【IPA2026年調査】ディープフェイクとは|説明できる人は22.1%、偽動画・偽音声による詐欺の手口と企業の対策

ニュースで「ディープフェイク」という言葉を目にする機会が増えましたよね。情シス担当者として、次のような悩みを抱えていないでしょうか。
- 社長の声やビデオ通話で送金を指示されたら、社員は見抜けるのか
- 社員にどう注意喚起すればいいのか分からない
- そもそも生成AIと何が違うのか、うまく説明できない
結論から言うと、ディープフェイクは見た目や声で見抜くことを前提にせず、確認の手順で防ぐのが現実的です。公的な調査を見る限り、社内の理解度もまだ高くないため、教育とセットで進める必要があります。
この記事で扱うのは、ディープフェイクの意味と仕組み、社内での理解度、企業が狙われる手口、対策の進め方です。いずれも総務省とIPAの公的資料をもとに解説します。
この記事のポイント
- ディープフェイクは「ディープラーニング」と「フェイク」を組み合わせた言葉で、AIで本人らしく合成した偽の音声・画像・動画を指す(出典: 総務省「令和6年版情報通信白書」)
- 2026年のIPA調査では、業務でAIを使う人のうち、ディープフェイクを他人に説明できる人は22.1%で、生成AIの44.9%の半分以下だった(出典: IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」)
- 対策の中心は、送金などの依頼を別の連絡手段で確かめることと、複数人での承認
ディープフェイクとは、AIで本人が言っていない発言や行動を本物らしく合成した偽の音声・画像・動画

ディープフェイクとは、AIを使って本物のように作り出した、偽の音声・画像・動画のことです。本人が実際には話していない言葉や、取っていない行動を再現します。
ここでは、言葉の成り立ちと、なぜ今になって身近な問題になったのかを、総務省の情報通信白書をもとに見ていきます。
ポイント
- ディープフェイクは「ディープラーニング」と「フェイク」を組み合わせた言葉
- 偽の対象は音声・画像・動画のいずれにも及ぶ
- 生成AIの普及で、専門の技術や資金がなくても作れるようになった
「ディープラーニング」と「フェイク」を組み合わせた言葉で、総務省は本人らしく合成されたコンテンツと説明している
ディープフェイクは、AIの技術で本人らしく作られた偽のコンテンツを指す言葉です。総務省の「令和6年版情報通信白書」でも、そのように説明されています。
白書によると、この言葉は「ディープラーニング(深層学習)」と「フェイク(偽物)」を組み合わせたものです。そして、本人が実際には発言・行動していない内容を、AIで本物らしく合成した音声・画像・動画を指すとしています。
偽物の形は、主に次の3つに分けられます。
- 偽の音声: 経営者や取引先の声をまねて話す
- 偽の画像: 実在の人物の顔写真を加工・合成する
- 偽の動画: 本人が話しているように見える映像を作る
つまりディープフェイクは、特定の形式ではなく、AIで作られた「本人らしい偽物」全般を指す言葉です。
生成AIの普及で、専門の技術や資金がなくても偽の画像や動画を作れるようになった
ディープフェイクが身近な問題になった理由は、生成AIによって偽の画像や動画を誰でも作りやすくなったためです。
仕組みを簡単に言うと、本人の顔や声のデータをAIに学ばせ、別の映像や音声に重ねて合成します。総務省の「令和8年版情報通信白書」には、この変化について専門家の分析が載っています。
以前は技術や資金を持つ一部の人しか偽の画像や動画を作れませんでした。それが、生成AIを使うことで簡単に作れるようになったという内容です。
同じ分析では、閲覧数が多いほど作った側が利益を得る「アテンションエコノミー」の構造にも触れています。この構造の下で、生成AIによるコンテンツが大量に広がるようになったと指摘しています。
作りやすく、広がりやすい。この2つが重なったことで、ディープフェイクは企業にとっても無視できない存在になっています。
出典: 総務省「令和6年版情報通信白書」偽・誤情報の流通・拡散等の課題及び対策/総務省「令和8年版情報通信白書」
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ディープフェイクを説明できる人は2026年調査で22.1%と、生成AI(44.9%)の半分以下

業務でAIを使っている人でも、ディープフェイクを他人に説明できる人は2割強にとどまります。
根拠は、IPAが2026年3月に実施した「2026年度AIの説明に関する意識調査」です。AIを業務で利用する人を対象に、2025年7月の前回調査の質問に新しい質問を加えて行われました。
生成AIとディープフェイクの理解度を、同じ4段階で尋ねています。このうちディープフェイクの理解度は、2026年調査で新たに加わった設問です。

出典: IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」(2026年3月実施)を基に作成。四捨五入のため合計が100%にならない場合があります。
注意
この調査の回答は自己申告で、実際に説明できるかを試したものではありません。また、対象はAIを業務で使っている人に限られます。社会全体や、AIを使っていない社員を含めた理解度ではない点に注意してください。
ディープフェイクの理解度は「説明できる」から「知識がない」まで22〜31%ずつに分かれている
ディープフェイクの理解度は、4つの段階に2〜3割ずつ分かれています。理解の深さが人によって大きく違う状態です。
2026年のIPA調査の結果は、次のとおりです。
| 理解の程度 | ディープフェイク(2026年) |
|---|---|
| 内容を他の人に説明できる | 22.1% |
| 断片的な知識はあるが説明は難しい | 30.6% |
| キーワードくらいしかわからない | 25.0% |
| 知識・知見がない | 22.4% |
この分布から読み取れるのは、社内の理解度は「低い」というより「ばらばら」だという点です。言葉の意味から説明が必要な人と、手口まで知りたい人が同じ職場にいると考えられます。
「知識・知見がない」人は生成AIの2.3%に対し、ディープフェイクは22.4%で約10倍
同じ2026年の調査で生成AIと比べると、「知識・知見がない」人はディープフェイクのほうが約10倍多くなっています。
| 理解の程度 | 生成AI | ディープフェイク |
|---|---|---|
| 内容を他の人に説明できる | 44.9% | 22.1% |
| 断片的な知識はあるが説明は難しい | 40.3% | 30.6% |
| キーワードくらいしかわからない | 12.6% | 25.0% |
| 知識・知見がない | 2.3% | 22.4% |
「説明できる」の差は22.8ポイントでした。「キーワード程度」と「知識なし」の合計は、生成AIの14.9%に対し、ディープフェイクは47.4%に達します。
この比較から読み取れるのは、生成AIは理解されていても、悪用される側面の理解が追いついていないという点です。ただし、生成AIは日常的に使うため高めに自己評価されやすく、実際の差はもう少し小さい可能性があります。
IPAと総務省は、ディープフェイクをなりすましと偽情報の手段として位置づけている

公的機関の資料では、ディープフェイクは「なりすまし」と「偽情報」の手段という位置づけです。IPAは脅威の解説の中で、総務省は偽・誤情報への対策の中で取り上げています。
なお、社員が生成AIを使うときの情報漏えいなど、利用する側のリスクは生成AIのセキュリティリスクで解説しています。この記事で扱うのは、AIで作られた偽物に「攻撃される側」のリスクです。
ポイント
- IPAの10大脅威2026で、AIをめぐるリスクが組織編に初めて選ばれた
- IPAは、ビジネスメール詐欺と地政学的リスクに起因するサイバー攻撃の2つの脅威で、攻撃手口としてディープフェイクに触れている
- 総務省は判別技術の開発を進めているが、ツールだけで確実に見抜ける前提には立てない
情報セキュリティ10大脅威2026で「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織編3位に初めて選ばれた
AIをめぐるリスクは、2026年に公的な脅威ランキングの上位へ初めて入りました。IPAの「情報セキュリティ10大脅威2026」で、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織編の3位に選ばれています。
IPAは解説書で、選ばれた背景を2つ挙げています。1つはAIへの理解が足りないことで起きる問題、もう1つはAIの悪用で攻撃が容易かつ巧妙になっていることです。
ただし、3位の解説で主に取り上げられているのは、許可のないAI利用(シャドーAI)による情報漏えい、ハルシネーション、AIによる攻撃の容易化です。ディープフェイクは名指しされていません。
この順位と前章の理解度を並べると、AIの悪用への警戒が高まる一方で、現場の理解には課題が残っている可能性があります。同じ2026年に、業務でAIを使う人のうちディープフェイクを説明できる人は22.1%でした。
ディープフェイクを「AIの悪用による攻撃の容易化」の一例とみなすのは筆者の解釈で、IPAの分類ではありません。また、順位は専門家の投票、理解度は個人の自己申告で、直接は比べられません。
IPAの解説書は、ビジネスメール詐欺と地政学的リスクに起因するサイバー攻撃の2つの脅威で、攻撃手口としてディープフェイクに触れている
同じ10大脅威2026の解説書では、ディープフェイクは2つの脅威の攻撃手口の説明に登場します。どちらも「AIの利用をめぐるサイバーリスク」とは別の脅威です。企業の情シスが特に意識すべきなのは、1つ目のなりすましです。
1つ目は、「ビジネスメール詐欺」の手口の1つである「社外の権威ある第三者へのなりすまし」です。弁護士など信用されやすい立場の人物を装う手口の中で、AIによるディープフェイクなどの利用も確認されていると書かれています。
2つ目は、「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)」の手口の1つである「偽情報の流布」です。国家を背景とする組織が、偽情報やディープフェイクで世論に影響を与える工作に触れています。
2つ目は国家レベルの情報戦で、一企業が直接向き合う詐欺とは性質が異なります。情シスとしては、まず自社の社員がなりすましに対応できる状態を作ることが優先です。
総務省は、判別が難しい音声への対象拡大と、発信者の真正性を確かめる技術の開発を進めている
ディープフェイクを自動で見抜く技術は、まだ開発の途中です。総務省の「令和7年版情報通信白書」でも、判別技術は開発・実証の段階として紹介されています。
白書によると、総務省は生成AIによる偽・誤情報を判別する技術の開発を支援しています。今後は、データ量が少なく判別が難しい音声にも対象を広げる予定です。あわせて、情報の発信者が本物かどうかを確かめる技術の開発・実証も進めています。
制度面では、2024年5月にプロバイダ責任制限法の改正法が成立し、法律名が「情報流通プラットフォーム対処法」に改められました。改正法は2025年4月に施行されています。白書は、偽・誤情報への対応の一つとしてこの法律にも触れています。
技術も制度も整備が進んでいる途中です。そのため、企業は「ツールで自動的に見抜ける」ことを前提にせず、自社の手順で備える必要があります。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)/IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」/総務省「令和7年版情報通信白書」
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企業を狙うディープフェイクの代表的な手口は、経営者なりすましの送金指示と著名人の偽広告

企業に関わるディープフェイクの手口は、大きく2つあります。経営者や取引先になりすまして送金を指示する手口と、著名人をかたる偽の広告です。
この章では、被害件数や被害額を載せていません。国内でディープフェイクが原因となった被害の件数・金額を、一次資料で確認できる公的データが見当たらなかったためです。そのため、手口は公的資料で確認できる範囲で説明します。
注意
インターネット上には、海外事例の被害額などが出典を示さずに紹介されている記事もあります。社内の注意喚起や経営層への説明に数値を使うときは、公的機関の原資料で確認できるものに限るのが安全です。
経営者や弁護士などになりすまし、偽の電話などで送金を指示する手口が確認されている
企業にとって最も警戒すべきなのは、経営者や取引先になりすまして送金を指示する手口です。IPAの「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書は、ビジネスメール詐欺の手口として、弁護士などへのなりすましにディープフェイクが使われていると記載しています。
これまでのなりすましは、メールが中心でした。経営者や取引先を装ったメールで、送金や振込先の変更を指示するビジネスメール詐欺がその代表です。
ここにディープフェイクが加わると、本人の声の電話や、本人の顔が映るビデオ通話で指示が届くようになります。海外では、ビデオ会議で幹部になりすました事例も報道されています。
声や顔が本人と同じに見えると、メールより疑いにくくなりますよね。「本人と話したから大丈夫」という判断が通用しなくなる点に、注意が必要です。
著名人になりすました偽の広告や動画が、投資詐欺の入口として使われている
もう1つの手口は、著名人になりすました偽の広告や動画です。SNS上の偽広告が投資詐欺の入口になる事例は、社会問題として取り上げられています。
典型的な流れは、著名人が投資をすすめているように見せる広告から、SNSのやり取りに誘導するものです。ディープフェイクを使えば、本人が話しているような動画も作れます。
企業にとっては、社員が被害に遭うリスクだけではありません。自社の役員や商品ブランドが偽広告に使われると、自社の信用が傷つくおそれもあります。
偽広告は、詐欺の被害と風評の被害の両方につながる手口です。次の調査結果を見ると、こうした事業への影響を懸念している人も少なくないことが分かります。
偽情報による事業被害を「大きい」と懸念する人は44.4%で、人権被害(45.0%)とほぼ同じ水準
偽の情報やコンテンツによる事業被害は、個人への被害と同じくらい懸念されています。2026年のIPA調査で、両者の懸念はほぼ同じ水準でした。
職場でのAI利用に関する不安として、偽情報・コンテンツによる被害の懸念を尋ねた結果です。営業不振や風評などの事業被害を「非常に大きい」「やや大きい」と答えた人は44.4%でした。人権被害については45.0%という結果になっています。
この結果から読み取れるのは、偽コンテンツが個人の問題と企業の問題の両方として、同じ重さで受け止められている点です。差は0.6ポイントで、ほぼ差がないと読むのが妥当でしょう。ディープフェイクを広報や法務だけの話にせず、情シスも関わる事業リスクとして社内に説明する材料になります。
なお、この設問は文字の偽情報も含む「偽情報・コンテンツ」全般が対象で、ディープフェイクに限りません。また、どちらの懸念も半数には届いていません。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)/IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」
ディープフェイクは見た目で見抜く前提に立たず、確認手順と承認フローで防ぐ

ディープフェイクへの対策は、「見抜く」ことより「確かめる手順」を決めることが中心になります。偽物かどうかを判定できなくても、手順が守られていれば被害を防げるためです。
ここでは、見分け方の限界と、社内で決めておくべき確認・承認の手順、メール側の入口対策を順に説明します。
ポイント
- 今回確認したIPA・総務省の資料には、映像や音声の真偽を見分ける判定基準は示されていない
- 送金や口座変更は、別の連絡手段での確認と複数人の承認を必須にする
- メールの送信ドメイン認証や電子署名で、なりすましの入口を減らす
映像や音声の真偽を見分ける具体的な判定基準は、IPAと総務省の資料には示されていない
ディープフェイクを見分ける具体的な基準は、今回確認したIPA・総務省の資料には示されていません。そのため、見た目や声の違和感だけを頼りに判断するのは危険です。
今回調べた範囲の公的データで分かるのは、理解度・懸念度・脅威の順位にとどまります。たとえば、説明できる人22.1%や、人権被害への懸念45.0%は、どちらも業務でAIを使う人への2026年の意識調査の値です。被害の量や、真偽の判定方法を示すデータではありません。
一般には、表情や口の動きの不自然さ、音声の途切れなどが着眼点として挙げられます。また、「急いで」「内密に」と迫る依頼の内容も手がかりになります。ただし、これらは公的な基準ではない補助的な手がかりです。
違和感がなくても偽物の可能性はあります。 だからこそ、次に紹介する手順で守る仕組みが必要です。
送金や口座変更の依頼は、複数人の承認と事前に決めた別の連絡手段での確認を必須にする
最も効果的な対策は、送金や口座変更の依頼を1人で判断させず、別の連絡手段で確かめるルールを作ることです。IPAの解説書も、なりすましへの対策としてこの考え方を挙げています。
ここで大切なのは、依頼を受けたのとは別の手段で、こちらから連絡して確かめることです。ビデオ通話そのものが偽物なら、その通話の中で本人確認をしても意味がありません。

出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)の対策の記述を基に作成
社内で決めておきたい項目は、次のとおりです。
- 別ルートでの確認が必要になる金額の基準
- 送金や口座変更を承認する人数と担当者
- 折り返しに使う連絡先の登録方法(依頼の中で示された番号は使わない)
- 確認が取れないときの報告先(情シス・経理の責任者など)
電話やメール、ビデオ通話だけで送金を確定させない。このルールを全社で共有しておくことが基本です。
送信ドメイン認証や電子署名で、メールを起点としたなりすましの入口を減らす
ディープフェイクの通話の前には、偽のメールが使われることがあります。そのため、メール側の対策で入口を減らすことも大切です。
たとえば、偽のメールで会議の招待を送ったり、連絡先の変更を伝えたりしてから、偽の通話につなげる流れが考えられます。IPAの解説書は、なりすまし対策として次の2つを挙げています。1つは、自社ドメインをかたるなりすましメールの受信を防ぐ、送信ドメイン認証(DMARC・SPF・DKIM)の導入です。ただし、似たドメインや乗っ取られた正規アカウントから届くメールは防げません。
もう1つは、社内メールに電子署名(S/MIMEやPGP)を使う方式です。送信元が本物かを確かめやすくなり、偽メールを起点とする攻撃を見つけやすくなります。
各技術の仕組みはビジネスメール詐欺の対策と共通しています。まずは自社のメール環境で、送信ドメイン認証の設定状況を確認してみてください。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)/IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」
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ディープフェイクの社内教育は、理解度がばらばらな前提で仕組みと行動手順をセットで伝える

承認フローを決めても、社員が手順の意味を理解していなければ守られません。ディープフェイクの社内教育は、理解度に差がある前提で、仕組みと行動手順をセットで伝えるのが基本です。
ここでは、調査結果から見える社員の意識と、それを踏まえた教育の組み立て方を説明します。
注意
この章で使う懸念と理解度の数値は、同じ調査の別々の設問の全体値です。個人ごとの組み合わせ(クロス集計)は公開されていないため、「懸念している人が理解していない」と個人単位で断定はできません。
偽情報の被害を懸念する人は約45%で、ディープフェイクを説明できる22.1%の約2倍いる
ディープフェイクは、理解より先に不安が広がっている可能性があります。業務でAIを使う人を対象とした2026年のIPA調査で、懸念する人が説明できる人を大きく上回っていたためです。
偽情報・コンテンツの被害を「大きい」と懸念する人は、人権被害で45.0%、事業被害で44.4%でした。一方、ディープフェイクを説明できる人は22.1%で、キーワード程度の人が25.0%、知識がない人が22.4%います。
この差から考えられるのは、「よく分からないが危なそう」という不安が先行しているという仮説です。懸念する人は説明できる人の約2倍ですが、懸念の設問はディープフェイクに限りません。不安だけでは行動は変わらないため、教育では依頼を受けたときの行動手順まで示す必要があります。
教育は「言葉の意味」「手口の具体例」「受けたときの行動」の3段階で組み立てる
社内教育は、全員が同じ知識を持つと考えず、段階を分けて組み立てるのが効果的です。2026年の調査では、理解の程度が人によって大きく違っていたためです。
「断片的な知識はあるが説明は難しい」人は30.6%、「キーワードくらいしかわからない」人は25.0%でした。こうした層が混在する前提で、次の3段階で整理するとよいでしょう。
| 段階 | 主な対象 | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 1. 言葉の意味 | キーワード程度の人、知識がない人 | ディープフェイクとは何か、生成AIとの関係 |
| 2. 手口の具体例 | 断片的な知識がある人 | 経営者なりすましの送金指示、著名人の偽広告の流れ |
| 3. 受けたときの行動 | 全員 | 別ルートでの確認、承認の手順、報告先 |
3段階目は全員に必ず伝えたい内容です。模擬の送金依頼で、手順どおりに確認できるかを試す訓練も取り入れてみてください。
まとめ: ディープフェイク対策は、理解度の底上げと見た目に頼らない確認手順の2本立てで進める

ディープフェイクは、AIで本人らしく合成した偽の音声・画像・動画のことです。生成AIの普及で作りやすくなり、企業でもなりすましによる送金指示などへの備えが必要になっています。
2026年のIPA調査では、業務でAIを使う人のうち、ディープフェイクを説明できる人は22.1%でした。生成AIの44.9%の半分以下です。社内の理解度はまだ低く、しかも人によってばらばらです。
一方で、被害の件数や、真偽を見分ける判定基準は、今回確認した公的資料には示されていません。見た目で見抜くことを前提にせず、別ルートでの確認と複数人の承認で防ぐのが現実的です。
利用する側のリスクは生成AIのセキュリティリスク、メールを使ったなりすましはビジネスメール詐欺の記事もあわせて確認してみてください。まずは、送金や口座変更の承認ルールが自社にあるかを確かめるところから始めましょう。
出典: IPA「2026年度AIの説明に関する意識調査」/IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」解説書(組織編)
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ディープフェイク対策を社内に根づかせるには、社員への教育と、情シス自身の知識のアップデートが欠かせません。とはいえ、新任やひとり情シスの方ほど、教材づくりや学ぶ時間の確保が難しいのではないでしょうか。
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※出典

