Microsoft Intuneとは?機能やメリット、注意点までわかりやすく解説

会社支給のパソコンやスマホをどうやって管理したらいいか分からない
情報漏洩を防ぐためのMDM導入を検討しているが、複雑すぎて選べない
セキュリティと利便性を両立させたいが、何が最適か分からない
社内のIT管理を効率化し、セキュリティを強化する手段として注目されているのがMicrosoft Intuneです。
しかし「導入が難しそう」「料金体系がよく分からない」と不安に感じる企業も多いでしょう。
Microsoft Intuneは、Microsoftが提供するクラウドベースのエンドポイント管理サービスです。モバイル端末やPCを一括で管理し、セキュリティポリシーの適用やアプリ配信なども可能にします。
この記事では、Microsoft Intuneの特徴や機能、導入メリット、注意点までわかりやすく解説します。
Microsoft Intuneとは?

まずは、Microsoft Intuneがどのようなサービスであるかや、料金プランについて解説します。
Microsoft Intuneはクラウド型の統合エンドポイント管理(UEM)サービス
Microsoft Intuneは、クラウド上で企業のあらゆる端末を統合的に管理する「UEM(Unified Endpoint Management)」ツールです。
Windows、macOS、iOS、Androidといった複数のOSに対応し、次のような操作をクラウド上で一括しておこなえます。
- デバイスへのセキュリティポリシー適用
- 社内アプリのリモート配布と更新
- OSのアップデート管理
- 紛失・盗難時のリモートロックやワイプ(初期化)
Microsoft Intuneを導入すれば、IT担当者が端末1台ずつ設定する必要なくなり、業務効率が向上します。
クラウド管理のため、自社でサーバーやネットワーク環境を整える必要がなく、導入や運用もスムーズです。
Microsoft Intuneの料金プラン
Microsoft Intuneは、企業のニーズに応じて選べる複数の料金プランを提供しています。
プラン名 | 月額料金(税抜) | 主な特徴 |
---|---|---|
Intune Plan 1 | 1,199円 | 基本的なデバイス管理機能を提供。最大15台のデバイスを1ユーザーで管理可能。 |
Intune Plan 2 | 599円 | Plan 1のアドオン。高度なエンドポイント管理機能を追加。 |
Intune Suite | 1,499円 | Plan 1にPlan 2と追加のセキュリティ機能を統合した包括的なパッケージ。 |
Microsoft 365の各種プラン(E3、E5、Business Premiumなど)にも含まれており、既存のMicrosoft 365契約と組み合わせることで、コストパフォーマンスを高めることが可能です。
Microsoft Intuneと他製品との違い
Microsoft IntuneとActive Directory(AD)は、いずれも企業のITインフラにおいて重要な役割を果たしますが、機能と目的には明確な違いがあります。
Active Directoryとは、組織内のネットワークで使用するデバイスを管理し、ユーザー認証やグループポリシーを適用するサービスです。
項目 | Microsoft Intune | Active Directory |
---|---|---|
管理対象 | デバイスとアプリケーション | ユーザーとデバイス |
提供形態 | クラウドベース | オンプレミス |
主な用途 | モバイルデバイス管理、BYOD対応 | ユーザー認証、アクセス制御 |
対応OS | Windows、macOS、iOS、Android | 主にWindows |
セキュリティ機能 | デバイスのリモートワイプ、ポリシー適用 | グループポリシー、アクセス制御 |
Microsoft Intuneは、モバイルデバイスやクラウド環境での管理に強みを持ち、Active Directoryは、社内ネットワークとWindowsデバイスの管理に適しています。
Microsoft Intuneの機能

Microsoft Intuneの機能は、以下のとおりです。
どのような機能があるかを確認し、自社で必要かどうか見極める際に役立てましょう。
社用・私用問わずあらゆるデバイスの管理が可能
Microsoft Intuneは、WindowsだけでなくmacOS、iOS、AndroidといったマルチOSに対応しており、業務で使用するあらゆるデバイスを一元管理できます。
社用端末はもちろん、BYOD(私物端末の業務利用)も対象に含められるため、テレワーク環境にも柔軟に対応可能です。
- 登録端末へのセキュリティポリシーの自動適用
- 管理対象外のデバイスからのアクセスをブロック
- 利用状況の可視化とリアルタイムの監視
- OS別・ユーザー別の柔軟な管理ルールの設定
端末ごとの個別対応が不要になるため、情シス部門やIT担当者の作業負担を大幅に軽減できます。また、セキュリティリスクの発見と対応も迅速におこなえます。
Windows Updateを一括管理してセキュリティリスクを低減
Windows端末の更新を個別に管理するのは非常に手間がかかり、更新の抜け漏れが重大なセキュリティリスクにつながることもあります。
Microsoft Intuneを使用すれば、Windows Updateのスケジュール管理やバージョン管理を一括しておこなえるため、管理効率と安全性が向上するでしょう。
社内のセキュリティ水準を一定に保つためにも、Windows Updateの一元管理は欠かせません。
セキュリティポリシーの自動適用が可能
Microsoft Intuneでは、あらかじめ設定したセキュリティポリシーを各デバイスに自動で適用できます。
- パスワード桁数の制限
- OSバージョンアップの管理
- 端末のロック時間やログイン試行回数の制限
通常であれば1台ずつおこなう設定も、Microsoft Intuneを使用すれば、効率よくセキュリティポリシーの適用が可能です。
そのため、担当者が端末ごとに手動で設定する手間が省けるだけでなく、設定漏れや人的ミスを未然に防げます。
デバイスコンプライアンスの監視で不正なデバイス利用を防止
情報漏洩やウイルス感染のリスクを防ぐには、使用中の端末がセキュリティ基準を満たしているかを常に監視する必要があります。
Microsoft Intuneでは「コンプライアンスポリシー」を設定することで、基準を満たさないデバイスの利用を自動で制限できます。
- セキュリティパッチが未適用の端末
- 暗号化が有効化されていないデバイス
- 不正なアプリケーションがインストールされている場合
コンプライアンス違反が発生した場合は、ユーザーにメールを送信するなどのアクションを起こすことが可能です。
デバイスコンプライアンスの監視によって、組織のセキュリティレベルを一定に保てる点Microsoft Intuneの特徴です。
業務アプリの配布・更新が可能
Microsoft Intuneでは、業務に必要なアプリケーションを対象デバイスに一括配布・自動更新できます。
情シス担当者が端末ごとに手動インストールする必要がなくなるため、作業負荷と人的ミスを大幅に削減できます。
また、アプリの更新プログラムもIntune経由で自動配信できるため、常に最新の状態を保つことが可能です。OSやアプリのバージョンを統一することで、トラブル時の対応もおこなえます。
遠隔操作でトラブル対応や初期化がスムーズにできる
業務中にデバイスが故障したり、端末を紛失・盗難した場合、迅速な対応が求められます。
Microsoft Intuneを導入していれば、端末をリモート操作で制御することができ、紛失や盗難によるセキュリティリスクを防止することが可能です。
- デバイスのロック
- パスワードのリセット
- データのリモートワイプ(初期化)
- デバイスの位置情報の確認(iOS/Android対応)
また、ユーザー側のトラブルに対しても、遠隔で設定変更やアプリの再インストールができるため、ヘルプデスクの効率化にもつながるでしょう。

Microsoft Intuneを導入するメリット

Microsoft Intuneを導入するメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
クラウドベースのため初期費用を抑えてすぐに導入できる
Microsoft Intuneはクラウドベースで提供されているため、オンプレミス環境の構築や専用サーバーの購入といった初期投資が不要です。
インターネット環境と管理者アカウントがあれば、すぐに導入・運用を開始できます。
特にIT部門のリソースが限られている中小企業やスタートアップにとって、初期コストを抑えて効率的なIT管理を実現できる点は大きな魅力です。

デバイスのセキュリティを強化できる
Microsoft Intuneを導入することで、組織全体のデバイスセキュリティを強化できます。
あらかじめ定めたポリシーを自動で適用することで、ITリテラシーに差がある社員にも均一なセキュリティ対策を施すことが可能です。
- パスワード強度・画面ロックなどの制御
- 不正アプリのインストール制限
- コンプライアンス違反時の自動遮断
- リモートでのロック・ワイプによる情報漏洩防止
リモートによる端末制御や不正アプリのインストール制限など、ほかにもさまざまな機能があるため、うまく活用すれば組織としてのセキュリティレベルを向上できます。
デバイスの一元管理を実現できる
Microsoft Intuneの導入により、企業が保有するすべての端末をひとつの管理画面から一元管理できます。
Windows、Mac、iOS、Androidといった異なるOSのデバイスでも、同一ポリシーで統一された管理が可能です。
従来は拠点や部門ごとにバラバラに管理されていた端末も、Intuneを活用すればひとつのポータル画面からすべてを管理でき、IT部門の負担も減らせるでしょう。
安全なBYOD運用につながる
社員が個人所有のスマートフォンやパソコンを業務に使うBYODは、コスト削減や柔軟な働き方に貢献しますが、同時にセキュリティリスクも高まります。
Microsoft Intuneは、私物端末の業務利用におけるセキュリティを確保しながら、社員のプライバシーも尊重した運用を実現可能です。
- 業務データの暗号化・コピー制限
- 紛失時には業務データのみをリモート削除可能
- 社員の私的利用には一切干渉しない設計
事前に社員の私的利用には一切干渉しない設計にしておくと、社員の使いやすさを損なわずに企業の情報を守ることができます。
Microsoft Intune導入時の注意点

Microsoft Intune導入時の注意点は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。メリットだけではなく導入時の注意点も把握したうえで、利用するかどうか判断するようにしましょう。
基本操作にIT知識が必要になる
Microsoft Intuneは高機能な分、初期設定や運用管理には一定のIT知識が求められます。
とくにセキュリティポリシーの設計や条件付きアクセス、グループの割り当てなどは、IT管理の基礎知識がないと設定ミスやトラブルの原因になりかねません。
- Azure ADとの連携理解
- モバイルアプリ管理(MAM)とデバイス管理(MDM)の違い
- ポリシー設計とユーザーへの適用方法
- 各OSごとの管理項目の理解
ただし、Microsoftが公式ドキュメントや学習教材を充実させているため、学びながら運用に慣れていくことも可能です。
自社のみでの導入が難しい場合は、外部ベンダーの導入支援や、初期セットアップ代行サービスの活用も検討すべきです。
デバイスの操作ログは取得できない
Microsoft Intuneはデバイス管理に特化したツールであり、ユーザーがおこなった操作ログまでは取得できません。
そのため「誰が」「いつ」「どのファイルを開いたか」といった詳細な操作履歴を確認できません。
操作ログの取得が必要な場合は、Microsoft Defender for EndpointやSIEMといったほかのソリューションもあわせて導入する必要があります。
一部アプリケーションは配布制限がある
Microsoft Intuneでは、多くのアプリケーションを遠隔から配布できますが、すべてのアプリが対象になるわけではありません。
導入する際は、配布できないアプリケーションがあることについて理解しておく必要があります。
- Microsoft Storeのアプリケーション
- サイレントインストールに対応していないWindowsのアプリケーション
- ライセンス制約のあるアプリケーション…etc
上記のアプリケーションは配布が制限される可能性があるため、事前に配布可能なアプリケーションの種類や設定方法を確認するようにしましょう。
Intune管理には事前にデバイス登録作業が必須
Microsoft Intuneでデバイス管理するためには、事前にデバイス登録作業が必要です。
登録されていないデバイスにはポリシーを適用できず、アプリ配布やリモート制御もおこなえません。
たとえば、Apple製品の場合は、Apple Business Managerを利用して事前登録作業を実施します。
一度登録すれば、以降の管理は自動化できますが、導入初期に全社員分の端末登録をスムーズにおこなえる体制を整えておく必要があるでしょう。
Microsoft Intuneに関するよくある質問
Microsoft Intuneはどのような企業におすすめですか?
Microsoft Intuneは、セキュリティを重視しながら端末管理を効率化したい企業に最適です。
特に次のような企業は、Microsoft Intuneの導入で高い効果が見込めるでしょう。
- テレワークやハイブリッド勤務を導入している企業
- BYOD(私用端末の業務利用)を許可している企業
- Microsoft 365を既に利用している中小・中堅企業
- IT担当者が少人数で、効率化を図りたい企業
Microsoft Intuneでできないことはありますか?
Microsoft Intuneは多機能なデバイス管理ツールですが、すべてのIT管理業務を網羅できるわけではありません。
- デバイスの操作ログ取得
- オフラインでの管理
- 一部のアプリ配布制限
デバイスの操作ログ取得はできないため、SIEMのようなソリューションも同時に導入する必要があります。
また、クラウドサービスであるため、オフラインでの利用ができない点も把握しておきましょう。
まとめ | Microsoft Intuneは導入価値のあるUEMツール
Microsoft Intuneは、クラウドベースであらゆるデバイスを統合管理できるUEMツールです。
Microsoft Intuneを導入すると、デバイスのセキュリティ強化、業務効率化、BYOD対応といった多くの課題を1つのプラットフォームで解決できます。
端末管理やセキュリティ対策を見直したいと考えているなら、まずはMicrosoft Intuneのトライアルや情報収集から始めてみましょう。