情シスのキャリアパス完全ガイド|将来性・必要スキル・キャリアアップの道筋を解説

今の仕事を続けていて将来に不安がある
情シスのキャリアパスにはどんな選択肢があるのか知りたい
転職やスキルアップの道筋をはっきりさせたい
情シスの業務は幅広く、多くの人が自分の将来像を描けずに悩んでいます。特に、1人情シスや兼任情シスとして働いている場合、忙しさに追われてキャリアを考える時間がない人も多いでしょう。
結論情シスは広範な業務に取り組むため、キャリアパスも豊富にあり、自分に合ったキャリアやスキルを知ることで着実にスキルアップできます。
本記事では、情シスの代表的なキャリアパスから、必要スキル、転職の進め方まで解説していきます。
情シスのキャリアパスは多様!代表的な5つの進路を紹介

情シスのキャリアパスは、以下のとおりです。
情シスは技術職にとどまらず、マネジメントや経営、コンサルタントなど多方面で活躍できます。
ここでは、情シスの代表的なキャリアパスを5つ解説します。
ヘルプデスク
情シスは業務の中で社内からの問い合わせ対応をおこなうため、経験を活かしてヘルプデスクとしての転職が可能です。
- 社内外ユーザーのITトラブルや質問に対応する
- 問い合わせ対応を通じて、社内業務の全体像を理解できる
- 顧客対応・説明力などのコミュニケーションスキルが身につく
ヘルプデスクの業務範囲は主に社内外のITトラブル解決ですが、必要に応じてIT資産管理や各種ツールの問い合わせ対応などもおこないます。
情シスの際に身につけたスキルを活かせる職種であるため、キャリアパスのひとつとして覚えておきましょう。

ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業のIT課題を発見し、最適な解決策を提示する職種です。現場の実務経験がある情シス出身者は、実態に即したアドバイスができる点で非常に重宝されます。
- クライアント企業のIT課題をヒアリング・分析・提案
- IT導入の企画・要件定義・システム選定の支援
- 業務改善・DX推進など経営に関わる提案も担当
最上流工程に携わるため市場価値の高いスキルが身につき、高年収も狙えます。
将来的には独立やフリーランスとしての活動も視野に入れられるキャリアであるため、独立志向のある人や高年収を実現したい人におすすめのキャリアパスです。
CTO / CIO
CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)は、企業のIT戦略を統括する経営層のポジションです。
情シスとして現場を経験した後、マネジメントやIT戦略の立案・実行などの領域に進むことで実現できるキャリアパスです。
- 社内IT戦略の立案・実行・管理を担当
- システム投資やIT予算、ベンダー管理も管掌範囲
- DX推進やセキュリティ戦略の中核を担う
技術力だけではなく、経営的視点を身につけておくことで、情シスからキャリアップできます。
システムエンジニア
システムエンジニアは、システム開発や設計、運用に携わる専門職です。
- アプリケーションや業務システムの設計・構築・保守を担当
- 顧客ニーズのヒアリングから要件定義、テストまで幅広く関与
- 情シスでのシステム開発経験が大きな強みになる
情シスで培った上流工程やベンダーコントロールの経験は、そのままシステムエンジニアの業務に活かせます。
社内で要件定義〜リリースまで経験したことのある人は、ぜひシステムエンジニアへの転職も検討してみてください。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャー(PM)は、ITプロジェクト全体の進行を統括するポジションです。
- プロジェクトの計画・進捗管理・品質管理・リスク管理を担う
- チームやベンダーとの連携・調整
- 要件定義やスケジュール作成、コスト管理なども担当
情シス業務で培った折衝力や調整スキルは、PM業務でそのまま活かせます。
現場での経験を重ねた後、マネジメントにシフトしたいと考えている人におすすめです。
情シスでキャリアアップするために必要なスキルセットとは

情シスでキャリアアップするためには、以下のようなスキルを身につけておく必要があります。
現場経験だけでなく、汎用的なスキルやマネジメント能力を習得することで、上位職や他職種へのステップアップが可能です。
ここからは、情シスがスキルアップするために必要なスキルセットについて解説します。
ITの幅広い知識
情シスが担当する領域は、PC管理やネットワークだけでなく、クラウド、セキュリティ、業務システム、ソフトウェアの導入まで多岐にわたります。
そのため、専門性よりもITの幅広い知識・スキルの習得が重要です。
- OS(Windows / macOS / Linux)やソフトウェアの基礎知識
- ネットワーク構成
- クラウド
- 情報セキュリティ
- 業務システムの仕組みと役割
全体的な知識を身につけておくと、トラブル対応力が上がるだけではなく、ほかの専門職やマネジメント職といったキャリアへも移行しやすくなります。
プロジェクトマネジメントスキル
情シスは、システム導入や運用改善などの小〜中規模プロジェクトを任されることが多く、プロジェクトマネジメントスキルが不可欠です。
プロジェクトを円滑に進めるためには、計画力やスケジュール管理能力、調整力といったスキルが必要です。
特に将来的に、CIO / CTOやプロジェクトマネージャーへのキャリアパスを視野に入れている人は、プロジェクトマネジメントスキルが必須といえるでしょう。
コミュニケーションスキル
技術力のではなく、コミュニケーションスキルを身につけておくことも重要です。
情シスは、社内の非エンジニアとやり取りする場面やベンダーとコミュニケーションを取る機会が多いため、相手に合わせてわかりやすく伝える工夫が求められます。
- 他部署の要望やトラブル内容を正確に把握するにはヒアリング力が重要
- 技術的な内容を、専門外の人にも伝わるよう説明する力が求められる
- ベンダーや外部業者との契約交渉にも影響を及ぼす
どのような職種へ転職する場合にも、コミュニケーションスキルを求める企業は多いため、身につけておいて損はないでしょう。
マルチタスクスキル
情シスの現場では、PCやネットワークトラブルといった突発的な対応が日常的に発生します。
PCのトラブル対応中に、別部署からのシステム質問やベンダーからの連絡が同時に舞い込むといった状況が日常茶飯事です。
突発的な問い合わせに対してもうまく業務を続けるためには、優先順位を即時判断しながら複数のタスクを同時に捌くマルチタスクスキルが求められます。
情シスのキャリアを妨げる3つの原因とは?

情シスはスキルを活かしてキャリアアップできる環境が整っている一方で、実際には多くの人が「今の職場から動けない」「自分に何ができるのか分からない」と感じています。
情シスのキャリアを妨げる原因は、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説します。
少人数体制ではスキルの専門化が難しくなりやすい
多くの企業では、情シスは1~2名体制で運営されています。少人数体制の情シスは、幅広い業務の負担が大きくなり、特定の分野で専門性を高める時間や機会が少ないといえるでしょう。
幅広い業務経験は積めますが、どの領域に特化しているのかが見えにくくなり、市場価値が評価されづらくなるリスクもあります。
- 興味のある分野を見つけ、業務時間外でも学習・スキルアップに励む
- 自動化できる業務を把握し、自分の時間を確保する
- 社内の業務分担を見直し、得意分野に集中できる環境を提案する
専門性を高めるためには業務時間外に勉強時間を確保したり、社内の体制を見直したりすることが重要です。

長時間労働が学習時間や転職準備の妨げに
情シスは、突発的な障害対応や少人数体制による業務の集中によって、長時間労働が常態化している職場も少なくありません。
長時間労働が続くとスキルアップやキャリア設計のための時間が取れず、キャリアアップの機会を逃してしまうリスクがあります。
- 定型業務をマニュアル化・自動化して業務時間を短縮する
- 残業が慢性化している場合は、上司に業務の再配分を相談する
まずは時間の使い方を見直すようにし、残業を減らせないか工夫してみましょう。
人手不足による多忙さでキャリア設計が後回しになる
情シス部門に限らず、日本ではIT人材が不足しています。特に情シスは、営業や開発職のように直接売上につながる部門ではないため、コストをあまり割いてもらえない傾向にあります。
その結果、一人当たりの業務負担が大きくなり、長期的なキャリア設計にまで手が回らない人は少なくありません。
- 月1回、自己評価とキャリア棚卸しの時間を設定する
- タスクに優先度を設けて自分に必要な時間をうまく調整する
- 外部の勉強会やキャリア相談を活用して、視野を広げる
将来どのようなキャリアを築きたいのか考える時間を設けるようにし、具体的なキャリア設計を構築していくようにしましょう。
情シスとしてキャリアを築くためにやるべき3つのこと

情シスとしてキャリアを築いていくためには、以下のことを実践しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
まずは業務内容の見直しで自分の強みと弱みを把握しよう
情シスとしてキャリアを築くためには、まず「自分が何をできるか」を正確に把握することが不可欠です。
業務をこなしているだけでは、強みや課題が見えてこないことが多く、気付かないうちに成長が止まってしまうケースもあります。
まずは、普段からよく対応している業務や苦手意識のある業務などを洗い出し、自分の強みと弱みを分析するようにしましょう。
キャリアの棚卸しで将来の方向性を明確にする
自分の経験・スキル・興味関心を言語化し、整理することで、どのようなキャリアを築きたいのかが具体的になります。
キャリアの棚卸しをおこなえば、自分に合った職種や働き方、必要なスキルなども見えてくるでしょう。
- キャリアの方向性を明確にしてモチベーションを高める
- 転職活動や社内評価の場面で、自分を的確にアピールできる
- “何となく情シスを続けている”状態から脱却できる
キャリアの方向性が見えてくれば、転職時のアピールもしやすくなり、説得力のある志望動機や転職理由を伝えられるようになります。
転職エージェントを活用してキャリアの選択肢を広げる
情シスとしてのキャリアを考えるうえで「今の職場にとどまるべきか、それとも環境を変えるべきか」で悩むことは少なくありません。
転職するべきかどうかを判断するためには、自分の市場価値や他社での働き方を知る必要があります。
そこで、転職エージェントを活用すれば自分に適したキャリアを効率よく確認することが可能です。
- 自分のスキル・経験に合った求人を紹介してもらえる
- 職務経歴書の添削や面接対策などのサポートが受けられる
- 情シス経験者の市場評価や年収水準を知ることができる
転職活動を始めるか迷っている段階でも、情報収集の手段として相談してみることをおすすめします。
キャリアのプロからサポートを受けられるため、自分がどのようなキャリアを歩みたいのかが見えてくるようになります。
情シスのキャリアパスに関するよくある質問
情シスの仕事はきついですか?
情シスの仕事は「きつい」と感じられることがあるのは事実です。特に1人情シスや兼任情シスでは、業務範囲が広すぎることが負担につながります。
- 業務内容が多岐にわたり、専門性が分散しやすい
- トラブル対応など、突発的な業務が多い
- 社内からの問い合わせ対応が精神的に疲れることもある
- 成果が見えにくく評価されにくい場合がある
ただし、働く環境や体制によって情シス業務のきつさは大きく異なります。

情シスにおすすめの資格はありますか?
情シスにおすすめの資格は、以下のとおりです。
- ITパスポート:IT初心者向け。情シスの入門に最適
- 基本情報技術者試験(FE):プログラミングやアルゴリズムを含む基礎力を証明
- 情報セキュリティマネジメント試験:セキュリティの運用知識を証明
- ITIL ファンデーション:ITサービスマネジメントの考え方を体系的に学べる
- PMP / CompTIA Project+:プロジェクト管理に強くなりたい人向け
多くの資格がありますが適当に取得するのではなく、自分の業務やキャリアに役立つものを選ぶ必要があります。
また、資格の取得はスキルを客観的に証明できるため、転職の際に有利になります。

まとめ | 情シスのキャリアパスは豊富
情シスの仕事は、社内のITを支えるだけにとどまりません。実を通じて幅広いスキルを習得し、将来的には以下のようなキャリアを実現できます。
重要なのは自分の経験やスキルの棚卸しをおこない、強み・弱みやキャリアの方向性を分析することです。
自分のみでは難しいと感じる場合は、キャリアのプロである転職エージェントからサポートを受けることもおすすめです。