情シスのベンダーコントロールとは?丸投げを防ぎ、主導権を握る管理術を解説

情シスのベンダーコントロールとは?丸投げを防ぎ、主導権を握る管理術を解説

ベンダーに任せきりで、成果物の質に不満がある

プロジェクトの遅延やコスト超過が繰り返されている

情シスがベンダーに振り回されている気がしてならない

ITシステム導入や運用において、外部ベンダーの活用は不可欠です。しかし、適切なコントロールができていなければ、ベンダーに主導権を握られ、自社に不利な状況を招きます。

本記事では、実際に多くのベンダコントールを経験してきた弊社が、情シスとしてベンダーに丸投げしないための実践的なコントロール方法を解説します。

記事を読めば、現場で使用できるベンダーコントロール術を学ぶことが可能です。

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目次

なぜ情シスにベンダーコントロールが求められるのか

なぜ情シスにベンダーコントロールが求められるのか

外部ベンダーへの依存が進むなかで、情シスの役割はますます重要性を増しています。

情シスが主導権を持たないプロジェクトでは、要件のズレやトラブルが頻発し、結果としてシステム導入の失敗やコスト超過につながるでしょう。

ここでは、情シスにベンダーコントロールが求められる理由について解説します。

情シスが直面するベンダー依存リスク

ベンダーに業務を依頼すること自体は問題ありません。しかし、情シスが業務を丸投げすると以下のようなリスクが発生するため注意が必要です。

ベンダー依存による主なリスク
  • システムの仕様や設計がベンダー主導となり、自社の意図とズレる
  • 問題発生時に原因の切り分けができず、改善が遅れる
  • 情報やノウハウが社内に蓄積されず、属人化・ブラックボックス化

たとえば、要件定義が不十分になり、現場のニーズを満たさないシステムが納品されたり、トラブル発生時の責任所在があいまいになったりと、さまざまな弊害が生まれます。

現場のニーズに適したシステムの開発やトラブルを防止するためにも、情シスが要件定義段階からベンダーと密接にやり取りをおこなう体制が重要です。

企業におけるIT主導の重要性が増している

企業の競争力を高めるうえで、ITの役割はインフラから経営の中核へと進化しています。業務効率化やデータ活用、新規事業の立ち上げに至るまで、多くの業務領域にITがかかわってくるでしょう。

そこで、IT戦略の主導権を社外ベンダーに丸投げするのは、リスクが大きくなります。

経営と現場をつなぐ情シスが、ベンダーに任せきりではなく、自らの意思でプロジェクトをリードする必要があります。

IT主導の重要性が高まっている理由
  • DXやクラウド移行など、経営判断に直結するIT施策が増加
  • 情シスが戦略的な立場になりつつある
  • ベンダー任せでは、自社の業務や文化を反映したITが実現できない

今後の情シスは経営視点も持ち、ベンダーを主導することが、IT投資の成功につながるでしょう。

情シスとベンダーの適切な関係性とは

情シスとベンダーの適切な関係性とは

ベンダーとの関係性において重要なのは、支配でも依存でもない対等なパートナーシップです。

情シスが「発注者として指示を出すだけ」では、ベンダー側の主体性が失われ、良い提案や改善の芽が潰れてしまいます。一方、ベンダーに全部任せるスタンスでは、プロジェクトの目的や品質が損なわれてしまうでしょう。

適切な関係性を築くポイント
  • ベンダーの専門性を尊重しつつ、情シスが方向性を示す
  • 成果物やスケジュールの管理を情シスも徹底する
  • フェアなコミュニケーションで信頼関係を構築する

自社がお客様だからと意識を持つのではなく、ベンダーをプロジェクト成功のために必要な対等なパートナーとして、信頼関係を築くことが重要です。

具体的にどう進める?ベンダーコントロールの実践方法

具体的にどう進める?ベンダーコントロールの実践方法

ベンダーコントロールの必要性はわかるけど、実際にはどのように動くべきかわからない人も多いでしょう。

情シスがベンダーコントロールを進めるためには、以下のような実践ステップを押さえましょう。

それぞれ詳しく解説します。

プロジェクトメンバーとして接する

ベンダーを単に業者として扱ってしまうと、コミュニケーションが一方通行となり、協力体制を築くのは困難です。そのため、プロジェクトメンバーの一員として扱うようにしましょう。

プロジェクトメンバーとして接する具体的な方法
  • キックオフ時に目的と成功の定義を明確に共有する
  • 定例ミーティングを設定する
  • 情シス・業務部門・ベンダーで議論できる場を設ける

たとえば「遅延が発生したが、対応が早く助かった」といったフィードバックを都度共有することで、ベンダー側も評価されている実感を得られるため、より前向きな対応に期待できます。

発注者として指示するのではなく、同じ目標に向かって協力する仲間として接する姿勢が重要です。

作業分担と成果物の責任を明確にする

プロジェクトにおける失敗の多くは「誰が、何を、どこまでやるのか」が明確になっていない場合が多いです。

情シスとベンダー間で作業分担や責任範囲があいまいだと、トラブル発生時に問題の解決に時間がかかります。そのため、作業と成果物の責任をはじめから文書で定義することが重要です。

契約前に成果物の完成基準を明確にする

プロジェクトの途中で思っていたものと違うと揉めないためにも、契約前に成果物の完成基準を明確にすることが重要です。

設計書やシステム、マニュアル、テスト結果など、納品物には「完成とみなす条件=受け入れ基準」が必要です。

契約前に定義すべき完成基準の例
  • 設計書:記載すべき項目、フォーマット、更新履歴の有無
  • システム:操作性・パフォーマンス・セキュリティ要件を満たすこと
  • テスト:主要機能の検証が完了し、重大バグがないこと …etc

事前に完成基準を明確にしておくと、ベンダーとの認識のズレを防ぎ、トラブルの回避につながります。

ベンダーからの要望に迅速に応える体制を築く

ベンダーの作業が滞る原因のひとつが、情シスからの確認・判断が遅れることです。些細な仕様確認や設計レビューの返答が遅れるだけでも、プロジェクト全体の進捗に影響を及ぼします。

ベンダーコントールにおいて重要なのは、ベンダーと情シスがお互いにスムーズにプロジェクトを進める体制を築くことです。

迅速に対応するための体制づくりのポイント
  • 問い合わせの受付窓口と担当者を明確にする
  • タスク管理ツールを導入する
  • 即答できない内容はいつまでに返答できるかを明示する

情シスの返答待ちでプロジェクトの進行が停滞するのを防ぐためにも、スムーズな情報共有が可能な体制を築くようにしてください。

議事録や文書に記録を残す

ベンダーとのやり取りを口頭やチャットだけで済ませてしまうと、後で「言った・言わない」のトラブルにつながります。

プロジェクトの途中で何らかのトラブルが発生した際に、問題の迅速な解決や責任の所在を明確にするため、会議や打ち合わせの内容を議事録や文書に残すようにしましょう。

よくある失敗パターンとその対処法

よくある失敗パターンとその対処法

ここからは、情シスのベンダーコントロールに関するよくある失敗パターンとその対処法を解説します。

実際に外注する際に発生する可能性がある事例のため、ぜひ確認してみてください。

例1:ベンダーに丸投げしてしまった結果

ある中小企業で、情シスが社内要件のとりまとめをせず、システム構築の一切をベンダーに依頼しました。

プロジェクト開始当初は「プロに任せた方が早いし安心だろう」といった空気が社内にもあり、確認作業やレビューの場も設けられませんでした。

結果、納品されたのは「業務フローと合っていない操作画面」や、「必要な帳票が出せない仕様」のシステムでした。

情シスは「ベンダーの提案通りに進めただけ」と主張し、ベンダーは「要件が不明確だった」と反論し、責任の所在は曖昧なまま、再開発と調整に数百万円のコストと半年以上の時間が追加でかかりました。

このように、丸投げ体制は成果物の質だけではなく、社内の信頼すらも損ねるリスクがあります。

ベンダーに丸投げするのではなく、プロジェクトの初期段階から情シスが要件定義や意思決定に関わり、納品基準や運用方法について明確にすることが重要です。

例2:ベンダーに細かく指示しすぎて破綻

ベンダーに任せて失敗したから、今度はすべて細かく指示しようと考え、プロジェクトを混乱させてしまうケースも珍しくありません。

本来ベンダーは、自らの専門知識を活かして提案・改善をおこなうパートナーです。

情シスが過剰に支持をすると、ベンダー側の裁量を奪い、結果的に受け身で非効率な体制を生む可能性があります。

ベンダーは支配するのではなく、プロジェクトのパートナーとして付き合うのが重要です。業務の背景や目的を伝えたうえで、ベンダーの意見も取り入れながら、プロジェクトを進行する必要があります。

まとめ | ベンダーは支配ではなく「リード」することが重要

ベンダーコントロールとは、管理や支配することではなく、情シスがビジネスの目的や業務要件を明確にし、プロジェクトの方向性をリードする姿勢を持つことが重要です。

ベンダーにはプロジェクトの方向性に沿って、最大限の力を発揮してもらう必要があります。

ベンダーと良好なパートナーシップを築きながら、主導権を持ってITを推進する情シスを目指しましょう。

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