リモートワイプとは?メリット・デメリットやリモートロック・ローカルワイプとの違いを解説

リモートワイプってどのような機能なの?
端末が盗まれたとき、どうやって社内データを守るの?
テレワークが増えた今、情報管理の対策が急務になっている
企業や個人を問わず、モバイル端末の盗難や紛失による情報漏えいリスクは年々高まっています。実際に、多くの企業が内部情報や顧客データの流出で社会的信用を失っています。
総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、2022年時点で51.7%の企業がテレワークを導入しており、外部におけるセキュリティの重要度が高まっているといえるでしょう。

セキュリティが重視されるなかで、注目されているのがリモートワイプです。リモートワイプは、インターネットを通じて端末内のデータを遠隔から消去できる機能です。
この記事では、リモートワイプの仕組みやリモートロック・ローカルワイプとの違い、導入によるメリット・デメリットまで解説します。
リモートワイプとは
ここからは、リモートワイプの概要について解説します。
リモートロックやローカルワイプとの違いも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
リモートワイプは、端末を紛失・盗難してもデータを消せる機能

リモートワイプとは、遠隔操作によってスマートフォンやノートパソコンなどのデバイスに保存されたデータを初期化・削除できるセキュリティ機能です。
万が一、端末が盗難・紛失した場合でも、管理者が遠隔でデータを消去することで、情報漏えいを防ぐことができます。
特に、企業でテレワークやBYOD(私物端末の業務利用)が進む中、情報資産を守るために欠かせない対策として注目されています。
MDM(モバイルデバイス管理)システムと連携させることで、複数の社員端末を一元管理し、緊急時でも迅速に対応できる体制を整えることが可能です。
リモートロックは操作を制限、ワイプはデータそのものを消去する
リモートロックは、紛失や盗難が判明した段階で、遠隔操作により端末の画面ロックを強制し、第三者による操作を一時的に制限する機能です。
対してリモートワイプは、端末内のデータを遠隔で削除する機能になります。
機能 | 目的 | 実行結果 |
---|---|---|
リモートロック | 操作の一時的制限 | ロック画面で操作不可になる |
リモートワイプ | データの恒久的な消去 | 端末内の情報をすべて初期化 |
リモートロックの場合は端末に情報が保存されたままで削除されることがないため、ロックを解除された場合は情報漏えいにつながるリスクがあります。
そのため、遠隔でデータを消去するリモートワイプの方が安全性は高いといえるでしょう。
ローカルワイプは一定回数の操作失敗で自動的にデータを消す
ローカルワイプとは、端末のパスコードやパスワードの入力を一定回数以上間違えると、自動的に端末内のデータを初期化・削除する機能です。
iPhoneや一部のAndroid端末、MDMツールで設定可能で、不正アクセスや盗難時に備えた自動防衛策として活用されています。
種類 | 実行タイミング | 実行者・発動条件 |
---|---|---|
リモートワイプ | 管理者が遠隔操作で実行 | MDMツールやクラウド経由 |
ローカルワイプ | パスコード連続失敗時に自動発動 | ユーザーの設定により端末側で |
社用端末を社外に持ち出した際に紛失・盗難が起きたときに、端末を手にした悪意のある第三者が情報窃取のためにロックを解除しようとするでしょう。
その際、ローカルワイプを設定しておけば、自動的にでデータが消去されるため情報漏えいを防止できます。
リモートワイプのメリット

リモートワイプのメリットは、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
紛失・盗難時の情報漏えいを防止できる
リモートワイプは、紛失・盗難時の情報漏えいを防止できる点がメリットです。
モバイル端末には、顧客情報、営業資料、業務アカウントのパスワードなど、漏えいすれば企業に甚大な損害を与える機密情報が多数保存されています。
リモートワイプを事前に設定しておけば、端末が第三者の手に渡った際にも、管理者の判断で即座にデータを消去でき、被害の拡大を防ぐことが可能です。
管理者の判断で、任意のタイミングでワイプを実行できる
管理者の判断で任意のタイミングでデータの消去をおこなえる点も、リモートワイプのメリットです。
ローカルワイプの場合は、あらかじめ設定された「パスコードの入力失敗回数」によって自動的に発動します。そのため、ミスによってデータが削除されるリスクがあるでしょう。
一方で、リモートワイプは人的判断で実行の可否やタイミングをコントロールできるため、誤操作によるデータ損失のリスクも回避できます。
リモートワイプのデメリット・注意点

リモートワイプのデメリット・注意点は、以下のとおりです。
遠隔操作のため実際の動作確認ができない
リモートワイプは、ネットワーク経由でデータ削除命令を端末に送る仕組みのため、実行された内容を現地で目視で確認することができません。
たとえば、ワイプ指示を出した後に、端末がオフラインの状態だったり、通信環境が不安定であったりした場合、指示が届かない可能性もあります。
また、実行ログや管理コンソール上で「実行済み」と表示されていても、実際に端末のデータが完全に削除されたかどうかは、物理的に確認しない限り保証できません。
電源オフの状態だと実行できない
リモートワイプは、端末がインターネットに接続されている状態でなければ実行されません。
電源が切れていたり、機内モードに設定されていたりする場合、管理者が指示を出しても遠隔からのデータ消去を実行できません。
電源オフ状態でもセキュリティを維持するためには、ローカルワイプとの併用がおすすめです。
一定回数パスコードを間違えると自動的にワイプが実行されるよう設定しておけば、オフライン状態でも端末が自身の判断で情報漏えいを防止してくれます。
必要なデータごと削除されてしまう
リモートワイプは便利なセキュリティ機能ですが、実行すると業務上必要な書類まで削除される点がデメリットです。
たとえば、重要な商談資料や未提出の報告書などがローカル保存されていた場合、リモートワイプの実行によってすべて削除されてしまいます。
データ削除によるリスクを減らすためには、クラウドストレージやファイルサーバーを併用し、定期的にバックアップを取得しておくことが重要です。
まとめ | リモートワイプは情報漏えいを防止するセキュリティ機能
リモートワイプは、端末の紛失や盗難といった突発的なリスクに備え、企業の大切な情報資産を守るための機能です。
情報漏えいの防止をはじめ、管理者の即時対応や柔軟な運用が可能で、テレワーク時代においては欠かせないセキュリティ対策の一つといえます。
一方で、実行条件や誤削除のリスクもあるため、ローカルワイプやクラウドバックアップとの併用、適切な運用ルールの策定が重要です。
導入を検討する際は、実効性だけでなく、運用負荷や従業員の使い勝手にも配慮しながら、総合的なセキュリティ強化を目指すようにしましょう。