【IPA・総務省データ】ヘルプデスクに向いてる人・向いていない人|IT人材の「質」の大幅不足39.5%(2019年度)から見る適性

ヘルプデスクの求人や社内の異動の話を見て、「自分に務まるだろうか」と迷っていませんか。ネットで調べても、性格の向き不向きを語る記事が多く、判断の決め手が見つからないことも多いですよね。

  • 人と話すのが得意ではないけれど、ヘルプデスクは務まる?
  • 未経験・文系出身でも採用される?
  • AIが普及したら、ヘルプデスクの仕事は減ってしまう?

結論から言うと、ヘルプデスクへの適性は性格だけでは決まりません。その職場が求めるスキルの水準や体制、経歴との相性で決まる部分が大きいと、この記事では考えます。

この記事では、IPA(情報処理推進機構)と総務省などの公的データを使って、向いている人の特徴、企業規模による違い、未経験から目指す手順を整理します。

この記事のポイント

  • 2019年度、IT人材の「質」が大幅に不足と答えたユーザー企業は39.5%でした(出典: IPA「IT人材白書2020」)。今の知識量より、学び続ける力が評価されやすい状況です
  • 2025年度、国内で社内ヘルプデスクの業務に生成AIを使う企業のうち、42.7%が効果を感じています(出典: 総務省「情報通信白書」令和8年版)。定型対応の先にある原因の切り分けが重要になります
  • 2019年度、従業員300名以下の企業でIT部門を置く割合は60.8%でした(出典: IPA「IT人材白書2020」)。企業規模によって求められる人物像が変わります

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目次

ヘルプデスクは社内のITに関する問い合わせに対応する仕事で、情シス業務の入口になりやすい

ヘルプデスクには、社内の従業員を相手にする「社内ヘルプデスク」と、自社の顧客を相手にする「社外ヘルプデスク」の2種類があります。この記事では、主に社内ヘルプデスクを扱います。

社内ヘルプデスクは、パソコンやアカウント、ネットワークの不具合などの問い合わせを受けて解決する仕事です。情報システム部門の業務の入口として配属されることも多い職種です。詳しい業務の流れは、ヘルプデスクの仕事内容をまとめた記事で解説しています。

ユーザー企業で働くIT人材は2019年時点で約29.4万人

社内ヘルプデスクを担うのは、ITを使う側の「ユーザー企業」で働くIT人材です。IPAの推計では、2019年時点のユーザー企業のIT人材は約29.4万人です。

一方、ITサービスを提供する側の「IT企業」で働くIT人材は、同じ2019年時点で約95.9万人と推計されています。社内でITを支える人は、IT企業側の3分の1に満たない規模です(本記事による計算)。

人数が少ないということは、1人が受け持つ範囲が広くなりやすいということです。社内ヘルプデスクの担当者は、問い合わせ対応だけでなく、端末の準備やアカウント管理などを兼ねることも珍しくありません。こうした前提を知っておくと、自分に合う職場かどうかを考えやすくなります。

従業員300名以下の企業ではIT部門の設置率が60.8%にとどまり、ほかの業務と兼務で担う例が多い

企業規模が小さいほど、IT部門そのものを置いていない企業が増えます。IPAの2019年度調査によると、IT部門の設置率は次のとおりです。

従業員規模 IT部門を設置している割合(2019年度)
全体 78.6%
300名以下 60.8%
301〜1,000名 89.2%
1,001名以上 97.6%

出典: IPA「IT人材白書2020」より作成(ユーザー企業向けアンケート、全体n=821)

この結果から読み取れるのは、中小企業では「専任のヘルプデスク担当」という配置そのものが無いことが多いという点です。300名以下の企業では、約4割がIT部門を置いていません(本記事による計算)。

そのため、中小企業でヘルプデスクを担う人は、ほかの業務と掛け持ちしているケースが多いと考えられます。求人を見るときは、専任の担当なのか兼務なのかを確かめておくと安心です。

注意

IT部門が無い企業でも、ヘルプデスクの仕事が無いわけではありません。総務部門などが兼務で問い合わせに対応している可能性がありますが、その実態を示す公的データはありません。

出典: IPA「IT人材白書2020」


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ヘルプデスクの適性は性格だけでなく、職場の条件との相性で決まる

「ヘルプデスクに向いている人」と検索すると、コミュニケーション能力や我慢強さといった性格の話がよく出てきます。どれも大切な要素ですが、公的なデータで裏付けられる話ではありません。

そこでこの記事では、公的データで言えることと、一般論にとどまることを分けて扱います。先にデータの範囲を確認しておきましょう。

本記事で扱う公的統計には、ヘルプデスクという職種の区分も、性格や対人スキルを測ったデータも無い

まず押さえておきたいのは、公的データでは「どんな性格の人が向いているか」までは確かめられないという点です。前の章で触れたIPAの約29.4万人という推計も、職種ごとの内訳には分かれていません。

今回調べた公的データの中で「ヘルプデスク」という区分がはっきり出てくるのは、総務省の2025年度の生成AI調査くらいでした。業務量や離職率、ストレスの大きさを直接示す公的データも見つかっていません。

なお、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には「ヘルプデスク(IT)」の職業解説ページがあり、仕事内容や必要とされるスキルの目安を確かめる参考になります。ただし、この記事では数値の根拠には使っていません。

なお、経済産業省とIPAが策定した「デジタルスキル標準」では、対人関係のスキルや考える力を、DXを推進するすべての人材類型に共通して求められるスキルとして定義しています。ただしこれはDXを進める人材向けの枠組みで、ヘルプデスク職に直接当てはまるものではありません。

こうした状況を踏まえると、適性は「その人の性格」ではなく「職場の条件との相性」として判断するのが現実的だと考えます。

注意

性格や対人スキルが向いているかどうかは、公的データでは確かめられません。この記事で性格に触れる部分は一般論として書いており、数値の裏付けはありません。

ユーザー企業のIT人材は2019年度時点で「自立して業務を進められる層」が47.1%と最も多い

職場が求める水準を考えるうえで参考になるのが、IT人材のレベル構成です。IPAの2019年度調査(回答企業n=386)では、ユーザー企業のIT人材は次の構成でした。

レベル 内容 構成比(2019年度)
レベル1-2 指導や補助が必要 28.1%
レベル3 自立して業務を進められる 47.1%
レベル4 指導者・リーダー 16.9%
レベル5以上 社内・業界をリードする 7.9%

ユーザー企業のIT人材のレベル構成(2019年度)

出典: IPA「IT人材白書2020」より作成(ユーザー企業向けアンケート、n=386)

最も多いのは、自立して業務を進められるレベル3の層です。 未経験で入った人はレベル1-2から始まり、まずレベル3を目指すことが職場の標準的な期待だと読めます。

ただし、この調査ではヘルプデスク担当がどのレベルにいるかまでは分かりません。あくまでユーザー企業のIT人材全体の構成として見てください。

出典: IPA「IT人材白書2020」/総務省「情報通信白書」令和8年版/経済産業省・IPA「デジタルスキル標準」/厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)ヘルプデスク(IT)」


ヘルプデスクに向いている人の特徴は「学び続ける」「切り分ける」「調整する」の3つ

ヘルプデスクに向いている人の特徴として、この記事では公的データで裏付けられる3つを挙げます。新しいことを学び続けられる人、問い合わせの原因を切り分けられる人、社内の人と調整できる人です。

よく言われる「学習意欲」「粘り強さ」「コミュニケーション能力」を、データで確かめられる形に言い直したものだと考えてください。それぞれの根拠を順に見ていきます。

新しいツールや仕組みを学び続けられる人は評価されやすく、IT人材の「質」が大幅に不足とする企業は2019年度に39.5%まで増えた

1つ目の特徴は、新しいツールや仕組みを学び続けられることです。IPAの同じ調査で、2018年度から2019年度にかけて2つの数値が逆の方向に動きました。

指導や補助が必要なレベル1-2の人材の比率は、2018年度の32.5%から2019年度は28.1%へ、4.4ポイント下がりました(本記事による計算)。一方、IT人材の「質」が大幅に不足と答えた企業は、33.8%から39.5%へ5.7ポイント増えました。この伸びは2015年度以降の5年間で最も大きいものです(本記事による計算)。

この2つの数値から読み取れるのは、企業が足りないと感じているのは、経験年数よりもスキルの水準のほうだという点です。今の知識の量よりも、学び続けられることが評価されやすいと考えられます。

ただし、回答企業数はレベル構成が2018年度のn=414から2019年度のn=386へ、「質」の不足感が2018年度のn=967から2019年度のn=821へ変わっており、回答企業の入れ替わりが影響した可能性もあります。2つの数値の因果関係までは示されていない点も押さえておいてください。

AIやFAQで解決しない問い合わせを切り分けられる人が向いており、社内ヘルプデスクで生成AIの効果を感じる企業は42.7%

2つ目の特徴は、問い合わせの原因を切り分けられることです。総務省の2025年度調査では、日本の企業について、業務ごとに生成AIの効果を感じる企業の割合が次のように示されています。

  • 議事録・メール作成補助: 72.3%
  • 社内ヘルプデスク: 42.7%
  • カスタマーサポート: 33.8%
  • 社内システム開発・運用: 26.3%

生成AIの活用効果を感じると回答した企業の割合(2025年度、業務類型別)

出典: 総務省「情報通信白書」令和8年版より作成(その業務で生成AIを活用している企業が母数)

社内ヘルプデスクは、社外向けのカスタマーサポートより8.9ポイント高く、ここに挙げた4つの業務の中では議事録・メール作成補助に次ぐ高さです(本記事による計算)。なお、42.7%は企業全体に占める割合ではありません。社内ヘルプデスクで生成AIを使っている企業の中で、効果を感じた企業の割合です。

この結果から考えられるのは、よくある質問への回答はAIで効率化しやすく、人に残るのは原因の切り分けや例外的な問い合わせへの対応だという仮説です。相手の話を聞きながら原因を絞り込める人は、これからのヘルプデスクに向いていると言えます。

社内の業務を理解し、利用者や他部門と調整できる人が向いており、大企業の40.8%は他部門からの異動でIT人材を確保している

3つ目の特徴は、社内の業務を理解したうえで、利用者や他部門と話を進められることです。IPAの2019年度調査で、IT人材を他部門からの異動で確保した企業の割合を見ると、規模による差がはっきり出ています。

従業員300名以下の企業では8.4%、301〜1,000名では21.2%、1,001名以上では40.8%でした。いずれも、過去1年間のIT人材の確保方法を複数回答で尋ねた結果です。

このデータから読み取れるのは、規模の大きい企業ほど、社内の業務を知る人をIT人材として迎えていることです。ここで求められるのは「話し上手」という性格ではなく、相手の業務を理解して調整する力だと考えます。

ポイント

  • 学び続ける: 企業はスキルの水準の不足を強く感じています
  • 切り分ける: よくある質問はAIで効率化しやすく、原因の絞り込みが人に残ります
  • 調整する: 社内の業務を理解し、部門をまたいで話を進める力が生きます

出典: IPA「IT人材白書2020」/総務省「情報通信白書」令和8年版


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ヘルプデスクに向いていないのは、決まった手順の対応だけを続けたい人

ヘルプデスクに向いていないのは、決まった手順どおりの対応だけを続けたい人です。性格の良し悪しではなく、仕事の変化とのミスマッチが起きやすいという意味です。

「ヘルプデスクはきつい」という声もよく聞きますよね。ただ、その中身を公的データで確かめられる範囲は限られています。ここでは、データで言える範囲に絞って整理します。

決まった手順の対応だけを続けたい人は、生成AIで効率化が進む業務と重なりやすい

生成AIは、すでに多くの企業の業務で使われています。総務省の2025年度調査では、何らかの業務で生成AIを使っている日本の企業は86.4%でした(生成AIの活用方針を「わからない」と答えた企業を除く)。社内ヘルプデスクは、前の章で見たとおり効果を感じやすい業務の1つです。

別の調査として、経済産業省が2019年に公表した推計があります。既存のIT需要に対応する「従来型IT人材」は、IT需要の伸びを中位とするなど一定の前提を置いた試算で、2030年に約9.7万人余るとされています。ただし、この推計は総務省の調査とは調査主体も時点も異なります。

また、ヘルプデスクが従来型IT人材に含まれるかは推計の中で示されておらず、性質が近いというのは本記事の解釈です。

この2つを並べて考えられるのは、手順どおりに答える部分ほど効率化されやすいという仮説です。仕事が無くなるという話ではありません。決まった対応だけを続けたい人は、仕事の中身の変化に合わせにくい可能性があるということです。

業務量やストレスの大きさは公的データで確かめられないため、入社前に体制と問い合わせの量を確認する

「きつい」と言われる理由のうち、データで確かめられるのは人手の少なさです。総務省の2018年の調査では、ネットワークを利用している企業のうち、利用上の問題点として「運用・管理の人材が不足」を選んだ企業が44.4%ありました(複数回答)。

前の章で見たとおり、2019年度のIT部門設置率は全体で78.6%、300名以下の企業では60.8%です。調査主体と年は異なりますが、少人数で幅広く対応する体制が珍しくないことがうかがえます。

業務の負担は職場ごとに大きく違います。転職や異動の前に、次の点を確認してみてください。

  • ヘルプデスクを担当する人数
  • 1日あたりの問い合わせ件数
  • 対応する時間帯(夜間・休日の対応があるか)
  • FAQや手順書が整っているか
  • 自分で解決できないときのエスカレーション先

注意

ヘルプデスクの業務量、離職率、ストレスの大きさを直接示す公的データはありません。「きつい」かどうかは職場の体制で大きく変わるため、面接や面談の場で具体的に確かめることをおすすめします。

出典: 総務省「情報通信白書」令和8年版/経済産業省「IT人材需給に関する調査」/総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」/IPA「IT人材白書2020」


企業規模によって、ヘルプデスクに求められる経歴と適性は変わる

同じヘルプデスクでも、大企業と中小企業では求められる人物像が違います。IPAの2019年度調査から、従業員300名以下と1,001名以上の企業を比べてみましょう。比べるのは、IT部門の有無、IT人材の確保方法、中途採用者の前職の3つです。

企業規模別のIT部門設置率とIT人材の確保方法(2019年度)

項目(2019年度) 従業員300名以下 従業員1,001名以上
IT部門を設置している 60.8% 97.6%
中途採用で確保 34.3% 58.2%
新卒採用で確保 22.0% 47.3%
他部門からの異動で確保 8.4% 40.8%

出典: IPA「IT人材白書2020」より作成(確保方法は過去1年間にIT人材を確保した方法で、複数回答)

次の表は、IT人材を中途採用した企業に、採用した人の直前の勤務先を尋ねた結果です。1つの企業が複数の勤務先を挙げられる形式です。

中途採用者の前職として挙げた勤務先(2019年度) 従業員300名以下(n=109) 従業員1,001名以上(n=112)
大手ベンダー(従業員1,001名以上のIT企業) 18.3% 42.0%
中堅SIer(従業員301〜1,000名のIT企業) 22.0% 33.9%
中小SIer(従業員300名以下のIT企業) 53.2% 25.0%
ユーザー企業のIT部門 25.7% 42.9%

出典: IPA「IT人材白書2020」より作成(複数回答。IT人材を中途採用した企業が母数)

**2つの表の数値は、いずれも「その方法や勤務先を挙げた企業の割合」です。**採用された人数の構成比ではない点に注意してください。

1,001名以上の企業は採用の経路も中途採用者の前職も幅広く、IT経験と業務知識のどちらも生かせる

大企業では、IT人材の入口が複数あります。2019年度、1,001名以上の企業のうち、過去1年間にIT人材を中途採用で確保した企業は58.2%、新卒採用で確保した企業は47.3%、他部門からの異動で確保した企業は40.8%でした。

中途採用した企業に前職を尋ねると、「ユーザー企業のIT部門」を挙げた企業が42.9%、「大手ベンダー」が42.0%でした。「中堅SIer」は33.9%、「中小SIer」は25.0%です。どれか1つの勤務先に回答が偏ってはいません。

この結果から読み取れるのは、大企業では、IT企業や他社のIT部門で経験を積んだ人と、社内の業務を知る人の両方に入口があるという点です。IT経験を生かす道もあれば、IT経験が少なくても業務への理解や部門間の調整力を強みにする道もあると考えられます。

従業員300名以下の企業は中途採用の前職に中小SIerを挙げる企業が53.2%と多く、自分で調べて幅広く対応する力が求められやすい

中小企業では、事情が大きく変わります。2019年度、従業員300名以下の企業のIT部門設置率は60.8%でした。過去1年間にIT人材を確保した方法として、中途採用を挙げた企業は34.3%、新卒採用は22.0%、他部門からの異動は8.4%です。

中途採用した企業に前職を尋ねると、「中小SIer」を挙げた企業が53.2%で最も多くなりました。ほかは「ユーザー企業のIT部門」が25.7%、「中堅SIer」が22.0%、「大手ベンダー」が18.3%です。

このデータから読み取れるのは、IT部門が無い企業が約4割あり(本記事による計算)、他部門からの異動で人を確保する企業も少ないという点です。IT企業の出身者を迎える点は大企業も同じで、違いはおもに、どの規模のIT企業から迎えるかにあります。

こうした体制では、少ない人数で社内のIT対応を受け持つことになりやすいと考えられます。中小企業のヘルプデスクでは、技術の幅と、自分で調べて解決する力が求められやすいでしょう。企業が人の数より質の不足を強く感じていることも、IT経験者を迎える傾向と同じ方向を向いています。

いまひとり情シスとしてヘルプデスクを兼務している方は、自分が担っている範囲の広さと照らし合わせてみてください。

注意

中途採用者の前職は、IT人材を中途採用した企業だけが回答しています。回答企業数が少なく(300名以下n=109、1,001名以上n=112)、数ポイントの差は誤差の範囲に入る可能性があります。また、データは2019年度のもので、その後の変化は確認できていません。

出典: IPA「IT人材白書2020」


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未経験・文系出身でもヘルプデスクは目指せるが、資格は段階的に考える

ヘルプデスクは、未経験や文系出身の人でも十分に目指せる仕事です。ただし、資格は「取れば安心」と考えず、段階を踏んで準備するのがおすすめです。

ここでは、専攻分野のデータと、資格試験の合格者数・合格率の推移から判断材料を示します。未経験から社内SEを目指すための全体の流れは、別の記事でまとめています。

先端IT業務に就いている人の約3割は文系出身で、情報系出身との差は5.8ポイントにとどまる

文系出身であることは、IT関連の仕事に就くうえで大きな不利にはなっていません。IPAが2019年に個人を対象に行ったウェブ調査では、最終学歴での専攻分野は次のとおりでした。

対象(2019年、各n=500) IT・情報系 IT・情報系以外の文系
先端IT従事者 36.0% 30.2%
先端IT非従事者 25.4% 34.6%

出典: IPA「IT人材白書2020」(学び直し・人材流動に関する意識調査)より作成

先端IT従事者の約3割は文系出身で、情報系出身との差は5.8ポイントです(本記事による計算)。 文系出身でもIT関連の仕事に就いている人は珍しくないと言えます。

ただし、これはAIやデータ分析などの先端IT業務に就く人の調査で、ヘルプデスク職そのものの数値ではありません。また、前の章までのユーザー企業向けアンケートとは別の調査なので、数値を混ぜて比べないでください。

ITパスポートの合格者は2025年度に約13.2万人で、取得するだけでは他の応募者と差がつきにくい

ITの基礎を確かめる入口として、多くの人が受けるのがITパスポート試験です。2025年度の実績は次のとおりです。

  • 応募者数: 約30.7万人
  • 受験者数: 約27.1万人
  • 合格者数: 約13.2万人
  • 合格率: 48.6%

この数値から読み取れるのは、1年間の合格者が、ユーザー企業のIT人材(2019年時点で約29.4万人)の約45%に当たる規模だという点です(本記事による計算)。2つは調査年が違うため、厳密な比率ではなく規模の目安として見てください。

ITパスポートは、基礎知識があることを示す入口として役に立ちます。ただ、毎年これだけ多くの合格者がいるため、取得しただけでは他の応募者と差がつきにくいと考えられます。

基本情報技術者試験の合格率は2023年度の47.1%から2025年度は38.3%に下がり、ITパスポートとの差は10ポイントを超えた

ITパスポートの次の段階として考えたいのが、基本情報技術者試験です。2つの試験の合格率は、次のように推移しています。

試験 2023年度 2024年度 2025年度
基本情報技術者 47.1% 40.8% 38.3%
ITパスポート — 49.1% 48.6%

基本情報技術者試験とITパスポート試験の合格率(2023〜2025年度)

出典: IPA「基本情報技術者試験 推移表」/IPA「ITパスポート試験 推移表」より作成(ITパスポートの2023年度は本記事で値を確認できていないため「—」)

2025年度の合格率の差は10.3ポイントで、基本情報技術者の合格者は約5.6万人でした(差は本記事による計算)。ITパスポートは入口、基本情報技術者は他の応募者との差になりやすい次の段階と位置づけられます。

ただし、基本情報技術者試験は2023年度から出題形式と受験方式が変わりました。合格率の低下は、受験者の層が変わった影響の可能性もあります。

ポイント

未経験から準備するなら、まずITパスポートで基礎を確かめ、次に基本情報技術者に挑戦する順番がおすすめです。資格に加えて、新しい仕組みを学び続ける姿勢を面接で伝えられるようにしておきましょう。

出典: IPA「IT人材白書2020」/IPA「ITパスポート試験 応募者数・受験者数・合格者数(2025年度)」/IPA「ITパスポート試験 推移表」/IPA「基本情報技術者試験 推移表」


ヘルプデスクの需要は続くが、求められるスキルの水準は上がっている

2019年度時点でユーザー企業のIT人材の不足感は強まっており、ヘルプデスクを含む社内のIT業務は今後も必要とされると考えられます。ただし、求められるスキルの水準は上がっています。

この章では、IPAの5年間の推移と、経済産業省の需給推計という2つのデータから将来性を考えます。2つは調査主体も指標も違うため、分けて見ていきます。

IT人材の「量」が大幅に不足とする企業は2015年度の20.5%から2019年度は33.0%に上がった

IPAの同じ調査・同じ指標で、ユーザー企業がIT人材を「大幅に不足」と答えた割合を、量と質に分けて並べました。

年度 量が大幅に不足 質が大幅に不足
2015年度 20.5% 30.3%
2016年度 24.7% 33.2%
2017年度 29.3% 32.9%
2018年度 31.1% 33.8%
2019年度 33.0% 39.5%

IT人材が「大幅に不足」と回答したユーザー企業の割合(2015〜2019年度)

出典: IPA「IT人材白書2020」より作成(各年度で回答企業数が異なる。2019年度はn=821)

量の不足感は5年間で上がり続けました。それ以上に目立つのは、質の不足感が5年間ずっと量を上回っている点です。

この推移から読み取れるのは、人の数そのものより、求める水準を満たす人が足りていないということです。ヘルプデスクを目指す人にとっては、採用の機会は増えている一方で、入った後に求められる水準も高いと考えておくとよいでしょう。

従来型IT人材は2030年に9.7万人余るとの国の推計もあり、「人が足りないから誰でも採用される」とは言えない

一方で、人が余るという見通しもあります。経済産業省が2019年に公表した推計では、IT需要の伸びを中位とするなど一定の前提を置いた場合、2030年に従来型IT人材は約9.7万人余り、AIなどを扱う先端IT人材は約54.5万人不足するとされています。

前の項で見たIPAの2019年度調査では、量が大幅に不足と答えた企業が33.0%でした。2つが食い違って見えるのは、対象と指標が違うためです。経産省の推計はIT企業とユーザー企業の情報システム部門などを合わせた全国の人数の将来推計で、IPAの値はユーザー企業側(約29.4万人)が今感じている不足感です。

この2つから考えられるのは、需要はあっても、定型的な対応だけをこなす人材が求められているとは限らないという点です。だからこそ、前の章で挙げた「学び続ける力」が大切になります。ヘルプデスクで経験を積んだ後は、社内SEや情シス、さらにセキュリティなどの専門分野へ進む道もあります。

注意

経済産業省の推計(2019年に公表された、一定の前提を置いた2030年の需給の試算)と、IPAの調査(2019年度時点の企業の不足感)は、調査主体・指標・時点がすべて異なります。同じ物差しで差し引きできる数値ではないため、傾向をつかむ材料として見てください。

出典: IPA「IT人材白書2020」/経済産業省「IT人材需給に関する調査」


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まとめ

ヘルプデスクへの適性は、性格だけでなく、その職場が求める水準・体制・経歴との相性で決まります。2019年度にユーザー企業の39.5%がIT人材の「質」の大幅な不足を感じていたように、評価されやすいのは学び続けられる人です。

また、社内ヘルプデスクは2025年度の調査で生成AIの効果を感じやすい業務の1つでした。原因を切り分ける力が、これまで以上に求められると考えられます。従業員300名以下の企業ではIT部門の設置率が60.8%で、企業規模によって求められる経歴も変わります。

自分が向いているかどうか、次の項目で確かめてみてください。

  • 新しいツールや仕組みを学ぶことが苦にならない
  • 相手の話を聞きながら、原因を絞り込んでいける
  • 他部門の人と、業務の事情を踏まえて話を進められる
  • 大企業か中小企業かで、求められる経歴が違うことを理解している
  • まずITパスポートで、ITの基礎を確かめた

当てはまる項目が多いほど、ヘルプデスクで力を発揮しやすいはずです。採用や配置を考える管理者の方は、配置した後も担当者が学び続けられる仕組みを用意しておくことが、定着につながります。

出典: IPA「IT人材白書2020」/総務省「情報通信白書」令和8年版


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情シスカレッジ|新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMS

この記事で見てきたように、ヘルプデスクで評価されやすいのは学び続けられる人です。とはいえ、未経験で配属された人や新しく担当になった人が、日々の問い合わせ対応をこなしながら独学を続けるのは簡単ではありません。管理者の立場では、担当者がどこまで学べているかが見えにくいという悩みもありますよね。

情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。数分の動画と小テストで、業務の合間に必要な知識を少しずつ身につけられます。

情シスカレッジの特徴

  • 数分の動画+小テストで、まとまった時間を取らずに学習を進められます
  • 必修の割り当て・期限・進捗ダッシュボードで、担当者の学習状況をまとめて確認できます
  • 自社カリキュラムの編成とCSVでの教育記録に対応し、社内の教育履歴として残せます

5名から利用でき、請求書払いにも対応しています。初期設定は約10分で、担当者が1人でも始められます。

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