【総務省データ】キッティングとセットアップの違い|業務範囲の切り分けと、テレワーク導入率50.1%(2025年)で変わった発注の考え方

「キッティング」と「セットアップ」。会議や見積書で両方の言葉が出てくるのに、違いをうまく説明できない。新任の情シスや、ひとりで社内IT全般を見ている方からよく聞く話です。

  • 「キッティング」と「セットアップ」、結局どこが違うの?
  • 見積書に「キッティング一式」とあるけれど、どこまでやってくれるのか分からない
  • 端末を渡した後の設定変更まで自分の仕事なのか、線を引けない

結論から言うと、セットアップは端末1台を使える状態にする作業です。キッティングはそれを含んだうえで、社内標準への統一・資産登録・配布までを含む業務全体を指します。

この記事では、2つの言葉の境界がどこにあるかと、その境界を業務分担や発注書にどう落とすかを解説します。根拠には総務省の通信利用動向調査を使いました。

この記事のポイント

  • セットアップは端末1台を使える状態にする作業、キッティングは設計から資産登録・配布までを含む業務全体を指します
  • 端末に入れて終わる作業(ウイルス対策プログラムの導入)は82.0%、渡した後も続く作業(OSへのセキュリティパッチ導入)は43.5%です。実施率では38.5ポイント開きます(いずれも2025年、出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」
  • テレワーク導入率は2025年で全体50.1%、従業者2,000人以上では81.2%です。切り分け方は規模と業種で別物になります(出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」
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目次

セットアップは端末1台を動かす作業、キッティングは配布までの業務全体を指す

2つの言葉の違いは、対象の範囲と、終わりの定義にあります。セットアップは端末や機器を1台単位で使える状態にする作業で、キッティングはそれを含めて社内標準への統一・資産登録・配布までを行う業務全体です。

言い換えると、この2つは対立する言葉ではありません。セットアップはキッティングという業務のなかに含まれる工程のひとつ、という関係になります。

見積書や社内の分担表で食い違いが起きるのは、この包含関係が共有されていないときです。まずは両者の位置づけをそろえておきましょう。

ポイント

  • セットアップ: 端末や機器、ソフトウェアを1台(1アプリ)単位で使える状態にする作業。動く状態になった時点で完了します
  • キッティング: 配備する端末群をまとめて社内標準にそろえ、資産登録・配布まで行う業務全体。セットアップはこの中に含まれます

セットアップは対象が1台単位で、動く状態になった時点で終わる

セットアップは、対象を「動く状態」にした時点で完了する作業です。対象はPCに限らず、スマートフォンやプリンタ、業務アプリケーションでも同じ言い方をします。

数え方の単位が1台、あるいは1アプリケーションである点が特徴です。OSの初期起動、アカウントの作成、ネットワークへの接続、必要なソフトの導入を行い、使える状態になれば終わりになります。

よく混同されるインストールは、ソフトウェアを機器に入れる作業そのものを指します。インストールはセットアップに含まれる一手順で、入れたソフトを設定して使えるようにするところまでがセットアップです。

つまりセットアップは、範囲を1台に閉じた作業を表す言葉だと考えてください。

キッティングは複数台をまとめて社内標準にそろえ、配布までを含む

キッティングは、配備する端末群をまとめて社内標準にそろえ、利用者の手元に届けるまでを指します。完了の定義は「動くこと」ではなく、利用者が自分の席や自宅で業務に使えることです。

対象の単位も1台ではありません。新入社員ぶんのまとまった台数、部署単位の入れ替えぶんといった、複数台が前提になります。同じ設定を全台に行き渡らせるという考え方が入る点が、セットアップとの差です。

そのため、キッティングには資産台帳への登録やラベル貼付、梱包・発送といった、端末が動くかどうかとは別の作業が含まれます。キッティングに含まれる作業内容や進め方は別記事で詳しく整理しているので、そちらもあわせて読んでみてください。

公的統計にも両者を定義した調査は無く、現場ごとに範囲がずれている

ここまで示した定義は、実は公的に決まったものではありません。今回参照した総務省・経済産業省の調査には、両語を定義した設問が見当たりませんでした。

総務省の通信利用動向調査が捉えているのは、作業項目の単位までです。2025年調査では、端末にウイルス対策プログラムを導入している企業は82.0%、OSへのセキュリティパッチを導入している企業は43.5%でした(いずれもインターネットを利用している常用雇用者100人以上の企業が対象、複数回答)。

一方で、これらをまとめた業務の呼び名や、一括で外部に出せる範囲は設問になっていません。外部委託も「セキュリティ管理のアウトソーシング」が2025年で20.2%という粒度までです。経済産業省が2019年に公表した推計も、2030年時点のIT人材不足を中位のシナリオで44.9万人と見込む職種単位の見立てにとどまります。

ここから読み取れるのは、用語が公的に固定されていないため、社内と発注先で範囲がずれても不思議はないということです。

注意

「公的統計に存在しない」と言い切っているわけではありません。今回参照できた総務省・経済産業省の調査には見当たらなかった、という限定付きの話です。民間の調査会社が独自に定義している可能性は残ります。本記事の定義も一般的な整理であって、唯一の正解ではありません。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)

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端末を渡す時点で終わる作業と、渡した後も続く作業は実施率で38.5ポイント分かれている

境界がどこにあるかを知りたいときは、その作業が一度で終わるかどうかを見てください。総務省の2025年調査では、インターネットを利用している企業のうち何らかのセキュリティ対策を実施している割合は98.3%に達しています。

ほぼすべての企業が何かしら手を打っているにもかかわらず、個別の項目を見ると実施率ははっきり2つの水準に分かれます。一度で終わる作業が82.0%、渡した後も続く作業が43.5%(いずれも2025年)と、38.5ポイントの開きがあります。

この差が生まれる位置が、キッティングとして一括で片づけられる範囲と、運用として手を入れ続ける範囲の分かれ目と重なります。 以下、実際の数値で確認していきます。

ポイント: 境界を判断する2つの問い

  • その作業は一度やれば終わるか(終わるならキッティング側)
  • その作業は端末を渡した後も繰り返し発生するか(発生するなら運用側)

端末へのウイルス対策プログラム導入は2024年・2025年とも82.0%で頭打ちになっている

配布前に一度入れれば終わる作業の代表が、端末へのウイルス対策プログラムの導入です。総務省の通信利用動向調査によると、この実施率は2024年82.0%、2025年82.0%と、2年連続で同じ水準でした。

母集団はインターネットを利用している常用雇用者100人以上の企業で、設問は複数回答です。伸びしろがほとんど残っていない水準まで行き渡っている、と読める数字です。

一度で終わる作業と渡した後も続く作業の実施率対比(2024年・2025年)

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」をもとに作成。「一度で終わる作業/渡した後も続く作業」というグループ分けは調査側の区分ではなく、本記事による解釈です。

一度で終わる作業については、企業側の実施がすでに完了段階に近いことが分かります。

OSへのセキュリティパッチ導入は43.5%、アクセスログの記録は41.0%にとどまる

端末を渡した後も繰り返し発生する作業は、水準が明らかに違います。同じ調査の同じ設問群で、OSへのセキュリティパッチ導入は2024年42.4%から2025年43.5%へ動きました。アクセスログの記録も2024年37.8%から2025年41.0%へ上がっています。

いずれも4割前後で、端末へのウイルス対策プログラム導入の82.0%とは38.5ポイントの差があります。ただし2項目とも1年で上昇しており、まだ伸びている途中の指標です。

ここで押さえておきたいのは、これらが別々の調査の数字ではないという点です。同一調査・同一設問群のなかで、項目によって実施率が2つの水準に分かれています。

実施率の分かれ目が、キッティングと運用の境界と重なっている

この数値から読み取れるのは、企業の実施状況そのものが2つのグループに割れているということです。2025年時点で、配布前に機械的に片づく作業は82.0%まで進み、渡した後の運用を伴う作業は43.5%で止まっています。

何らかの対策を実施している企業が98.3%ある点を踏まえると、この差は「やるつもりがない」ではありません。継続的に手を入れ続ける作業ほど残りやすい、と読むほうが自然です。

実務に落とすと、こうなります。自社の作業を「一度で終わるか、渡した後も繰り返すか」で仕分けると、キッティングに含めるべき範囲がほぼ決まります。

注意

初期設定型・継続運用型という分類は調査側の区分ではなく、本記事の解釈です。また「何らかの対策」98.3%は選択肢を1つでも選べば該当する設問で、個別項目との乖離は定義の違いで説明がつきます。OSパッチやログ記録はMDMなどの管理ツールで自動化されている場合、回答者が「実施している」と認識せず、実態より低く出る余地もあります。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」(2024年・2025年の実施率はいずれも同資料 図表5-5による)

端末配備のノウハウが必要な企業は、専任体制を持たない規模へ広がっている

なぜ今、この2語の違いが問われるのでしょうか。端末を配って回収するという業務が、専任のIT部門を持たない規模の企業まで広がってきたからです。

総務省の2025年調査では、テレワークを導入している企業は全体で50.1%でした。従業者2,000人以上では81.2%です(いずれも常用雇用者100人以上の企業が対象)。

大企業側はすでに高い水準にあり、全体の伸びは大企業以外が押し上げています。

社内に前例がない状態で端末配備を始めると、まず言葉の定義でつまずきます。用語の切り分けが実務課題になるのは、前例のない層です。

ポイント: 社内に前例がないときに最初に決めること

  • 端末をどこで利用者に渡すか(出社時に手渡すのか、自宅へ配送するのか)
  • 渡した後の設定変更を誰が引き受けるか(情シスか、委託先か、現場か)
  • 台帳への登録とラベル貼付をどの工程で行うか

テレワーク導入率は2025年に全体50.1%、従業者2,000人以上では81.2%

テレワーク導入率は、全体と大企業で水準が大きく異なります。総務省の通信利用動向調査によると、2025年の導入率は全体50.1%、従業者2,000人以上の企業では81.2%で、差は31.1ポイントです。

全体の値は2021年の51.8%とほぼ同じ水準で、この数年は横ばい圏で推移しています。急に増えているわけではありません。

テレワーク導入率の全体と従業者2,000人以上の対比(2024年・2025年)

出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」をもとに作成。

なお、この調査の母集団は公務を除く産業に属する常用雇用者100人以上の企業です。100人未満の企業は含まれていないため、小規模企業まで含めた実態とは差が出る可能性があります。

大企業と全体の差は1年で34.8ポイントから31.1ポイントに縮まっている

この推移から読み取れるのは、端末配備のノウハウを必要とする層が移りつつあるということです。従業者2,000人以上の企業は2024年82.1%から2025年81.2%へわずかに下がりました。一方で全体は2024年47.3%から2025年50.1%へ上がっています。

結果として、両者の差は34.8ポイントから31.1ポイントへ縮まっています。大企業側は頭打ちで、増加分は大企業以外が押し上げた形です。

端末を社外に配送し、離れた場所で使える状態にして渡す。この業務が、専任担当を置きにくい規模の企業に降りてきている段階だと考えられます。

注意

これはわずか1年分の変化です。全体値は2021年51.8%、2024年47.3%、2025年50.1%と5割前後を上下しています。2,000人以上の0.9ポイント減も、回答企業の入れ替わりによる誤差で説明がつく幅です。3年以上の連続データで同じ方向が確認できるまでは、傾向とは言い切れません。

前例がない企業ほど、発注時に言葉の定義でつまずきやすい

社内に前例がない企業ほど、発注の場面で言葉の定義につまずきます。人員に余裕がない情シス体制では、暗黙の共通認識で範囲を埋めることができないからです。

経済産業省が2019年に公表した推計では、2030年時点のIT人材不足は、需要の伸びを中位に置いたシナリオで44.9万人と見込まれています(低位16.4万人〜高位78.7万人の幅があります)。ただしこれはIT人材市場全体の需給推計であり、情シス部門の人員配置や「ひとり情シス」の実態を測ったものではありません。

担当者が少ない体制では、「キッティングをお願いします」の一言で通じる範囲が、相手と自分でずれます。そしてずれた部分は、そのまま作業漏れとして表面化します。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)

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クラウド利用率が83.5%まで上がり、作業の重心が端末からアカウントへ移っている

もうひとつの背景が、作業の重心の移動です。端末に何を入れるかよりも、どのアカウントにどの権限で接続させるかの比重が上がっています。

総務省の通信利用動向調査では、クラウドサービスを利用している企業の割合は2021年70.4%から2025年83.5%へ上がりました。一方で同じ調査のテレワーク導入率は、2021年51.8%から2025年50.1%と横ばいのままです。

働く場所は広がっていないのに、業務システムの置き場所だけがクラウドへ移った状態です。この変化が、端末側の作業とアカウント側の作業を分けて呼ぶ動機になっています。

ポイント: 分かれつつある2種類の作業

  • 端末側の作業: OSの初期設定と社内標準への統一/資産台帳への登録とラベル貼付
  • アカウント側の作業: アカウントの発行と権限付与/SaaSへの接続設定と多要素認証の登録

クラウドサービス利用率は2021年70.4%から2025年83.5%へ13.1ポイント上昇した

クラウドサービスの利用率は、この4年で着実に上がりました。総務省の通信利用動向調査によると、2021年70.4%、2024年80.6%、2025年83.5%と推移し、4年間で13.1ポイントの上昇です。

同一調査の同一指標での比較で、母集団はいずれも常用雇用者100人以上の企業です。

クラウドサービス利用率とテレワーク導入率の推移(2021〜2025年)

出典: 総務省「令和3年通信利用動向調査」総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」をもとに作成。

なお2024年のクラウド利用率は、公表資料によって80.4%と80.6%に分かれます。無回答を集計に含めるかどうかの違いによるもので、本記事では別紙2 図表4-1の80.6%(無回答を除くn=2,323)に統一しています。

同じ期間にテレワーク導入率は51.8%から50.1%へ横ばいのままだった

この対比から読み取れるのは、端末を触る作業とアカウントを整える作業が分離しつつあるということです。クラウド利用率が13.1ポイント上がった同じ期間に、テレワーク導入率は2021年51.8%から2025年50.1%へ1.7ポイント下がりました。

働く人の場所は変わっていないのに、システムの置き場所だけが移った形です。端末にアプリを入れる従来型の作業の比重は下がり、アカウント発行・権限付与・SaaSへの接続設定という作業が増えます。

その結果、現場では「端末を触る作業をキッティング、アカウント側を整える作業をセットアップ」と呼び分ける場面が出てきます。社内で通じているなら構いませんが、この用法は社外との発注では通じません

注意

2つの指標を並べたのは相関を示すためであり、因果を示したものではありません。クラウド化が端末作業の内容を変えたことを直接測った統計は、今回参照できた範囲では見当たりませんでした。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」総務省「令和3年通信利用動向調査」総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」

切り分け方は業種で60.3ポイント、規模で31.1ポイントの差を前提にする必要がある

他社の切り分けをそのまま真似することはできません。前提となる働き方が、業種と規模で大きく違うからです。

2025年の総務省調査では、テレワーク導入率は情報通信業92.8%に対し運輸業・郵便業32.5%で、業種間で60.3ポイントの差があります。規模でも全体50.1%と従業者2,000人以上81.2%で31.1ポイント開きます。

導入率が高い業種や規模では、端末を社外に配送し、遠隔で使える状態にして渡す前提の作業設計が必要になります。導入率が3割台の業種では、出社した端末を情シスが手元で仕上げる従来型が中心です。

ポイント: 自社の切り分けを決めるときに確認する観点

  • 端末をどこで渡すか(社内で手渡すか、利用者の自宅へ送るか)
  • 設定変更を遠隔で行うか(端末を回収せずに変更できる前提か)
  • 回収と再配備が発生するか(退職・異動のたびに端末が戻ってくるか)

テレワーク導入率は情報通信業92.8%と運輸業・郵便業32.5%で60.3ポイント開く

業種による差は、規模による差よりも大きく出ます。2025年の総務省調査で最も高いのは情報通信業92.8%、次いで金融・保険業81.9%でした。

最も低いのは運輸業・郵便業32.5%、その次に低いのがサービス業・その他43.3%です。上位と下位の差は60.3ポイントあり、同じ「端末を使える状態にする」でも前提が別物になります

産業分類別のテレワーク導入率(2025年)

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」をもとに作成。グラフには不動産業66.3%、建設業57.8%、製造業54.5%、卸売・小売業45.6%を含み、全体50.1%を基準線として表示しています(いずれも2025年)。産業分類別の数値と全体値は同じ図表3-2(n=2,488)に並記されたものです。

産業分類別の数値と全体値は、同じ図表3-2(別紙2、n=2,488)に並べて示されたものです。総務省の報告書(図表4-2、n=2,489)でも同じ値が確認できるため、業種間の比較としても、全体との比較としても読めます。

企業規模でも全体50.1%と従業者2,000人以上81.2%で31.1ポイントの差がある

規模でも同じことが言えます。2025年調査では全体50.1%、従業者2,000人以上81.2%と、31.1ポイントの差がありました。

ここから読み取れるのは、切り分けの正解が1つではないということです。社外配送が前提なら、開梱・検品からマスター適用、ラベル貼付、発送までを一括で外に出す設計になりやすくなります。手元で仕上げる前提なら、情シスが個別設定まで抱える形になりやすいです。

決めるべきは「どちらが正しいか」ではありません。自社がどちらの前提で端末を配るのかを先に決めてください。 切り分けの線は、その後に自然と決まります。

注意

この調査の母集団は常用雇用者100人以上の企業で、100人未満は含まれません。また、テレワーク導入率の差から端末配備業務の負荷差を導く部分は仮説です。業種別の管理端末台数や情シス人員を示す統計は、今回参照できた範囲では見当たりませんでした。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙1)」

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外注するときは「キッティング一式」ではなく工程単位で範囲を書き出す

外注するときは、「キッティング一式」ではなく工程単位で範囲を書き出してください。用語の定義が公的に固定されていない以上、語で発注すれば範囲は食い違います。

「一式」とだけ書かれた見積書は、発注側と受注側が違う絵を思い浮かべたまま契約できてしまいます。あとで揉めるのは、たいてい配布後の設定変更や故障交換の扱いです。

工程を書き出して合意する。手間はかかりますが、言葉の定義が決まっていない領域では、これ以外に確実な方法はありません

ポイント: 発注前に確認する3つの問い

  • どの工程までを含むか(開梱から引き渡しまでのどこで区切るか)
  • 完了の判定は誰がどう行うか(検品の様式と合格基準を決めるのは誰か)
  • 渡した後の変更対応は含むか(設定変更・故障交換・回収の扱い)

セキュリティ管理のアウトソーシングは2024年18.3%から2025年20.2%へ上昇した

外部に出す動き自体は、統計にも表れています。総務省の通信利用動向調査によると、セキュリティ管理のアウトソーシングを行っている企業は2024年18.3%から2025年20.2%へ上昇しました。

1年で1.9ポイント、実施率としては約1割の伸びです。母集団はインターネットを利用している企業で、設問は複数回答です。

ただし、ひとつ注意してほしい点があります。これは「セキュリティ管理」の委託を測った数値であり、端末のキッティング代行そのものではありません。情シス業務の外部委託が端末配備の領域でどこまで進んでいるかを直接示す公的統計は、今回参照できた範囲では見当たりませんでした。

社内に機器を持つ対策は同じ1年でいずれも微減している

同じ調査の同じ設問群を見ると、社内に機器や設定を抱える対策はいずれも微減しています。次の3項目は、代表的な社内保有型の対策です。

対策項目 2024年 2025年
ファイアウォールの設置・導入 52.5% 51.9%
外部接続の際のウイルスウォール構築 30.0% 29.1%
データやネットワークの暗号化 27.8% 27.4%

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」(図表5-5、複数回答)をもとに作成。

ここから読み取れるのは、企業が対策の総量を減らしているのではなく、自社で抱える部分を外に出す方向へ配分を変えているということです。外部委託だけが伸び、社内保有型の対策は横ばいから微減に転じています。

端末を使える状態にする作業のうち、定型的で切り出しやすい部分を外に出す。この発想は、上の配分変化と同じ方向にあります。

注意

各項目の増減は1ポイント前後で、複数回答形式の回答ぶれで説明がつく幅です。母集団はインターネット利用企業で、回答数も2024年n=2,314、2025年n=2,480と異なります。端末配備の外部委託が同じ方向に動いているという直接の証拠はありません。

発注書には「工程」「完了の判定方法」「配布後の対応」の3点を明記する

発注書や社内の分担表には、次の3点を書き出してください。用語をそろえるより、工程をそろえるほうが早く確実です。

①どの工程を含むか

  • 開梱・検品
  • マスターイメージの適用
  • 端末ごとの個別設定
  • 資産台帳への登録
  • 管理ラベルの貼付
  • 梱包・発送
  • 利用者への引き渡し

②完了をどう判定するか

  • 検品チェックリストの様式を誰が作るか
  • 合格の基準を誰が決めるか
  • 不合格だった端末をどう扱うか

③配布後の対応を含むか

  • 設定変更の依頼を受け付けるか
  • 故障時の交換対応を含むか
  • 退職・異動時の回収を含むか

ここを埋めておけば、「キッティング」という言葉の定義に合意していなくても、作業範囲は一意に決まります。なお、費用や台数の目安は公的統計に見当たらないため、この記事では扱っていません。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」(2024年・2025年の実施率はいずれも同資料 図表5-5による)

キッティングとセットアップの違いに関するよくある質問

Q1. キッティングとセットアップは同じ意味で使ってよいですか

社内で定義をそろえてあれば、実務上は問題ありません。ただし社外との発注では、同じ言葉で違う範囲を指してしまいます。用語で合わせようとせず、工程で確認してください。

Q2. インストールとの違いは何ですか

インストールは、ソフトウェアを機器に入れる作業そのものを指します。セットアップは、入れたソフトを設定して使える状態にするところまでです。キッティングはさらに広く、資産登録や配布までを含む業務全体を指します。

Q3. スマートフォンやタブレットにも同じ区別が当てはまりますか

当てはまります。総務省の2025年調査ではテレワークを導入している企業が全体で50.1%あり、社外で使う端末はPCに限りません。スマートフォンでも、1台を使える状態にする作業と、配布までを含む業務は分けて考えられます。

Q4. 見積書に「キッティング一式」とだけ書かれていた場合はどうすればよいですか

そのまま発注しないでください。どの工程までを含むか、完了を誰がどう判定するか、配布後の設定変更を含むかの3点を確認します。3点が書面に残れば、「一式」という表記のままでも範囲は確定します。

Q5. 端末を渡した後の設定変更はキッティングに含まれますか

含まないのが一般的です。

2025年の総務省調査でも、一度で終わる端末へのウイルス対策プログラム導入は82.0%です。渡した後も続くOSへのセキュリティパッチ導入は43.5%で、実施率の水準が分かれています。

配布後の対応は、キッティングではなく運用の範囲として別に決めるほうが揉めません。

Q6. キッティングは情シスの業務範囲ですか

公的に決まった定義がないため、社内で決めるしかありません。総務や現場との線引きは、工程ごとに担当者を書き出して合意しておくと安定します。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」

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まとめ

キッティングとセットアップの違いは、対象の範囲と終わりの定義にあります。この記事の要点を振り返ります。

この記事の要点

  • セットアップは端末1台を使える状態にする作業、キッティングは社内標準への統一・資産登録・配布までを含む業務全体です
  • 一度で終わる作業(端末へのウイルス対策プログラム導入)は82.0%、渡した後も続く作業(OSへのセキュリティパッチ導入)は43.5%です。2025年時点で、実施率が38.5ポイント分かれています
  • 切り分けの前提は業種と規模で違います。2025年のテレワーク導入率は全体50.1%、従業者2,000人以上81.2%です
  • 外注は「一式」ではなく工程で書き出します。セキュリティ管理のアウトソーシングは2025年で20.2%まで伸びています

次の一歩として、自社の端末まわりの作業を「一度で終わるか、繰り返すか」で仕分けるところから始めてみてください。この1本の線が引ければ、キッティングに含める範囲も、運用として残す範囲も見えてきます。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査(別紙2)」総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」

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