【総務省・IPAデータ】情シスとは|業務範囲と必要スキルを、クラウド利用率83.5%・セキュリティ被害48.1%(2025年)から解説

「情シス」という言葉を聞いても、担当範囲がどこまでなのかは意外とはっきりしません。社内で聞く人によって答えが違う、ということもよくありますよね。
- 情シスは結局、どこからどこまでを担当する部門なのか分からない
- 社内SEと何が違うのか、社内の誰に聞いても答えがバラバラ
- ひとりで全部やっているけれど、これは普通の状態なのか判断できない
結論から言うと、情シスは社内のITシステム全般を企画・運用・管理する部門です。仕事の中身は、インフラ運用・ヘルプデスク・セキュリティ対策・IT資産管理・IT企画の5領域に整理できます。
この記事では、総務省・IPA・個人情報保護委員会の公表データだけを使って、情シスの定義、業務範囲、環境の差、必要なスキル、体制強化の順番を整理します。年収やキャリアの相場は公的統計の裏づけがないため扱いません。
この記事のポイント
- 情シスは社内のITシステムを企画・運用・管理する部門で、業務はインフラ運用・ヘルプデスク・セキュリティ対策・IT資産管理・IT企画の5領域に整理できます
- 守備範囲は広がり続けています。2025年調査時点でクラウドサービスを利用する企業は83.5%です。同じ2025年調査で、テレワークを導入する企業は50.1%でした(出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」)
- 一方で「ひとり情シス」の人数を示す公的統計は、本記事が確認した範囲では見つかりませんでした。総務省の企業調査は、常用雇用者100人以上の企業しか対象にしていないためです
情シスは社内のITシステム全般を企画・運用・管理する部門
情シスは「情報システム部門」の略称で、「じょうしす」と読みます。社内の人が仕事でITを使うために必要なものをそろえ、動かし続けることが役割です。
具体的には、ネットワークやサーバーの用意、パソコンやスマートフォンの配布と管理、業務システムの導入、社員からの問い合わせ対応までを担当します。会社によって呼び方は違いますが、担っている機能はおおむね共通しています。
この記事は、業務の5領域 → 情シスが向き合う環境 → 必要なスキル → 体制強化、という順で進みます。まずは守備範囲の全体像から押さえてみてください。
ポイント
- 情シス=情報システム部門の略称。読みは「じょうしす」
- 社内のIT環境をそろえる・動かし続ける・守るのが基本的な役割
- 対象は社内のネットワークと端末だけでなく、クラウドサービスと社外に持ち出した端末まで広がっている
- 担当範囲は企業ごとに異なり、業界共通の統一定義があるわけではない
情シスは社内SEやSIer、DX推進部門と担当範囲が一部重なる
情シスと似た言葉に、社内SE・SIer・DX推進部門があります。混乱の原因は、これらの担当範囲が一部重なっているうえ、企業ごとに呼び分けが違う点にあります。
おおまかには、社内SEは自社システムの開発・改修を担うエンジニア、SIerは社外から受託する立場、DX推進部門は業務変革の企画が主眼です。情シスはIT環境全体の維持と企画を受け持ちます。
| 呼び方 | 主な立場 | 中心になる仕事 |
|---|---|---|
| 情シス(情報システム部門) | 社内 | IT環境全体の企画・運用・管理 |
| 社内SE | 社内 | 自社システムの開発・改修 |
| SIer | 社外 | システムの受託開発・構築 |
| DX推進部門 | 社内 | 業務やビジネスモデルの変革企画 |
ただし、この区分に業界統一の定義はありません。同じ仕事を「情シス」と呼ぶ会社もあれば「社内SE」と呼ぶ会社もあるので、求人や社内資料では実際の担当業務を確認するのが確実です。
情シスの守備範囲は2025年時点でクラウド83.5%・テレワーク50.1%という環境の上に成り立つ
では、情シスは実際に何を相手にしているのでしょうか。総務省の通信利用動向調査(常用雇用者100人以上の企業が対象)の2025年調査から、4つの数値で環境を確認できます。
- クラウドサービスを利用している企業の割合: 83.5%
- テレワークを導入している企業の割合: 50.1%
- 何らかのセキュリティ対策を実施している企業の割合: 98.3%
- 何らかのセキュリティ被害を受けた企業の割合: 48.1%
いずれも同じ2025年調査の数値です。ただし4つの母数は共通ではありません。下の2つ(セキュリティ対策の実施率と被害の経験率)は、回答企業のうちインターネットを利用している企業を母数とした割合です。
クラウドと社外接続が前提になり、そのうえでセキュリティ被害が半数近くに及ぶ環境が、情シスの仕事の土台になっています。それぞれの中身は次のセクション以降で詳しく見ていきます。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2
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情シスの業務は5つの領域に整理できる
情シスの仕事は幅広く見えますが、整理すると5つの領域に収まります。ITインフラの運用・管理、ヘルプデスク、セキュリティ対策、IT資産管理、IT企画・システム導入の5つです。
このうち前の4つは、社内のIT環境を止めずに守る「守りの情シス」にあたります。最後のIT企画は、業務のやり方そのものを変える「攻めの情シス」と呼ばれる領域です。どちらか一方だけを担当する会社は少なく、多くは両方を抱えています。
裏づけとして、IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書のp.32を見てみます。ここは「内部不正による情報漏えい等」への対策としてシステム管理者に求められる項目を挙げた箇所で、利用している資産の把握、利用者IDとアクセス権の管理、システム操作履歴の監視が並んでいます。
資産管理・権限管理・ログ監視は、そのまま情シスの実務にあたります。
ポイント
- ITインフラの運用・管理: ネットワーク、サーバー、クラウドサービス、端末を動かし続ける
- ヘルプデスク: 社員からの問い合わせ対応、トラブル対応、初期設定の支援
- セキュリティ対策: 対策の導入と運用、権限管理、ログ監視、インシデント対応
- IT資産管理: 端末・ソフトウェア・ライセンス・契約の把握と棚卸し
- IT企画・システム導入: 業務課題に合わせたシステムの選定・導入・定着
インフラ運用の対象は社内から社外の端末まで広がっている
情シスのインフラ運用は、サーバー室の面倒を見る仕事から大きく変わりました。総務省の通信利用動向調査によると、2025年調査時点でクラウドサービスを利用している企業は83.5%です。この値は、一部の業務だけで使っている企業も含めた割合です。

出典: e-Stat 統計表0003165250(通信利用動向調査 企業編)/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1より作成
社外に出た端末も管理対象です。テレワークを導入している企業の割合は、2019年調査で20.1%でした。その後、2024年調査で47.3%、2025年調査で50.1%と推移しています。

出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1より作成
注意したいのは、この推移が単純な右肩上がりではない点です。テレワーク導入率は2021年をピークに3年連続で下がり、2025年調査で50.1%へ戻りました。社内に閉じたネットワークだけを見ればよい時代は終わり、クラウド上のサービスと社外の端末まで守備範囲に入っています。
セキュリティ対策は98.3%の企業が実施しているが、運用を伴う対策は半数を割る
セキュリティ対策の実施率は、ほぼ全企業で頭打ちになっています。何らかのセキュリティ対策を実施している企業の割合は、次のように推移しました。
- 2018年調査: 97.8%
- 2021年調査: 98.1%
- 2022年調査: 98.4%
- 2025年調査: 98.3%
一方、同じ2025年調査で対策の中身を見ると差が出ます。ウイルス対策プログラムの導入は82.0%です。しかしセキュリティポリシーの策定は48.2%、OSへのセキュリティパッチ導入は43.5%と半数を割ります。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2より作成
この対比から読み取れるのは、情シスのセキュリティ業務が「入れる」ことより「回し続ける」ことに寄っているという点です。2025年調査で何らかの対策は98.3%が実施済みなのに、パッチ導入は43.5%にとどまります。ツールを導入した時点では終わらず、更新と棚卸しを続ける仕事が残ります。
注意
実施率のうち2025年調査の値だけが「無回答を除く」集計です。2018年から2022年の値とは集計基準が異なるため、0.1〜0.3ポイント程度の差は基準の違いで説明がつきます。この範囲の上下を増減として読まないでください。さらに、2018年調査は「情報通信ネットワーク利用企業」、2021年以降は「インターネット利用企業」が母数で、母数の定義も完全には一致しません。本記事は2023年・2024年調査の値を載せていないため、この4点は連続した推移ではなく、離れた4時点の水準として読んでください。また、対策項目ごとの実施率は、設問の選択肢構成が年によって変わっている可能性を排除できません。
情報漏えいの報告対応も情シスの業務に入り、2024年度の直接報告は14,198件
漏えいが起きたときの調査と報告も、情シスが関わる領域です。個人情報保護委員会の年次報告によると、2024年度の個人データ漏えい等報告の件数は次のとおりです。
- 委員会への直接報告: 14,198件
- 委任先省庁を経由した報告: 4,858件
この2つは報告経路別の集計であり、インシデントの発生件数そのものではありません。実務では、事実確認、影響範囲の特定、本人への通知、期限内の報告までを担当することになります。手順を決めておかないと、起きてから調べる時間が足りなくなります。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和4年通信利用動向調査報告書(企業編)」/同 令和3年/同 平成30年/e-Stat 統計表0003165250/個人情報保護委員会「令和6年度年次報告」/IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)
情シスが向き合う脅威の顔ぶれは10年前後変わっていない
セキュリティ業務と聞くと、毎年出てくる新しい攻撃への対応を想像するかもしれません。実際は逆で、同じ脅威への継続的な対応が仕事の中心です。
IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」(組織向け)では、1位と2位の顔ぶれが4年連続で同じでした。上位に並ぶ項目は毎年入れ替わるものではありません。
ただし、顔ぶれが完全に固定されているわけではありません。2026年版では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が新たに初選出されています。
ここから読み取れるのは、情シスのセキュリティ業務が終わりのある課題ではなく、続けることが前提の業務だという点です。だからこそ、担当者が代わっても回る形にしておく必要があります。
ポイント
- 脅威は毎年入れ替わらない。同じ項目への継続対応が業務の中心になる
- 10大脅威は選考会の投票で決まる順位であり、被害件数の実測値ではない
- 脅威リストは自社の環境に当てはめて取捨選択してから優先順位にする
ランサム攻撃は11年連続、サプライチェーン攻撃は8年連続で10大脅威に選ばれている
同じ脅威が続いていることは、選出年数に表れています。IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」(組織向け)では、ランサム攻撃による被害が11年連続で選出されました。
サプライチェーンや委託先を狙った攻撃も8年連続の選出です。さらに1位と2位の顔ぶれは4年連続で変わっていません。
この継続から読み取れるのは、対策が効いていないということではなく、対策が終わらない領域だという点です。棚卸しと更新を続ける前提で、担当者の時間を確保しておくのが現実的です。
注意
10大脅威の順位は、選考会の投票によって決まるものです。被害件数を集計した実測値ではないため、順位が変わらないことは被害が同水準で続いていることの直接的な証拠にはなりません。順位は「注目され続けている領域」を示す目安として読んでください。
セキュリティ被害を経験した企業の割合は2025年に48.1%と半数に近い
被害の経験も、特別な出来事ではなくなっています。総務省の通信利用動向調査によると、何らかのセキュリティ被害を受けた企業の割合は2024年調査で45.9%でした。2025年調査では48.1%です。
企業規模で見ると差が出ます。2024年調査では、従業者100〜299人の企業で44.2%、2,000人以上の企業で69.5%でした。その開きは25.3ポイントです(本記事による計算値)。

出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2より作成
ただし、この差を「大企業ほど狙われている」とだけ読むのは早いです。大企業は検知や報告の体制、つまり情シスの機能が整っているため、被害を把握できている可能性もあります。規模が小さい企業の数値が低いことは、被害が少ないことと同じではありません。
リモートワークを狙う攻撃は10大脅威の8位に入るが、当てはまるかは業種で分かれる
脅威リストは全組織向けに一律で公表されます。IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」(組織向け)では、「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」が第8位に入りました。
一方、テレワーク環境を持っているかどうかは会社によって違います。2025年調査のテレワーク導入率は、業種によって次のように分かれます。
- 情報通信業: 92.8%
- 卸売・小売業: 45.6%
- サービス業、その他: 43.3%
- 運輸業・郵便業: 32.5%
- 全体: 50.1%
ここから読み取れるのは、脅威リストと自社の環境には適用範囲のずれがあるという点です。情シスは脅威リストをそのまま優先順位にせず、自社にある環境から順に当てはめて取捨選択してみてください。
注意
ここで並べた2つの資料は、調査主体も時点も異なります。10大脅威はIPAの2026年版、テレワーク導入率は総務省の2025年調査です。順位と導入率の間に量的な対応関係があるわけではありません。また導入率は「導入している企業の割合」であり、社員のうち何割が実際に社外から接続しているかは示していません。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2
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情シスの置かれる環境は業種よりも企業規模で差がつく
「うちの情シスがしんどいのは、業界のせいなのか会社の規模のせいなのか」。兼任で情シスをやっていると、一度は考える疑問ではないでしょうか。
2025年調査の同一調査・同一集計基準のデータで比べると、クラウド利用については規模による差のほうが大きく出ます。全体の利用率は83.5%ですが、この平均値だけを自社と比べても位置は分かりません。
この比較から読み取れるのは、情シスが置かれる環境は「どの業界か」より「どの規模の会社か」で決まる部分が大きいという点です。自社の位置を測るときは、規模の軸を先に見てみてください。
ポイント
- 規模の軸: 自社に近い資本金規模・従業者規模の区分と比べる
- 業種の軸: 社外に端末を出す業種かどうかで業務内容そのものが変わる
- 集計の軸: 母集団条件と標本数、集計基準(無回答を除くか)を確認してから比べる
2025年のクラウド利用率は業種間17.9ポイント、資本金規模間25.0ポイントの差がある
まず業種別に見ます。2025年調査で最も高いのは金融・保険業の96.2%、最も低いのは運輸業・郵便業の78.3%でした。開きは17.9ポイントです(本記事による計算値)。

図表5の数値(2025年調査、無回答を除く集計): 金融・保険業96.2%/情報通信業94.8%/不動産業90.9%/建設業89.2%/製造業85.6%/卸売・小売業83.6%/サービス業、その他79.3%/運輸業・郵便業78.3%。基準線は全体83.5%。出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2より作成
次に資本金規模別を見ます。最も高いのは50億円以上の99.8%、最も低いのは1,000万〜3,000万円未満の74.8%でした。開きは25.0ポイントです(本記事による計算値)。

図表6の数値(2025年調査、無回答を除く集計): 50億円以上99.8%(n=165)/10億〜50億円未満97.5%(n=127)/5億〜10億円未満92.5%(n=65)/1億〜5億円未満92.3%(n=513)/3,000万〜5,000万円未満84.1%(n=365)/5,000万〜1億円未満83.1%(n=562)/1,000万円未満75.4%(n=100)/1,000万〜3,000万円未満74.8%(n=589)。出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2より作成
注目したいのは2つの軸の重なり方です。業種で最も低い運輸業・郵便業の78.3%は、資本金規模で最も低い区分の74.8%を上回っています。
ただし、業種と資本金規模は独立した軸ではありません。資本金の小さい区分に特定の業種が偏っていれば、規模の差に見えるものが業種構成の反映である可能性があります。
テレワーク導入率は情報通信業92.8%と運輸業・郵便業32.5%で3倍近く開く
業種の軸が強く効く領域もあります。2025年調査のテレワーク導入率は、情報通信業92.8%に対して運輸業・郵便業32.5%でした。その差は60.3ポイント、倍率にして2.9倍です(本記事による計算値)。

図表7の数値(2025年調査、無回答を除く集計): 情報通信業92.8%/金融・保険業81.9%/不動産業66.3%/建設業57.8%/製造業54.5%/卸売・小売業45.6%/サービス業、その他43.3%/運輸業・郵便業32.5%。基準線は全体50.1%。出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2より作成
クラウド利用率の業種差が17.9ポイントだったのに対し、テレワークははるかに大きく開きます。ここから読み取れるのは、業種によって情シスの業務内容そのものが変わるという点です。
社外に端末を出す会社では、VPNや多要素認証、端末管理、資産管理エージェントの運用が必要になります。出さない会社では、これらの仕事自体が発生しません。なお導入率は「導入している企業の割合」であり、社員のうち何割が社外から接続しているかは示していません。
規模別の数値は単年の水準として読み、前年比では判断しない
自社の数字と見比べるときの読み方も押さえます。資本金規模別のクラウド利用率は、総務省が同じ資料内で前年値を同一基準に再集計して並べています。
| 資本金規模 | 2024年調査 | 2025年調査 |
|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 61.5%(n=122) | 75.4%(n=100) |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 72.6% | 74.8% |
| 5,000万〜1億円未満 | 85.8% | 83.1% |
| 5億〜10億円未満 | 99.1%(n=48) | 92.5%(n=65) |
| 10億〜50億円未満 | 90.6% | 97.5% |
| 50億円以上 | 99.8% | 99.8% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2(2024年値は同資料で無回答を除く基準に再集計されたもの)より作成
前年比は最大で+13.9ポイント、最小で−6.6ポイントと散らばります(本記事による計算値)。標本数の小さい区分では、少数の回答でも数値が動きます。
ここから読み取れるのは、単年の規模別の差分を実勢として断定できないという点です。規模別の数値は、前年比ではなく単年の水準として読んでください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2/同 別紙1
ひとり情シスの人数を示す公的統計は存在しない
「ひとり情シス」は広く使われる言葉ですが、本記事が確認した範囲では、その人数や割合を継続的に示す公的統計は見つかりませんでした。資料の探し方の問題というより、主要な公的調査が母集団の外に置いていることによる空白です。
理由は母集団にあります。本記事がここまで使ってきた総務省の数値は、たとえば2025年調査のクラウド利用率83.5%(有効回答2,486社)です。これらはいずれも常用雇用者100人以上の企業を対象とした調査の結果です。
ここから読み取れるのは、担当者が1〜2名という体制が最も起こりやすい規模帯には、公的な定点観測が存在しないという点です。だからこの記事では、人数や設置率の数値をあえて出しません。
注意
本記事は、情シスの人数・設置率・年収の数値を一切掲載していません。根拠にできる公的統計を確認できなかったためです。ウェブ上には具体的な人数や比率を示す記事もありますが、母集団が会員企業や特定サービスの利用企業に偏る民間調査が出どころの場合があります。数値を社内資料に転記する前に、調査主体と母集団を必ず確認してください。
総務省の企業調査は常用雇用者100人以上の企業しか対象にしていない
まず、本記事が使ってきたデータの範囲をはっきりさせます。情シスの主要領域を示す4つの数値は、すべて総務省「通信利用動向調査」の企業編に由来します。
2025年調査の数値では、次の4つがそれにあたります。
- クラウド利用率: 83.5%
- テレワーク導入率: 50.1%
- 何らかのセキュリティ対策の実施率: 98.3%
- セキュリティ被害の経験率: 48.1%
この調査の対象は、公務を除く産業に属する常用雇用者100人以上の企業です。うち下の2つは、その回答企業のなかでインターネットを利用している企業が母数です。つまり、100人未満の企業はそもそも集計に入っていません。自分の会社が数字に含まれていなかった、という方も多いのではないでしょうか。
ここから読み取れるのは、4領域のいずれについても、小規模企業の業務量を測る公的な定点観測が無いという点です。全体平均を自社の基準として使うと、実態とずれる可能性があります。
個人データ漏えい等の報告件数にも、事業者の従業員規模別の内訳は無い
もう一方の柱である個人情報保護委員会の年次報告も同じです。2024年度の報告件数は、委員会への直接報告が14,198件、委任先省庁を経由した報告が4,858件でした。
この報告は経路別や漏えい規模別に集計されていますが、報告した事業者の従業員規模別の内訳は持ちません。そのため、小規模な事業者でどの程度の対応が発生しているかは、この資料からは読み取れません。
なお、これは「該当する調査がどこにも存在しない」という意味ではありません。本記事が根拠にした公的統計の範囲では測られていない、という限定の話です。中小企業庁や経済産業省、IPAの調査に関連データがある可能性は否定しません。
公表されている最小の規模区分は従業者100〜299人で、被害経験率は44.2%
では何を手がかりにすればよいのでしょうか。公表値の中で最も小さい規模区分を、参照点として使う方法があります。
2024年調査のセキュリティ被害の経験率は、全体で45.9%でした。従業者100〜299人の企業は44.2%、2,000人以上の企業は69.5%です(図表4を参照)。
ただし、100〜299人の44.2%は下限ではありません。100人未満の企業がこれより低いとも高いとも、公表データからは言えないためです。
他社と比べて安心したり不安になったりするより、母集団の条件を確認したうえで自社の状況を棚卸しするほうが確実です。 5領域のうち自社が何を担当しているかを書き出すところから始めてみてください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」/個人情報保護委員会「令和6年度年次報告」
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情シスに求められるスキルは、担当する領域の広さから逆算できる
情シスに必要なスキルは、一般論として並べるより、担当する領域から逆算するほうが具体的になります。守備範囲がそのままスキルの守備範囲になるからです。
2025年調査で、クラウドサービスを利用している企業は83.5%、テレワークを導入している企業は50.1%でした。何らかのセキュリティ対策を実施している企業は98.3%です。この3つが、いま情シスが日常的に触れる領域を示しています。
資格については、基本情報技術者試験や情報処理安全確保支援士などが情シスの業務と関わりますが、必須ではありません。学習する範囲を確認する手段として使うと考えてみてください。
ポイント
- 土台の層: ネットワーク・端末・サーバーの基礎知識
- 環境の層: クラウドサービスの権限設計と、社外接続を前提としたセキュリティ設計
- 運用の層: 更新・棚卸し・記録を止めずに回すための手順づくりと文書化
インフラ・クラウド・セキュリティの3領域が土台になる
まず土台になるのは、ネットワーク・端末・サーバーの基礎知識です。トラブルの切り分けは、この3つの理解がないと進みません。
そのうえで、クラウドサービスの権限設計が必要になります。2025年調査でクラウドサービスを利用している企業は83.5%で、社内サーバーだけを見ていれば済む会社は少数派です。
さらに、社外から接続する前提のセキュリティ設計も土台に入ります。同じ2025年調査でテレワークを導入している企業は50.1%です。何らかのセキュリティ対策を実施している企業は98.3%、被害を経験した企業は48.1%でした。
対策の有無ではなく、対策が自社の環境に合っているかを判断できることが求められます。 資格は知識の抜けを見つける手段として使うと、独学でも進めやすくなります。
運用を伴う対策ほど実施率が下がるため、続ける設計ができる人が求められる
ツールを選ぶ力より、選んだあとを回す力のほうが差になります。2025年調査では、何らかのセキュリティ対策の実施率が98.3%、ウイルス対策プログラムの導入が82.0%でした。
一方、セキュリティポリシーの策定は48.2%、OSへのセキュリティパッチ導入は43.5%と半数を割ります。導入して終わる対策と、運用が続く対策とで実施率がはっきり分かれています。
この差から読み取れるのは、情シスに求められるのが、更新・棚卸し・記録を止めずに回す設計力だという点です。担当者が休んでも続く形にできるかが、実務では効いてきます。
ただし、対策項目ごとの実施率が低いことについては、設問の選択肢構成が年によって変わっている可能性を排除できません。項目間の順序は参考にしつつ、絶対値の解釈は慎重にしてください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2
情シスの体制強化は、人を増やす前に標準化と教育から着手できる
体制を強くする方法は、増員だけではありません。人員を増やせない前提でも動かせる打ち手があります。
手がかりになるのが、全国平均で半数を割っている対策です。2025年調査では、セキュリティポリシーの策定が48.2%、OSへのセキュリティパッチ導入が43.5%でした。
この2つはいずれも、手順を決めて続けるタイプの取り組みです。裏を返せば、道具ではなく決め方と回し方でつまずいている企業が多い領域だと読めます。だからこそ、標準化と教育が最初の一手になります。
ポイント
- 標準化: 手順と記録の形を決め、担当者が代わっても同じ結果になるようにする
- 外部活用: 監視や一次対応など、時間を取られる業務の委託を検討する
- 教育: 兼任・新任の担当者が判断できる範囲を広げ、属人化を減らす
実施率の低い対策から手をつけると、体制の弱いところが見えやすい
着手順に迷ったら、実施率の低い項目から自社を点検してみてください。2025年調査の全国平均は次のとおりです。
- セキュリティポリシーの策定: 48.2%
- OSへのセキュリティパッチ導入: 43.5%
- ウイルス対策プログラムの導入: 82.0%
上の2つは多くの企業で後回しになりやすい領域です。自社がどちら側に該当するかを確認するだけでも、体制の弱い部分が見つかります。
なお、平均を下回っていることが、そのまま問題であるとは限りません。事業の内容や利用しているサービスによって、必要な対策の組み合わせは変わります。まずは現状を書き出し、そのうえで優先順位を決めてください。
自社の位置は、母集団の条件が近い区分の数値と比べて確認する
他社比較をするなら、全体値ではなく自社に近い区分と比べます。クラウド利用率なら、全体の83.5%ではなく規模別の値を見ます。2025年調査では、資本金1,000万〜3,000万円未満が74.8%、50億円以上が99.8%でした。
読み方は前のセクションと同じで、単年の水準として見ます。そのうえで、区分の両端は誤差の影響を受けやすい点に注意してください。
2025年調査では、資本金1,000万円未満の利用率が75.4%でした。同じ調査の1,000万〜3,000万円未満の74.8%を上回っています。規模が小さいほど利用率も低い、という順序にはなっていません。
被害経験率も同じです。2024年調査で公表されている最小の規模区分は、従業者100〜299人の44.2%です。それより小さい企業の値はありません。
注意
社内資料に数値を載せるときは、調査年・母集団・標本数をセットで書いておいてください。後から自分でも検証できます。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙2/同 別紙1/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」
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情シスに関するよくある質問
検索でよく見かける疑問を、Q&A形式でまとめました。
Q1. 情シスの読み方と語源を教えてください。
「じょうしす」と読みます。「情報システム部門」を略した言い方で、社内の呼称としてそのまま定着しました。正式な部門名は「情報システム部」「IT推進部」など企業によって異なります。
Q2. 情シスと社内SEは何が違いますか。
担当範囲の広さが違います。社内SEは自社システムの開発・改修が中心で、情シスはネットワーク・端末・クラウド・セキュリティを含むIT環境全体を受け持ちます。ただし業界統一の定義はなく、同じ仕事を両方の呼び方で表す企業もあります。
Q3. 情シスは何人体制が普通ですか。
本記事が確認した公的統計にはデータがないため、人数の目安は示せません。総務省の企業調査は常用雇用者100人以上の企業が対象で、担当者が1〜2名になりやすい規模帯は集計に入っていないためです。人数から考えるのではなく、自社が担当している領域を書き出して必要な工数から逆算してください。
Q4. 情シスに資格は必要ですか。
必須ではありません。基本情報技術者試験や情報処理安全確保支援士などが業務と関わりますが、資格がなくても担当できます。知識の抜けを確認する手段として使うのが現実的です。
Q5. 中小企業にも情シスは必要ですか。
規模にかかわらず、担当者を決めておく必要があります。2025年調査でクラウドサービスを利用している企業は83.5%でした。同じ調査で何らかのセキュリティ被害を受けた企業は48.1%です。ITを使わない前提の会社は、ほとんどありません。専任が置けない場合でも、責任の所在だけは明確にしてください。
Q6. 情シスの業務範囲はどこまでですか。
ITインフラの運用・管理、ヘルプデスク、セキュリティ対策、IT資産管理、IT企画・システム導入の5領域が基本です。加えて、漏えい時の調査と報告も担当範囲に入ります。個人情報保護委員会への直接報告は、2024年度で14,198件ありました。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2/個人情報保護委員会「令和6年度年次報告」
まとめ
- 守備範囲の土台は、2025年調査のクラウド利用83.5%とテレワーク導入50.1%です。同じ2025年調査で、セキュリティ対策の実施は98.3%、被害経験は48.1%でした
- セキュリティ業務の重心は「入れる」より「回し続ける」側にあります。ランサム攻撃は2026年版の10大脅威に11年連続で選ばれています
- 環境の差は業種より企業規模で出ますが、業種構成が規模差に見えている可能性も残ります
- ひとり情シスの人数を示す公的統計はありません。母集団の条件を確かめて自社の状況を棚卸しするのが確実です
- 漏えい時の報告対応も業務に含まれ、2024年度の委員会への直接報告は14,198件でした
ポイント
- 情シスの仕事は5領域に整理できる(インフラ運用・ヘルプデスク・セキュリティ対策・IT資産管理・IT企画)
- 数値を自社に当てはめるときは、調査年・母集団・標本数を必ずセットで確認する
- 体制強化は増員だけでなく、標準化・外部活用・教育から着手できる
まずは、5つの領域のうち自社が実際に担当している範囲を書き出してみてください。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」別紙1/同 別紙2/IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)/個人情報保護委員会「令和6年度年次報告」
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情シスカレッジは新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMS
この記事で見てきたとおり、情シスの守備範囲はインフラからクラウド、セキュリティ、資産管理まで広がっています。新任や兼任の担当者が、これを独学で追いかけるのは負担が大きい領域です。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。数分の動画と小テストで、日々の業務の合間に必要な知識を少しずつ積み上げられます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画+小テストで、まとまった学習時間を取らずに進められます
- 必修の割り当て・期限設定・進捗ダッシュボードで、受講状況をまとめて管理できます
- 自社カリキュラムの編成とCSVでの教育記録に対応し、社内の教育履歴として残せます
5名から利用でき、請求書払いにも対応しています。初期設定はおよそ10分で、担当者が1人でも始められます。
※出典

