ITリテラシー研修とは?導入すべき理由と企業が成果を出すための実践ポイント

ITリテラシー研修とは?導入するべき理由

業務のIT化が進んでいるけど、現場はまだアナログ対応が多い

新しいITツールを導入しても、うまく使いこなせない

セキュリティの意識が低くてヒヤッとした経験がある

DXの波に乗ろうとしても、従業員のITリテラシーが追いつかず、思うように進まないケースが増えています。

実際、ITリテラシーの低さが原因で、業務効率や情報セキュリティに大きな課題を抱えている企業は少なくありません。

企業のDXを加速させるためには、組織全体でのITリテラシーの向上に取り組む必要があります。

本記事では、ITリテラシー研修の基本から、企業にとっての必要性、導入のメリットや効果的な実施方法までを解説します。

この記事を読めば、ITリテラシー研修を導入すべき理由と、自社に合った進め方が明確になります。

社内のIT活用レベルを一段引き上げ、DX推進を成功に導くために、ぜひ最後まで確認してみてください。

目次

ITリテラシー研修とは?

ITリテラシー研修とは?

ITリテラシー研修とは、従業員が業務でITを正しく、かつ安全に活用できるようにするための教育プログラムです。

単なるPC操作やアプリの使い方だけでなく、情報セキュリティやクラウド、SaaSツールの適切な利用方法など、業務全体を支える基礎知識を学習します。

新入社員〜ベテラン社員までITスキルを身につければ、業務効率化や生産性の向上につながるため、企業のDX推進を加速させるために重要です。

対面やオンラインなど研修方法はさまざまなので、自社のニーズに適した方法や内容を選択することが重要です。

DX推進に不可欠なのが従業員全体のITリテラシー向上

DX推進に不可欠なのが従業員全体のITリテラシー向上

DXを進めるためには、最先端のIT技術だけではなく、まずは現場社員がITをうまく活用できるスキルが必要です。

ITリテラシーが低い現場で起こりがちなDXの失敗例
  • 高額なクラウドサービスを導入したが、使い方がわからず利用率が1割未満
  • ペーパーレス化を図ったが、PDFを印刷して手渡しする社員が多数
  • BIツールを導入したが、現場が「グラフの見方がわからない」と戸惑う

現場のITスキルが不足している状態では、どれだけ高機能なシステムを導入しても、IT投資の効果は十分に得られない可能性が高いです。

現場が新しいツールや仕組みに対応できず、「結局これまで通りのやり方に戻ってしまう」ケースも少なくありません。

企業が適切にDXを進めるためにも、従業員全体のITリテラシー向上が不可欠です。

ITリテラシーが低いと企業が抱える4つのリスク

ITリテラシーが低いと企業が抱える4つのリスク

ITリテラシーが低い場合に企業が抱えるリスクは、以下の4つです。

ITリテラシーが低い状態を放置していると、情報漏えいや生産性の低下などさまざまなリスクに発展します。

ここでは、ITリテラシーが低い場合に発生する具体的なリスクを確認しましょう。

セキュリティリスクが高まる

ITリテラシーが低いと、従業員のミスによってセキュリティ事故につながる可能性があります。

ITリテラシーが低い場合のセキュリティ事故例
  • フィッシングメールからIDが流出し、社内システムに不正アクセスされた
  • Wi-Fi設定を誤り、顧客情報が外部から閲覧可能な状態になっていた
  • USBメモリの紛失によって、取引先との信頼関係が破綻した

たとえば、従業員宛に届いた不審なメールのリンクをクリックした場合にフィッシングサイトへ誘導され、個人情報を搾取されてしまうケースなどです。

情報セキュリティ対策はシステムだけでは不十分なため、従業員の意識を高めるためにも、ITリテラシー研修が重要です。

取引先企業からの信頼度が低下する

ITリテラシーが低い状態が取引先企業に伝わると、信頼度が低下するリスクがあります。

ITに関する話題の際にITリテラシーが低いと感じると企業側は「情報漏えいしたらどうしよう」と不安を抱えるケースが少なくありません。

仮に情報漏洩などが発生すると、取引先からの信頼を失うだけでなく、損害賠償や契約終了などの重大な影響が生じることもあります。

ビジネスにおいて企業から信用を得るためには、ITリテラシーが高いことも重要といえるでしょう。

企業の生産性が低下する

ITリテラシーが低い企業は、生産性の低下にもつながる可能性があります。

AIやクラウドなどさまざまなITツールがありますが、ITリテラシーが低い場合は操作に手間取ったり、情報収集に時間がかかったりするなど、さまざまな場面で問題が発生するでしょう。

ITリテラシーが低い職場でありがちな状況
  • WordやExcelの基本操作に時間がかかる
  • 業務システムの利用を避け、紙や手作業で対応
  • 社内共有ツールを活用できず、情報伝達が属人的
  • ITトラブルが発生するとすぐに情シスへ丸投げ

ツール導入だけでは生産性は上がらず、使いこなせる人材の育成が伴って初めて効果が出ます。

従業員が正しいIT知識を身につけ、生産性を向上させるためにも、ITリテラシー研修の重要度は非常に高いといえるでしょう。

働き方の変化に対応できない

テレワーク、クラウド活用、ペーパーレス化など、現代の働き方は多様化しています。しかし、ITリテラシーが低いと、働き方の変化に対応できず、柔軟性のない職場となる可能性が高いです。

また、うまくITツールを活用できなければ、取引先とのWeb会議や契約書類のやりとりをおこなうなどのシーンでも悩むことが多くなります。

社内外でのやり取りを円滑にするためにも、従業員のITリテラシーの向上は重要度が高いです。

ITリテラシー研修が必要な企業の特徴

ITリテラシー研修が必要な企業の特徴

ITリテラシー研修が必要な企業の特徴は、以下のとおりです。

特徴に当てはまる企業は「自社は問題ない」と考えるのではなく、一度社内を見直し、ITリテラシー研修が必要かどうか判断するようにしましょう。

DX推進したい

多くの企業では「とりあえずツールを導入してみたが、結局使いこなせなかった」といったケースに直面しています。

DX化をうまく進めるためには、従業員が十分なITリテラシーを身につける必要があります。

ITリテラシー研修を通じて、ITの基礎知識を身につけておくことで、新ツール・サービスの導入もスムーズにおこなえるでしょう。

経営層のITリテラシーが低い

経営層がITを正しく理解していない企業では、IT投資の意思決定や人材育成に影響が出やすくなります。

情報漏洩やサイバー攻撃のようなインシデントが発生した際、対応を間違えると企業の信用度低下につながるでしょう。

経営層が理解するべきIT
  • クラウドサービスのメリットとリスク
  • サプライチェーンリスクとITガバナンス
  • デジタル投資のROI(投資対効果)
  • 自社に求められるセキュリティレベルと法規制対応

経営層向けのITリテラシー研修を導入することで、現場任せになっていたIT戦略が組織全体の意思決定につながります。

経営層のITリテラシーが低いと従業員にIT教育の重要性を伝えることが難しくなります。

新入社員に基礎ITスキルを身につけさせたい

新入社員に基礎ITスキルを身につけさせたいと考えている企業は、ITリテラシー研修の導入がおすすめです。

近年の若年層はSNSやスマートフォンには慣れていますが、WordやExcel、業務アプリの操作方法を知らないケースは珍しくありません。

新入社員の時点からITリテラシーを身につけさせておくことで、プロジェクト管理やコミュニケーションなど、ITを活用した業務がスムーズになります。

ITリテラシーの高い新入社員は、企業内で革新的なアイデアを提案するなど企業にとってもメリットが大きいです。

ITツールを使いこなせていない現場を改善したい

業務改善やDX推進のために高機能なITツールを導入しても、現場が使いこなせない課題は非常に多く見られます。

せっかくITツールを導入しても現場でうまく活用できていなければ、IT投資の効果は十分に得られないでしょう。

現場のITリテラシーを改善する方法
  • 自社ツールに沿った操作研修の実施
  • 導入目的や業務フローへの影響を共有する
  • 基本的なIT用語に関する研修をおこなう

研修を通じて現場にITは面倒から便利と認識を変えてもらうことができれば、現場の積極性が増し、ツールも効率よく活用できるようになるでしょう。

現場の生産性を向上させるためにも、ITリテラシー研修の重要度は非常に高いと考えられます。

ITリテラシー研修を実施するメリット

ITリテラシー研修を実施するメリット

ITリテラシー研修をおこなうメリットは、以下のとおりです。

いまいちIT研修を実施するメリットがわからない人は、ぜひ参考にしてみてください。

業務効率化につながる

ITリテラシーが高まれば、日々の業務で発生する無駄な手間や属人化を防ぐことができます。

たとえば、クラウドでのファイル共有について学習すれば、膨大な資料のなかから必要なデータを探し出す手間を減らせるでしょう。

小さな改善が1人1日10分でも積み上がると、年間では数百時間のコスト削減になります。

ITリテラシー研修を通じて全社の基礎スキルを整えることで、業務効率化につながる点は大きなメリットです。

セキュリティインシデントが発生しにくくなる

情報漏洩・マルウェア感染・なりすまし被害など、セキュリティインシデントは人のミスによって引き起こされるケースが少なくありません。

そのため、ITリテラシー研修で従業員に対してセキュリティ教育を実施すると、セキュリティリスクを低減することが可能です。

ITリテラシー研修で取り扱う内容の例
  • パスワードの強度と管理のルール
  • フィッシングメールの見分け方
  • 安全なWi-Fi接続とリモート環境での注意点
  • USBメモリ・外部媒体の取り扱い方法
  • 業務データの持ち出し・共有時の注意点

パスワードの安全な運用方法やUSBメモリのリスクなどを教育するだけでも、人のミスによるセキュリティリスクは防げます。

企業の情報資産や信用度を守るためにも、セキュリティに関するITリテラシー教育も重要です。

企業で共有される情報の質が高まる

ITリテラシーの高い組織では、情報共有のスピードと正確性も向上します。反対にITリテラシーが低いと、誤った情報共有や確認漏れが多発し、混乱やトラブルの原因となるでしょう。

研修を通じて従業員全体がITツールを正確に理解し、使いこなせるようになると、社内での情報共有がスムーズになります。

研修で学習するべき内容
  • データ分析ソフトやビジネスチャットなどのITツール
  • 新技術のトレンド

また、AIやクラウドのように新技術のトレンドやITツールを従業員が自主的に学ぶようになれば、情報共有の文化も生まれてくるでしょう。

ITリテラシー研修を効果的におこなうポイント

ITリテラシー研修を効果的におこなうポイント

ITリテラシー研修をおこなう場合は、適当に実施するのではなく、以下のポイントを意識するようにしましょう。

それぞれ詳しく解説します。

外部の法人向け研修サービスを活用する

ITリテラシー研修を成功させるための最も効果的な方法のひとつが、外部の法人研修サービスを活用することです。

自社だけで研修を設計・運営するには、膨大な工数・コスト・ノウハウが必要となり、特に人事やIT部門に過大な負担がかかります。

法人向け研修サービスで受けられるサポート
  • 最新のITトレンドに基づいた研修プログラム
  • 業種・職種ごとのニーズに合わせたカスタマイズ設計
  • 講師の派遣、資料の作成、研修後のフィードバックまで一括対応
  • 受講者の習熟度に応じた段階的サポート

研修サービスを活用すれば、最小限の労力でITリテラシー研修をおこなえます。

特にIT分野は技術革新のスピードが早く、数年前の知識がすぐに陳腐化するため、継続的なサポートを受けながら最新トレンドをキャッチアップするのがおすすめです。

ITリテラシー研修の重要性を説明する

いくら優れた研修を用意しても、受講者本人がなぜそれを学ぶ必要があるのかを理解していなければ、効果は半減します。

ITリテラシー研修を実施する際には、研修の目的と期待できる成果を明確に伝えることが重要です。

受講者の意識を高めるポイント
  • なぜ今ITリテラシーが必要なのか(業務の変化・DX推進・セキュリティ対策)
  • 自分の業務にどのように役立つのか(具体的な活用例を提示)
  • 学ぶことで得られる成果(業務効率化、評価、キャリアアップ)

たとえば、研修を通じてExcel集計の時間を30分短縮できる、クラウドツールで離れたチームとリアルタイムに連携できるといったメリットを示すことで、受講者の理解と納得を得やすくなります。

また、経営層や管理職からITリテラシーが企業の成長にどのように貢献できるかを共有しておくと、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。

自社の課題に合わせてカスタマイズする

ITリテラシー研修を最大限に活かすには、自社の実情に即したカスタマイズ設計が重要です。

一般的なIT教育は基本操作の習得に留まることが多く、実務への応用や社内システムへの対応が不足しがちです。しかし、実際の業務で求められるITスキルは、企業によって大きく異なります。

たとえば、業務で使用している独自ツールや特定のワークフロー、各部署の役割に合わせた研修が必要です。

カスタマイズ研修の具体的なアプローチ例
  • 社内の業務フローに即したツールの活用トレーニング
  • 部署ごとのIT活用度に応じたレベル設計(営業・総務・現場など)
  • 新入社員向けとベテラン向けでカリキュラムを分離
  • 自社独自システムの操作・運用を含めた実践講座

柔軟なカリキュラム設計により、従業員全員が自分ごととして捉えられるようになるため、研修効果が高まります。

従業員の資格取得をサポートする

ITリテラシー研修に資格取得サポートを組み込めば、より大きな研修効果を得られる可能性が高いです。

研修でおすすめの資格
  • ITパスポート試験
  • Microsoft Office Specialist
  • 情報セキュリティマネジメント試験

資格取得サポートの導入によって、従業員のモチベーションを向上させられるだけではなく、ITスキルを客観的に証明できるようになります。

資格取得を通じて着実に知識を身につけられるため、ITリテラシー研修の効果をより高めたい場合に有効です。

ITリテラシー研修に関するよくある質問

無料で受講できるITリテラシー研修はありますか?

はい。

MENTERは、漫画やチャットで学習できるオンライン学習サービスです。

7日間の無料トライアルも実施しており、ITリテラシーを向上させるためのコンテンツや研修を1週間試すことできます。

対面とオンライン、どちらのITリテラシー研修が効果的ですか?

どちらの形式が効果的かは一概には言えませんが、目的や対象者、学習内容によって最適な形式は異なります。

形式メリットデメリット
対面研修講師の直接指導で理解が深まる
実技サポートが受けられる
会場へ足を運ぶ必要がある
日程調整が必要
地方拠点との連携が難しい
オンライン時間・場所にとらわれず柔軟に受講可能
録画で復習できる
受講者の集中力に差が出やすい
質問のハードルが高い場合も

たとえば、新入社員やITが苦手な層には、操作をその場で確認できる対面型研修が効果的です。

一方で、継続的に最新の知識を習得したい層や、拠点が分散している企業にはオンライン研修が適しています。

まとめ | 効果的なITリテラシー研修を導入してDX推進を加速させよう

ITリテラシーは、現代のビジネスにおいてなければ企業の信用度低下につながる可能性があります。

単にパソコンを使えるレベルではなく、クラウド・セキュリティ・コミュニケーションツールを正しく理解し、業務に活かせる力が求められています。

研修を通じてITリテラシーを高めることができれば、企業全体の生産性向上につながるほか、セキュリティリスクの防止も可能です。

DXをより加速させていくためにも、ITリテラシー研修を実施して、企業全体のITリテラシーを高めましょう。

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