情シスが無能と言われるのは誤解?本当の理由と改善策を経験者が解説

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情シスって何しているかわからないと思われている

情シスが無能と感じている人が少なくない

情シスが無能と思われないためにはどうすれば良いの

このような課題を感じている情シスは少なくありません。結論、情シスは企業の事業活動をITでサポートする重要なポジションであり、無能ではありません。

しかし、以下のような理由から無能と捉えられてしまうことがあります。

情シスが無能と言われる理由
  • 情シスの業務内容が理解されていない
  • コスト部門として扱われている
  • トラブル対応に時間がかかる
  • ひとり情シス・兼任情シスの増加

この記事では、情シスがなぜ無能と言われるのかを整理しながら、組織から必要とされるために必要な改善策を解説します。

記事を読めば、頼られる情シスになるにはどうするべきかが理解できるようになるでしょう。

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目次

情シスが無能と言われる理由とは?誤解と実態を整理しよう

情シスが無能と言われる理由とは?誤解と実態を整理しよう

情シスが無能と言われる理由は、以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

情シスの業務内容が理解されていない

情シスはITインフラの整備からシステム運用、セキュリティ対策、ヘルプデスク対応まで幅広い業務を担っています。

しかし、いずれも具体的な成果が見えづらく、他部署からは何をしているのかわからないと思われがちです。その結果、「仕事していないのでは?」という誤解が生まれ、無能と見なされるリスクが高まります。

業務が理解されない背景
  • 成果が数値化されにくい
  • トラブル発生時に表に出るため印象が悪くなる
  • ITリテラシーによっては説明してもうまく伝わらない

営業職のように成果が数値に表れるわけではないため、実績が評価されにくい情シスは他部署や現場から理解してもらえないことが少なくありません。

コスト部門として扱われている

情シスは売上を生み出さない部門として、経営層からコスト削減の対象にされやすい傾向があります。営業や企画のように収益を直接生み出す部門と比べ、情シスはどうしても「支出を伴う存在」と見なされがちです。

特にSaaSやクラウド導入など、目に見えにくい支出が増える昨今では情シスはコストばかりかかると認識され、無能と捉えられてしまうことも珍しくありません。

トラブル対応に時間がかかる

社内のトラブルが発生した際、情シスの対応が少しでも遅れると「動きが遅い」「頼りにならない」といったネガティブな評価を受けがちです。

実際には、原因の特定や復旧作業には一定の調査や検証が必要であり、すぐに対応できないケースも多いです。

トラブル対応に時間がかかる理由
  • ユーザーからの情報提供が不十分で、状況把握に時間がかかる
  • 応急処置よりも再発防止を優先しているため対応に慎重になる
  • 情シス側のリソース(人員・時間)が足りていない

現場が求めるスピード感とのズレが、不信感を生み、対応が遅い=無能といった印象につながってしまいます。

ひとり情シス・兼任情シスの増加

中小企業やベンチャー企業を中心に、情シスを1人で担っていたり、総務・経理など他の職務と兼任しているケースが増えています。

いわゆる「ひとり情シス」や「兼任情シス」は、業務範囲が広く負荷も大きいため、どうしても業務の質やスピードに限界が生まれやすくなります。

ひとり情シス・兼任情シスのリスク
  • トラブル対応に追われて、戦略的な業務に手が回らない
  • 業務の属人化が進み、担当者不在時に対応できない
  • マニュアルやナレッジの整備が後回しになる

対応が遅れたり、業務の質が低下したりすると、ユーザー側から無能と判断されるケースも多いです。

関連記事:ひとり情シスとは?背景・課題や効果的な解決方法を解説

情シスが重要な理由

情シスが重要な理由

一部の人から無能と言われる情シスですが、以下のような理由から今後も重要性が高いポジションです。

それぞれ詳しく解説します。

DX推進のための情シスの知見と判断力が必要

企業が競争力を強化するためには、DXの推進が不可欠です。しかし、単に新しいツールやシステムを導入するだけでは、業務は変わりません。

業務プロセス全体を理解し、最適なIT環境へと設計・構築していく専門知見と判断力が求められます。

企業に必要なDX推進の例
  • RPAやSaaSの導入による業務の自動化・効率化
  • クラウドサービスへの移行による柔軟性の確保
  • セキュリティ対策と利便性のバランス調整

DX推進を適切におこなうためには、情シスの知見や判断力が必要になります。

外部ベンダー任せではなく、自社の方向性に合った技術を選び、導入・運用を先導する存在として、情シスの判断力は非常に重要といえるでしょう。

働き方改革に対応するため

テレワークやフレックス制度、副業解禁など、働き方改革は多くの企業が取り組むべき課題です。

従業員が働きやすい環境を実現するうえで、ITの活用は欠かせないため、ITの知見がある情シスは非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。

ITを導入するだけではなく、社内での運用ルールやセキュリティポリシーを設計・教育するのも情シスの仕事です。

ITを活用した事業戦略が必要になる

現代のビジネスにおいて、ITは単なる業務支援の手段ではなく、事業戦略そのものの一部となっています。

ITを活用した事業戦略の例
  • データ分析を用いた経営判断の高速化
  • 顧客情報を活かしたマーケティング自動化
  • 社内プロセス全体のデジタル化によるコスト削減

競合との差別化や新規事業の展開、コスト構造の見直しなど、経営のあらゆる局面でIT活用が前提になっており、それを実現するのが情シスです。

情シスの視点なしに、事業の持続的成長は難しくなります。データを活用した経営判断やマーケティングの自動化など、事業活動をサポートするうえで情シスの知見は欠かせないでしょう。

情シスが無能と思われないために今すぐできる5つの対策

情シスが無能と思われないために今すぐできる5つの対策

情シスが無能と思われないためには、以下のような対策に取り組みましょう。

それぞれ詳しく解説します。

他部署と積極的にコミュニケーションを取る

情シスが「無能」と誤解される根本的な要因のひとつに、他部署とのコミュニケーション不足があります。

ITに詳しくない人からすると、情シスの仕事はよくわからないことを黙々とやっている人たちに見えてしまいます。

そこでまず必要なのが、他部署と積極的にコミュニケーションを取り、自分たちの業務を言語化して伝えることです。

情シスのコミュニケーションの取り方
  • 定例のIT勉強会やライトな相談会の開催
  • 業務フロー改善のヒアリングを通じた伴走型支援
  • 導入したシステムの効果や理由を資料で丁寧に説明する

「話しかけやすい情シス」「気軽に相談できるIT担当」といった印象を持ってもらうことで、認識のズレは確実に減らすことができます。

信頼関係を構築するためにも、積極的に他部署や経営層とコミュニケーションを取るようにしましょう。

レスポンス力を向上させる

情シスに対する評価はスピード感で大きく左右されます。いくら丁寧な対応をしていても、返答が遅ければ「遅い=無能」と感じられてしまいます。

そのため、すぐの対応は難しくても「受け取った」「対応中」と伝えるだけでも、ユーザーからの印象を変えることが可能です。

レスポンス力を高めるための施策
  • チャットツールやチケット管理システムの導入
  • 問い合わせ内容に応じた優先度の設定と対応ルールの明文化
  • FAQやナレッジベースの整備による対応の効率化

迅速な対応フローを設計することで、ユーザーの満足度を高めながら業務効率化も実現できます。

組織全体のITリテラシーを向上させる

情シスにすべてを丸投げするような社内の風潮があると、対応が属人化しやすく、業務の遅延やトラブルの原因になります。

その結果、「また情シスの対応が遅い」「分かってない」といった誤解が生まれ、「無能」と見なされてしまうのです。

組織のITリテラシーを向上させる方法
  • 基本的なPC操作やクラウドツールの使い方講座を実施
  • 情報セキュリティ研修を通じたリスク意識の醸成
  • 「よくある問い合わせ」や操作マニュアルの可視化と共有

情シス業務や簡単な問い合わせについては自分で対応できるようになるためにも、情シスが主体となって全社のITリテラシーを底上げする必要があります

ITリテラシーが向上すれば、情シスへの依存度は下がり、本来取り組むべき戦略的業務に集中できるようになります。

アウトソーシングを活用する

情シスは、インフラ整備からセキュリティ対策、業務改善まで幅広い業務をおこないます。しかし、人数が限られている場合は、すべての業務を担当するのはあまり現実的ではないでしょう。

そこで、外部の専門家から力を借りて業務を分担できるアウトソーシングの利用がおすすめです。

アウトソーシングを活用するメリット
  • 外部専門家の知見を取り入れられる
  • ノンコア業務を委託できる
  • 人的リソースに余裕ができる

コア業務とノンコア業務を整理し、適切に外部委託することで、情シスは本来果たすべき「IT戦略の推進」「経営支援」に集中できるようになります。

情シスの成果を可視化する

情シスの業務は、トラブルを未然に防止するものや裏方で支えるものが多いため、目に見える成果として評価されにくい傾向があります。

そのため、社内から「何をやっているのか分からない」「価値が見えない」と誤解され、「無能」という評価につながってしまうことがあります。

情シスの成果を適切に評価してもらうためにも、情シス自身が主体となって発信していくことが重要です。

成果を可視化するための具体策
  • 月次で対応件数・対応内容・改善効果をレポート化
  • 導入したツールやシステムのコスト削減効果を数値で提示
  • KPI(例:平均初動対応時間、インシデント件数など)を設定し、定期報告する

数値やグラフ、ビジュアル資料などを活用し、誰が見ても「成果が出ている」と分かる形にすることで、情シスの価値は確実に伝わります。

まとめ | 情シスの重要性を社内に理解してもらおう

情シスが「無能」と言われてしまうのは、能力の問題ではなく、業務の見えにくさや組織構造、社内のIT理解の不足が原因です。

他部署とのコミュニケーションの取り方や、レスポンスの改善など少しの工夫で社内からの情シスの評価を変えることは可能です。

また、DXや働き方改革、事業戦略にITが不可欠となった今、情シスは単なるサポート部門ではなく、企業の成長を支える“戦略部門”としての役割を担っています。

正しく理解・評価されるためには、情シス自身が行動・発信を主体的におこなうことが重要です。

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