情シスでもテレワークは実現できる？向いている業務・課題・安定運用方法まで徹底解説

情シスは、社内のITインフラやヘルプデスク対応など、物理的な対応が必要になる場面があり、出社を前提とした働き方が少なくありません。

しかし、近年ではクラウドやリモートツールの進化により、情シスのテレワークも十分に実現可能となってきました。実際に、弊社でも情シスのテレワークを導入しており、多様の働き方を実現しています。

本記事では、情シスにおけるテレワークの可否や向いている業務、考慮すべき課題、導入方法までを網羅的に解説します。

記事を読めば、情シスの働き方に悩んでいる担当者や、管理者がテレワークの導入を推進することが可能です。

【結論】情シスはテレワークの導入が可能

結論、情シスはテレワークが可能な職種です。しかし、すべての業務がテレワーク可能ではなく、業務に応じてテレワークと出社の対応をわけるのがおすすめです。

ここからは、テレワークが可能な情シス業務と難しい業務をそれぞれ詳しく解説します。

テレワークが可能な情シス業務

情シス業務の多くは、物理的な対応が不要なため、テレワークを十分に実現できます。たとえば以下のような業務は、情シスのなかでもテレワークが可能な業務です。

ヘルプデスクやIT資産管理、セキュリティ対策など情シスはテレワーク可能な業務が複数あります。

「集中して作業したい」「割り込みを避けたい」と考える担当者にとっても、在宅の方がパフォーマンスが出しやすいケースが少なくありません。

テレワークの導入は、現状の情シス業務の見直しからはじめるのがおすすめです。

テレワークが難しい情シス業務

情シス業務のなかには、物理的な対応が必要になるテレワークに不向きなものもあります。代表的な業務として、以下のものが挙げられます。

社内ネットワークの整備や物理機器の設置などは、現地でしか実施できない作業であり、テレワークは困難です。

しかし、頻度が少ない業務や、代替手段が存在する業務も多いため、必要に応じて出社や委託と組み合わせることで柔軟な運用が可能になります。

情シスがテレワークを導入する5つのメリット

情シスがテレワークを導入するメリットは、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

通勤が不要になり、情シスの生産性が向上する

情シスにテレワークを導入すれば、通勤が不要になるため、生産性の向上につながります。

多くの担当者は始業前から問い合わせ対応やトラブル対応に追われがちですが、在宅勤務であれば移動時間の削減により朝から余裕を持って業務に取り組むことが可能です。

また、出社時特有の割込作業や不要な対面での会話も減少するため、集中力を保ちやすくなるでしょう。

柔軟な働き方で優秀な人材を獲得しやすくなる

テレワークの導入は、優秀な人材を採用したい場合にも有効です。近年はIT人材不足が深刻化しており、優秀な情シス担当者を確保するのは容易ではありません。

特に「フル出社」を条件とする企業は、求職者から敬遠されがちです。

特にリソースに限りのある中小企業やベンチャー企業は、柔軟な働き方を導入することで、優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。

災害・感染症でも継続できるBCP対策になる

テレワークの導入は、災害や感染症といった非常事態でも業務を継続できるメリットがあります。

地震・台風・感染症の流行など、予測不能な事態が発生した場合でも、情シスが遠隔から対応できる体制を構築していれば、企業活動が停止するリスクを最小限に抑えられます。

BCP対策としても有効なため、情シス業務がテレワークで業務を続けられる体制を整えることは、企業にとっても中ゆおな取り組みといえるでしょう。

オフィスコストや交通費など経費の削減に貢献

情シスがテレワークを導入することで、オフィスの固定費や交通費などの経費の削減につながります。

情シスは少人数でも広いスペースを要する傾向にありますが、テレワークによって常駐人員を最小限にすれば、設備投資や保守費用も抑えられます。

短期的な導入コストこそ発生しますが、中長期で見れば明確な経費削減につながる点がテレワークの強みです。

VPNやリモートツールでどこからでも障害対応が可能

現在はVPNやリモート接続ツールの発展によって、場所を問わず障害対応が可能になっています。特に、以下のようなツールが情シス業務のテレワークを効率化しているといえるでしょう。

VPNやRDPといったツールを活用すれば、自宅や地方にいても、システムの監視や初動対応、設定変更などの業務に柔軟に対応できます。

情シスのテレワークにおける5つの課題とデメリット

情シスのテレワークにおける課題・デメリットは、以下のとおりです。

多くのメリットがあるテレワークですが、導入する場合はいくつかの注意点も確認する必要があります。

ここでは、情シスのテレワークにおける5つの課題とデメリットを解説します。

社内サポートやトラブル対応が増え、業務負荷が大きくなる

全社的にテレワークを導入した場合、ユーザーからのITサポート依頼が急増しやすく、情シスの負担が大きくなる可能性があります。

リモート勤務に不慣れな社員が多い場合「ネットに繋がらない」「メールが送れない」といった初歩的な問い合わせが集中する傾向があります。

また、対面で状況を把握できないため、コミュニケーション不足によって対応に時間がかかるケースも少なくありません。

機器・ネットワーク整備など初期コストがかかる

情シスがテレワークを導入するためには、インフラ整備が必要です。具体的には、VPN環境の構築、VDI（仮想デスクトップ）の導入、MDMによる端末管理体制の整備などが挙げられます。

また、情シス担当者が遠隔で業務をおこなえるように、セキュリティソフトの導入も必要です。

MDMやセキュリティソフトの導入など、テレワークの推進には一定のコストが発生する点には注意しましょう。

物理的に管理できないためセキュリティが複雑化する

情シスがオフィスにいない状況では、端末やネットワーク機器に対する物理的な管理が煩雑になります。

結果として、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティリスクが高まり、セキュリティ対策の難易度が高くなります。

テレワークを導入する場合は、MDMやEDRといったセキュリティ製品の導入や従業員のセキュリティ教育を実施し、全社的にセキュリティ意識を高めることが重要です。

「ひとり情シス」では不在時の対応が滞るリスクがある

多くの中小企業では、情シスが1人または兼任体制で運用されているケースが少なくありません。

いわゆるひとり情シス状態でテレワークを導入すると「急な障害発生時に対応できない」「誰も操作方法がわからない」といった事態が発生しやすくなります。

ひとり情シスの場合はテレワーク導入を慎重に設計し、安定した運用を実現しましょう。

他部門との連携が取りづらく、情報共有が遅れる

テレワークを導入すると、他部門との連携が取りづらくなり、情報共有が遅れる可能性があります。

特にITリテラシーの高くない部署では、些細なトラブルでも「対面で聞きたい」「画面を見て説明してほしい」といったニーズが強いケースも多いです。

テレワークを導入する場合は、GoogleドライブやOnedriveで情報の一元化をしたり、ITツールの運用に関する手順書やFAQを整備したりしましょう。

テレワークを成功させるためには、人とのコミュニケーション問題をどのように解決するかが重要です。

情シスがテレワークを安定して導入・運用する方法

情シスがテレワークを安定して導入・運用するためには、以下の方法を実践しましょう。

それぞれ詳しく解説します。

業務の一部をアウトソーシングする

安定したテレワークを実現するためには、外部の専門業者に業務の一部をアウトソーシングするのがおすすめです。

特にひとり情シスや兼任体制の企業の場合は、キッティングやヘルプデスクといったノンコア業務をアウトソーシングすることで、業務負担を軽減できます。

自社の業務でアウトソーシングできそうな部分はないかを見直し、外部委託でテレワークの安定運用を実現させましょう。

クラウドツールを導入する

情シスのテレワークを安定運用させるためには、グループウェアなどのクラウドツールの導入がおすすめです。

クラウドツールを導入すれば、情報共有や問い合わせ管理、IT資産管理といったさまざまな業務をネットワーク上で実現できます。

情シス業務を効率化し、安定したテレワークを実現するためにも、クラウドツールの導入も検討してみてください。

ハイブリッド勤務を採用する

フルリモートの実現が困難な情シス業務においては、出社と在宅を組み合わせたハイブリッド勤務がおすすめです。

情シスにはどうしても出社が必要な物理業務（例：ネットワーク機器の交換やPCの手渡し）が存在しますが、それらを週1〜2日の出社日で対応し、他の業務を在宅でおこなうことができます。

すべて在宅化するのではなく、テレワーク化しやすい業務から段階的に運用することで、現場の混乱を抑えつつ移行できます。

まとめ | 情シスでもテレワーク導入は可能！工夫次第で安定運用できる

情シスのテレワークは、物理作業の多さやトラブル対応の難しさから「難しい」と思われがちですが、実際には多くの業務がリモート対応可能です。

VPNやクラウドツールの導入、業務の棚卸し、外注やハイブリッド勤務といった手段を組み合わせれば、情シスでも柔軟かつ安定的にテレワークを運用できます。

いきなりフルリモートにするのではなく、在宅と出社を組み合わせたハイブリッド勤務の導入も検討してみてください。