【IPA調査】情報システム部門のスキルマップの作り方|DXに取組む企業の76.1%は2025年度時点で評価基準がない

情報システム部門で、こんな悩みを抱えていませんか。
- スキルマップを作ることになったが、何を書けばいいのか分からない
- 習熟度の評価段階を、どう決めれば人によってぶれないのか分からない
- ひとり情シスや少人数の体制でも、わざわざ作る意味があるのか判断できない
結論から書きます。スキルマップは、部門の業務と、それを担うために必要なスキル・習熟度を一覧にした表です。 人が足りないという話を、何の能力が足りないという話に置き換えるための道具だと考えてください。
この記事では、IPAと経済産業省の公的調査を根拠に、スキルマップが必要とされる理由を先に整理します。そのうえで、作り方の手順・評価基準の決め方・記入例・運用の注意点まで順に説明します。
この記事のポイント
- DXに取組んでいる企業のうち、DX人材の評価基準が「ない」と答えた企業は2025年度時点で76.1%(出典: IPA「DX動向2026」)
- 同じ調査で、DX推進に必要なスキルを把握できていないと答えた企業は52.8%にのぼる(2025年度)
- 確認できた範囲の公的統計に「スキルマップの導入率」という指標はなく、測られているのはその手前にあたる前提の指標だけ
この記事を読み終えると、自社のスキルマップに何を書き、どの段階から手をつければよいかを、社内で説明できる形で整理できます。
情報システム部門のスキルマップは、業務ごとに必要なスキルと習熟度を一覧にした表

まず言葉の意味をそろえます。スキルマップとは、縦に業務やスキル項目、横に担当者を並べ、その交点に習熟度の段階を書き込んだ一覧表です。
情報システム部門の仕事は、アカウント管理から端末の調達、ネットワークの障害対応、セキュリティ対応まで幅広く広がります。担当者ごとに得意分野が偏りやすく、誰が何をどこまでできるのかは、意外と部門内でも共有されていません。
一覧表にすると、担い手がいない業務と、1人にしか任せられない業務が同じ画面で見えるようになります。増員の相談も教育の計画も、この一覧を起点にすると話が具体的になります。
ここで1つ、あらかじめお伝えしておきたいことがあります。この記事で参照した公的調査の範囲では、スキルマップそのものの導入率や運用実態を扱った統計は見つかりませんでした。
近い領域として、厚生労働省「能力開発基本調査」が事業所の職業能力評価の実施状況を調べています。ただしこれも、スキルマップの普及度を示すものではありません。
測られているのは、その手前にあたる3つの状態です。いずれもIPA「DX動向2026」の2025年度調査で、DXに取組んでいると回答した企業が対象です。
DXを推進する人材像を設定し、社内に周知している企業は16.2%です。DX人材の評価基準が「ない」と答えた企業は76.1%、DX推進に必要なスキルを把握できていない企業は52.8%でした。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)
この3つはいずれもスキルマップを作るための前提にあたります。ここから読み取れるのは、3つとも整っている企業は少数派だと推定される、という点です。スキルマップは実務では広く語られる一方で、その普及度合いは、確認できた範囲の公的データでは直接測られていない領域だといえます。
注意
上の3指標は別々の設問であり、3つとも満たす企業の割合はクロス集計が公表されていないため算出できません。また、この記事のうちスキルマップの定義・作り方・記入例にあたる部分は、公的調査の裏付けがある数値ではなく、一般的な実務知識として書いています。数値を伴う記述と、手順の記述を分けて読んでください。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)/参考: 厚生労働省「能力開発基本調査」
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
スキルマップが必要とされるのは、スキルの可視化と人材の不足感が連動しているため

スキルマップを作る理由は、流行しているからではありません。自社に必要なスキルを把握できているかどうかで、人材不足の感じ方が変わっているからです。
ここからはIPA「DX動向2026」の数値を使い、その関係を3つの角度から確認します。記事全体の論拠になる部分なので、少しだけデータにお付き合いください。
DXを推進する人材が不足していると答えた企業は2025年度時点で量85.5%・質88.8%
先に全体の水準を押さえます。DXに取組んでいる企業では、人材の「量」も「質」も8割台後半が不足を訴えています。
IPA「DX動向2026」によると、何らかの形でDXに取組んでいる企業は、2025年度調査の回答企業全体の75.7%でした。この取組んでいる企業を母数にすると、DXを推進する人材の「量」が不足している(やや不足+大幅に不足)と答えた企業は85.5%です。
同じ母数で、人材の「質」が不足していると答えた企業は88.8%と、量よりも高い水準でした。人が足りないという実感は、あなたの部門だけのものではないと分かります。
なお、この調査が対象としているのは「DXを推進する人材」全体です。情報システム部門に限定した統計ではない点は、社内で引用するときに添えてください。
必要なスキルを把握している企業の「質が大幅に不足」は40.6%、把握できていない企業は64.0%
ここがこの記事の中心です。同じ「質が大幅に不足している」という回答でも、必要なスキルを把握しているかどうかで割合が分かれています。
IPA「DX動向2026」の2025年度調査を見てみます。DX推進に必要なスキルを把握している企業のうち、質が「大幅に不足している」と答えたのは40.6%でした。
把握できていない企業では64.0%です。全体では52.9%で、両群の中間にあたります。
同じ調査で、DXに取組んでいる企業のうち52.8%が必要なスキルを把握できていないと答えています。全体の水準が両群の中間に位置するのは、この構成と整合します。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)
この数値から読み取れるのは、不足感が人員数だけで決まっていない可能性です。自社に必要なスキルが言語化されているかどうかと、人材の質的な不足感は並行して動いています。スキルマップは、この言語化を形にする作業そのものだといえます。
注意
この関係は因果ではありません。人材に余裕がある企業ほどスキルの把握に手を回せる、という逆向きの説明も成り立ちます。また企業規模が交絡している可能性があり(規模が大きいほど人事制度が整い、スキル把握も進みやすい)、規模をそろえたクロス集計は公表されていないため確認できません。「把握している」は自己申告であり、その水準は企業ごとにばらつく点にも注意してください。
2025年度調査では「大幅に不足」が52.9%、不足の合計は88.8%で動きが分かれた
次に前年との比較を見ます。同じ設問のなかで、2つの数字が逆方向に動いています。
IPA「DX動向2026」で経年比較として示された、DXを推進する人材の「質」に関する回答は次のとおりです。いずれもDXに取組んでいると回答した企業が母数です。
| 調査年度 | 不足(やや不足+大幅に不足) | うち「大幅に不足」 |
|---|---|---|
| 2024年度 | 86.1% | 58.9% |
| 2025年度 | 88.8% | 52.9% |
出典: IPA「DX動向2026」(図表4-3、DXに取組んでいると回答した企業が対象)

この動きから読み取れるのは、深刻さが和らいだのではなく、不足を感じる企業の裾野が広がった形だという点です。「大幅に不足」が減る一方で、合計は増えています。人材不足が解消に向かっていると読むのは早いと考えます。
ただし、同じ数値の読み方は出典によって分かれます。IPAの報告書自身は、すべての従業員規模で「大幅に不足している」の回答が減ったことを挙げ、人材不足に一服感がみられると記述しています。
加えて、この調査は毎年同じ企業を追うパネル調査ではなく、年ごとに回答企業が入れ替わります。統計的な有意差は公表されておらず、「やや不足」と「大幅に不足」の線引きも回答者の主観に左右されます。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象。取組率のみ回答企業全体が母数)
少人数・ひとり情シスほどスキルの可視化が効く

スキルマップは大企業の人事制度の話だと思われがちです。ですが少人数の体制ほど、担当業務と必要スキルを一覧にする効果が出やすいと考えます。
理由は、小規模な企業でも人材面の課題ははっきり認識されている一方で、何に取組むべきかを定義できていない段階にとどまりやすいからです。ここでは従業員規模別のデータで確認します。
DXへの取組率は従業員1,001人以上で98.7%、100人以下で41.6%
はじめに、取組状況そのものの差を見ます。DXに着手しているかどうかは、従業員規模で大きく分かれています。
IPA「DX動向2026」の2025年度調査によると、DXに取組んでいる企業の割合は、従業員1,001人以上で98.7%でした。一方、従業員100人以下では41.6%です。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、回答企業全体が母数)
規模が小さいほど、全社的な取組みとして着手しづらい状況がうかがえます。少人数の情報システム部門では、日々の運用で手一杯になりやすいという実情もあるはずです。
従業員100人以下でも量は6割超、質は7割超の企業が人材の不足を挙げている
では、小規模な企業では人材の課題が小さいのでしょうか。そうではなく、100人以下の企業でも人材不足を挙げる割合は高い水準にあります。
同じIPA「DX動向2026」の2025年度調査で、DXに取組んでいると回答した企業の規模別の不足感は次のとおりです。
| 区分 | 従業員規模 | 不足している(やや不足+大幅に不足) |
|---|---|---|
| 人材の「量」 | 301人以上 | 9割超 |
| 人材の「量」 | 100人以下 | 6割超 |
| 人材の「質」 | 100人以下 | 7割超 |
出典: IPA「DX動向2026」(図表4-2・図表4-4、2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)
この「9割超」「6割超」「7割超」は元の資料の表記であり、正確な値ではありません。また、規模別の不足感を示す図表は、いずれもDXに取組んでいると回答した企業だけを集計したものです。先に見た取組率は回答企業全体が母数なので、両者を直接比べることはできません。
読み取れるのは、取組率ほどには規模による差が大きくないという傾向です。人材面の課題は、規模を問わず共通して認識されています。
従業員100人以下の54.0%は「DXに取組むメリットがわからない」と回答している
もう1つ、小規模な企業に特徴的な回答があります。課題は増員より手前の、目的の定義にあるかもしれません。
IPA「DX動向2026」の2025年度調査で、DXに取組んでいないと回答した企業の理由を見ます。従業員100人以下の層では、「自社がDXに取組むメリットがわからない」を挙げた企業が54.0%ありました。
ここから読み取れるのは、小規模な組織の課題が、人を増やす以前の段階にあるという点です。自社に何の能力が要るのかを定義できていないまま、人手が足りないという実感だけが残りやすい状態です。
だからこそ、担当業務と必要スキルを一覧にする作業が効きます。人数が少ないほど業務の範囲は把握しやすく、表を作る手間も小さくて済みます。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査)
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
人材不足を人数の問題として扱うと打ち手を誤る

「IT人材が何十万人足りない」という話を目にしたことがあると思います。ただし、この種のマクロ推計と、企業が自社について感じている不足感は別の指標です。
両者は調査主体も母集団も単位も違います。混ぜて読むと、採用すべきか育成すべきかという判断を誤ります。ここでは経済産業省の推計を、企業単位の調査と切り分けて確認します。
経済産業省の推計では2030年のIT人材需給ギャップは中位シナリオで44.9万人
結論から書きます。将来の需給ギャップは推計値であり、前提の置き方で大きく変わります。
経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、IT需要の伸びを「中位」、労働生産性の上昇率を報告書が標準的とする前提に置いた条件で、IT人材の需給ギャップが次のように推計されています。
| 対象年 | 需給ギャップの推計値 |
|---|---|
| 2018年 | 22万人 |
| 2020年 | 30万人 |
| 2025年 | 36万人 |
| 2030年 | 44.9万人 |
出典: 2018年・2020年・2025年は経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」、2030年は同調査報告書(いずれも2019年公表、IT需要の伸びが「中位」の条件。概要資料の表では2030年の値を丸めて示しています)

同じ2030年でも、IT需要の伸びが「高位」の条件では78.7万人、「低位」の条件では16.4万人と幅があります。さらに2016年公表の前回推計では、2030年のギャップは58.7万人とされていました。
前回推計は労働生産性の上昇を見込まない前提で試算されており、今回の調査とは条件が異なります。推計どうしを単純に比べられない点に注意してください。
なお、この推計の対象は「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」「その他の情報処理・通信技術者」です。実績値ではなく推計値であり、個社の情報システム部門の充足度を示す数字ではありません。
内訳は先端IT人材が54.5万人不足、従来型IT人材は9.7万人の供給過剰
総数だけを見ると見落とす点があります。不足は全体に均等に生じるのではなく、人材の種類の偏りとして推計されています。
同じ経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)の、IT需要の伸びが中位のシナリオを見ます。2030年時点では、先端IT人材が54.5万人不足すると推計されています。一方で、同じ推計の従来型IT人材は9.7万人の供給過剰です。
報告書は、従来型IT人材の供給過剰が先端IT人材の不足を埋めることは難しいとして、実質的な需給ギャップを先端IT人材の54.5万人とみています。総数としての44.9万人だけを見ると、この偏りが見えなくなります。

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(2019年公表、表3-14)
一方、前の章で見たIPA「DX動向2026」の85.5%は、2025年度に各企業が自社の状況をどう感じているかという主観的な回答です。国全体の人数を推計した経済産業省の数字とは、母集団も単位も異なります。経年の変化として並べて読むことはできません。
この2つを切り分けると、課題の立て方が変わってきます。「人が足りないから採用する」ではなく「どの領域の能力が足りないかを特定する」ことが先になります。その特定を担うのがスキルマップです。
注意
先端IT人材と従来型IT人材の区分は、Reスキル率を固定した仮定計算にもとづく推計です。実際に職種の移動が進めば内訳は変わるため、「従来型は余る」と確定した事実のように扱うことはできません。公表年が2019年である点も踏まえて、将来の見通しの一つとして読んでください。
出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」/同調査報告書(いずれも2019年公表)/IPA「DX動向2026」(2025年度調査)
情報システム部門のスキルマップは4つのステップで作る

ここからは実際の作り方です。業務の棚卸し、評価基準の定義、現状の記入、人材像の共有という順で進めます。
順番が大事です。評価基準を決める前に表を埋めると、段階の意味が人によってぶれて、あとから作り直すことになります。
スキルマップを作る4つのステップ
- ステップ1: 情報システム部門の業務を棚卸しし、必要なスキルを言語化する
- ステップ2: 習熟度の評価基準を段階で定義し、判断の目安を文章で書く
- ステップ3: 記入例に沿って現状を埋め、担当者ごとの空白と偏りを確認する
- ステップ4: 目指す人材像を設定し、部門内と経営層に共有する
注意
ここから先の手順・様式・記入例は、公的調査ではなく一般的な実務知識にもとづく記述です。各ステップで示す数値は、そのステップが必要とされる根拠としてIPAの調査結果を引用したものであり、手順そのものを裏付けるデータではありません。
ステップ1|情報システム部門の業務を棚卸しし、必要なスキルを言語化する
最初にやることは表の作成ではありません。部門が担っている業務を書き出し、それぞれに必要な知識と判断を言葉にすることです。
業務は「日常運用」「変更対応」「企画・調達」「セキュリティ」といった単位で洗い出すと整理しやすくなります。たとえば日常運用なら、アカウントの発行と削除、IT資産管理の台帳更新、ヘルプデスクとしての問い合わせ一次対応などが並びます。
それぞれに「何を知っていれば担えるか」「どこまで自分で判断してよいか」を1行ずつ添えてください。この作業がスキルマップの列と行の元になります。
再掲になりますが、IPA「DX動向2026」の2025年度調査を確認します。DXに取組んでいる企業のうち52.8%が、必要なスキルを把握できていないと答えました。同じ調査で、人材の質が「大幅に不足している」と答えた割合は、スキルを把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%でした。
この対比が示すとおり、言語化は後回しにできる作業ではありません。表の体裁より、洗い出しの精度に時間をかけてください。
ステップ2|習熟度の評価基準を段階で定義し、判断の目安を文章で書く
次に評価の物差しを決めます。段階に数字を振るだけでなく、各段階の到達点を文章で定義してください。
スキルマップの段階数や文言そのものを定めた公的な標準はありません。ただし、参照できる公的な枠組みはあります。IPA「デジタルスキル標準」はDXを推進する人材の役割ごとに必要なスキルを整理しており、厚生労働省「職業能力評価基準」は職務遂行のための基準をレベル別に示しています。
段階の切り方は自社の業務に合わせて決めるものです。4段階であれば、次のような定義が使いやすいです。
| 段階 | 定義の例 |
|---|---|
| 1 | 未経験。作業の内容を説明できない |
| 2 | 手順書があれば作業できる。判断は上位者に確認する |
| 3 | 単独で作業でき、想定内のトラブルに対応できる |
| 4 | 設計や改善ができ、他のメンバーに指導できる |
IPA「DX動向2026」の2025年度調査では、DXに取組んでいる企業のうちDX人材の評価基準が「ない」と答えた企業が76.1%にのぼります。基準を言葉にしないまま表を配ると、スキルマップは自己申告の集計で終わってしまいます。
ステップ3|記入例に沿って現状を埋め、担当者ごとの空白と偏りを確認する
基準が決まったら現状を埋めます。完成度より、まず全員分を埋めきることを優先してください。
次は作例です。実在の企業のデータではなく、書き方を示すための例として見てください。縦に業務、横に担当者を並べ、交点にステップ2で定義した1〜4の段階を入れます。
| 業務 | Aさん | Bさん | Cさん |
|---|---|---|---|
| アカウント管理 | 4 | 3 | 2 |
| 端末キッティング | 3 | 4 | 3 |
| ネットワーク障害対応 | 4 | 2 | 1 |
| SaaSの選定・契約 | 3 | 1 | 1 |
| バックアップ運用 | 2 | 3 | 1 |
| インシデント一次対応 | 4 | 2 | 1 |
読み方は2つです。1つは、上位段階が1人もいない行を探すこと。もう1つは、1人だけが上位段階で他が低い行を探すことです。
前者は担い手がいない業務、後者は属人化している業務にあたります。どちらも、教育の対象か外部委託の候補になります。
なお、この作例と読み方は実務上の整理であり、公的データに裏付けられたものではありません。自社の実態に合わせて項目を入れ替えてください。
ステップ4|目指す人材像を設定し、部門内と経営層に共有する
最後に、現在地だけで終わらせない仕掛けを入れます。1年後に誰がどの業務で何段階まで到達するかを決め、部門内と上長に共有してください。
到達目標が決まると、研修の選び方や担当替えの順番が具体的になります。情シスのキャリアを考えるうえでも、次に伸ばす領域がはっきりする効果があります。
IPA「DX動向2026」の2025年度調査では、DXを推進する人材像を設定し社内に周知している企業は16.2%にとどまりました。多くの企業が、目指す姿を共有する手前の段階にあるといえます。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)/参考: IPA「デジタルスキル標準」/厚生労働省「職業能力評価シート」
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
スキルマップは増員や予算の稟議で経営層との共通言語になる

スキルマップは部門内の管理表にとどまりません。人員や予算を相談するときに、経営層と現場の認識をそろえる材料になります。
その必要性が分かるデータがあります。紹介するのはIPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」の結果です。
2016年を調査対象年とし、従業員300人以上の企業を対象にしています。直近のデータではない点を踏まえて読んでください。
なお同じ領域では、IPAが2020年3月に「企業のCISO等やセキュリティ対策推進に関する実態調査」を公表しています。ただし対象が日本のCISO設置企業に絞られており、ここで見る日米欧の比較とは調査設計が異なります。
2016年調査ではCISO等の58.7%が「セキュリティ要員は十分」と回答している
まず経営層側の評価です。セキュリティ要員の人数について、CISO等の過半数は足りていると答えています。
この調査の結果を見ます。2016年時点で、日本のCISO等の回答者のうち「セキュリティ要員(人数)は十分」と答えた割合は58.7%でした。対象は従業員300人以上の企業です。
この数字だけを見ると、人員面の課題は大きくないように思えます。ところが同じ調査のなかで、別の属性の回答者はまったく違う答えを出しています。
同じ調査で情報システム部門などの責任者・担当者は54.9%が「不足している」と回答した
次に現場側の評価です。同一調査のなかで、過半数の出した結論が属性によって反対を向いています。
同じ調査(2016年調査、従業員300人以上)で、現場側の回答を見ます。情報システム部門・セキュリティ担当部門の責任者および担当者は、54.9%が「セキュリティ要員(人数)は不足している」と答えています。

出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」プレスリリース別紙2(2016年調査、従業員300人以上の日本企業)
ここから読み取れるのは、人員が足りているかどうかの判断に共通の基準がないという状態です。差が数ポイントという話ではなく、立場ごとの体感で結論が逆を向いています。
だからこそ、必要な業務と担い手の能力を同じ表で共有する意味があります。スキルマップは、増員や予算の稟議で前提をそろえる土台になります。
注意
この2つは設問の聞き方(「十分」と「不足」)が同一とは限らず、単純な裏返しとして比較できない可能性があります。また同一調査でも、報告書本文では責任者・担当者の不足回答を「約6割」と記載しており、示し方に幅があります。2016年を調査対象年とするデータである点も踏まえてください。
同調査で担当者の質的充足度が「十分」と答えた割合は日本28.1%、米国56.4%、欧州64.0%
参考として国際比較も見ておきます。質的な充足度の回答は、日本と米国・欧州で水準が異なります。
同じIPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」の結果です。情報セキュリティ業務担当者の質的充足度(スキル面等)が「十分である」と答えた割合は次のとおりです。いずれも2016年調査、従業員300人以上の企業が対象です。
| 地域 | 「十分である」と回答した割合 |
|---|---|
| 日本 | 28.1% |
| 米国 | 56.4% |
| 欧州 | 64.0% |
出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書(2016年調査、従業員300人以上の企業)
この差については、日本の回答者に自己評価が低く出る傾向がある可能性を排除できません。2016年調査であり、その後の経年比較もできないため、水準の違いを示す参考情報として扱ってください。
出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書/同プレスリリース別紙2(いずれも2016年調査、従業員300人以上の企業)/参考: IPA「企業のCISO等やセキュリティ対策推進に関する実態調査」(2020年3月公表)
スキルマップを形だけで終わらせないための注意点

作ったあとに使われなくなるスキルマップには、共通した原因があります。評価基準があいまいなことと、更新されないことの2つです。
ここでは新しい数値は出さず、これまでに見た調査結果を手がかりに、運用でつまずきやすい点を整理します。
評価基準を文章で定義しないと、スキルマップは自己申告の集計で終わる
1つめの注意点です。段階の意味を文章で定義しないと、同じ「3」でも人によって中身が変わります。
再掲になりますが、IPA「DX動向2026」の2025年度調査の結果です。DXに取組んでいる企業のうち、DX人材の評価基準が「ない」と答えた企業は76.1%でした。基準づくりを省いたまま表だけ配ると、この状態のまま数字が並ぶことになります。
同じ調査で、人材の質が「大幅に不足している」と答えた割合も見てみます。必要なスキルを把握している企業は40.6%、把握できていない企業は64.0%でした。把握の質が、現状認識そのものを左右していると読めます。
運用面では、誰が評価するかを先に決めてください。本人の自己評価と上長の評価を並べて突き合わせ、ずれた項目だけ話し合う形が現実的です。
更新されないスキルマップは作った時点の記録で止まる
2つめの注意点です。更新のタイミングをあらかじめ決めておかないと、表は作った時点の記録で止まります。
更新は、半期の目標設定や期初の体制見直しに合わせると定着しやすくなります。加えて、退職や異動が決まったときは、その担当者の列を見直す機会にしてください。
再掲になりますが、DXを推進する人材像を設定し社内に周知している企業は、2025年度時点で16.2%でした。同じ調査で、必要なスキルを把握できていない企業は52.8%です(いずれもIPA「DX動向2026」、DXに取組んでいると回答した企業が対象)。
多くの企業は、まだ前提を整える段階にあります。だからこそ、完璧な様式を目指すより、更新し続けられる粒度で始めるほうが続きます。
自社の状態を点検するポイント
- 目指す人材像を設定し、部門内と経営層に周知できているか
- 習熟度の評価基準を、段階ごとに文章で定義できているか
- 部門の業務を洗い出し、必要なスキルを言語化できているか
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、DXに取組んでいると回答した企業が対象)
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
まとめ
情報システム部門のスキルマップについて、この記事で確認した点を3つに絞ります。
- スキルの可視化と人材の不足感は連動している。質が「大幅に不足」と答えた割合は、必要スキルを把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%だった(2025年度・IPA。DXに取組んでいると回答した企業が対象)
- 確認できた範囲の公的統計にスキルマップの導入率という指標はなく、測られているのは評価基準の有無(「ない」が76.1%。2025年度・IPA)などの前提指標にとどまる
- 少人数の組織ほど、増員より先に必要な能力を定義する効果が大きい
人材の「質」が不足していると答えた企業は2025年度時点で88.8%にのぼります(IPA「DX動向2026」、DXに取組んでいると回答した企業が対象)。この水準のなかで打ち手を選ぶには、何が足りないのかを先に言葉にする必要があります。
まずは自部門の業務を10行でも書き出すところから始めてみてください。その一覧が、教育計画にも稟議にも使える土台になります。
情シスカレッジのご紹介
スキルマップで空白や偏りが見つかったら、次は埋めるための学習が必要になります。とはいえ、日々の運用に追われながらまとまった研修時間を確保するのは難しいですよね。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。短い動画で学び、小テストで理解を確認する形式なので、業務の合間に少しずつ進められます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画+小テスト: すきま時間で学べ、理解度をその場で確認できます
- 必修割り当て・期限・進捗ダッシュボード: 誰がどこまで進んだかを管理者がひと目で把握できます
- 自社カリキュラム編成・CSV教育記録: 自社に必要な講座を組み合わせ、教育記録をCSVで出力できます
導入は5名から可能で、請求書払いに対応しています。初期設定は約10分で完了します。
※出典
- IPA「DX動向2026」
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(2019年公表)
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(2019年公表)
- IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書
- IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」プレスリリース別紙2
※参考

