【総務省・IPAデータ】生成AIの業務効率化事例|2025年に業務利用86.4%、効果が出やすい業務と企業の取組

生成AIの業務活用を任されて、こんなことで悩んでいませんか。
- 他社は実際に、どの業務で生成AIを使っているのか知りたい
- 社内で説明するときに使える、信頼できる数字が手元にない
- 導入したいけれど、何から手を付ければよいか分からない
結論からお伝えします。2025年には業務で生成AIを使う企業が8割を超えましたが、効果を感じている業務は議事録やメール作成などの文書作業に集中しています。 売上の向上や業務プロセスの見直しまで進んでいる企業は、まだ一部です。
この記事では、総務省とIPA(情報処理推進機構)の公的調査をもとに解説します。普及の現状、効果が出やすい業務、白書で紹介された企業の事例、導入の課題と進め方の順に見ていきます。
この記事のポイント
- 業務で生成AIを使っている企業は、2025年時点で86.4%(出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」)
- 生成AIの効果を感じる業務は「議事録・メール作成補助」が72.3%で最も高い(2025年度調査。出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」)
- AI導入の具体的な効果は「業務の効率化・迅速化」が91.6%で、「売上や利益の向上」は3.9%にとどまる(2025年度、生成AI以外を含むAI全般が対象。出典: IPA「DX動向2026」)
生成AIを業務で使う企業は2025年に86.4%となり、1年で大きく広がった

生成AIを業務で使うことは、もう一部の先進企業だけの話ではありません。総務省の調査では、2025年時点で業務に生成AIを使っている企業は86.4%に達しています。
ただし、調査によって「利用」や「導入」の定義が異なり、普及率の数値も大きく違います。この記事では、総務省とIPAの数値を混ぜずに、調査ごとに分けて紹介します。

出典: 総務省「令和7年版 情報通信白書」/総務省「令和8年版 情報通信白書」/IPA「DX動向2026」
総務省の調査では業務利用の割合が2024年の55.2%から2025年は86.4%に伸びた
総務省の調査では、業務で生成AIを使う企業が1年で大きく増えました。2024年は55.2%でしたが、2025年は86.4%です。
ここでの「業務で使用中」は、業務プロセスへの組み込み、部署内での活用、社員個人の作業効率化のいずれかに当てはまる企業です。2025年の4か国の比較は次のとおりです。
| 国 | 業務で生成AIを使用中の企業の割合(2025年) |
|---|---|
| 日本 | 86.4% |
| 米国 | 90.9% |
| ドイツ | 91.6% |
| 中国 | 98.1% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、各国の企業の所属者が回答。生成AIの活用方針の設問で「わからない」と答えた人を除く)
日本は他の3か国より低いものの、米国・ドイツとの差は5ポイント前後です(中国とは11.7ポイント差)。
注意
2024年の55.2%は令和7年版白書の推計値です。2025年の86.4%とは集計の前提が完全に同じとは限らないため、伸び幅は目安として見てください。なお、令和8年版白書も2024年度調査の値として55.2%を並べて示し、大幅に上昇したと説明しています。
IPAの調査でも生成AIを導入している企業は22.6%から44.0%へ約2倍になった
IPAの調査でも、同じ時期に生成AIの導入が大きく進んでいます。生成AIを「導入している」企業は、2024年度の22.6%から2025年度は44.0%へ、約2倍になりました。
生成AIに限らないAI全般では、2025年度に導入している企業が42.3%、試験利用している企業が15.7%でした。両方を合わせると58.0%です。
ここから読み取れるのは、定義も回答者も違う2つの調査で、そろって利用が伸びている点です。IPAの調査は回答企業が毎年同じではないものの、2025年に企業の生成AI利用が一段広がったと見てよいでしょう。
86.4%と44.0%の差には、社員の個人利用を含めるかどうかの違いが大きく影響している
同じ2025年の数値でも、86.4%と44.0%には大きな開きがありますよね。この差の主な理由の一つは、社員の個人利用を「利用」に含めるかどうかの違いです。
総務省の数値は、社員が個人の作業効率化に使っているだけの企業も含みます。一方、IPAは企業として生成AIを「導入している」かを聞いています。このほか、回答者(総務省は企業の所属者、IPAは経営層またはICT関連部門)や調査対象企業の違いも影響している可能性があり、差のすべてを個人利用で説明できるわけではありません。
IPAの2025年度調査で導入・試験利用・検討中の企業の利用形態を見ると、最多は「個人で業務利用している」の63.3%です。総務省の2025年の調査でも、「組織的な取り組みはない」と答えた企業が27.0%ありました(利用を禁止している企業を除いた割合)。
この結果から読み取れるのは、高い利用率の中身は個人の利用が中心だという点です。社内説明で数値を引用するときは、どちらの定義の数値かを書き添えてください。
出典: 総務省「令和7年版 情報通信白書」/総務省「令和8年版 情報通信白書」/IPA「DX動向2026」
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
生成AIの効果を感じる業務は議事録・メール作成補助が72.3%で最も多い

生成AIの効果は、業務によって大きく違います。総務省の2025年度の調査では、効果を感じる企業が最も多い業務は「議事録・メール作成補助」で、72.3%でした。
この調査の対象は、生成AIを何らかの形で使っている企業です。最も低い「経営」は20.1%で、業務ごとの差が大きいことが分かります。

出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、生成AIを活用している日本企業が対象)
ポイント
- 議事録やメールなど、形が決まった文書作業ほど効果を感じやすい
- 社内ヘルプデスクは上位2番目で、情シスが取り組みやすい業務
- 経営・人事など判断が必要な業務では、効果を感じる企業は少ない
議事録・メール作成補助と社内ヘルプデスクは効果を感じる企業が4割を超える
効果を感じやすいのは、決まった形の文書を作る業務や、問い合わせに答える業務です。上位2つの業務は、効果を感じる企業が4割を超えています。
総務省の2025年度調査で、効果を感じる企業の割合が高かった7つの業務は次のとおりです。
| 業務類型 | 効果を感じる企業の割合(2025年度) |
|---|---|
| 議事録・メール作成補助 | 72.3% |
| 社内ヘルプデスク | 42.7% |
| 製造・生産 | 39.8% |
| 研究・商品開発 | 39.1% |
| 営業・販売 | 37.5% |
| マーケティング・広報 | 36.6% |
| カスタマーサポート | 33.8% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、生成AIを活用している日本企業が対象)
議事録やメールは、入力と出力の形がほぼ決まっています。そのため、生成AIの下書きを使いやすい業務です。
社内ヘルプデスクの42.7%は、情シスの担当業務に直結する数値です。よくある問い合わせへの回答案づくりは、情シス業務の効率化の最初の一歩として検討しやすい方法です。
経営・人事・社内システム開発などの業務では効果を感じる企業は2〜3割にとどまる
判断が必要な業務や専門性の高い業務では、効果を感じる企業が少なくなります。下位6つの業務は、いずれも3割を下回りました。
| 業務類型 | 効果を感じる企業の割合(2025年度) |
|---|---|
| 経理・財務 | 29.7% |
| 法務 | 28.8% |
| 社内システム開発・運用 | 26.3% |
| 調達 | 25.9% |
| 人事 | 23.5% |
| 経営 | 20.1% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、生成AIを活用している日本企業が対象)
情シスの業務に近い「社内システム開発・運用」も26.3%で、下位のグループに入っています。
この結果から読み取れるのは、定型的な文書作業ほど効果を感じやすく、判断に近い業務ほど感じにくいという傾向です。ただし、白書の図表注記からは、分母が「その業務で生成AIを使っている企業」なのか「いずれかの業務で使っている企業全体」なのかを読み切れません。後者であれば、その業務で生成AIをまだ使っていない企業も分母に含まれ、値が低く出ている可能性があります。この点は出典により解釈が分かれます。
総務省の白書で紹介された企業の事例では、個人利用から全社の取組へ段階的に広げている

ここからは、総務省の「令和8年版 情報通信白書」で紹介された企業の事例を見ていきます。多くの事例に共通するのは、いきなり全社展開せず、小さく始めて段階的に広げている点です。
注意
このセクションの数値は、各社が総務省のヒアリングに提供した一社ごとのデータです(パナソニックホールディングスのみ、白書が引用した報道に基づく記述です)。業界の平均や統計的な代表値ではありません。数値は令和8年版白書(2026年公表)の掲載時点のものです。また、白書はこれらを生成AIに限らない「生成AIを含むAI」の活用事例として紹介しています。取り組み方の参考として読んでください。
アイニコグループの事例ではAI活用プロジェクトで年間2,247時間の業務時間を削減した
アイニコグループの事例では、ChatGPTなどの各種AIツールを使うAI活用プロジェクトによって、全10事業部の合計で年間2,247時間の業務時間を削減しています。中小企業でも、全社で取り組めば時間の削減という形で効果を示せる事例です。
同社は奈良県・京都府南部を中心に、注文住宅や介護、保育などの事業を展開する中小企業です。経営者が主導し、小さな取り組みから全社に広げました。
| 部門 | 年間の削減時間 | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 広報部門 | 880時間 | 複数の社内業務の自動化 |
| 不動産事業部門 | 897時間 | 問い合わせ対応のテンプレート化・自動化 |
| 介護事業部門 | 170時間 | 利用者の送迎ルートを最適化するシステムの作成など |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(アイニコグループ提供データ、2026年4月1日時点)
なお、この事例で示されているのは削減できた時間で、売上への影響までは示されていません。
中外製薬の事例では対象社員約7,800名に対し平均約5,400人が社内の生成AIアプリを使っている
中外製薬の事例では、全社員向けに内製した生成AIアプリ「Chugai AI Assistant」を、多くの社員が日常的に使っています。対象社員約7,800名に対し、平均のユニークユーザー数は約5,400人です。
同社は、生成AIの活用を2つの段階で進める方針を掲げています。まず社員一人ひとりが日々の業務でAIを使う「AI Everyday」を進めます。次に、全社の業務プロセスをAI前提で見直す「AI Everywhere」へ進む考え方です。
この方針は、最初の章で見た「利用の中心は個人の作業」という状況と重なります。まず個人の利用を定着させ、そのうえで業務の流れを変えるという順番は、多くの企業の参考になるはずです。
日清食品ホールディングスの事例では部門ごとの展開で社内の生成AI利用率が7割を超えた
日清食品ホールディングスの事例では、部門ごとに対象業務を決めて展開した結果、社内の生成AI利用率が7割超に達しました。部門ごとに使い道を具体的に示したことがポイントです。
同社は、生成AIを使う業務を部門ごとに選び、その業務向けのプロンプトのテンプレートを作って社内に展開しました。社員は何に使えばよいかが最初から分かるため、使い始めのハードルが下がります。
パナソニックホールディングスの事例では設計AIの導入で計算速度が7倍になった
パナソニックホールディングスの事例では、商品設計に「設計AI」を導入し、計算速度が従来の7倍になったと紹介されています。AIの活用は、設計のような専門業務にも広がっています。
この事例は、白書がメディアの報道を引用して紹介したもので、同社がヒアリングで提供したデータではありません。白書はこの設計AIを、シミュレーション技術とAI技術を組み合わせた技術として紹介しており、生成AIに限った事例ではありません。文書作業に慣れたあと、自社の中核業務への活用を考えるときの参考になります。
ダイキン工業の事例では社内大学で毎年約100人の新入社員にAIを学ぶ研修を行っている
ダイキン工業の事例では、社内の研修機関「ダイキン情報技術大学」で、毎年100名程度の新入社員にAIなどを学ぶ研修を行っています。ツールを導入するだけでなく、使いこなす人材を自社で育てている事例です。
ダイキン情報技術大学は2017年に開校し、新入社員向けの講座は2年間のカリキュラムです。後の章で見るとおり、専門人材の不足は多くの企業が挙げる課題です。人材育成を導入計画に組み込むときの参考になります。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(第Ⅰ部第2章1節の企業事例)
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
AI導入の効果は業務の効率化・迅速化が91.6%で、売上・利益の向上は3.9%にとどまる

ここまでで、生成AIが文書作業で効果を上げていることが分かりました。では、その効果は経営の成果にもつながっているのでしょうか。
IPAの2025年度調査では、「業務の効率化・迅速化」が91.6%だった一方、「売上や利益の向上」は3.9%でした。 この設問は生成AIに限らないAI全般が対象で、回答したのはAIの導入で一定以上の効果を感じた企業です。総務省の調査とは設問が異なるため、数値は調査ごとに分けて示します。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、AIの導入で一定以上の効果を感じた企業が対象)
注意
今回参照した総務省とIPAの調査には、生成AIの効果を金額に換算した数値(投資対効果)は見当たりませんでした。社内で効果を説明するときは、自社で作業時間を記録して示す方法が現実的です。
効果を感じた企業の91.6%が業務の効率化・迅速化を挙げ、残業時間の削減は29.2%だった
AIの効果として最も多いのは、業務のスピードが上がることです。IPAの2025年度調査では、効果を感じた企業の91.6%が「業務が効率化したり迅速化した」と答えました。
次いで多いのは「企画提案等の品質や速さが向上した」の48.9%です。「残業時間の削減につながった」は29.2%でした。
効果の水準を見ると、AIを導入または試験利用している企業のうち「一定の効果はあった」は50.6%でした。「期待以上」と「期待どおり」の合計は31.8%です。
別の調査である総務省の2025年の調査でも、生成AIで生じうる影響として最も多いのは業務の効率化でした。
| 生成AIの活用で生じうる影響(総務省・2025年) | 挙げた企業の割合 |
|---|---|
| 作業時間の短縮などによる業務の効率化 | 61.6% |
| 製品・サービスの質の向上 | 32.2% |
| 人員不足の解消 | 26.8% |
| 特に影響はない | 12.8% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、日本企業)
売上・利益の向上は3.9%、顧客満足度の向上は4.5%で、経営成果まで届く企業は少ない
効率化の効果に比べると、経営の成果につながったと答えた企業はごくわずかです。IPAの2025年度調査では、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%でした。
「業務が効率化したり迅速化した」の91.6%とは、20倍以上の開きがあります。
この結果から読み取れるのは、AIの効果が作業の効率化に集中し、経営成果まで届いている企業はごく一部だという点です。減った時間を何に使うかまで決めておかないと、経営の成果にはつながりにくいと考えられます。
ただし、売上や顧客満足度は効果が出るまでに時間がかかり、AIの貢献だけを測るのも難しい指標です。効果が「無い」のではなく、「まだ測れていない」可能性もあります。
業務プロセスに生成AIを組み込んでいる企業はIPAの調査で11.9%にとどまる
業務の流れそのものを生成AIで変えている企業は、まだ少数です。IPAの2025年度調査では、生成AIが「部署の業務プロセスに組み込まれている」企業は11.9%でした。
生成AIの利用形態ごとの割合は次のとおりです。
| 生成AIの利用形態(IPA・2025年度) | 選んだ企業の割合 |
|---|---|
| 個人で業務利用している | 63.3% |
| 個人や部署で試験利用している | 44.8% |
| 全社的なサービスに組み込まれている | 18.6% |
| 部署の業務プロセスに組み込まれている | 11.9% |
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、生成AIを導入・試験利用・検討している企業が対象)
別の調査である総務省の2025年の調査では、生成AIによる業務変革などに組織的に取り組む企業は65.6%でした(利用を禁止している企業を除いた割合。リサーチや資料作成など個人の生産性向上に組織的に取り組む企業も含みます)。組織としての取り組みは始まっていても、業務プロセスまで変えている企業は限られています。
この結果から読み取れるのは、多くの企業が次に取り組む段階は、個人の作業効率化から業務の流れの見直しへ進むことだという点です。
出典: IPA「DX動向2026」/総務省「令和8年版 情報通信白書」
生成AI導入の課題は情報漏えいへの懸念46.4%と専門人材の不足50.1%が上位

生成AIの導入を進めるうえで、多くの企業が同じような課題に直面しています。総務省の2025年の調査では「社内情報の漏えい」への懸念が46.4%でした。IPAの2025年度調査では「専門人材の不足」が50.1%で、どちらも上位に挙がっています。
総務省は生成AIの「懸念」を、IPAはAI全般の「課題」を聞いており、定義が異なるため分けて紹介します。
ポイント
- 総務省の調査では、社内情報の漏えいへの懸念が最も多い
- IPAの調査では、技術よりも「人」と「ルール」に関する課題が上位に並ぶ
- どちらも、情シスが社内ルールと教育で対応しやすい課題
総務省の調査では情報漏えい・出力の精度・著作権侵害が主な懸念になっている
生成AIの活用で企業が最も心配しているのは、情報の漏えいです。総務省の2025年の調査では、社内情報の漏えいなどのセキュリティリスクを懸念として挙げた日本企業が46.4%でした。
主な懸念は次のとおりです。
| 生成AIの活用に関する懸念(総務省・2025年) | 挙げた企業の割合 |
|---|---|
| 社内情報の漏洩などのセキュリティリスクがある | 46.4% |
| 出力結果の精度に問題がある | 35.3% |
| 著作権等の権利を侵害する可能性がある | 31.3% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2025年度企業向け調査、日本企業)
情報漏えいの懸念が生じる主な経路の一つは、社員が業務データをそのまま生成AIに入力することです。総務省の白書も、社員が個人の判断でAIを業務に使う「シャドーAI」には機密情報が流出するリスクがあると指摘しています。
このほか、生成AIを組み込んだ社内システムの回答から機密情報が漏れる経路もあり、OWASPはLLMアプリケーションの主要なリスクの一つに「機密情報の漏えい」を挙げています。対策の中心は、入力してよい情報の範囲と、使ってよいツールを会社として決め、情報漏えい対策を施した利用環境を整えたうえでルールを周知することです。
具体的な対策は、生成AIを使うときのセキュリティ対策で詳しく解説しています。
IPAの調査では専門人材の不足とルール作りの難しさが導入・運用の課題になっている
IPAの調査では、技術的な問題よりも、人とルールに関する課題が上位に並びました。2025年度調査で最も多かった課題は「専門人材が不足している」で、50.1%です。
AI全般の導入・運用上の課題で、主な項目は次のとおりです。
| AI導入・運用上の課題(IPA・2025年度、AI全般) | 挙げた企業の割合 |
|---|---|
| 専門人材が不足している | 50.1% |
| 生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している | 45.8% |
| 適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい | 39.7% |
| PoC(概念実証)から実際の業務に移行できない | 7.7% |
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査)
「PoCから実際の業務に移行できない」は7.7%と少数でした。情シスにとっては、社内ルールの整備と社員教育が取り組むべき中心テーマになります。
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」/IPA「DX動向2026」/OWASP「Top 10 for LLM Applications 2025」
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
情シスが生成AIの業務活用を進めるときは活用方針づくりと社内教育から始める

ここまでのデータを、情シスの具体的な行動に置き換えてみます。生成AIの業務活用を進めるなら、ツール選びより先に、活用方針づくりと社内教育から始めるのがおすすめです。
導入の課題として多く挙がるのは、人材・理解・ルールの不足でした。なお、総務省とIPAの数値は定義が異なるため分けて示します。
情シスが最初に取り組みたいこと
- 生成AIの活用方針(使ってよい範囲・入力してよい情報)を文書にする
- 会社として使うツールを決め、利用状況を把握できるようにする
- 年代や職種による知識の差を踏まえて、社内教育を計画する
活用方針を定めた企業は2025年に68.9%となり、中小企業は58.1%で大企業より15.9ポイント低い
生成AIの活用方針を定める企業は増えていますが、企業規模による差があります。総務省の調査では、活用方針を定めた企業は2025年に68.9%でした。一方、中小企業は58.1%にとどまります。
活用方針(積極活用または領域を限定して活用)を定めている企業の割合は次のとおりです。
| 区分 | 活用方針を定めている企業の割合 |
|---|---|
| 2023年・全体 | 42.7% |
| 2024年・全体 | 49.7% |
| 2025年・全体 | 68.9% |
| 2025年・大企業 | 74.0% |
| 2025年・中小企業 | 58.1% |
出典: 2023年・2024年は総務省「令和7年版 情報通信白書」、2025年は総務省「令和8年版 情報通信白書」(日本企業。2023年と2024年の比較は令和7年版、2024年と2025年の比較は令和8年版の白書で示された値で、3年分を1つの版で集計したものではありません。版をまたぐため回答条件が同じとは限りません)

大企業の74.0%と中小企業の58.1%の差は15.9ポイントです。別の調査であるIPAの2025年度調査では、全社的にDXに取り組む企業のAI導入率(AI全般)は70.8%でした。全体の42.3%を大きく上回っています。
この結果から読み取れるのは、方針の有無が活用の進み具合の差と並んで現れている点です。方針の策定率も、利用の拡大と同じ年に大きく伸びています。
ルールがないまま個人の利用だけが進む状態は、中小企業で起きやすいと考えられます。ひとり情シスの会社でも、まずは簡単な活用方針を作るところから始めてみてください。
AI導入を主導するのはIT部門の長が46.0%で最も多く、情シスが推進役を担っている
AI導入を社内で主導しているのは、多くの場合IT部門です。IPAの2025年度調査では、AIの導入・利活用のリーダーとして最も多かったのは「IT部門の長」で、46.0%でした。
同じ調査から、推進体制と利用状況に関する主な数値を挙げます(いずれもAIまたは生成AIを導入・試験利用・検討している企業が対象)。
- AI導入・利活用のリーダーが「経営層」の企業: 32.1%
- AI導入・利活用のリーダーが「CAIO(最高AI責任者)」の企業: 2.9%
- 生成AIを利用している部署が「ITシステム」の企業: 71.9%
- AIへの投資が「増加している」企業: 51.3%
専任の責任者を置く企業はまだ少なく、IT部門が推進役を兼ねている企業が多いことが分かります。情シスは、社内で生成AI活用の推進役を期待される立場にあります。 方針づくりと社内への展開を主導していきましょう。
個人の生成AI利用経験は2025年に58.8%で、20代78.2%に対し60代は33.5%と年代差が大きい
社内教育を計画するときは、社員の年代による経験の差を前提にする必要があります。総務省の調査では、生成AIを使ったことがある個人は2025年に58.8%で、年代による差が大きくなっています。
個人の利用経験は、2023年の9.1%、2024年の26.7%から増えてきました(2023年・2024年は令和7年版白書の数値)。ただし、2023年度・2024年度の調査は20歳以上が対象で、2025年度から15〜19歳が対象に加わっています。伸び幅は目安として見てください。2025年の年代別の利用経験は次のとおりです。
| 年代 | 生成AIの利用経験がある人の割合(2025年) |
|---|---|
| 15〜19歳 | 91.7% |
| 20代 | 78.2% |
| 30代 | 56.3% |
| 40代 | 49.0% |
| 50代 | 44.2% |
| 60代 | 33.5% |
出典: 総務省「令和8年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状(2025年、日本の個人)

前の章で見たとおり、IPAの2025年度調査でも「効果やリスクに関する理解の不足」を課題に挙げた企業が45.8%ありました。基本操作のコースと業務への応用のコースを分けるなど、受講者に合わせて教育を組み立てることが大切です。
出典: 総務省「令和7年版 情報通信白書」/総務省「令和8年版 情報通信白書」/総務省「令和8年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状/IPA「DX動向2026」
まとめ: 生成AIの業務効率化は文書作業から始め、方針と教育を整えて業務プロセスの見直しへ進める

生成AIの業務活用は、多くの企業で当たり前になりつつあります。一方で、効果の中心はまだ文書作業の効率化で、業務プロセスの見直しや経営成果まで進んでいる企業は一部です。 この記事で確認したポイントを振り返ります。
- 業務で生成AIを使う企業は2025年に86.4%(総務省)。ただし個人での利用が中心で、調査ごとに定義が違う点に注意する
- 効果を感じやすいのは議事録・メール作成補助(72.3%)のような定型的な文書作業
- AI導入の効果は効率化・迅速化が91.6%で、売上・利益の向上は3.9%にとどまる(IPA・2025年度、AI全般)
- 部署の業務プロセスに組み込んでいる企業は11.9%(IPA・2025年度)で、業務の流れの見直しが次に取り組む段階になる
- 活用方針を定めた企業は2025年に68.9%(総務省)。中小企業ほど方針づくりから手を付ける意味が大きい
まずは、効果を感じやすい文書作業から使い始めてみてください。並行して活用方針と社内教育を整えておくと、その後の全社展開や業務の見直しがスムーズに進みます。
トライアル申込者全員に
「IT管理に使える4大テンプレート」
無料プレゼント!
- 💻 IT資産管理台帳
- 🧾 PC利用規定テンプレート
- 🔐 パスワードポリシーサンプル
- 🌐 IPアドレス管理表
👉 トライアルに申し込む
情シスカレッジのご紹介
この記事で見たとおり、生成AIの活用で多くの企業がつまずくのは、ツールよりも人材や理解の不足です。社員の知識に合わせた教育が必要だと分かっていても、情シスが研修の仕組みまで一から用意するのは大変ですよね。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。短い動画で学び、小テストで理解を確認する形式なので、業務の合間に少しずつ学習を進められます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画+小テスト: すきま時間で学べ、理解度をその場で確認できます
- 必修割り当て・期限・進捗ダッシュボード: 誰がどこまで進んだかを管理者がひと目で把握できます
- 自社カリキュラム編成・CSV教育記録: 自社に必要な講座を組み合わせ、教育記録をCSVで出力できます
導入は5名から可能で、請求書払いに対応しています。初期設定は約10分で完了します。
※出典

