情シスの立場が弱いのはなぜ?原因と社内での評価を上げる具体策を解説

社内から「なんの仕事をしてるの?」と聞かれてモヤっとする
便利屋として扱われている感じがする
真面目に働いているのに正当な評価が得られない
このような悩みを抱えている情シスは少なくありません。本来、情シスは会社の土台を支える重要な部門です。
しかし、以下のような理由から企業における情シスの立場は弱くなりがちです。
- 情シスの業務は見えにくく、他部署に理解されづらい
- 利益を生まない「コスト部門」と見なされがち
- 経営層のITリテラシーが低く重要性を理解してもらえない
- 人手不足や業務過多によって対応に遅れが発生している
この記事では、情シスの立場が弱くなりやすい理由や社内評価をアップする方法について解説します。
情シスの立場が弱くなりやすい4つの主な理由とは?

情シスの立場が弱くなりやすい4つの理由は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
情シスの業務は見えにくく、他部署に理解されづらい
情シスの仕事は、ネットワーク・サーバー・クラウド・セキュリティなどの運用や保守が多いです。
トラブルの発生を防ぐ業務が多いため、そもそも存在を意識されにくく、他部署や経営層から「何をしているかわからない」と思われることが少なくありません。
他部署から業務が見えにくい構造が、情シスの立場を弱めているといえるでしょう。
利益を生まない「コスト部門」と見なされがち
情シスは、営業やマーケティングのように直接利益を生む部門ではありません。そのため、経営層や他部署からはコスト部門と見なされることが少なくありません。
特に、IT投資の効果が数値として明確に表れにくい場合は、予算削減の対象にされやすく、立場の弱さにつながります。
しかし、現代の情シスは企業が成長するために必要なIT戦略を立案・実行する役割を担っており、立場は徐々に変化しつつあります。
経営層のITリテラシーが低く重要性を理解してもらえない
情シスの役割が正当に評価されない原因のひとつが、経営層のITリテラシー不足です。
特に年齢層が高く、ITの進化を現場体験してこなかった経営陣にとっては、ITの重要性をいまいち理解できていないケースが少なくありません。
- 経営視点での説明(コスト削減・リスク回避・生産性向上など)
- 数値や実績を交えた資料づくり
- 成功事例や他社との比較を提示する
情シス自身が経営視点でITの重要性を説明したり、他社の成功事例や実績などを数値を交えて資料作成したりすることで、立場を変えられる可能性があります。
人手不足や業務過多によって対応に遅れが発生している
情シスの多くは、少人数で多岐にわたる業務をこなす体制になっています。
- キッティング
- 社内システムの保守・運用
- ヘルプデスク
- ネットワーク・サーバー管理
- セキュリティ対策 …etc
特に中小企業では「ひとり情シス」や「兼任情シス」が当たり前になっており、社内のIT対応・キッティング・ヘルプデスク・システム保守などを受け、業務過多であるケースが珍しくありません。
その結果、問い合わせ対応が後手に回ったり、障害対応が長引いたりすることで、社内から「遅い」「頼りにならない」といった不満が出てきてしまいます。
リソース不足で発生する対応の遅れが情シスの立場を弱めている原因のひとつになります。
関連記事:ひとり情シスとは?背景・課題や効果的な解決方法を解説
情シスが社内評価をアップさせるために取り組むべき対策

情シスが社内評価をアップさせるためには、以下のような取り組みが重要です。
それぞれ詳しく解説します。企業での立場が弱いと感じている情シスは、ぜひ参考にしてみてください。
業務効率化で対応スピードを向上させる
評価されない情シスに共通する課題のひとつが、業務過多による対応が遅い点です。人手不足や属人化が原因であることが多く、業務効率化によって対応スピードを向上させることが重要です。
- よくある質問をFAQ化・ナレッジ共有で再利用
- 社内ヘルプデスクをチャットボットで自動応答
- PCキッティングはイメージ展開や自動スクリプトで高速化
- RPAやプログラミングによる業務の自動化
問い合わせ件数を削減するためにFAQの整備やチャットボットを導入したり、RPAやプログラミングによって定型業務を自動化したりするのがおすすめできます。
対応スピードの向上がユーザーの満足度に直結するため、業務効率化は積極的に進めていきましょう。
関連記事:情シス業務を効率化する方法とは?ツール導入や成功事例から学ぶ最適な進め方
業務内容の可視化を行う
情シスの立場が弱くなりやすい原因は、他部署や経営層から業務の重要性を理解してもらえていないことにあります。そこで重要なのが、業務の可視化です。
- 月次で対応件数や稼働時間をレポート化する
- インシデント件数の減少や平均対応時間の短縮をグラフで示す
- システム導入による業務改善効果を定量的に説明する
- サポート満足度アンケートの結果を社内共有する
他部署や経営層から業務を理解してもらうためには、月次の対応件数を可視化したり、インシデント件数の推移などを具体的な数値で示したりするのがおすすめです。
数値を見れば情シスの重要性を理解してもらいやすく、社内での評価アップにつながります。
社内向けITリテラシー教育で理解と協力を得る
社内におけるトラブルや認識の齟齬は、多くの場合社内メンバーのITリテラシーが不足していることで発生します。
そのため、情シスは自主的に社内のITリテラシーを高める行動をとることが重要です。
- セキュリティ意識を高める「標的型攻撃メール」対策研修
- 情報漏えいリスクと社内での注意点を解説するeラーニング
- TeamsやGoogle Workspaceなど社内ツールの操作講座
- 「情シスって何をしているの?」を伝える社内セミナー
組織全体でITリテラシーを高めておけば、自力で対応できる問題が増え、情シスの負担が軽減されます。
結果的に対応スピードの向上にもつながるため、社内での情シスの評価を高められるでしょう。
他部署と積極的にコミュニケーションを取る
情シスの立場が弱くなる原因には、他部署とのコミュニケーションが不足していることも挙げられます。
トラブル対応やシステム導入の場面だけで関わる関係では、「情シス=機械的に対応するだけの人たち」といった印象を与えてしまうでしょう。
- 日常的にちょっとした雑談をする(「最近プリンターの調子どうですか?」など)
- 業務の合間に現場を訪問し、IT面での困りごとをヒアリング
- 会議に同席して、業務理解を深める
- 他部署主催の飲み会・懇親会に積極的に参加する
普段からコミュニケーションを取るようにしておけば、情シスの業務を理解してもらいやすいほか、相手も気軽に相談しやすくなるため、情シスとしての価値が高まります。
アウトソーシングの活用も視野に入れる
情シスのリソースが足りていない場合は、アウトソーシングの活用も視野に入れましょう。
- 外部の専門スキルを活用できる
- 情シスがコア業務に集中できる
- 情シスの負担が削減される
ヘルデスクやキッティングといったノンコア業務は、外部業者に委託することで、情シスのリソースに余裕が生まれます。
余裕ができれば対応スピードが向上するほか、情シスの本来の役割であるITを活用した事業発展にも時間を割くことができるため、社内での評価を上げられるでしょう。
まとめ | 情シスの立場は見せ方と関わり方で強化できる
情シスは、業務が目立ちにくく、売上に直結しないことから、正当な評価を受けられないケースが少なくありません。
しかし、以下のような対策を徹底することで情シスの社内評価は十分に変えることが可能です。
情シスの価値を社内に正しく伝えられれば、頼られる存在として評価してもらえます。
取り組みやすいものから徐々に取り組むことで、情シスの評価を上げていきましょう。