NATとは?必要とされる背景や仕組み、NAPTとの違いを図解で解説

NATとは?IPアドレス不足を解決する仕組みとNAPTとの違いを図解で解説

IPアドレスって枯渇するものなの?

1つのネット回線に複数台つないでも大丈夫なの?

NATとかNAPTって結局どう違うの?

このような疑問を持つ人も少なくないでしょう。特にIT担当者やネットワークの管理を任された人にとって、NATは覚えておくべき技術のひとつです。

インターネットの普及とともに、IPアドレスの数は足りなくなってきました。IPアドレスの枯渇問題を解決するために登場したのがNATです。

この記事では、企業ネットワークや家庭用ルーターにも広く使われているNATの仕組みやNAPTとの違いを解説します。

記事を読めば、NATの基本から活用方法まで、初心者でも理解できるようになります。

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目次

NATとは?複数の端末を1つのIPアドレスでインターネット接続できる技術

ここからは、NATの基本知識について解説します。

概要に加えて必要とされる背景も確認し、NATの理解を深めましょう。

NATの役割はプライベートIPとグローバルIPをつなぐこと

NATの役割はプライベートIPとグローバルIPをつなぐこと

NATとは、複数の端末が1つのグローバルIPアドレスを使って外部と通信できるようにする技術です。

具体的には、内部ネットワークで使われるプライベートIPアドレスと、インターネット上で使うグローバルIPアドレスを変換してつなぐ役割を担っています。

プライベートIPはインターネットには直接つながりませんが、NATを介することで外部サイトと安全に通信できるようになります。

限られたグローバルIPを効率的に使いまわせるだけでなく、外部からの不正アクセスも防ぎやすくなるセキュリティ乗の利点もあります。

NATが必要とされる背景

インターネットが普及するにつれ、使用するデバイスの数も急増しました。

デジタルデバイスの例
  • パソコン
  • スマートフォン
  • タブレット
  • ゲーム機
  • 家電 …etc

パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスが増加した結果、IPv4で割り当てられるIPアドレスの数(約43億個)では足りなくなり、深刻なアドレス枯渇問題が発生しました。

IPv4の枯渇問題を解決するための手段として、社内ネットワークではプライベートIPを用い、NATによって必要最小限のグローバルIPで通信を行う方式が採用されるようになりました。

NATの登場は、インターネットの成長と多様化を支える基盤技術のひとつといえるでしょう。

NATとNAPTの違い

NAPTの仕組み

NATは、1つのグローバルIPアドレスに対して、1つの内部IPアドレスを対応させて変換する技術です。

一方NAPTは、1つのグローバルIPアドレスを複数の内部IPアドレスとポート番号の組み合わせによって管理し、より多くの端末が同時にインターネットを利用できるようにする技術です。

NATは単純な構成に向いていますが、同時接続数が制限されるため、現代のマルチデバイス環境には不向きです。そのため、実際にはNAPTが用いられていることが多いといえるでしょう。

項目NAT(基本)NAPT(実質標準)
変換対象IPアドレスIPアドレス + ポート番号
同時通信可能端末制限あり多数の端末で同時通信が可能
主な用途単純な1対1変換家庭や企業ネットワークの多端末接続
使用状況限られたシーンで利用一般家庭ルーターや企業LANで広く採用

たとえば家庭内で、スマートフォン・PC・ゲーム機などが同時に通信しているのはNAPTのおかげです。

それぞれの端末は異なるポート番号で識別され、1つのグローバルIPを通して効率よく通信がおこなわれています。

まとめ | NATはネットワーク管理とIP節約に欠かせない基本技術

NATは、限られたグローバルIPアドレスを有効活用しながら、複数の端末を安全にインターネットへ接続させるための必須技術です。

IPアドレスの変換によって、プライベートネットワークと外部ネットワークを柔軟につなぎ、セキュリティの強化につながります。

また、現在主流となっているNAPTは、ポート番号も活用することで、1つのグローバルIPを複数端末で同時利用できるようにする仕組みです。

NATとNAPTの違いを押さえ、ネットワークの基礎理解を深めましょう。

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