【経験者が解説】ヘルプデスク業務の勉強法とは?必要なスキルや資格もあわせて解説

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ヘルプデスクは何から勉強したら良いの

ユーザーからの質問に答えられる自信がない

効率的な学習方法やおすすめの資格が知りたい

ヘルプデスクの業務範囲は広く、未経験からスタートする場合は「何をどこから覚えるべきなのか」と悩む人は少なくありません。

筆者は3,000名規模の企業の情報システム部門を担当していたことがあり、ヘルプデスク経験もあるため、現場で求められるスキルと、効率的な学習の優先順位を熟知しています。

この記事では、ヘルプデスクに必要な基礎知識からスキルの習得方法、おすすめの資格まで解説します。

記事を読めば、日々の業務への不安が解消され、プロのヘルプデスクとして自信を持って対応できるようになります。

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目次

ヘルプデスクに求められる役割と業務内容

ヘルプデスクの役割は、ITトラブルの解決を通じて組織の生産性を最大化することです。現代のビジネス環境において、PCやネットワークの停止は業務そのものの停止を意味します。

具体的な業務内容は、自社の従業員を支える「社内ヘルプデスク」と、顧客を支える「社外ヘルプデスク」の2つに分けられます。

項目社内ヘルプデスク社外ヘルプデスク(カスタマーサポート)
主な対象自社の社員製品・サービスの利用者(顧客)
主な業務PC設定・社内システム・OA機器対応操作説明・不具合受付・仕様の回答
求められる要素社内インフラの深い理解自社製品に関する専門知識と接客スキル

いずれも技術力だけではなく、相手の困りごとに寄り添う姿勢が欠かせません。このように、ヘルプデスクはIT環境の安定運用を支えるポジションといえるでしょう。

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ヘルプデスク業務が「底辺」と言われる理由

ヘルプデスク業務が「底辺」と言われる理由

ヘルプデスク業務は「底辺」と言われることがありますが、決して能力が低いわけではなく、構造的な問題によってネガティブなイメージが定着しているのが実情です。

ヘルプデスク業務が「底辺」と言われる理由は、以下のとおりです。

ヘルプデスク業務が「底辺」と言われる理由
  • 組織内ではコストセンターとして見なされがち
  • 業務内容が簡単と思われる
  • 理不尽なクレームなどによるストレスの大きさ
  • ITエンジニアの入門職と見なされることが一般的

このように、ヘルプデスクは営業職や開発職のように利益を出す部門ではないため、支える側であるがゆえに、評価や待遇が正当に反映されにくい構造の中にあります。

しかし、組織のITインフラを最前線で維持する姿勢は、本来高く評価されるべきものです。

ヘルプデスク担当者が勉強するべき知識とスキル

ヘルプデスク担当者が勉強するべき知識とスキル

ヘルプデスク担当者が勉強するべき知識やスキルは、以下のとおりです。

ITの基礎知識(ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク)

ヘルプデスクがまず習得すべきは、IT全般を網羅する広範な基礎知識です。

ヘルプデスクの現場では「ネットワークが遅い」「アプリの使い方がわからない」「PCが壊れた」といったさまざまな問い合わせが日常的に寄せられます。

知識・スキルを身につける場合は、以下の内容を優先して学習しましょう。

  • ハードウェア:PCの各パーツ(CPU、メモリ、ストレージ)の役割と故障時の挙動
  • ソフトウェア:OS(Windows/Mac)の設定、レジストリ、Officeアプリのトラブル対応
  • ネットワーク:TCP/IPの基礎、Wi-Fi接続の仕組み、VPNやプロキシ設定

例えば「インターネットが遅い」という問い合わせに対し、PCの処理能力不足なのか、ブラウザの設定なのか、ルーターの不具合なのかを判断するには、上記の知識が不可欠です。

ITの基礎を体系的に学ぶことは、ヘルプデスクとしての信頼を得るために重要です。

ヒアリング能力と説明する能力

ヘルプデスクでは、技術力だけではなく、「伝える力」と「聞く力」が必要です。ヘルプデスクのもとに届く問い合わせの多くは、状況が整理されていないあいまいなものであるケースが少なくありません。

ユーザーが何に困っているのかを正確に把握できなければ、正しい解決策を提示できません。ヒアリングにおいては、以下の手法が有効です。

ヒアリングの手法
  • 5W1Hで事実を確認する:いつから、どの画面で、何をしようとして起きたかを聞く
  • 相手と同じ画面を共有する:言葉の行き違いを防ぐため、可能な限りリモート操作や写真を利用する
  • 専門用語を避ける:相手のITリテラシーに合わせて言葉を選び、心理的な壁を取り除く

解決策を説明する際も、結論から述べることが原則です。ユーザーは「なぜ起きたか」の解説よりも、まず「どうすれば直るか」を求めています。

問題を切り分けて解決に導くトラブルシューティング能力

ヘルプデスクには、未知のトラブルを論理的に解決するトラブルシューティング能力も必要です。トラブルシューティングを成功させるには、以下のステップを意識してください。

トラブルシューティングの方法
  • 事象の特定:エラーメッセージや再現性の有無を正確に把握する
  • 切り分け:正常に動く範囲と動かない範囲の境界線を見つける(例:他のPCでは繋がるか?)
  • 仮説と検証:最も可能性の高い原因を推測し、設定変更などを試す
  • 結果の確認:処置によって事象が改善されたか、別の不具合が出ていないかを確認する

「たまたま直った」で終わらせず、常に「なぜこの手順で直ったのか」という論理的な裏付けを考える習慣が、対応力を向上させます。

トラブルシューティング能力を磨くことで、マニュアルにない突発的な障害にも動じず対処できるようになります。

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初心者や未経験者向けのヘルプデスク業務の勉強方法

初心者や未経験者向けのヘルプデスク業務の勉強方法

未経験からヘルプデスクを目指している人は、以下のような方法で勉強するのがおすすめです。

資格取得を通じてITの基礎知識を体系的に学ぶ

ヘルプデスクに必要な知識・スキルを学ぶには、資格の取得がおすすめです。実務だけで学ぼうとすると知識に偏りが出ますが、資格勉強ならITの全体像を網羅できます。

ヘルプデスクにおすすめの資格
  • ITパスポート試験
  • 基本情報技術者試験
  • 情報セキュリティマネジメント試験
  • マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

たとえば、ITパスポート試験や基本情報技術者試験といった資格は、ITエンジニアに必要な知識・スキルが体系的に整理されています。

そのため、ヘルプデスクに求められる知識を効率よく学ぶことが可能です。

書籍やオンライン学習サービスで実践的なノウハウを学ぶ

資格取得以外にも、書籍やUdemyといったオンライン学習サービスで実践的なノウハウを学ぶこともおすすめです。

技術革新が速いIT分野では、場所や時間にとらわれないデジタル学習(eラーニング)や、手軽に始められる書籍学習を組み合わせることが効果的です。

eラーニングでは実際に手を動かしてスキルを身につけるハンズオン研修なども提供されており、実務力を身につけるうえでも役立ちます。

社内の問い合わせ事例や対応履歴をナレッジとして蓄積する

ヘルプデスクのスキルアップには、過去の問い合わせ事例や履歴をナレッジとして蓄積する方法もおすすめです。

過去にどのような原因で問題が起き、誰がどう解決したかのプロセスを記録しておけば、未経験でも安心してトラブルに対応できます。

また、過去の事例やFAQ(よくある質問)をデータベース化し、キーワード検索できるようにすることで、上司への確認や調査の時間を削減し、迅速な問題解決が可能です。

ヘルプデスクの勉強に役立つおすすめ資格4選

ヘルプデスクの勉強に役立つおすすめの資格は、以下のとおりです。

ITパスポート試験

ITパスポートは、ITを利活用するすべての社会人が備えておくべき基礎知識を証明できる国家資格です。

iパスは、ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。

※引用元:【ITパスポート試験】iパスとは

テクノロジーのみならず、ストラテジ(経営)やマネジメント(管理)といった幅広い分野をカバーしています。ヘルプデスクがITパスポート試験を取得するメリットは、以下のとおりです。

ITパスポート試験の取得メリット
  • ITの幅広い基礎知識が身につく
  • ビジネス全般の知識が身につく
  • ITに関する最低限のリテラシーを証明できる

ヘルプデスクの現場では、専門用語を平易な言葉に言い換える能力が求められます。ITパスポートで基礎を固めることは、正確でわかりやすい説明を行うための土台となります。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門として位置づけられる国家資格です。ITパスポートよりも深く、システムの仕組みやプログラムの論理的な構造を問う内容となっています。

ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者

※引用元:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

基本情報技術者試験を取得するメリット
  • 論理的思考能力の向上
  • インフラ知識がより深まる
  • キャリアパスの拡大につながる

OSのメモリ管理やネットワークのプロトコルといった内容を詳しく学べるため、高度な障害にも対応できます。

また、ヘルプデスクからネットワークエンジニアや開発者へキャリアアップしたい場合にも、スキルを客観的に証明することが可能です。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、組織におけるセキュリティ対策の運用と管理に焦点を当てた資格です。サイバー攻撃が巧妙化する現代において、ヘルプデスクが守るべき情報の安全性を深く学べます

情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。

※引用元:情報セキュリティマネジメント試験とは | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

情報セキュリティマネジメント試験を取得するメリット
  • 最新脅威の特定と対策方法について学べる
  • セキュリティ規定の運用に活かせる
  • セキュリティインシデントの際の対応方法が学べる

標的型メールやフィマルウェアの兆候を察知し、ユーザーに適切な注意喚起をおこなえるようになります。パスワード管理やデバイス持ち出しのルールなど、社内規定を策定する際に役立つのもメリットです。

セキュリティの知識は、企業の資産を守るヘルプデスクにとって、技術知識と同じくらい不可欠な要素です。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)

MOSは、ExcelやWord、OutlookといったOffice製品の操作スキルを証明する国際資格です。

マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)は、マイクロソフト社が主催する、Excel・Word・PowerPointなどのMicrosoft Office製品の知識・操作スキルを客観的に評価・証明する資格試験です。

※引用元:MOSとは/取得のメリット|MOS公式サイト

ヘルプデスクへの問い合わせの多くは「関数の使い方がわからない」「メールが送れない」といったOffice製品に関するものです。

そのため、MOSを取得しておけば、より精度の高い回答が可能になるほか、自身の作業スピード向上にもつながります。

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社内ヘルプデスクに関するよくある質問

未経験からでも社内ヘルプデスクの担当になれますか?

未経験からでも社内ヘルプデスク担当になることは可能です。

ヘルプデスクは、IT業界の中でも入門職種として考えられている場合が多く、未経験でも採用する企業は少なくありません。

まずはITパスポートなどの基礎資格を取得し、学習する姿勢を形にして示すことが、内定を勝ち取る近道となります。

精神的に辛くなり「病む」前にできる対策はありますか?

ヘルプデスクはクレームやトラブル対応が続くため、精神的な負担を管理する術を持つことが重要です。

精神的に病む前には、以下のような対策が必要です。

精神的に辛くなり「病む」前にできる対策
  • 感情を切り離す:ユーザーの怒りは「不具合」に向けられたものであり、自分自身への攻撃ではないと認識します。
  • 早めのエスカレーション:自分の手に負えない問題は、抱え込まずに速やかに上司や有識者へ引き継ぎます。
  • 孤独にならない:チーム内で困りごとを共有し、お互いにフォローし合える関係性を築くことが心の支えになります。

「すべてを自分で解決しなければならない」といった完璧主義の考え方を捨て、組織として問題を解決する意識を持つことが、長く健やかに働くコツです。

ヘルプデスクとコールセンターの違いは?

ヘルプデスクとコールセンターは、いずれも問い合わせに対応する窓口ですが、求められる専門性の深さと対応範囲に違いがあります

主な違いを以下の表にまとめました。

特徴ヘルプデスクコールセンター
解決内容IT技術に関する問題解決サービス全般の案内、注文、受付
専門性高い(PC、ネット、OSの知識)比較的低い(マニュアル対応が主)
対応手段電話、チャット、メール、対面、遠隔操作主に電話、一部チャット
主な目的トラブルを解消し、業務を再開させる顧客の要望に応え、満足度を高める

ヘルプデスクは、特定の技術的な問題に対して「回答」するだけでなく、実際に設定を変更して「解決」まで導く役割が強い職種です。

まとめ | 正しい知識を勉強して企業のIT活用を支えるヘルプデスクに

ヘルプデスクは、IT化が進む現代社会において、組織が安定稼働するために重要な仕事です。

未経験からでも、資格取得や日々のナレッジ蓄積を通じて、ヘルプデスクとしてのキャリアを築くことができます。

基礎知識、コミュニケーション力、論理的な思考力を磨くことは、ヘルプデスクとしての成功だけでなく、その後のエンジニアキャリアにおいても役立つでしょう。

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株式会社ウェヌシスが行った【中小企業情シス実態調査】から、情シス・社内SEの多くが「業務量の多さ」「知識不足」「キャリアパスの不透明さ」といった共通の課題に直面していることが明らかになっています。DX推進やセキュリティ強化といった高度な期待が寄せられる一方で、日々の保守・トラブル対応に追われ、学習時間を十分に確保できないケースも多く、「スキルアップしたいのに、何から始めればいいか分からない」という声は後を絶ちません。

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