まずは自社のシステムを一覧にし、中身を説明できる人がいるかを確かめてみてください。
出典: IPA「DX白書2023」/IPA「DX動向2025(データ集)」/経済産業省「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」
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この記事では、刷新を進める推進役や、システムの中身を説明できる人材の不足が大きな課題になっていることを見てきました。こうした人材は、外部から採用するだけでなく、社内で育てていく視点も欠かせません。
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※出典

