【経済産業省・IPAデータ】社内SEとは|仕事内容とSIerとの違い、IT人材不足44.9万人(2030年推計)が示す需要の実態

求人票で「社内SE」という言葉をよく見かけるけれど、実際に何をする仕事なのかがつかみにくい。そう感じている方は多いと思います。

  • 社内SEって、結局どこからどこまでが仕事の範囲なんだろう
  • SIerから社内SEに移りたいけれど、需要は本当にあるのか不安
  • 「社内SEはやめとけ」という話も見かけて、判断がつかない

結論から言うと、社内SEは自社の社員のために、自社のシステムを作って動かし続ける職種です。経済産業省の区分でいえば「ITを活用するユーザー企業の情報システム部門の人材」にあたります。

この記事では、仕事内容とSIer・情シスとの違いを整理したうえで、需要の実態を公的な一次データで確認します。年収については、公的統計で言える範囲と言えない範囲を切り分けて説明します。

この記事のポイント

  • 社内SEは、経済産業省の区分でいう「ユーザー企業の情報システム部門の人材」にあたる職種です
  • IT人材の需給ギャップは2030年時点で44.9万人と推計されています。ただし前提の置き方によって16.4万人から78.7万人まで幅があります(出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(2019年公表)
  • DXを推進する人材が不足していると答えた企業は2025年度で85.5%。不足しているのは頭数よりも「質」に移りつつあります(出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」
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目次

社内SEは自社の情報システムを担当する職種で、経済産業省の区分では「ユーザー企業の情報システム部門の人材」にあたる

社内SEとは、自社の社員のために、自社のシステムを作り、動かし続ける職種です。システムを社外の顧客に納めるのではなく、自社の業務そのものを支えることが目的になります。

この位置づけは公的な資料でも確認できます。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」報告書は、日本のIT人材を4つの層に整理しています。①情報サービス・ソフトウェア企業でITサービスやソフトウェアの提供を担う人材、②ITを活用するユーザー企業の情報システム部門の人材、③情報システム部門以外の事業部門でITを高度に活用する人材、④ITを利用する一般ユーザーの4つです。

社内SEは、このうち②にあたる職種として整理できます。同報告書が需給ギャップの試算対象としているのは、この4層のうち①と②に属する人材です。

この区分は、記事の後半で扱う統計を読むときの土台になります。ここを押さえておくと、「IT人材が足りない」という話が誰についての話なのかを判断しやすくなります。

ポイント:社内SEが担当する範囲

  • 自社が使うシステムの企画と、IT予算・ベンダーの検討
  • システムの開発・導入と、外部委託先の管理
  • サーバー・ネットワーク・端末の運用保守とセキュリティ対応
  • 社員からの問い合わせ対応(ヘルプデスク)

社内SEの仕事内容は企画・開発・運用保守・社内サポートの4領域に分かれる

社内SEの仕事は、企画、開発・導入、運用保守、社内サポートの4つの領域に整理できます。求人票の書き方はさまざまですが、業務の中身はおおむねこの範囲に収まります。

この4つは、システムが生まれてから使われ続けるまでの流れに沿っています。何を作るかを決め、実際に導入し、止まらないように守り、使う人を助ける、という順番です。

担当範囲は企業の規模によって変わります。大きな企業では領域ごとに担当者が分かれますが、少人数の情シスではひとりで4領域すべてを兼ねることも珍しくありません。

領域 主な業務 関わる相手
IT企画 業務課題の整理、IT予算の検討、ベンダー選定 経営層、各事業部門
開発・導入 要件定義、内製開発、外部委託の進行管理 開発ベンダー、利用部門
運用保守 サーバー・ネットワーク・端末の維持、セキュリティ対応 保守ベンダー、全社員
社内サポート 問い合わせ対応、アカウント管理、利用方法の案内 全社員

※業務領域の区分は実務上の一般的な整理であり、公的統計に基づく分類ではありません。

社内SEとSIerのSEは、システムを届ける相手と評価のされ方が違う

社内SEとSIerのSEの最も大きな違いは、システムを届ける相手が自社か、それとも顧客企業かという点です。ここが変わると、仕事の進め方も評価のされ方も変わります。

SIerのSEは、顧客企業から依頼を受けてシステムを作り、納品するまでが仕事の中心です。納期や仕様は契約で決まり、成果は「約束したものを期日どおりに納められたか」で測られます。

一方で社内SEは、システムを入れたあとに自社の業務が良くなったかどうかまで見届ける立場です。導入がゴールではなく、その後の運用と改善まで責任を持つことになります。

比較軸 社内SE SIerのSE
システムを届ける相手 自社の各部門と社員 契約した顧客企業
納期・仕様の決まり方 社内の合意で決める 契約と顧客要望で決まる
成果の測られ方 業務が改善したか 納品を完了できたか
関わりの期間 導入後も運用し続ける 案件の期間で区切られる

※比較の観点は実務上の一般的な整理であり、公的統計に基づく分類ではありません。

情シスは部門を指し、社内SEは職種を指す

情シスと社内SEは、指しているものの階層が違います。情シス(情報システム部門)は組織の呼び名で、社内SEはその中で働く職種の呼び名です。

つまり、情報システム部門に所属する社内SE、という関係になります。部門名を持たない企業では、総務部や経営企画部の中に社内SEがひとりだけ在籍する、という形もよく見られます。

ただし求人票では、この2つがほとんど同じ意味で使われることがあります。同じ「社内SE」という募集でも、実際に任される業務は企業によって大きく違うと考えておいてください。この背景については、記事の後半でデータをもとに説明します。

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書

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IT人材の需給ギャップは2030年時点で44.9万人と推計されている(経済産業省・2019年公表)

社内SEの需要を考えるうえで、まず土台になるのがIT人材全体の需給です。経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」を見てみましょう。IT需要の伸びを中位に置いた基本ケースで、2030年時点の需給ギャップを44.9万人と推計しています。同じ推計で、2025年時点は36万人とされています。

ここで不足しているとされているのは、IT企業の人材とユーザー企業の情報システム部門の人材を合わせたIT人材全体です。社内SEは、その一部を構成する立場になります。

この数値から読み取れるのは、社内SEという職種を取り巻く環境が「人が足りない」側にある、という大枠です。ただし、この数値の読み方には注意が必要です。

注意

ここで扱う需給ギャップは、実際に測定された不足人数ではなく、IT需要の伸びと労働生産性の上昇率を前提に置いて計算した推計値です。また同種の需給ギャップ試算について、経済産業省からの更新版はこの記事の執筆時点(2026年8月)まで公表されていません。生成AIの普及のように前提が変わる出来事は織り込まれていません。

需給ギャップは2018年時点の22万人から2030年時点の44.9万人へ拡大する推計

経済産業省が2019年に公表した中位シナリオ(基本ケース)を対象年の順に並べると、需給ギャップは一貫して拡大する形になっています。

  • 対象年2018年: 22万人
  • 対象年2020年: 30万人
  • 対象年2025年: 36万人
  • 対象年2030年: 44.9万人

IT人材の需給ギャップ推計の推移

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」概要版同 報告書(2019年公表・IT需要の伸び中位、基本ケースの推計値。概要版は万人単位に丸めた値を、報告書は小数第1位までの値を示しています)

この推移から読み取れるのは、増加のペースが最も速いのは入口の2年間で、その後は緩やかになる想定だという点です。上の4時点を年あたりに割り戻すと、2018年から2020年は年あたり約4万人ずつ増える計算です。一方で2020年以降は、年あたり1万人台の増え方にとどまります。

「不足が加速度的に悪化していく」という語られ方を見かけますが、この推計の形はそうなっていません。人材需要の伸びを生産性の上昇が部分的に吸収する前提が置かれているためです。

同じ2030年でも前提次第で16.4万人から78.7万人まで4.8倍の開きがある

同じ調査の中でも、2030年時点の需給ギャップは16.4万人から78.7万人まで幅があります。IT需要の伸びをどこに置くかで、推計値は次のように変わります。

  • IT需要の伸びが低位のシナリオ: 16.4万人
  • IT需要の伸びが中位のシナリオ: 44.9万人
  • IT需要の伸びが高位のシナリオ: 78.7万人

いずれも2019年公表の同一調査による推計値で、労働生産性の上昇率は基本ケースの前提を置いています。報告書は労働生産性の上昇率をより高く置いた試算も併せて示しており、その条件では2030年に供給が需要を上回るケースも計算されています。

2030年時点の需給ギャップはシナリオで4.8倍変わる

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(2019年公表・対象年2030年)

この幅から読み取れるのは、44.9万人という数字を単独で引用すると、推計の性質が読者に伝わらないという点です。上限と下限を比べると、4.8倍の開きがあります。どのシナリオを選ぶかで、読み手が受ける印象は大きく変わります。

幅を示すこと自体はシナリオ分析の目的であり、調査の欠陥ではありません。他媒体で「2030年に44.9万人不足」という一文だけを見かけたときは、その背後にこの幅があることを思い出してみてください。

2016年公表の前回調査では2030年時点を58.7万人としており、最新調査より13.8万人大きい

同じ経済産業省の調査でも、前回調査のほうが大きい数値を示していました。2016年に公表された前回調査は、2030年時点の需給ギャップを中位シナリオで58.7万人と推計しています。2019年公表の調査の中位シナリオは44.9万人です。両者を比べると、前回調査のほうが13.8万人大きい値になります。

主な違いは前提条件にあります。前回調査は労働生産性の上昇をゼロと想定しており、報告書自身が今回の試算のほうが小さくなったと説明しています。

ここから読み取れるのは、推計値が下がったことは不足感の改善を意味しない、という点です。動いたのは実態ではなく、計算に使った前提のほうです。

注意

2016年公表の調査と2019年公表の調査は、生産性上昇率の前提も、需要側アンケートの実施時期や対象企業も異なります。前提条件が違う推計を、そのまま経年推移として並べることはできません

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」概要版同 報告書

DXを推進する人材が不足していると答えた企業は2025年度で85.5%

ここからは、企業がどう感じているかを示すデータを見ていきます。前の章で扱った経済産業省の推計は「全国で何万人足りないか」を示すものでした。一方で情報処理推進機構(IPA)の調査は、「不足していると答えた企業が何パーセントか」を示しています。測っているものが違うため、2つを同じ指標の推移として並べることはできません。

IPAの「DX動向2026」を見てみましょう。DXを推進する人材の「量」が不足していると答えた企業の割合は、2025年度で85.5%でした。このうち「大幅に不足している」と答えた企業は50.1%です。

つまり、DXに取り組んでいる企業の10社のうち8社以上が人手の足りなさを感じている計算です。社内SEを採用する側の企業から見れば、人が採れていないという実感がここに表れています。

注意

この設問に回答しているのは、すでにDXに取り組んでいる企業に限られます。対象は、全社的に取り組んでいる企業、一部の部門で取り組んでいる企業、部署ごとに個別で取り組んでいる企業の3区分です。DXに未着手の企業は含まれていないため、日本の全企業の姿を示した数値ではありません。回答したのは日本標準産業分類の19業種(公務を除く)の企業の経営層またはICT関連部門です。またIPAはこの結果を「2025年度調査」と表記していますが、実査は2026年4月中旬から6月中旬にかけて行われています。

「量」の大幅な不足は3年で12.0ポイント下がり、2025年度は50.1%になった

「量」が大幅に不足していると答えた企業の割合は、3年連続で下がっています。年度ごとの値は次のとおりです。

  • 2023年度: 62.1%
  • 2024年度: 58.5%
  • 2025年度: 50.1%

DX人材の「量」の不足感の推移

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」(DXに取り組んでいる企業が回答対象)

2023年度と2025年度を比べると、この3年の低下幅は12.0ポイントにあたります。

一方で、「やや不足」を含めた不足合計は同じ2025年度で85.5%あります。深刻に困っている企業は減っているのに、不足を感じている企業の総数は高いままです。

この2つの動きから読み取れるのは、改善しているのは不足の深刻度であって、不足そのものではないという点です。なお、DXに取り組む企業の裾野が広がり、比較的余裕のある企業が新たに回答者に加わったことで比率が下がった可能性も残ります。

「質」の不足は2025年度で88.8%に達し、「量」とは逆方向に広がっている

同じ調査で「質」について聞くと、「量」とは逆の動きが出ています。質が不足していると答えた企業の合計は、2024年度の86.1%から2025年度は88.8%へ増えました

その内側では、「大幅に不足している」と答えた企業が2024年度の58.9%から2025年度は52.9%へ下がっています。合計は増え、深刻層は減るという組み合わせです。

DX人材の「量」と「質」の不足感(2024年度→2025年度)

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」(DXに取り組んでいる企業が回答対象)

この動きから読み取れるのは、質の不足が「深く狭い不足」から「浅く広い不足」へ形を変えつつある、という点です。深刻に困る企業が減る一方で、不足を感じる企業の裾野は広がっています。

ただし2024年度から2025年度への合計の増加は、2.7ポイントです。この幅は調査の標本誤差に収まる可能性もあります。1年分の変化だけで傾向と決めつけることはできません。それでも、頭数よりスキルのずれのほうが解消しにくい論点として残っている様子は読み取れます。

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」

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社内SEに求められているのは頭数より「必要なスキルの定義」で、把握できていない企業が52.8%を占める

では、質の不足とは具体的に何なのでしょうか。IPAの「DX動向2026」には、その手がかりになる数値があります。DX推進に必要なスキルを把握できていないと答えた企業は、2025年度で52.8%でした。DXに取り組んでいる企業に限った回答で、過半数を占めます。

自社に必要なスキルが定義できていなければ、誰を採ればよいかも決まりません。それでも人手が回らない状況は続くため、「人材が不足している」という回答にはなります。

この数値から読み取れるのは、人材不足という言葉に2つの状態が混ざっている可能性です。外部の労働市場で人が採れないケースと、自社が何を必要としているかを定義できていないケースです。社内SEを目指す側から見れば、募集要件が固まっていない企業が実際に存在する、ということになります。

スキルを把握できているかどうかで、「質が大幅に不足」の回答は23.4ポイント違う

必要なスキルを把握できているかどうかで、人材不足の感じ方は大きく変わります。2025年度の調査で「質が大幅に不足している」と答えた割合を比べてみます。スキルを把握している企業は40.6%、把握できていない企業は64.0%でした。この2つを比べると、23.4ポイントの開きがあります。

スキル把握状況別「質が大幅に不足」と答えた企業の割合

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」(DXに取り組んでいる企業が回答対象)

全体の値は52.9%です。この値は上の2つのほぼ中間に位置します。つまり全体の数字は、要件を整理できている企業とできていない企業が混ざった平均だということです。

ここで読み取れるのは両者の関連であって、因果の向きではありません。人材に余裕がある企業だからスキル整理に手が回っている、という逆向きの説明も同じデータで成り立ちます。IPA自身も関連を指摘するにとどめており、この記事もその範囲を超えません。

求める人材像を設定して社内に周知している企業は16.2%にとどまり、1年前から4.2ポイント下がった

要件が固まらない状態は、人材像の周知状況にも表れています。DXを推進する人材像を設定し、社内に周知している企業の割合を見てみましょう。2024年度の20.4%から、2025年度は16.2%へ下がりました。2つの年度を比べると、4.2ポイントの低下にあたります。

言い換えると、8割以上の企業が「どんな人材がほしいか」を社内に示せていません。求人票に書かれた業務内容が企業ごとにばらつく背景には、この状況があります。

この数値から読み取れるのは、社内SEを募集する企業の側でも役割の定義が追いついていない、という点です。ただし、DXに着手したばかりの企業が新たに回答に加わったことで比率が下がった可能性もあり、実態が後退したと断定はできません。

なお、人材像を自社でゼロから定義する必要はありません。経済産業省とIPAは共通の物差しとして「デジタルスキル標準」を策定しており、そのうちDX推進スキル標準(DSS-P)は、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの6類型を定義しています(Ver.2.0・2026年4月16日公開)。

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」経済産業省・情報処理推進機構「デジタルスキル標準」DX推進スキル標準(DSS-P)

「社内SEはやめとけ」と言われる理由の一部は、受け入れ側の体制の未整備で説明できる

社内SEについて調べていると、「やめとけ」「きつい」という言葉に出会うことがあります。よく挙がるのは、専門性が伸びにくい、成果が評価されにくい、何でも屋になってしまう、といった声です。

こうした不満は、本人の適性の問題として語られがちです。ですが前の章で見たとおり、DX推進に必要なスキルを把握できていない企業は2025年度で52.8%を占めます。

ここから読み取れるのは、不満の一部は個人の適性ではなく、受け入れる企業側の整備状況で説明できるという点です。何を求めるかが決まっていない職場では、担当者は依頼されたことを次々に引き受ける形になりやすくなります。転職前に確認できる項目に落とし込むと、次の3つになります。

ポイント:転職前に確認したい3項目

  • 求める人材像が明文化され、社内に共有されているか
  • 情シス・社内SEの評価基準が定められているか
  • 育成に予算が付いており、使い道が決まっているか

DX人材の評価基準が「ない」企業は76.1%で、1年前とほぼ変わっていない

「評価されにくい」という声の背景も、データで確認できます。DX人材の評価基準が「ない」と答えた企業は、2024年度が75.7%、2025年度が76.1%でした。1年でほとんど動いていません。

およそ4社に3社で、評価基準が整っていない状態です。基準がなければ、担当者がどれだけ社内の課題を解決しても、その成果を会社が言葉にできません。

この横ばいから読み取れるのは、確認すべき優先順位です。育成制度があるかどうかより、人材像と評価基準が明文化されているかを見る意味が大きくなります。

なお、これは企業全体の傾向です。同じ企業の中で人材像・評価基準・育成予算の3つが揃っているかどうかは、クロス集計が公表されていないため確認できません。

育成予算を増やした企業は25.6%で、投資の側だけが先に動いている

受け入れ体制の3つの指標を並べると、動いている方向がそろっていません。DX人材の育成予算を増やした企業は、2024年度が23.8%、2025年度が25.6%でした。2つの年度の差は1.8ポイントで、増え方はわずかです。

一方で、人材像を設定して社内に周知している企業は2025年度で16.2%と後退しました。評価基準が「ない」企業も、同じ2025年度で76.1%と横ばいです。

DX人材の受け入れ体制3指標の変化(2024年度→2025年度)

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」(DXに取り組んでいる企業が回答対象)

ここから読み取れるのは、投資の側だけが先に動き、誰をどう育てて何で評価するかという枠組みが追いついていないという点です。受け皿が定義されないまま予算が増えると、研修を受けた社員の到達点を会社が判定できません。その結果は、処遇に反映されないという形で本人に返ってきます。

社内SEに向いているのは、技術と社内調整の両方を引き受けられる人

ここまでの内容をふまえると、社内SEに向いている人の像も見えてきます。求められるのは、要件が固まっていない状態から仕事の形を作れる力です。

自分から必要な作業を定義し、各部門と話して合意を取りながら進める場面が多くなります。技術だけでも、調整だけでも回りません。

逆に、決まった技術領域を深く掘り続けたい人には向きにくい面があります。どちらが優れているという話ではなく、仕事の性質が違うと考えてください。

  • 要件が決まっていない状態から、やるべきことを自分で組み立てられる人
  • 立場の違う部門と話し、落としどころを見つけられる人
  • 企画から運用まで幅広く関わることを面白いと感じられる人

出典: 情報処理推進機構「DX動向2026」

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社内SEの年収とキャリアパスは、公的統計だけでは測れない

年収を知りたくてこの記事を開いた方には、先にお伝えしておくことがあります。この記事では、社内SEの平均年収を金額で示しません。根拠にできる公的な一次データが手元にないためです。

使える一次データは2種類しかありません。経済産業省の推計は2025年時点で36万人、2030年時点で44.9万人という全国の人数です(いずれも2019年公表の推計で、年は推計の対象年です)。IPAの調査は2025年度に量の不足が85.5%、質の不足が88.8%という企業の割合です。

この2つから読み取れるのは、言えることの境目です。「社内SEは足りない」は公的データで言えますが、「社内SEはいくら稼ぐか」は言えません。他媒体の年収額を否定するものではなく、根拠がどこにあるかが違う、という話です。

注意

公的統計で言えるのは「全国でどれだけ人が足りないか」と「不足していると答えた企業がどれだけあるか」までです。個人の年収・昇進の実態は、今回参照した調査の測定範囲に含まれていません。年収額を示している記事を読むときは、その数値の出どころを確認してみてください。

公的統計が測っているのは全国の人数と企業の不足感で、個人の処遇ではない

2つの調査は、どちらも測定の単位が個人ではありません。経済産業省の推計は36万人、44.9万人というように、単位が「万人」です。しかもIT企業の人材とユーザー企業の情報システム部門の人材を合算した区分で、社内SEだけを取り出した数値ではありません。

IPAの調査は85.5%、88.8%というように単位が「企業の割合」で、しかもDXに着手済みの企業に限った設問です。どちらも個人の処遇を測る設計になっていません

なお、賃金の統計がまったく存在しないわけではありません。ただし職種の区分が粗く、社内SEとSIer所属のSEを分けられないため、今回は根拠として採用しませんでした。分離できるデータを確認できた時点で、この記事は更新します。

キャリアパスは、企業が求める人材像の変化から逆算して考える

金額を示せない代わりに、データから言える方向性を示します。企業が困っているのは頭数よりも質のほうです。2025年度に質の不足を訴えた企業は88.8%、うち大幅に不足しているとした企業は52.9%でした。そして、必要なスキルを把握できていない企業が52.8%あります。

この組み合わせから読み取れるのは、自社に必要なスキルを自分の側から言語化して提案できる人の希少性が高いという点です。企業が定義できていない部分を埋められる人材は、社内で置き換えが利きにくい存在です。

具体的な進み方としては、情シスのマネジメント、DX推進の企画側、セキュリティの専門領域といった道があります。このうち後の2つは、経済産業省とIPAの「デジタルスキル標準」でいえばビジネスアーキテクトやサイバーセキュリティの類型に対応します。

いずれの道でも、自分が解いている課題を言葉にできるかどうかが分かれ目です。

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書情報処理推進機構「DX動向2026」経済産業省・情報処理推進機構「デジタルスキル標準」DX推進スキル標準(DSS-P)

まとめ

社内SEは、経済産業省の区分でいう「ユーザー企業の情報システム部門の人材」にあたる職種です。顧客への納品を目的とするSIerのSEとは、成果の測られ方が違います。

需要については、IT人材の需給ギャップが2030年時点で44.9万人と推計されています。ただし2019年公表の推計値であり、前提の置き方によって幅があります。

不足の中身も動いています。2025年度の調査では、量の不足が85.5%、質の不足が88.8%でした。必要なスキルを把握できていない企業も52.8%あります。

ここから読み取れるのは、足りないのが頭数だけではなく、求めるスキルを定義する力にも課題があるという点です。求人を見るときは、求める人材像と評価基準が示されているかを確認してみてください。

この記事のまとめ

  • 社内SEは自社のシステムを企画・開発・運用保守・サポートまで担う職種で、公的区分ではユーザー企業の情報システム部門の人材にあたります
  • IT人材不足は公的データで裏づけできますが、2030年時点の数値は推計であり幅があります
  • 不足の中心は頭数から「質」へ移り、その質を企業自身が定義できていない状況があります
  • 年収は公的統計では測れないため、企業側の体制(人材像・評価基準・育成予算)で見極めるのが現実的です

出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書情報処理推進機構「DX動向2026」

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