ひとり情シスがつらいと感じる原因は?つらさの乗り越える方法を解説

毎日トラブル対応に追われて、本来の業務がまったく進まない
社内にITの相談ができる人がいない
頑張っても評価されないし、給料も上がらない
ひとり情シスとして働く中で、上記のような悩みを感じた経験がある方も多いでしょう。
情シス業務をひとりで担うことは、孤独感や業務過多・理解不足の3つに悩まされやすい傾向にあります。
私自身、ひとり情シスの現場を経験し、日常的なトラブル対応や適正な評価が得られないなど、大きな悩みを抱えてきました。
この記事では「ひとり情シスがつらい理由」と「乗り越えるための具体策」を徹底解説します。
結論として、ひとり情シス問題は正しい対策を取れば、辛いと感じる現状を解決することが可能です。
ひとり情シスがつらいと感じる原因は?

ひとり情シスが「つらい」と感じるのは、本人のスキルや努力不足が原因ではありません。問題の本質は、組織の構造や業務環境にあります。
業務の幅が広く専門的であるにもかかわらず、周囲からの理解やサポートが得られにくいことが、情シスの孤独や疲弊を生み出します。
ここでは、ひとり情シスがつらさを感じる主な4つの原因を解説します。
相談相手がいないため孤独を感じる
ひとり情シスが辛いと感じる理由の一つは、相談相手がいないため孤独を感じやすい点です。
トラブル発生時や判断に迷う場面でも、自分ひとりで解決を求められるため、精神的なプレッシャーは相当なものです。
専門的な悩みを共有できる相手がいないことで、不安やストレスを抱え込んでしまうケースも少なくありません。
組織内で唯一のIT担当者であるがゆえに、社内では孤立しがちで、「誰にも相談できない」環境がひとり情シスの辛さを深めていると考えられるでしょう。
給与や休日などの待遇に不満がある
ひとり情シスは「何でも屋」として多くの業務を任されることが多いです。
多くの業務を任せられるのにもかかわらず、給与水準や休日数などの待遇が他の職種と大きく変わらない、またはそれ以下のケースも少なくありません。
緊急対応が深夜や休日に発生しても手当が支給されない場合や、システム障害に対応して感謝されることもなく、「直って当たり前」と扱われこともあります。
業務負担が大きい割に給与や休日などの待遇があまりよくなく、不満に感じている人は多いです。
業務負担が大きい
中小企業のひとり情シスは、次のように非常に幅広い業務が求められます。
- 社内ヘルプデスク
- PCやスマホなどIT機器の管理
- ネットワーク環境の整備・保守
- セキュリティ対応
- サーバー・クラウド・システムの運用管理
- ベンダーとのやり取り
- 業務改善提案やDX推進
上記のような業務をすべて一人でこなすのは物理的に限界があります。突発的な対応に追われることで、コア業務に手がつかなくことも少なくありません。
業務が非常に多いため、残業時間が長くなったり、休日出勤や緊急対応が発生したりするため辛いと感じる人は多いです。
情シス業務への理解が乏しい
情シスの仕事はバックオフィス部門であるため、成果が見えにくい特徴があります。営業のように数字で評価されることがなく、成果をアピールすることが困難です。
そのため、社内では「何をやっているのかわからない」「設定くらい簡単にできるだろう」と軽視されがちです。
さらに、ITに不慣れな社員からのあいまいな依頼が増え、ミスが起きた際には責任を問われる場面もあります。努力が理解されず、成果も評価されない状況では、働く意欲が徐々に失われていきます。
情シス業務の重要性を経営層に伝え、正しく評価される環境を整えることが重要です。
ひとり情シスの企業が増加している背景

なぜ、ひとり情シスの企業が増加しているのか気になる方は多いでしょう。
ひとり情シスには、採用の難しさや企業のIT依存度の急激な高まりといった背景があります。
情シスが必要とされる環境は整っていても、人材の確保や育成が追いついていない現状が、ひとり情シス問題を加速させています。
ここでは、ひとり情シスの企業が増加している背景について解説します。
IT人材不足のため採用するのが難しい
ひとり情シスが増加している背景として、IT人材不足のため採用するのが難しいことが挙げられます。
経済産業省の調査によると、将来的に40〜80万人規模のIT人材が不足すると報告されています。
特に中小企業では「即戦力」を求められるにもかかわらず、給与や福利厚生面で大企業に太刀打ちできず、採用に苦戦していることが多いです。
企業規模にかかわらず、ITシステムの整備は必要です。しかし、思うように人材を確保できず、結果的にひとり情シスの構図が生まれています。
中小企業のDX・ICT化が加速している
中小企業においても、業務効率化やテレワーク対応のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)やICT化が加速しています。
具体的には、次のような取り組みが急速に進んでいます。
- クラウドシステムの導入(例:Google Workspace、Microsoft 365)
- オンライン会議やリモートアクセス環境の整備
- 勤怠管理や経理などのSaaS利用
- サイバーセキュリティ対策の強化
ITインフラが進化する一方で、人的リソースが増えていなければ、ひとり情シスの業務負担はより大きくなるでしょう。
つらいひとり情シス問題に対処する方法

つらいひとり情シス問題に対処するためには、以下の方法を実践しましょう。
ひとり情シスの課題は、組織の体制や社内の認識を少しずつ変えていくことで軽減できます。
ここでは、ひとり情シス体制でも業務が円滑に回るようにするための、実践的な対処法を紹介します。
業務範囲を明確にする
つらいひとり情シスから脱却するためには「業務範囲の明確化」を実施しましょう。情シスの本来の業務は、社内インフラ管理や情報セキュリティ対策、システム開発、IT戦略の策定などです。
しかし、ヘルプデスク業務やIT機器の管理なども対応していると、ひとり情シスのリソースのみでは対応しきれないケースが多いです。
業務範囲を明確にするために、以下のようなリスト化をおこなうことが有効です。
- 定常業務(例:PCのキッティング、アカウント管理)
- 不定期業務(例:システム更新、ベンダー対応)
- 緊急対応(例:障害時の復旧、セキュリティインシデント)
ひとり情シスは業務範囲を明確にし、総務部など他部署と連携をうまく取るようにし、業務を進めるようにしましょう。
アウトソーシングサービスを活用する
情シス業務のすべてを社内で抱え込む必要はありません。外部の専門業者と連携することで、効率的かつ安定的に業務を進めることが可能です。
アウトソーシングの例
業務領域 | アウトソーシング内容 |
---|---|
ヘルプデスク | PC設定やトラブル対応の一次受け |
サーバ・ネットワーク | 定期メンテナンス、監視業務 |
情報セキュリティ | 外部監査、インシデント対応支援 |
IT戦略策定 | ITコンサルによる中長期の計画設計 |
ヘルプデスクや書類整理などのノンコア業務をアウトソーシングするだけでも、空いたリソースをコア業務に割くことができます。
費用は発生しますが、情シス業務をすべて外部委託することも可能なため、ひとり情シスがつらいと感じる場合はぜひ検討してみてください。
社内マニュアル・FAQなどを作成する
社内からの問い合わせの多くは、操作方法や設定などの「よくある質問」です。
以下のようにマニュアルやFAQを整備することで、自己解決できる環境を整えましょう。
- PC初期設定マニュアル
- プリンターの設定方法
- 社内システムの操作手順書
- よくあるエラーと対処法一覧
- パスワードリセットの方法ガイド
GoogleスプレッドシートやNotionなど、社内で共有できるツールを使えば簡単に運用できます。
業務効率化ツールを導入する
日々の業務を効率化するためには、情シス自身がツールを積極的に活用することも重要です。
定型作業や手作業でのミスを防ぐために、自動化・可視化の仕組みを整えましょう。
ツール名 | 活用目的 | 特徴 |
---|---|---|
Power Automate | 作業の自動化 | 承認フローや通知を自動化 |
Backlog | タスク管理 | 案件の進捗共有に最適 |
MDM(Lanscopeなど) | モバイル端末管理 | 一括設定・リモート制御 |
DocBase | マニュアル・ナレッジ共有 | 検索性に優れる |
「自分の手間を減らすためのツール導入」は、情シス自身の働き方改革にもつながります。
組織全体のITリテラシーを向上させる
社員のITリテラシーが低いほど、情シスへの依存度は高まります。
情シスの役割を「何でも屋」にしないためには、社内全体のIT教育が必要です。
- Excelの基本操作研修
- セキュリティ意識向上研修
- クラウドサービスの使い方講座 …etc
組織全体のITリテラシーが向上すれば、基本的なトラブルシューティングやシステム操作も自身でおこなえるようになります。
情シスへの問い合わせ件数が減り、コア業務に割く時間も増えるため、定期的にITリテラシー研修を取り入れるのがおすすめです。
情シス人材を育成する
ひとり情シスの問題を根本的に解決するには、情シス人材の育成がおすすめです。
多くの企業では、ITに関する業務すべてを一人の担当者が担っており、その業務範囲はインフラ管理からヘルプデスク対応、セキュリティ対策、システム導入の検討まで多岐にわたります。
ひとり情シスは業務負担が大きいだけではなく、トラブル発生時にも一人で対処せざるを得ないため、精神的な負荷も大きくなりがちです。
情シス担当を複数名体制にする、もしくは他部門からITに強い人材を育成して一部業務を分担できるようにすることで、ひとり情シスの負担を大幅に軽減できます。
ひとり情シスを解決するためには「情シスカレッジ」で情シス人材を育成しよう
- マイクロラーニング形式で学習できる
- 情シスに必要な知識・スキルの研修動画が豊富
- 契約後は研修動画を見放題
ひとり情シスを解決するためにIT人材の教育をおこないたい場合は「情シスカレッジ」の利用がおすすめです。
情シスカレッジは、情シス業務に特化した豊富な研修コンテンツを、マイクロラーニング形式で提供するオンライン研修動画プラットフォームです。
1本あたり数分〜10分程度の短尺動画で構成されており、業務の合間やスキマ時間でも効率的に学習できるのが大きな特長です。
また、取り扱うテーマはサーバー・ネットワーク・セキュリティの基礎はもちろん、ゼロトラストやクラウド活用、生成AIの業務適用など、最新トレンドまで幅広く網羅しています。
さらに、契約後はすべての動画が見放題で利用できるため、社内教育ツールとしても最適です。
ひとり情シス問題を解決するために、情シスに求められる知識と実践力を効率よく学べる「情シスカレッジ」をぜひ活用してみてください!
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ひとり情シスがつらいことに関するよくある質問
ひとり情シスにはどのような問題がありますか?
ひとり情シスは、次のような問題点があります。
- 業務負担が大きい
- 属人化のリスクがある
- 精神的負担が大きい
- スキルアップの機会が限られる
多岐にわたる業務を一人で対応する必要があるため業務負担が大きいほか、ナレッジや業務フローが個人に集中するため、属人化のリスクがあります。
また、相談相手がおらず精神的に負担が大きいほか、日常業務に追われてスキルアップの機会が限られている点も問題点として挙げられるでしょう。
情シスカレッジではどのような研修を受講できますか?
情シスカレッジは、実務で使えるIT知識を体系的に学べるオンライン研修サービスです。
以下のような分野別の研修を受講できます。
カテゴリ | 内容の一例 |
---|---|
情報セキュリティ | 標的型攻撃の基礎、メールの安全な扱い方 |
クラウド | Microsoft 365やGoogle Workspaceの管理操作 |
ネットワーク | VPN、ルータ・スイッチの基礎理解 |
ヘルプデスク | 社内問い合わせ対応の効率化手法 |
IT資産管理 | 機器棚卸、ソフトウェアライセンス管理 |
研修はすべてマイクロラーニング形式で構成されており、1本5〜10分程度の動画で構成されています。
短時間でもスキマ時間を活かして学べるため、現場の負担を増やさずに育成が可能です。
また、進捗状況の確認や修了証の発行にも対応しており、企業の人材育成としても導入しやすい設計になっています。
まとめ | ひとり情シス問題は情シス人材の育成で解決しよう
ひとり情シスが「つらい」と感じるのは、本人の努力だけではどうにもならない“構造的な問題”が背景にあります。
孤独感や過重な業務負担、社内での理解不足といった3つの壁が、心と体に大きなストレスを与えてしまっているのです。
このような状況を少しでも楽にするためには、次のような工夫が効果的です。
- 業務の範囲をはっきりさせて、自分を守る仕組みをつくる
- マニュアルやFAQを整えて、問い合わせの数を減らす
- ツールの活用や外部委託で、作業を効率化する
- 社内のITリテラシーを底上げして、依存されすぎない環境をつくる
- 情シス人材を育てて、ひとり体制を卒業する
特に重要なのは、「人を育てる」視点です。目の前の負担を減らすのはもちろん、長い目で見て“チームとしての情シス”をつくることで、ひとり情シスの悩みを根本的に解決できます。
情シスカレッジのような育成サービスを活用すれば、専門知識の習得も社内で完結できるので安心です。
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成田 大輝
(株式会社ウェヌシス 代表取締役)
【保有資格】
・ITパスポート試験
・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験
・MOS(Microsoft Office Specialist)
【経歴】
・2021年4月 〜
2022年7月:プログラマー
・2022年8月 〜 現在:
事業会社の情報システム部門
・2025年3月 〜 現在:
株式会社ウェヌシスの代表取締役
【紹介文】
新卒で大手SIerに入社後、半年間でスタートアップのSES企業で開発支援を経験。2022年8月より、従業員約3,000名・全国166拠点を展開する事業会社にて社内SEとして着任。業務効率化や情報セキュリティ対策、社内インフラ管理のほか、月間200件以上のヘルプデスク対応、約1,000台以上の社内端末・ネットワーク管理を行う。2025年3月には株式会社ウェヌシスを創業し、年間50社以上の中小企業に対して情シス内製化支援・教育・ITコンサルティング・アウトソーシングサービスを提供している。