【IPA調査】ライセンス管理ツールの選び方|管理製品の導入は中小企業の10.3%(2024年度)、規模別の差と導入手順も解説

ソフトウェアのライセンス管理、Excelの台帳で何とか回していませんか。情シスを任されたばかりの方や、ひとりで社内IT全般を見ている方からよく聞く悩みです。
- Excelのライセンス台帳が、もう誰も正しいと言い切れない状態になっている
- ライセンス管理ツールとIT資産管理ツールの違いがよく分からない
- うちの規模でツールを入れるのは、まだ早いのではと迷っている
結論から言うと、ライセンス管理ツールは「何本持っていて、誰が使っていて、いつ更新か」を一元管理するためのツールです。導入を考えるときは、全体の平均ではなく自社と同じ規模の企業の状況と比べ、運用できる体制に合わせて選ぶのが現実的です。
この記事では、ツールの役割と主な機能、選び方、導入の進め方を解説します。他社の導入状況は、IPA(情報処理推進機構)の公的調査をもとに整理しました。
この記事のポイント
- 対象はライセンス管理/IT資産管理製品です。2024年度の調査で、導入している中小企業は10.3%でした。「対策の必要性を感じたことがない」と回答した企業を除いた集計です(出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」)
- 2024年度の企業規模別では、小規模企業者が5.5%、101名以上の企業が22.9%です。約4倍の差があり、自社と同じ規模の値で比べるのが妥当です(出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」)
- 同じ2024年度調査で、ウイルス対策ソフトの導入と定義ファイルの更新は71.4%が実施(一部実施を含む)しています。管理製品が広がらない理由は、製品よりも「台帳を誰が持つか」にある可能性が高いと考えられます。(出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」概要説明資料)
ライセンス管理ツールはソフトウェアの保有数と利用状況を一元管理するためのツール
ライセンス管理ツールとは、購入したソフトウェアライセンスと、実際に使っている端末・利用者を突き合わせて管理するツールです。どのソフトを何本契約し、誰が使い、いつ更新が来るのかを一か所で確認できるようにします。
なお、台帳の項目設計や棚卸しの進め方といったライセンス管理の運用ルールは、別の記事で詳しく解説しています。この記事では「ツール」の選び方と導入に絞ってお伝えします。
ポイント
- 保有しているライセンスの種類と数
- ライセンスを割り当てている端末・利用者
- 契約期限と更新日
- 実際のインストール状況・利用状況
ライセンス管理ツールの役割は保有数・割り当て・契約期限の3点を把握すること
ライセンス管理ツールの役割は、ライセンスの「保有数」「割り当て」「契約期限」を常に正しく把握できる状態にすることです。この3つが分かれば、ライセンスの不足や余り、更新漏れに早く気付けます。
具体的には、次の3つを管理します。
- 保有数と使用数の差:契約している数に対して、実際に何本使っているか(過不足の確認)
- 割り当て:どの利用者・どの端末にライセンスを渡しているか
- 契約期限:いつ更新日や解約期限が来るか
管理の対象は、PCにインストールするパッケージソフトだけではありません。製品によっては、SaaSのアカウントもライセンスの一種として管理できます。
Excelの台帳でも同じ項目は持てます。ただ、手入力のため更新漏れが起きやすいのが弱点です。ツールとの違いは、後半の「主な機能」と「導入の進め方」で詳しく説明します。
IT資産管理製品とは機能が重なり、公的統計でも「ライセンス管理/IT資産管理製品」の1項目で集計されている
ライセンス管理ツールとIT資産管理ツールは、機能の多くが重なっており、はっきり分けられないのが実情です。IT資産管理ツールはPCや周辺機器、ソフトウェアを広く管理する製品で、その一機能としてライセンス管理を備えているものが多くあります。
今回参照した公的な調査でも、両者は区別されていません。IPAの2024年度の中小企業向け調査には、セキュリティ製品の導入状況を尋ねる設問があります。その中で「ソフトウェアライセンス管理/IT資産管理製品」は1つの選択肢にまとめられています。
この点から言えるのは、ライセンス管理専用の製品がどれだけ普及しているかは、公的統計からは分からないということです。オンプレミスのソフトとSaaSのどちらを管理しているのかも、区別できません。
注意
この記事で紹介する導入率は、すべてIPA調査の「ソフトウェアライセンス管理/IT資産管理製品」という1項目の値です。ライセンス管理ツール単体の導入率ではない点にご注意ください。以降は、この製品をまとめて「管理製品」と呼びます。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
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ライセンス管理/IT資産管理製品を導入している中小企業は2024年度時点で10.3%
IPAの2024年度調査によると、管理製品を導入している中小企業は10.3%で、およそ1割にとどまります。さらに、企業規模によって導入率には大きな差があります。
この数値の出典は、IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」です。セキュリティ製品・サービスの導入状況を尋ねた設問で、この選択肢を選んだ企業の割合を示しています。ここからは、経年の推移と企業規模別の違いを順に見ていきます。
管理製品の導入率は2016年の5.5%から2024年に10.3%へ上がったが、母集団の違いに注意が必要
IPAの調査で管理製品の導入率を年ごとに見ると、2016年の5.5%から2024年の10.3%へ上がっています。間の2021年は6.7%でした。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」をもとに作成。2024年は「対策の必要性を感じたことがない」と回答した企業を除いた集計です(n=2,203)。2021年(n=4,074)・2016年(n=4,215)とは、母集団の定義が異なる可能性があります。調査年の間隔は等間隔ではありません。
この推移から読み取れるのは、伸びが近年に集中しているように見える点です。2016年から2021年の5年間は1.2ポイント増、2021年から2024年の3年間は3.6ポイント増でした。
ただし、2024年の値だけは「対策の必要性を感じたことがない」企業を除いて集計しています。そのため、伸びの一部、場合によっては大半が集計方法の違いによるものかもしれません。
どちらに解釈しても、2024年度の時点で管理製品を導入している中小企業は約1割という結論は変わりません。
企業規模別では小規模企業者5.5%に対し101名以上は22.9%と約4倍の差がある
IPAの2024年度調査を企業規模別に見ると、規模が大きい企業ほど管理製品の導入率が高く、最大で約4倍の差があります。
小規模企業者は5.5%、小規模企業者を除く従業員100名以下の中小企業は12.6%、101名以上の中小企業は22.9%でした。全体の値は10.3%です。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」をもとに作成。いずれも「対策の必要性を感じたことがない」と回答した企業を除いた集計(n=2,203)の内訳で、n値は小規模企業者1,103、100名以下834、101名以上266。
ここでいう小規模企業者は、商業・サービス業なら従業員1〜5名、製造業などなら1〜20名の企業です。ひとり情シスや、総務の方が兼務でITを見ている会社の多くがここに入るはずです。
なお、101名以上の区分は回答数が266社と少なめです。数値には多少の幅があると考えてください。それでも、規模が大きいほど導入が進んでいる傾向ははっきりしています。
企業規模による差は8年間の伸びの約3.6倍あり、他社と比べるなら同じ規模の値を使う
IPAの調査で、全体の導入率は2016年が5.5%、2024年が10.3%でした。2024年の企業規模別では、小規模企業者が5.5%、101名以上が22.9%です。
この4つの値から読み取れるのは、導入率を左右しているのは「いつか」よりも「どの規模の企業か」だという点です。全体の8年間の伸びは4.8ポイントですが、2024年の規模による差は17.4ポイントで、約3.6倍の開きがあります。
2024年の小規模企業者の5.5%は、2016年の全体値と同じ水準です。全体平均の10.3%と比べると、自社の状況を見誤るおそれがあります。
ただし、2016年と2024年は母集団の定義が異なる可能性があるため、伸び幅は目安として見てください。
ポイント:自社の位置は規模別の値(IPA 2024年度調査)で確かめる
- 小規模企業者(商業・サービス業1〜5名、製造業等1〜20名):5.5%
- 従業員100名以下の中小企業(商業・サービス業6〜100名、製造業等21〜100名):12.6%
- 従業員101名以上の中小企業:22.9%
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
ライセンス管理ツールが求められる背景には、台帳を持つ担当と体制の不足がある
ライセンス管理ツールが必要な理由としては、ライセンス違反の防止、ムダな購入の削減、セキュリティの確保の3つがよく挙げられます。どれも大事な観点ですよね。
ただ、ツールが広がらない背景には「台帳を持つ担当と体制が足りない」という事情があると考えられます。この章では、IPA調査で確かめられる「体制」の側面から、その背景を見ていきます。
ウイルス対策ソフトの導入・更新は71.4%が実施しているのに、管理製品は約1割にとどまる
IPAの2024年度調査では、端末ごとに実施できる対策は7割を超える一方、管理製品の導入は約1割という差が出ています。
ウイルス対策ソフトの導入と定義ファイルの更新は71.4%、OSやソフトウェアを最新に保つ対策は73.0%が実施(一部実施を含む)していました。これに対して、管理製品の導入率は10.3%です。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書・概要説明資料をもとに作成。OS更新・ウイルス対策は「実施/一部実施」の合計(n=4,191)です。管理製品は一部企業を除いた集計(n=2,203)で、母数が異なります。
同じ2024年度調査では、対策を組織ではなく各自で行う企業が69.7%でした。ウイルス対策やOS更新は各自でも進められますが、ライセンス管理は誰かが会社全体の台帳を持たないと成り立ちません。
この対比から読み取れるのは、管理製品が広がらない理由は、製品を入れること自体より「組織で台帳を持つこと」にある可能性です。
ただし、両者は母数が違うため単純には比べられず、予算など別の理由も考えられます。
中小企業の69.7%はセキュリティ対策を組織ではなく各自で行い、小規模企業者では84.5%に上る
IPAの2024年度調査では、小規模企業者ほど対策を各自に任せている割合が高く、管理製品の導入率も低いという結果が出ています。
| 区分 | 対策を組織的に行わず各自対応としている割合 | 管理製品の導入率 |
|---|---|---|
| 中小企業全体 | 69.7% | 10.3% |
| 小規模企業者 | 84.5% | 5.5% |
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書をもとに作成。管理製品の導入率は一部企業を除いた集計です。
この表から読み取れるのは、小規模企業者では2つの課題が重なっていることです。各自対応の割合は全体より14.8ポイント高く、管理製品の導入率は全体の約半分です。
つまり、「誰が台帳を持つか」と「何で情報を集めるか」を同時に決める必要があります。
ただし、2つの指標は母集団がそろっておらず、個々の企業で両方が重なっているかまでは確認できません。
ライセンス違反や過剰購入のリスクは公的統計では測られておらず、台帳が無いと自社でも把握できない
ライセンス管理が不十分なときのリスクは、どれも台帳が無いと自社で気付きにくいものです。代表的なものは次の3つです。
- コンプライアンスのリスク:使用許諾の範囲を超えてインストールしたり、契約数以上の人が使ったりしてしまう
- コストのリスク:使っていないライセンスを更新し続け、ムダな費用を払ってしまう
- セキュリティのリスク:退職者や異動者のアカウントが残り、不正利用の入口になってしまう
ここで注意したいのは、これらのリスクがどれだけ起きているかを示す公的統計が見当たらない点です。違反の件数や、ムダになっている費用の大きさは、今回参照したIPA調査では測られていません。
統計で確かめられるのは、管理製品の導入状況や、対策を各自で行っている企業の多さまでです。だからこそ、自社のリスクを判断する材料は、自社の台帳しかないと考えておくのが現実的です。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」概要説明資料
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ライセンス管理ツールの主な機能は情報収集・台帳管理・通知・レポートの4つ
ライセンス管理ツールの機能は、「集める」「突き合わせる」「知らせる」「出力する」の4つに整理できます。どれもExcel台帳では手作業になる部分を、自動化するための機能です。
| 機能 | できること | Excel台帳との違い |
|---|---|---|
| 情報の自動収集 | 端末にインストールされたソフトや、SaaSのアカウント情報を自動で集める | 担当者が端末を回ったり、利用者に申告してもらったりする手間が減る |
| 台帳管理(突き合わせ) | 保有ライセンスと実際の利用状況を照合し、過不足を一覧で示す | 手入力による転記ミスや更新漏れが起きにくい |
| アラート通知 | 保有数を超えた利用や、契約期限が近いライセンスを知らせる | 担当者が台帳を見に行かなくても、問題に気付ける |
| レポート出力 | 棚卸しやライセンス監査に使う一覧・報告書を出力する | 監査のたびに集計表を作り直す必要がない |
特に効果が大きいのは、自動収集と台帳管理の組み合わせです。台帳が最新の状態に保たれていれば、アラートやレポートも正しく機能します。
ただし、製品によって備えている機能の範囲は異なります。たとえば、端末の管理に強い製品もあれば、SaaSの管理に強い製品もあります。自社に必要な機能を見極めることが、製品選びの出発点です。次の章で、選ぶときの確認ポイントを解説します。
ライセンス管理ツールは管理対象の範囲と運用できる体制に合わせて選ぶ
ライセンス管理ツールは、「何を管理したいか」と「誰がどれだけ運用できるか」に合わせて選ぶのが基本です。機能が多い製品ほど良いとは限りません。
先にお伝えしておくと、今回参照した公的統計には、ツールの選定基準を示すデータはありません。この章は、IPA調査で分かる中小企業の体制の実態を踏まえた解説です。事実と、そこからの考え方を分けて書いていきます。
選定時のチェックリスト
- 管理したいのはオンプレミスのソフトか、SaaSか、その両方か
- 兼務やひとり情シスでも無理なく運用できるか
- 費用と、必須の機能の範囲を先に決めたか
- 自動収集・アラート・レポートの機能と、提供形態・サポート体制は十分か
管理したい対象がオンプレミスのソフトかSaaSかで、選ぶ製品の型が変わる
ライセンス管理ツールは、管理したい対象によって向いている製品の型が変わります。PCにインストールするソフトが中心なのか、SaaSが中心なのかを最初に確認しましょう。
| 製品の型 | 得意なこと | 向いている状況 |
|---|---|---|
| IT資産管理一体型 | 端末と、端末にインストールされたソフトの管理 | PCの台数が多く、端末の管理もまとめて行いたい |
| SaaS管理型 | SaaSのアカウントと契約の管理 | 業務の多くをSaaSで行っている |
| ライセンス管理特化型 | ライセンスの契約・割り当て・監査対応の管理 | 契約形態が複雑なソフトを多く使っている |
| 表計算ソフトの台帳(参考) | 少ない費用で項目を自由に設計できる | 管理対象が少なく、まず現状を整理したい |
前の章で触れたとおり、公的統計ではオンプレミスとSaaSのどちらを管理しているのかを区別できません。そのため、自社の利用状況を基準に考えるのが確実です。
SaaS管理型の詳しい特徴は、SaaS管理ツールの記事で解説しています。自社のソフトの使い方に合った型を選ぶことが、ムダな機能に費用を払わないコツです。
兼務やひとり情シスでも回せるよう、運用の手間が少ない製品を選ぶ
ツールを選ぶときは、兼務の担当者でも無理なく回せるかどうかを、選定基準の上位に置くことをおすすめします。多くの中小企業では、専任の担当者がいないためです。
IPAの2024年度調査によると、情報セキュリティ対策の専門部署(担当者)がある中小企業は9.3%でした。兼務だが担当者を任命している企業は21.0%です。担当者がいる企業でも、多くは兼務で対応していることが分かります。
別の調査として、総務省の通信利用動向調査(2018年調査)もあります。情報通信ネットワークを使ううえでの問題点として「運用・管理の人材が不足」を挙げた企業は44.4%で、前年から7.1ポイント上がっていました。調査主体も対象も異なり、データもやや古いため、IPAの値とは比べずに参考として見てください。
これらの結果から考えると、ツールの運用にかけられる人手は限られていると見るのが自然です。自動収集の精度、エージェント(端末に入れる収集用ソフト)を配る手間、画面の分かりやすさを確かめてみてください。
中小企業の約7割はセキュリティ投資をしていないか把握していないため、費用と必要な機能の範囲を先に決める
予算の面では、費用をかける前に「必須の機能」と「あれば良い機能」を分けておくことが大切です。
IPAの2024年度調査によると、情報セキュリティ対策への投資額について「投資していない」「わからない」と答えた中小企業等は約7割でした。新しいツールの予算を確保するのは、簡単ではない企業が多いと考えられます。
ライセンス管理ツールには、端末数やユーザー数に応じて課金する製品があります。料金体系は製品ごとに異なるため、見積もりで確認してください。無料のツールや表計算ソフトの台帳から始める選択肢もあります。機能を切り分けるときは、次のように考えると整理しやすくなります。
- 必須の機能の例:インストール情報の自動収集、保有数と利用数の突き合わせ
- あれば良い機能の例:SaaSアカウントの検出、監査用レポートの出力、契約期限のアラート
- 後回しにできる機能の例:自社で使っていない機器やOSへの対応
必須の機能が決まっていれば、見積もりの比較や社内への説明もしやすくなります。
自動収集・アラート・レポートの機能と、提供形態・サポート体制を確認する
候補の製品が絞れたら、機能・提供形態・サポートの面から、実際に自社で使えるかを確認します。カタログ上の機能があっても、自社の環境で動かなければ意味がないためです。
確認しておきたいポイントは次のとおりです。
- 機能:主な機能の章で紹介した機能のうち、自社に必要な機能を備えているか
- 連携:社内で使っている端末のOSや、利用中のSaaSと連携できるか
- 提供形態:クラウド型かオンプレミス型か。自社でサーバーを管理する余力があるか
- セキュリティ:収集したデータの保管場所や、管理画面へのアクセス制御は十分か
- サポート:導入時の設定支援や、問い合わせ窓口が用意されているか
- 試用:無料トライアルで、自社の端末から正しく情報を集められるかを試せるか
特に無料トライアルは、収集の精度を確かめる良い機会です。契約前に、自社の環境で実際に動かしてみることをおすすめします。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」概要説明資料/総務省「平成30年通信利用動向調査」
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ライセンス管理ツールの導入は台帳の担当を決めることから始める
ライセンス管理ツールの導入は、製品選びより先に、台帳の担当を決めるところから始めます。進め方は大きく3つのステップに分けられます。
導入の3ステップ
- ステップ1:台帳の担当者と管理ルールを決める
- ステップ2:手作業の台帳で現状を棚卸しする
- ステップ3:試験導入で精度を確かめ、定期運用に組み込む
最初のステップはツール選定ではなく、台帳の担当者と管理ルールを決めること
導入の最初にやるべきことは、台帳を持つ担当者と、更新のルールを決めることです。ツールは、台帳を持つ人が決まって初めて役に立つためです。
背景の章で見たとおり、IPAの2024年度調査では、ウイルス対策ソフトの導入・更新の実施率は71.4%(一部実施を含む)なのに対し、管理製品は10.3%でした。同じ調査で、対策を各自で行っている企業は69.7%に上ります。担当を決めている企業は、専門部署が9.3%、兼務の任命が21.0%です。
この結果から考えると、管理製品を入れる前に、台帳を誰が持つかを決めておく必要があります。最初に決めておきたい項目は次のとおりです。
- 台帳の担当者(主担当と、不在時の代わりの担当者)
- 台帳を更新するタイミング(入社・退職、端末の入れ替え、ソフトの購入時など)
- ソフトやSaaSを新しく使うときの申請と承認の流れ
- 定期的に台帳を見直す頻度
担当とルールが決まれば、ツールに何を任せるべきかも見えてきます。
手作業の台帳で現状を棚卸しし、ツールに移す判断材料をそろえる
担当を決めたら、まずは手作業の台帳で現状を棚卸しし、ツールに移すかどうかの判断材料をそろえます。いきなりツールを入れるより、手間のかかる部分がはっきりするためです。
IPAの2024年度調査では、専門部署がある企業(9.3%)と、兼務の担当者を任命している企業(21.0%)を合わせると約3割になります。一方で、管理製品の導入率は約1割でした。
この差から読み取れるのは、担当者がいてもツールまでは届いていない企業が多い可能性です。ツールの導入は、担当を決めた次の段階と位置づけるのが自然です。なお、両者は母数が違うため、単純に引き算することはできません。
特に小規模企業者は、2024年度の管理製品の導入率が5.5%、各自対応の割合が84.5%でした。この規模の企業では、まず表計算ソフトの台帳で現状を整理するのが現実的です。
台帳の作り方は、IT資産管理台帳の記事で解説しています。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」には、付録として資産管理台帳のサンプルも用意されています。端末の数が増えたり、台帳の更新作業が回らなくなったりしてきた時点が、ツールに移る目安です。
試験導入で収集の精度を確かめてから全社に広げ、定期的な突き合わせを運用に組み込む
ツールを選んだら、一部の部署で試してから全社に広げ、定期的な突き合わせを運用に組み込みます。最初から全社に入れると、収集漏れや設定のミスに気付きにくいためです。
進め方の例は次のとおりです。
- 一部の部署で試験導入し、エージェントの配布や収集の手順を確かめる
- ツールが自動で集めた結果と、手作業の台帳を突き合わせて差分を確認する
- 差分の原因(収集できない端末、未登録のソフトなど)を解消してから、全社に展開する
- 月次や四半期ごとなど、自社で決めた周期で台帳とツールの結果を点検する
- 契約の更新前に、利用状況を確認して本数の増減を判断する
点検の周期は、端末の入れ替えの頻度や担当者の負担を見ながら自社で決めてください。ツールを入れて終わりにせず、定期的な点検を運用に組み込むことで、台帳を正しい状態に保てます。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」概要説明資料/IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」
まとめ:ライセンス管理ツールは自社と同じ規模の導入状況を確かめ、体制に合わせて選ぶ
ライセンス管理ツールは、自社と同じ規模の企業の導入状況を確かめたうえで、運用できる体制に合わせて選ぶのが基本です。最後に、この記事の要点を振り返ります。
- ライセンス管理ツールは、ライセンスの保有数・割り当て・契約期限を一元管理するツールです。公的統計の導入率は「ライセンス管理/IT資産管理製品」をまとめた値である点に注意が必要です
- IPAの2024年度調査では、管理製品の導入率は全体で10.3%でした。企業規模別では小規模企業者5.5%、101名以上22.9%と差が大きく、自社と同じ規模の値と比べるのが妥当です
- 同じ2024年度調査でウイルス対策ソフトの導入・更新の実施率は71.4%(一部実施を含む)でした。管理製品が広がらない理由は、台帳を持つ担当が決まっていないことにある可能性があります
- 選ぶときは、管理対象の範囲、兼務でも回せる運用の手間、費用と必須機能、機能・提供形態・サポートの4点を確認します。導入は、台帳の担当とルールを決めるところから始めます
まずは自社がどの規模区分に当たるかを確かめ、台帳の担当者を決めるところから始めてみてください。
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出典一覧
※出典
– IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
– IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」概要説明資料
– 総務省「平成30年通信利用動向調査」
– IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」

