情シスはなぜ嫌われる?理由や頼られる情シスになるための対策を解説

「また情シスが対応遅れてる…」と社内で不満が出ている
「どうせ話しても専門用語で返される」と壁を感じている
「使いづらいシステムばかりで現場のことを分かってない」と思われている
こうした声に心当たりがる場合、情シスとしての立場が社内で孤立している可能性があります。実際に、多くの企業で情シスは嫌われ役になりがちです。
しかし、IT環境を支える中核部門である情シスが、本当に敬遠されるべき存在なのか気になる人も多いでしょう。
本記事では、情シスが「なぜ嫌われるのか」の理由を深掘りし、現場で信頼を勝ち取るための具体的な対策までを解説します。
情シスが嫌われる理由は?

情シスが嫌われる理由として考えられるのは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。なぜ情シスが嫌われるのか原因について把握しておきましょう。
融通が利かないと思われている
情シスが嫌われる理由として、融通が利かないと思われている点が挙げられます。
たとえば、現場が「外部ツールを導入したい」と申し出たときに、情シスが「セキュリティ上NGです」と即答するようでは、「話が通じない」「柔軟性がない」と評価されてしまうでしょう。
一方で、情シスとしてもセキュリティや運用の都合を守らなければなりません。重要なのは、なぜできないのかを丁寧に説明し、以下のように代替案や妥協案を提示することです。
現場の要望 | 情シスの対応 |
---|---|
Dropboxを使いたい | NGだが、社内のクラウドストレージを提案 |
外部チャットを使いたい | セキュリティリスクの説明+Teamsへの誘導 |
断る理由と代替案をセットで説明してあげるだけでも、現場からの印象は大きく変わります。
専門用語を頻繁に使用するから
「VPNが切れてDNSが解決できませんね」と情シスからすると当たり前でも、現場にとっては何をいっているかわからないと感じることも嫌われる理由のひとつです。
専門用語ばかり使用していると、距離を感じさせ、現場と壁をつくってしまいます。
トラブル対応やシステム導入の際の説明など、情シスが説明を求められる場面は多いため、相手のITリテラシーに合わせてわかりやすく伝えることが重要です。
他部署との連携不足が「壁を感じる原因」になっている
情シスは機密度の高い情報を取り扱う部署であるため、別の部屋やフロアで働くことが少なくありません。
部屋が離れているため他部署とコミュニケーションを取る機会が少なく、トラブル対応やシステム導入時など必要なときだけやり取りする関係性になりがちです。
日常的にコミュニケーションを取るようにすれば、他部署から信頼度得られるため、情シスに対して好印象を持ってもらえる可能性が高くなります。
従業員が使いづらいシステムを採用しているから
従業員が社内のシステムを使いにくいと感じている場合は、情シスに悪評が立つ可能性があります。
社内で導入するシステムやツールは「自社のセキュリティポリシーに適したもの」「基幹システムの連携が容易だから」など、導入背景が存在しています。
しかし、現場の従業員は扱いにくさに気を取られるため、人によっては不満に感じることもあるでしょう。
現場に寄り添ったシステムへ変更することも重要ですが、予算やリソース上厳しい場合は、操作マニュアルを整備したり、システム操作の研修を開催したりして定着させていきましょう。
対応が遅く「頼りにならない」と印象を持たれている
「申請しても何日も返信がこない」「急ぎで困っているのに、テンプレで返される」などが重なると、現場からは情シスが頼りにならないと評価される可能性があります。
特にトラブル時や新入社員の対応など、スピードが求められる場面で対応が遅れると、業務全体に影響を与えかねません。
- 問い合わせ受付システムの導入
- 社内FAQの整備
- チャットボットの導入
- 業務の自動化
情シスの対応スピードを改善するためには、問い合わせフォームを整備してすぐ連絡できる体制を整えたり、社内FAQやチャットボットを導入して自分で解決できるようにしたり、仕組みづくりが重要です。

頼られる情シスになるための対策方法

情シスが嫌われてしまう背景には、誤解やすれ違いが多く含まれています。裏を返せば少しの工夫や姿勢の変化だけで、頼られる情シスへと印象を変えることが可能です。
頼られる情シスになるためには、以下の対策方法を実践しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
他部署と日常的にコミュニケーションを取り信頼関係を築く
何かが起きたときだけ情シスに連絡する関係では、信頼を築くことが困難です。日常的な接点が少ないほど、ちょっとした対応のズレやミスが「冷たい」「非協力的」と受け取られやすくなります。
信頼される情シスになるためにも、他部署や現場と普段からコミュニケーションを積極的に取ることが重要です。
- 月に1回ヒアリングをして業務改善や課題を把握する
- 挨拶や何気ない会話をたまに取り入れる
特に業務改善や課題のヒアリングは、現場や他部署にとっても情シスの存在感を実感してもらいやすく、信頼を築くために有効な取り組みといえるでしょう。
専門用語はかみ砕いて「誰にでも伝わる説明」を意識する
情シスに限らず専門用語を多用していると、敬遠される可能性が高くなります。ITが苦手な人も多く、専門用語を伝えると拒否反応を起こすケースも少なくありません。
そのため、専門用語はかみ砕いて誰にでも理解できる説明を意識しましょう。
- 技術よりも「相手の理解」を優先する
- 相手のレベルに応じて説明の粒度を変える
- メールやチャットでは、短く端的に伝える
相手のITリテラシーに応じて説明の粒度を変えたり、普段から知識のインプット時にどのようにすれば相手にわかりやすく伝えられるか考えたりすることが重要です。
定期的に役立つ情報を発信する
情シスが「何をしているのか分からない」と思われると、存在意義が正しく理解されません。そのため、従業員にとって役立つ情報を定期的に発信するようにしましょう。
- ツールの活用術(例:Excelの便利ショートカット)
- セキュリティ注意喚起(例:不審メールの見分け方)
- システム障害の事前案内や復旧報告
- おすすめITサービス紹介(社内申請の流れ付き)
「知っててよかった」「便利だった」と思われる内容を届けることで、情シスの信頼度の向上が可能です。
また、情シスの仕事内容も発信しておくと、何をしている部署なのか社内で把握してもらいやすくなります。
マニュアルを整備する
ITリテラシーのある従業員のなかには、情シスへの問い合わせで嫌な顔をされるかもしれないととストレスを感じる人もいます。
そこで、各種システムやよくある問い合わせに関するマニュアルを整備しておくと、コミュニケーションの機会は減りますが、一部の人にとっては感謝してもらえる可能性があります。
ITリテラシー研修を実施する
情シスへの依存やセキュリティへの理解不足の多くは、従業員のITリテラシー不足が原因です。
従業員が基本的な知識を身につければ、トラブル対応の質が上がり、情シスへの無駄な問い合わせも減ります。
- パスワード管理の基本とツール活用
- フィッシングメールの見分け方
- クラウドサービスの使い方と注意点
- 情報漏洩につながるNG行動とは
特に情シスが手動で伝えると「教えてくれる存在」「守ってくれている部門」としてポジティブな印象を与えることができます。
社内全体のIT意識を高めるためにも、定期的なITリテラシー研修の導入が有効です。
まとめ|嫌われない情シスになるには「信頼」と「歩み寄り」が重要
情シスが嫌われてしまう背景には、「伝え方」や「関わり方」のすれ違いが多く存在します。
決してスキル不足や努力不足が原因ではなく、むしろ“正しい行動が誤解されている”ケースが多いのが実情です。そのため、少しの意識の変化と工夫次第で情シスの評価を大きく変えられます。
本記事で紹介した対策方法はすぐにでも実践できる内容であるため、ぜひ少しずつチャレンジしてみてください。