【総務省調査】クラウドCMSとは|自社サイト保有93.3%に対しクラウドでのWeb構築は17.6%(2025年調査)

自社サイトの更新を、いまも制作会社への依頼で回していませんか。バナー1本の差し替えでも見積もりと納期の調整が入ると、情報発信のスピードは上がりません。
- 自社サイトの更新のたびに制作会社へ依頼していて、社内で完結できていない
- CMSをクラウドに替えるべきなのか、判断する材料が社内に無い
- 「うちの規模ならまだオンプレミスで十分」と言われたときに返す根拠がない
先に結論をお伝えします。自社サイトを持つこと自体はほぼすべての企業に行き渡った一方で、そのサイトの基盤をクラウドに載せている企業はまだ多数派ではありません。総務省の調査では、自社ホームページの開設率は2025年調査時点で93.3%です。
なお、この記事で引用する総務省の通信利用動向調査(企業編)は、常用雇用者100人以上の企業を対象とした調査です。数値を読むときは、この前提をあわせて確認してください。
この記事では、クラウドCMSという言葉の意味から、オンプレミス型との違い、セキュリティ上の確認点、選定時のチェック項目までを整理します。数値はすべて総務省・JPCERT/CC・IPAの公表資料から引いているので、そのまま社内説明の材料に使えます。
この記事のポイント
- 自社ホームページを開設している企業は、2025年調査時点で93.3%です
- 一方、クラウド利用企業のうち「システム開発、Webサイト構築」を用途に挙げるのは17.6%にとどまります。こちらも2025年調査時点の値です
- クラウドを選ぶ理由の上位は「場所、機器を選ばずに利用できるから」50.7%です。次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」が42.8%でした(2025年調査、無回答を除く)
クラウドCMSはWebサイトの管理画面とサーバーをまとめて事業者側に置くCMS
クラウドCMSとは、Webサイトの管理画面とその稼働基盤を、事業者が用意した環境の上でまとめて利用するCMSを指します。自社でサーバーを調達せず、契約したその日からブラウザで記事や画像を更新できる形態です。
この形が広がってきた背景には、クラウドサービスそのものの定着があります。総務省の調査では、2025年調査時点でクラウドサービスを利用している企業は83.5%です。そのうち「システム開発、Webサイト構築」を用途に挙げた企業は17.6%でした。
この2つの数値から読み取れるのは、クラウドを使うこと自体がすでに前提になっている状況です。一方で、Webサイトの基盤はまだその外側に残っている企業が多いといえます。クラウドCMSは、この残った領域をクラウド側へ寄せる選択肢にあたります。
CMSの提供形態はクラウド型・パッケージ型・オープンソース型の3つに整理できる
CMSを比べるときは、まず提供形態の違いを押さえます。呼び方は製品ごとに異なりますが、大きくはクラウド型・パッケージ型・オープンソース型に整理できます。
3つを分ける軸は、サーバーを誰が持つかと更新作業を誰が担うかの2点です。この2点を自社側に置くのがパッケージ型とオープンソース型になります。両者の違いはソフトウェアの入手方法です。
| 提供形態 | サーバーの持ち主 | 更新作業の担い手 | 代表的な使われ方 |
|---|---|---|---|
| クラウド型 | CMS事業者 | 事業者(本体・基盤) | 契約後すぐ開始し、運用を任せる |
| パッケージ型(オンプレミス型) | 自社またはレンタルサーバー | 自社または委託先 | 商用ライセンスを購入し、要件に合わせて作り込む |
| オープンソース型 | 自社またはレンタルサーバー | 自社または委託先 | 無償のソフトウェアに拡張機能を足す |
なお、ヘッドレスCMSは表示部分を切り離して配信する仕組みで、この3分類とは軸が異なります。提供形態とは別に検討してください。
公的統計にクラウドCMS単独の区分はなく、最も近いのは「システム開発、Webサイト構築」の17.6%(2025年調査)
先に断っておくと、公的統計に「クラウドCMS」という区分はありません。総務省の通信利用動向調査にも、CMS単独の項目はないためです。
最も近い区分が「システム開発、Webサイト構築」で、2025年調査時点で17.6%、2024年調査時点では15.2%でした。ただしこの区分は業務アプリケーションの開発環境も含み、CMSの代理指標としては過大にも過小にもなり得ます。
同じ設問の上位は、ファイル保管・データ共有73.3%、社内情報共有・ポータル61.4%、電子メール57.4%です(いずれも2025年調査)。主用途はバックオフィス系で、Webサイト基盤はその外側です。全体のクラウドサービスの利用率は別の記事で扱っています。

注意
本記事で扱う数値は、いずれもクラウドCMS単独の統計ではありません。総務省の調査にCMSの区分が無いため、最も近い「システム開発、Webサイト構築」とクラウド全般の値で代替しています。調査対象は常用雇用者100人以上の企業です。社内資料に使う際は、この2点もあわせて記載してください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2
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自社サイトを持つ企業は93.3%、クラウドでWebサイトを構築する企業は17.6%
この記事で最も伝えたいのは、Webサイトの保有とその稼働基盤の間に大きな開きがあることです。自社ホームページを開設している企業は93.3%、クラウド利用企業のうちWebサイト構築を用途に挙げるのは17.6%です(いずれも2025年調査)。
調査年は同じですが、母集団が違うため、この2つを掛け合わせて「クラウドCMSの普及率」を出すことはできません。93.3%は回答企業全体に対する割合、17.6%はクラウドを利用している企業に対する割合です。
それでも、2つの水準の差が示す構図ははっきりしています。多くの企業がWebサイトという資産を持ちながら、その稼働基盤は自社サーバーやレンタルサーバー、制作会社の環境に置いたままだと考えられます。クラウドCMSの検討は、新しくサイトを作る話ではなく、すでにあるサイトの置き場所を見直す話です。
自社ホームページの開設率は2025年調査時点で93.3%
まず、Webサイトの保有はすでに例外的な取り組みではありません。総務省の通信利用動向調査では、自社ホームページの開設率は2022年調査以降の4回とも9割を超えています。9割を超えた状態はこれより前の調査から続いており、近年ようやく9割に達したという動きではありません。
| 調査年 | 自社ホームページを開設している企業の割合 |
|---|---|
| 2022年 | 91.8% |
| 2023年 | 93.0% |
| 2024年 | 93.2% |
| 2025年 | 93.3% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」

従業者規模別で最も高いのは1,000〜1,999人の区分で、2025年調査時点で98.8%です。2024年調査で最も高かったのは300〜499人の98.0%で、最上位の区分は年によって入れ替わります。
クラウド利用企業のうちWebサイト構築を用途に挙げるのは17.6%にとどまる
クラウドをWebサイト構築に使う企業は、まだ一部です。「システム開発、Webサイト構築」は2024年調査時点の15.2%から2025年調査時点の17.6%へ、1年で2.4ポイント上昇しました(本記事による計算値)。
同じ期間に、ファイル保管・データ共有は71.0%から73.3%へ2.3ポイント、電子メールは56.8%から57.4%へ0.6ポイント上がっています。ファイル保管・データ共有との伸び幅の差は0.1ポイントで、優劣を言える差ではありません。
| 利用しているクラウドサービスの内容 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| システム開発、Webサイト構築 | 15.2% | 17.6% |
| 購買 | 13.5% | 16.7% |
| 認証システム | 13.6% | 16.0% |
| 研究・開発関係 | 4.9% | 4.6% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(2024年値・2025年値とも同一図表のクラウドサービス利用企業からの回答です)

伸び率では購買や認証システムのほうが速く、この用途だけが選ばれ始めたわけではありません。読み取れるのは、すでに使っている企業が用途をバックオフィスの外側へ広げているという変化です。
開設率の伸びは0.1ポイントまで鈍り、クラウド利用率は直近2年も3ポイント前後で伸びている
2つの指標は、伸び方の形が違います。開設率は2022年調査の91.8%から2023年調査の93.0%まで上がったあと、2024年調査93.2%、2025年調査93.3%とほぼ横ばいになりました。
対してクラウドサービスの利用率は、2022年調査72.2%、2023年調査77.7%、2024年調査80.6%、2025年調査83.5%と推移しました。直近2年は3ポイント前後の上昇が続いています(各年の差は本記事による計算値です)。

ここから読み取れるのは、サイトを新しく持つ動きが一巡し、企業の関心が「すでにあるサイトをどう動かすか」へ移っている段階だということです。CMSの選定や移行が情シスのテーマとして浮上する理由は、この形の違いにあります。
ただし、直近の0.1ポイントの鈍化は、回答企業の入れ替えによる誤差に収まる可能性もあります(93.2%と93.3%の差、本記事による計算値)。回答企業数は2024年調査でn=2,324、2025年調査でn=2,488です。「頭打ちになった」とまでは言えません。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2
クラウドCMSとオンプレミス型CMSの違いは、サーバーと保守を誰が持つかにある
クラウド型とオンプレミス型(パッケージ型)の違いは、機能の多さではありません。サーバーの調達と保守を自社が持つのか、事業者が持つのかという分担の違いです。
たとえばCMS本体のバージョンアップは、クラウド型なら事業者側の作業として進みます。オンプレミス型では、適用の判断も検証も自社または委託先の作業になります。
次の表は、両者の分担の違いを項目ごとに整理したものです。ここは調査データではなく、仕組みの説明として読んでください。費用は製品ごとに幅が大きく、公的な一次データも無いため金額は扱いません。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型(パッケージ型) |
|---|---|---|
| サーバーの調達 | 不要(事業者の環境を利用する) | 自社で調達し、更改も自社で計画する |
| バージョンアップ | 事業者が実施し、利用側は適用結果を確認する | 自社または委託先が検証して適用する |
| 障害対応 | 事業者が一次対応し、状況が通知される | 自社または委託先が切り分けから対応する |
| カスタマイズ範囲 | 提供された機能と拡張の範囲に収まる | 要件に合わせて作り込みやすい |
| セキュリティの責任分界 | 基盤側は事業者、設定・権限・コンテンツは自社 | 基盤から運用まで自社側に集まる |
クラウドを選ぶ理由の上位は「場所・機器を選ばない」50.7%と「資産・保守体制を社内に持たない」42.8%
この分担の違いは、実際に企業がクラウドを選ぶ理由にも表れています。総務省の2025年調査(無回答を除く、n=2,131)では、次の項目が上位に並びました。
- 場所、機器を選ばずに利用できるから: 50.7%
- 安定運用、可用性が高くなるから: 45.1%
- 資産、保守体制を社内に持つ必要がないから: 42.8%

安定運用・可用性は、2024年調査の40.4%から4.7ポイント上がっています(本記事による計算値)。運用の安定を事業者側に期待する企業が増えている、と読める動きです。
この設問はCMSに限定した調査ではなく、クラウドサービス全般への回答である点には注意してください。それでも、社外から更新できることと、保守体制を社内に抱えないことが選択の中心にあるという傾向は、CMSの検討にもそのまま当てはまります。
カスタマイズできないことを理由にクラウドを見送る企業は6.6%と最下位圏
クラウド型の弱点として語られやすいのが、カスタマイズの自由度です。ところが実測値では、この点を理由に見送る企業は多くありません。総務省の2025年調査で、クラウドを利用しない企業(n=150)が挙げた理由は次のとおりです。
| クラウドサービスを利用しない理由 | 2025年調査 |
|---|---|
| 既存システムの改修コストが大きい | 28.7% |
| 情報漏えいなどセキュリティに不安がある | 26.6% |
| ネットワークの安定性に対する不安がある | 13.1% |
| ニーズに応じたアプリケーションのカスタマイズができない | 6.6% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」(クラウドを利用していない企業 n=150、複数回答)
※この表は上位項目の一部です。最多は「必要がない」46.5%で、記事の後半で扱います。
ここから読み取れるのは、実際の障壁が改修コストとセキュリティに集中している点です。ただしn=150の小さいサンプルで、上位2項目以外の順位は誤差に埋もれます。「カスタマイズを理由に見送る企業は多数派ではない」という水準で受け取ってください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」
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クラウドCMSの検討が向くのは、サイトはあるが基盤が旧来のまま残っている中小企業
クラウドCMSを検討すべきかどうかは、自社の状態で判断できます。目安は、自社サイトがすでにあり、その稼働基盤だけが以前のまま残っているかどうかです。
自社ホームページの開設率は93.3%、クラウドサービスの利用率は83.5%でした(いずれも2025年調査)。どちらも高い水準ですが、開き方は企業規模や業種で異なります。
ただし「中小企業」には限定が付きます。通信利用動向調査の対象は常用雇用者100人以上の企業で、100人未満の事業者は含まれません。
以下では、規模別と業種別のデータを見ていきます。自社が遅れているかどうかは、平均との差ではなく、同じ条件の企業群との差で見てください。
資本金1,000万円未満のクラウド利用率は75.4%、50億円以上との差は24.4ポイント
クラウドの利用状況は、企業規模ではっきり分かれます。総務省の2025年調査(無回答を除く)の資本金規模別の利用率は次のとおりです。
| 資本金規模 | クラウド利用率(2025年調査) |
|---|---|
| 1,000万円未満 | 75.4% |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 74.8% |
| 50億円以上 | 99.8% |
| 全体 | 83.5% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(無回答を除く集計)
※この調査の対象は常用雇用者100人以上の企業です。資本金1,000万円未満の区分(n=100)も常用雇用者は100人以上あるため、一般的な小規模事業者の実態を示す数値ではありません。

1,000万円未満と50億円以上の差は24.4ポイントです(本記事による計算値)。中小企業ほど、サイトはあるのに基盤は旧来のままという状態が残りやすいと読めます。
ただし、サイトの運用を制作会社へ丸ごと委託している場合は当てはまりません。自社に運用業務が発生していないためです。委託範囲の切り分け方は、情シスのアウトソーシングもあわせて確認してください。
ホームページ開設率の業種差は7.9ポイント、クラウド利用率の業種差は17.9ポイント
業種別では、最高と最低の差が開設率で7.9ポイント、クラウド利用率で17.9ポイントです(本記事による計算値)。開設率は情報通信業と運輸業・郵便業、クラウド利用率は金融・保険業と運輸業・郵便業が両端でした。まず2024年調査の開設率です。
| 業種 | ホームページ開設率(2024年調査) |
|---|---|
| 情報通信業 | 98.6% |
| 金融・保険業 | 97.0% |
| 不動産業 | 96.7% |
| 建設業 | 95.4% |
| 卸売・小売業 | 95.3% |
| 全体 | 93.2% |
| 運輸業・郵便業 | 90.7% |
一方、2025年調査のクラウド利用率は開きが大きくなります。
| 業種 | クラウド利用率(2025年調査) |
|---|---|
| 金融・保険業 | 96.2% |
| 情報通信業 | 94.8% |
| サービス業、その他 | 79.3% |
| 運輸業・郵便業 | 78.3% |
| 全体 | 83.5% |
出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(クラウド利用率は無回答を除く集計)

ここから読み取れるのは、Webサイトを持つこと自体は業種を問わない前提になり、論点が「どの基盤で運用するか」へ移っている構図です。低い業種が遅れているという話ではありません。
注意
開設率の業種差が小さく見える点には限定が付きます。全体が93.2%の水準では上に伸びる余地が小さいためです。挙げた開設率は全体値を上回る5業種と最も低い運輸業・郵便業のみで、調査年も1年違います(2025年調査は93.3%)。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」
クラウドCMSのセキュリティは、Webサイト改ざんが常時発生している前提で判断する
クラウドCMSのセキュリティは、「任せれば安全」でも「クラウドだから危険」でもありません。事業者が持つ範囲と自社に残る範囲を、契約前に切り分けておくことが判断の中心です。
企業の見方も一方向ではありません。総務省の2025年調査では、クラウドを利用しない理由にセキュリティへの不安を挙げた企業が26.6%、利用する理由に安定運用・可用性を挙げた企業が45.1%でした(無回答を除く集計)。
同じセキュリティという言葉が、見送る理由にも選ぶ理由にもなっている状態です。判断を分けるのは、事業者に任せる範囲を具体的に把握できているかどうか。
この切り分けは責任共有モデルとして整理されており、総務省の「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」(2022年10月公表)も、提供者側の免責範囲を利用者が確認するよう求めています。
Webサイト改ざんの報告は四半期あたり43〜95件で継続的に発生している
Webサイトへの攻撃は特別な出来事ではありません。JPCERT/CCへの報告でも、Webサイト改ざんは四半期ごとに一定数が届け出られています。
| 対象四半期 | Webサイト改ざんの報告件数 |
|---|---|
| 2023年10〜12月 | 72件 |
| 2024年1〜3月 | 57件 |
| 2024年4〜6月 | 43件 |
| 2024年7〜9月 | 93件 |
| 2024年10〜12月 | 53件 |
| 2025年1〜3月 | 95件 |
出典: JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」各四半期版(届出ベースの報告数です。6四半期分それぞれのレポートURLは記事末の出典一覧に掲載しています)

件数は四半期ごとに倍以上振れており、増加傾向としては読めません。単一の大規模な改ざんキャンペーンで跳ねることもあるためです。常時一定数が報告されている事実として受け取ってください。
なお、これらの報告はCMSが原因と特定されたものではありません。それでも、CMS本体と拡張機能の更新は運用の必須作業です。クラウド型では本体の更新を事業者が担う一方、拡張機能や自社で追加した部分は自社に残ります。更新の担い手は脆弱性への対応も参考に、契約前に確認してください。
ウェブサイトからの情報漏えいの平均被害額は2,955万〜3,843万円
被害が発生した場合の金額も、公表資料から確認できます。IPAの実態調査に引用されたJNSAの調査では、ウェブサイトからの情報漏えいの被害額は個人情報のみで平均2,955万円です。クレジットカード情報を含む場合は平均3,843万円でした。
この数値は、金額の大きさを強調するために使うものではありません。事業者に任せられる範囲と自社に残る範囲を、事前に切り分けておく必要性を示す材料です。管理画面の権限設定や公開前の確認フロー、退職者アカウントの削除は、クラウドCMSでも自社側の作業として残ります。
注意
この被害額は、2017年1月から2022年6月までに被害の公表・報道があった国内の組織を対象とし、そのうちアンケートに回答した被害組織の回答をまとめた平均値で、中央値は示されていません。規模の大きい事案に引きずられるため、自社の想定額としてそのまま使うことはできません。集計には大企業や団体等も含まれます。これらの事案がCMSに起因すると特定されたものでもありません。
出典: JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」各四半期版/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」
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クラウドCMSの選定は、他社が実際に挙げた導入理由と非導入理由から確認項目を作る
選定基準は、一般論のチェックリストより実測値から組み立てるほうが社内で通りやすくなります。他社が何を理由に選び、何を理由に見送ったかは、総務省の調査で選択率として公表されているためです。
そこで、ここまでに示した導入理由と非導入理由の上位項目を、そのまま確認項目に読み替えます。多くの企業が重視した点は、そのまま事業者に確認すべき点です。
なお、この記事では特定の製品を推奨しません。公的な一次データにCMS製品ごとの価格やシェアが存在しないため、比較の軸だけを示します。
導入理由の上位3項目が、そのまま事業者に確認すべき3点になる
先ほど見た導入理由の上位3項目は、そのまま質問リストに変換できます。2025年調査(無回答を除く、n=2,131)の選択率と、対応する確認内容は次のとおりです。
- 場所、機器を選ばずに利用できるから50.7%: 社外や自宅からの更新と承認フローが、自社の運用ルールを満たすか
- 安定運用、可用性が高くなるから45.1%: SLAの内容と、稼働実績・障害履歴をどこまで開示してもらえるか
- 資産、保守体制を社内に持つ必要がないから42.8%: CMS本体と基盤のバージョンアップ、障害対応の担い手がどちらか
事業者への確認項目
- 更新の場所と権限: 社外からの更新可否、承認フロー、権限の細かさ
- 稼働の約束: SLAの数値、障害時の連絡経路、過去の稼働実績の開示範囲
- 保守の分担: バージョンアップの実施主体、事前告知の有無、停止時間の目安
いずれも、契約後には変えにくい条件です。見積もりを取る前の段階で聞いておくと、比較の軸がぶれません。
移行を止める要因は「改修コスト」28.7%に集中するため、移行範囲の切り分けを先に決める
選定の前に決めておくべきなのは、既存サイトのどこまでを移すかです。理由は、移行を止める要因が費用と不安に集中しているからです。
先ほどの2025年調査(n=150)では、既存システムの改修コストが大きいが28.7%、セキュリティに不安があるが26.6%でした。ネットワークの安定性への不安13.1%がこれに続き、カスタマイズができないは6.6%と下位です。
つまり、機能の細かい比較より先に、移行範囲と責任分担を固めるほうが検討は前に進みます。具体的には次の順で整理してみてください。
- 全面刷新と段階移行を分けて考え、どちらを前提に見積もるかを決める
- 既存サイトの連携機能(会員機能、基幹システム連携、問い合わせフォーム)を棚卸しする
- 移さない範囲を決め、その部分の運用を誰が続けるかを明記する
- セキュリティの責任分界を、事業者側と自社側で1枚の表にまとめる
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」
未導入企業の46.5%が挙げる「必要がない」は、現行の運用で足りているという判断
クラウドを使っていない企業の理由として最も多いのは、費用でも不安でもありません。総務省の2025年調査では、クラウドを利用しない企業(n=150)の46.5%が「必要がない」と回答しました。
一方、同じ2025年調査では、93.3%の企業が自社ホームページを持っています。クラウド利用企業のうちWebサイト構築を用途に挙げるのは17.6%ですから、多くの企業ではサイトの運用がクラウド以外の方法で回っていることになります。
ここから読み取れるのは、「必要がない」が業務の不在を意味していない可能性です。サーバーの保守やCMSの更新という作業は発生しているはずで、現行の方法で足りているという判断だと読むほうが自然です。
ただし、この読み方には分岐があります。サイトの運用を制作会社へ丸ごと委託していれば、自社に運用業務は発生しません。その場合、「必要がない」は正確な現状認識です。
なお、「必要がない」の選択率は2022年調査の42.0%から2025年調査の46.5%へ上がっています。ただし未導入企業の母数が縮むほど、残った企業は意図的に使わない層に寄っていきます。この上昇を意識の変化として読むことはできません。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」
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まとめ: クラウドCMSの導入実態を測る公的統計は存在せず、判断は自社の運用条件で組み立てる
この記事で確認した内容を、検討に使う順で整理します。
- 自社ホームページの開設率は93.3%です。一方、クラウド利用企業のうちWebサイト構築を用途に挙げるのは17.6%です(いずれも2025年調査、常用雇用者100人以上が対象)
- クラウドを選ぶ理由の上位は「場所、機器を選ばずに利用できるから」50.7%と「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」42.8%です。そのまま事業者への確認項目になります
- 移行を止める要因はカスタマイズの自由度ではなく、改修コストとセキュリティです
- Webサイト改ざんは四半期ごとに一定数が報告されており、責任分界の確認は契約前に済ませます
最後に、この記事で分かった限界もお伝えします。攻撃を受けたあとの実態は、JPCERT/CCの報告件数やJNSAの被害額として把握されています。一方、その手前にあるCMSの運用実態を測る統計は、公的な一次資料としては確認できませんでした。どのCMSを誰がどの頻度で更新しているかの平均値が無く、自社が遅れているかは公的データでは測れません。
だからこそ、判断の基準は自社の運用条件に置いてください。 更新の頻度、担当できる人数、外部委託の範囲を書き出すと、必要なCMSの形が見えてきます。
新人・ひとり情シスの学習環境をつくるなら「情シスカレッジ」
Webサイトの基盤をクラウドへ寄せると、更新や権限管理の担い手は情シス側に移ってきます。任される範囲が広がる一方で、体系的に学ぶ機会がないまま実務に入る担当者は少なくありません。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。数分の動画と小テストで、日々の業務の合間に必要な知識を積み上げられます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画+小テストで、まとまった学習時間を取らずに進められます
- 必修の割り当て・期限設定・進捗ダッシュボードで、受講状況をまとめて管理できます
- 自社カリキュラムの編成とCSVでの教育記録に対応し、社内の教育履歴として残せます
5名から利用でき、請求書払いにも対応しています。初期設定はおよそ10分で、担当者が1人でも始められます。
※出典
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2
- 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」
- 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」
- 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン」
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2023年10〜12月期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2024年1〜3月期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2024年4〜6月期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2024年7〜9月期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2024年10〜12月期
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート」2025年1〜3月期
- IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」

