【総務省・IPAデータ】情報システム部の仕事内容を業務別の実施率で解説|アクセスログの記録41.0%・対応マニュアルの策定19.7%(2025年調査)

情報システム部の仕事内容を調べていて、こんなふうに感じたことはありませんか。
- 配属されたものの、どこまでが自分の担当なのか線引きが分からない
- 求人票に「情報システム部」とあるが、実際に何をする部署なのか読み取れない
- 業務内容を並べた記事は多いが、他社が本当にやっているのかが分からない
結論から書きます。情報システム部の仕事は「守りの運用」「業務システムの管理」「担当の割り当て」「企画・改善」の4つの領域に分けると把握しやすくなります。 業務名を暗記するより、この4領域で整理したほうが自分の担当範囲を説明できます。
この記事では、総務省・経済産業省・IPAの公的調査だけを根拠に、それぞれの業務を実際に何割の企業が行っているかを示します。ベンダーの独自アンケートや、出所のはっきりしない時間配分の数値は使いません。
この記事のポイント
- 情報システム部の仕事は「守りの運用」「業務システムの管理」「担当の割り当て」「企画・改善」の4領域に分けて把握できる
- 守りの業務は項目ごとに実施率が大きく違う。端末へのウイルス対策プログラムの導入は82.0%だが、ウイルス対策対応マニュアルの策定は19.7%(2025年。出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」)
- 情報セキュリティ対策に専門部署がある中小企業等は9.3%、兼務でも担当者を任命しているのは21.0%(2024年度。出典: IPA「中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」)
なお、情シス担当者が運用保守と企画にそれぞれ何時間使っているかを示すデータは、今回参照した調査には含まれていませんでした。この点は記事の後半で正面から扱います。
情報システム部の仕事は4つの領域に分けて把握できる

まず全体像から押さえましょう。情報システム部の仕事は、①守りの運用 ②業務システムの選定と管理 ③担当の割り当てと社内の巻き込み ④企画・改善 の4領域に分けて整理できます。
この分け方をおすすめする理由は、4領域それぞれに対応する公的な統計指標があるからです。業務名を並べただけでは他社と比べられませんが、実施率の形なら自社の位置を確認できます。
実際に指標を当てはめると、次の表のようになります。数値はいずれも代表値で、詳しい内訳はこの後のセクションで分解していきます。
| 領域 | 代表的な業務 | 公的データで見える指標 |
|---|---|---|
| ①守りの運用 | ウイルス対策、アクセス制御、ログの記録、インシデント対応 | 何らかのセキュリティ対策を実施98.3%/端末へのウイルス対策プログラムの導入82.0%(2025年・総務省、インターネット利用企業 n=2,480) |
| ②業務システムの選定と管理 | 人事給与・会計システム、グループウェア、バックアップ | クラウドで給与、財務会計、人事を利用56.3%/データバックアップ46.4%(2025年・総務省、クラウド利用企業) |
| ③担当の割り当てと社内の巻き込み | 体制づくり、社員教育、問い合わせ対応 | 専門部署がある9.3%/兼務で担当者を任命21.0%(2024年度・IPA、中小企業等)/社員教育を実施54.7%(2025年・総務省) |
| ④企画・改善 | 業務システムの入れ替え、新しい仕組みの導入 | クラウドでスケジュール共有を利用53.6%(2025年・総務省、クラウド利用企業) |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」(総務省の数値はインターネット利用企業 n=2,480、IPAの数値は中小企業等 有効回答4,191件)
似た職種として社内SEがありますが、担当する範囲の重なりが大きく、呼び名だけでは区別できません。詳しくは社内SEとの違いを整理した記事にまとめています。
ポイント
- 守りの運用: セキュリティ対策とインシデントへの備えを日々回す
- 業務システムの選定と管理: 全社が使うシステムを選び、動き続ける状態に保つ
- 担当の割り当てと社内の巻き込み: 誰の業務にするかを決め、社員に教える
- 企画・改善: 業務の進め方に合わせて仕組みを入れ替える
以降のセクションでは、この4領域を公的データで1つずつ裏づけていきます。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」
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情報システム部の守りの業務は、導入する仕事から回し続ける仕事へ移っている

守りの業務から見ていきます。「セキュリティ対策をやるかどうか」という入口は、すでに決着しています。
総務省「令和7年通信利用動向調査」によると、何らかのセキュリティ対策を実施している企業の割合は2025年時点で98.3%です。2024年時点では97.7%でした。いずれもインターネット利用企業が母集団です。
つまり、対策そのものの有無で他社と差がつく段階は終わっています。この横ばいから読み取れるのは、情シスの仕事量が導入プロジェクトの数ではなく、日々回す運用項目の積み上がりで増えているという点です。
以降の3つの見出しで、その中身を項目別・推移別・準備状況別に分けて見ていきます。
セキュリティ対策の実施率は項目によって82.0%から19.7%まで開いている
「セキュリティ対策」という一語でまとめられがちな業務も、中身に分けると実施率は大きく違います。端末へのウイルス対策プログラムの導入は82.0%ですが、ウイルス対策対応マニュアルの策定は19.7%です。
以下は総務省「令和7年通信利用動向調査」による2025年時点の実施率です。母集団はインターネット利用企業(n=2,480)で、複数回答の設問です。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」(インターネット利用企業 n=2,480、複数回答)
| 対策項目 | 2025年の実施率 |
|---|---|
| 何らかの対策を実施している | 98.3% |
| パソコン等の端末にウイルス対策プログラムを導入 | 82.0% |
| サーバにウイルス対策プログラムを導入 | 60.7% |
| ID・パスワードによるアクセス制御 | 60.4% |
| 社員教育 | 54.7% |
| ファイアウォールの設置・導入 | 51.9% |
| セキュリティポリシーの策定 | 48.2% |
| OSへのセキュリティパッチの導入 | 43.5% |
| アクセスログの記録 | 41.0% |
| データやネットワークの暗号化 | 27.4% |
| セキュリティ監査 | 26.7% |
| 認証技術の導入による利用者確認 | 22.2% |
| 不正侵入検知システム(IDS)の設置・導入 | 20.7% |
| ウイルス対策対応マニュアルの策定 | 19.7% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」(インターネット利用企業 n=2,480、複数回答)
端末へのウイルス対策のような基本的な防御は82.0%まで普及しています。一方で、セキュリティ監査26.7%や対応マニュアルの策定19.7%のように、手を動かし続ける対策は2割前後で止まっています。
求人票の「セキュリティ対策」がどの段階を指すのかは、この幅の中で確認してみてください。
記録や権限の管理は増え、設置して終わる対策は横ばいになっている
まず推移を確認します。何らかのセキュリティ対策を実施している企業の割合は、2017年99.3%、2023年98.5%、2025年98.3%と、8年間ほぼ動いていません。
変化は個別の項目で起きています。アクセスログの記録は2024年37.8%から2025年41.0%へ増えました。ID・パスワードによるアクセス制御も2018年51.6%から2024年58.9%、2025年60.4%へ伸びています。
一方、ファイアウォールの設置・導入は2024年52.5%から2025年51.9%です。データやネットワークの暗号化も2024年27.8%から2025年27.4%と、ほぼ横ばいでした。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」(同一の集計基準で揃った項目のみを掲載)
この動きから読み取れるのは、買って設置すれば完了する対策が頭打ちになり、記録を取る・権限を管理するといった手を動かし続ける対策が増えている点です。情報システム部の仕事は、導入から運用へ重心が移っています。
ただし別の読み方もできます。わずかな差は、回答した企業の入れ替わりで説明がつく範囲だからです。
ファイアウォールや暗号化の微減も、クラウド事業者側の機能に置き換わった結果かもしれません。自社の対策として認識されなくなっただけ、という可能性は残ります。
なお2018年調査までの母集団は「情報通信ネットワーク利用企業」、2021年以降は「インターネット利用企業」です。長期の比較には幅を持たせて読んでください。
インシデント対応は事前の準備量で仕事の重さが変わる
インシデント対応の重さは、起きてからの動き方より事前の準備量で決まります。準備にあたる業務は、記録・点検・手順の3つに分けて確認できます。
まず外側の状況です。JPCERT/CCへのインシデント報告件数は、2019年度20,147件、2023年度65,690件でした。2024年度は46,038件、2025年度は74,096件で、単調に増えたわけではありません。
次に社内側の準備状況を見ます。2025年時点で、アクセスログの記録は41.0%、セキュリティ監査の実施は26.7%でした。ウイルス対策対応マニュアルの策定は19.7%です。

出典: JPCERT/CC「活動四半期レポート(2025年度第4四半期)」/JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート(2023年度第4四半期)」(年度=4月1日〜翌年3月31日)
この2つの数値から読み取れるのは、外側で起きる事象の量と、社内でそれを受け止める業務の整備度が噛み合っていない可能性です。手順が文書になっていないと、対応の進め方は担当者の記憶に依存しがちです。両者に因果関係があるとは言えませんが、記録と手順を先に整えておくほうが、いざというときの仕事は軽くなります。
注意
JPCERT/CCの件数は報告ベースの延べ件数で、企業内で発生したインシデント以外の報告も多く含みます。報告窓口の周知が進むだけでも件数は増えるため、被害の実数を示す指標ではありません。総務省の実施率とは単位も母集団も異なります。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」/総務省「平成29年通信利用動向調査の結果」/総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」/JPCERT/CC「活動四半期レポート(2025年度第4四半期)」/JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート(2023年度第4四半期)」
情報システム部が管理する業務システムはバックオフィス領域に集中している

次は、情報システム部が選定して面倒を見ているシステムの範囲です。日常的に管理対象になっているのは、全社員が使うバックオフィス系のシステムに偏っています。
総務省「令和7年通信利用動向調査」から見てみましょう。クラウドサービス利用企業のうち、給与、財務会計、人事の用途で使っている企業は2025年時点で56.3%です。スケジュール共有は53.6%でした。
ここで1つお断りしておきます。クラウドの利用内容は「情報システム部の担当領域そのもの」を測った数値ではなく、あくまで代理指標です。母数もクラウドサービス利用企業に限られます。
クラウドで使われている業務は人事給与56.3%・スケジュール共有53.6%が中心になっている
2025年時点の業務カテゴリ別の内訳を見てみましょう。上位に来るのは、部署を問わず全社員が関わる業務です。 以下はいずれも、クラウドサービス利用企業を母数とした割合です。
| 業務カテゴリ | 2025年の割合 |
|---|---|
| 給与、財務会計、人事 | 56.3% |
| スケジュール共有 | 53.6% |
| データバックアップ | 46.4% |
| 生産管理、物流管理、店舗管理 | 16.4% |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」(クラウドサービス利用企業 n=2,133、複数回答)
データバックアップは、情報システム部がほぼ必ず抱える業務です。同じ2025年の調査では、クラウドを利用する理由として「災害時のバックアップとして利用できるから」を挙げた企業が38.7%でした(クラウドサービス利用企業 n=2,131)。
生産管理など現場系は16.4%にとどまり、全社共通の業務が先にクラウド化している
推移を見ると、この偏りは年々はっきりしてきています。まず事実を並べます。
スケジュール共有は2022年46.0%、2023年47.8%、2024年51.0%、2025年53.6%と伸びました。さかのぼると2017年は34.1%、2018年は38.4%です。
なお2017年・2018年調査は設問名が「クラウドサービスの利用目的」で、現行の「利用しているクラウドサービスの内容」とは問い方が異なります。給与、財務会計、人事は2022年46.5%、2023年48.3%、2024年52.0%、2025年56.3%でした。
データバックアップは2022年36.9%、2023年42.0%、2024年43.6%、2025年46.4%と推移しています。
対して生産管理、物流管理、店舗管理は2022年12.7%、2023年11.6%、2024年12.9%と3年間ほぼ動きませんでした。2025年に16.4%まで上がっています。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」(2024年調査までと2025年調査で出典資料が異なります。2024年の値は令和6年調査報告書の公表値で、令和7年調査の資料に掲載された令和6年の値とはわずかに異なります)
この推移から読み取れるのは、全社共通の業務が先にクラウド化されているという点です。2025年時点で、給与・財務会計・人事の56.3%と生産管理系の16.4%の間には39.9ポイントの開きがあります。
情報システム部の業務範囲の輪郭は、この偏りに表れています。
ただし現場系が低い理由は、業種構成で大半が説明できる可能性があります。生産管理や店舗管理は、そもそも該当する業務を持たない企業が母数に多く含まれるためです。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」
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情報システム部の仕事は、誰の担当業務にするかを決めるところから始まる

ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。情報システム部の仕事とは製品を選ぶ作業ではなく、入れた後の運用を誰かの担当業務として定義する作業です。
その理由は、ツールが入っていることと、それを業務として引き受ける人がいることが別だという点にあります。
総務省の調査では、2025年時点で98.3%が何らかのセキュリティ対策を実施しています。一方IPAの調査で情報セキュリティ対策の専門部署があると答えた中小企業等は、2024年度時点で9.3%でした。
この2つは別々の調査で、母集団も設問も違います。だからこそ、続く2つの見出しで丁寧に分けて見ていきます。
ポイント
- 「何を導入しているか」と「誰が担当しているか」は別の問いである
- 担当が決まっていない業務は、結果として誰かの手元で属人化しやすい
- 企業規模によって、情シスの仕事が担当業務として定義される度合いが変わる
セキュリティ製品はほぼ全社に入っているが、担当者を決めている企業は3割にとどまる
製品の普及状況と、担当者の任命状況は、まったく別の絵に見えます。
総務省「令和7年通信利用動向調査」を見ます。何らかのセキュリティ対策を実施している企業は2025年時点で98.3%です。
端末へのウイルス対策プログラムの導入は2024年・2025年とも82.0%でした。いずれも母集団はインターネット利用企業です。
一方、IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」では違う絵が見えます。専門部署(担当者)があるのは9.3%、兼務だが担当者が任命されているのは21.0%で、合わせて3割程度です。残る69.7%は「組織的には行っていない(各自の対応)」でした。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」(中小企業等、有効回答4,191件)
教育の業務でも同じ構図が見えます。2つの調査が問うている対象と代表値を、表に整理します。
| 調査 | 設問が問うている対象 | 代表値 |
|---|---|---|
| 総務省 通信利用動向調査 | 何を導入・実施しているか(インターネット利用企業) | 何らかのセキュリティ対策を実施98.3%(2025年)/端末へのウイルス対策プログラムの導入82.0%(2024年・2025年)/社員教育を実施54.7%(2025年) |
| IPA 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 | 誰が担当しているか(中小企業等、有効回答4,191件) | 専門部署がある9.3%/兼務だが担当者が任命されている21.0%/組織的には行っていない69.7%/従業員教育を特に実施していない63.6%(いずれも2024年度) |
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」/IPA「同 調査報告書(概要版)」
この並置から読み取れるのは、情報システム部の仕事の起点が担当の定義にあるという点です。導入した対策を誰の業務にするかを決めない限り、運用は続きません。
注意
総務省とIPAの2つの調査は、主体・母集団・実施時期・調査手法がすべて異なります(IPAはNTTコム リサーチのWebアンケートモニタ調査で、調査期間は2024年10月25日〜11月6日)。数値をそのまま引き算して差を語ることはできません。またIPAの「組織的には行っていない」には、対策自体は行っているが担当を明示していない企業も含まれるため、対策の実施率が低いことを意味しません。
「各自の対応」から「担当者の業務」に変わる境目は従業員100名前後にある
企業規模別に見ると、境目がはっきり出ます。まず事実から確認しましょう。いずれもIPAの2024年度調査の数値です。
「組織的には行っていない(各自の対応)」は、小規模企業者で84.5%、中小企業(100名以下)で47.6%、中小企業(101名以上)で13.6%でした。小規模企業者は商業・サービス業で1〜5名、製造業その他で1〜20名、中小企業(100名以下)は商業・サービス業で6〜100名、製造業その他で21〜100名の企業を指します。
専門部署があるのは、小規模企業者4.4%、100名以下14.8%、101名以上34.6%です。兼務だが担当者が任命されているのは、小規模企業者11.1%、100名以下37.6%、101名以上51.9%でした。

出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」(中小企業等、有効回答4,191件。小規模企業者 n=2,775、100名以下 n=1,121、101名以上 n=295)
この差から読み取れるのは、規模が上がって最初に起きるのが専任組織の新設ではないという点です。101名以上でも専門部署は34.6%で、最も多いのは兼務での担当任命51.9%です。
つまり従業員100名前後を境に、情シスの仕事は各自が勝手にやるものから、誰かの職務として定義されるものへ変わります。求人票に「情報システム部」とあっても、実態は兼務枠というケースが規模帯によっては珍しくありません。組織としての情報システム部の設置実態は別の記事で詳しく扱っています。
ただし101名以上のセグメントは n=295 と回答数が少なく、数ポイントの差は誤差の範囲です。またこの区切りは調査があらかじめ設けた企業規模区分によるもので、100名という水準に体制が変わる境目があることを統計的に示したものではありません。この調査は中小企業等が対象のため、大企業にそのまま当てはめることもできません。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」/IPA「同 調査報告書(概要版)」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」
情報システム部の仕事に必要なスキルは、資格の合格率から難易度を見積もれる

「幅広いIT知識とコミュニケーション力が必要」と言われても、どれくらい勉強すればよいのか分かりませんよね。必要なスキルの水準は、公的な資格試験の合格率を目安にすると見積もりやすくなります。
IPAの統計によると、基本情報技術者試験の合格率は令和7年度で38.3%です。受験した人のうち、通ったのは3人に1人強という水準になります。
先にお断りしておくと、基本情報技術者試験はIT技術者全般が対象で、情シス専用の資格ではありません。あくまでスキルを可視化する代表的な公的資格として扱ってください。
情シスに関わる資格は区分ごとに合格率が20%台から40%台に分かれる
区分ごとに難易度の目安を並べます。入門級のITパスポート試験は48.6%、高度区分の情報処理安全確保支援士試験は20.7%です。 以下はいずれもIPAが公表する令和7年度の年度計です。
| 試験区分 | 令和7年度の合格率 | 位置づけ |
|---|---|---|
| ITパスポート試験 | 48.6% | 職種を問わずITの基礎知識を問う入門級 |
| 基本情報技術者試験 | 38.3% | IT技術者全般向けの基礎。スキル可視化に広く使われる |
| 応用情報技術者試験 | 23.4% | 基本情報の上位区分。設計・運用の応用力を問う |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 20.7% | セキュリティ領域の高度区分(春期+秋期の合算) |
出典: IPA「情報処理技術者試験 統計情報(令和7年度)」/IPA「同(基本情報技術者試験)」/IPA「ITパスポート試験 応募者数・受験者数・合格者数」
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の登録者数は、2026年4月1日時点で26,453人、登録者の平均年齢は44.3歳です。これは登録者全体の平均年齢であり、資格を取った時点の年齢ではありません。
なお、これらの資格を取れば情報システム部で働けるというものではありません。学習量の目安として使ってください。
基本情報技術者試験の合格率は2年で8.8ポイント下がっている
まず推移です。基本情報技術者試験の合格率は、令和5年度47.1%、令和6年度40.8%、令和7年度38.3%と下がりました。
応用情報技術者試験も令和6年度26.3%から令和7年度23.4%へ下がっています。一方でITパスポート試験は令和6年度49.1%、令和7年度48.6%とほぼ横ばいです。
令和7年度の基本情報は、応募者数172,217人に対し受験者数147,186人、合格者数56,370人でした。

出典: IPA「情報処理技術者試験 統計情報(基本情報技術者試験)」/IPA「同(令和7年度)」/IPA「ITパスポート試験 応募者数・受験者数・合格者数」(いずれも年度計)
この推移から読み取れるのは、入門級は横ばいなのに技術者向けの区分だけが下がっている構図です。基本情報の合格率は令和5年度の47.1%から令和7年度の38.3%まで、2年で8.8ポイント下がりました。
働きながら片手間で取れる資格という前提だと、学習時間の見積もりが足りません。
ただし読み方には注意が必要です。応募者数172,217人と受験者数147,186人の差である25,031人は、申込後の予定変更や重複申込を含み、挫折した人数とは読めません。
合格率は受験者層でも動き、通年のCBT方式で学生や非IT職の受験が増えれば、難易度が同じでも下がります。ITパスポートとの比較も、受験者層が異なるため難易度の差を示しません。
どの区分から着手するかは、担当する業務で変わります。選び方は情シスに向いている資格を整理した記事で解説しています。
社員へのセキュリティ教育も情シスの業務であり、実施率は54.7%にとどまる
情報システム部に必要なスキルは、技術だけではありません。社内に教えて巻き込む仕事も、はっきりと業務のひとつです。 ただし実施率は高くありません。
- 社員教育を実施している企業の割合は2024年時点で52.9%、2025年時点で54.7%(総務省、インターネット利用企業)
- 従業員への情報セキュリティ教育を特に実施していない中小企業等は2024年度時点で63.6%(IPA、有効回答4,191件)
- この2つは母集団も設問も異なる別々の調査です。差を引き算して読むことはできません
半数前後の企業が教育まで手を回せていない状況です。教える内容を用意し、受講状況を追いかけるところまでが、情報システム部の担当範囲になります。
出典: IPA「情報処理技術者試験 統計情報(基本情報技術者試験)」/IPA「情報処理技術者試験 統計情報(令和7年度)」/IPA「ITパスポート試験 応募者数・受験者数・合格者数」/IPA「情報処理安全確保支援士 登録状況(2026年4月1日時点)」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査(概要)」
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情報システム部の人手不足は、採用だけで埋めにくい構造にある

情シスが忙しいのは、あなたの会社だけの事情ではありません。採用で頭数を揃える前提は、中長期で見ると置きにくくなっています。
経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、IT人材の需給ギャップが次のように推計されています。標準ケースは、IT需要の伸びと労働生産性の上昇を一定の水準に置いた基本の前提です。
| 対象年 | 需給ギャップの推計値 |
|---|---|
| 2018年 | 22万人 |
| 2020年 | 30万人 |
| 2025年 | 36万人 |
| 2030年(標準ケース) | 44.9万人 |
| 2030年(高位シナリオ上限) | 78.7万人 |
| 2030年(低位シナリオ下限) | 16.4万人 |
出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」/同調査報告書(いずれも2019年公表)
企業側の実態も、この推計と整合します。IPAの2024年度調査では、情報セキュリティ対策の体制として兼務での担当任命が21.0%、中小企業(101名以上)に限れば51.9%でした。専任を置くのではなく、既存の社員に役割を足す形が主流です。
だからこそ、業務を抱えきれないときの選択肢として外部委託が検討されます。運用の一部を外に出すか、社内で回す手順を整えるか。どちらを選ぶにせよ、まず担当と手順を決めることが前提になります。
注意
この需給ギャップは2019年に公表された推計値であり、直近の実績ではありません。「2030年に44.9万人不足する」と断定できる数値ではなく、IT需要の伸び方の前提によって16.4万人から78.7万人まで幅があります。また対象は「IT企業およびユーザー企業の情報システム部門等に属するシステムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者、その他の情報処理・通信技術者」で、社内の情シス担当者だけを切り出した数値ではありません。
出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」/同調査報告書/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」
業務時間の内訳を示す一次データは、今回参照した公的統計には見当たらない

最後に、この記事で書けなかったことをお伝えします。担当者が運用保守と企画にそれぞれ何時間使っているかを示すデータは、今回参照した調査には含まれていませんでした。
情シスに関する公的データは、次の2つの層に分かれています。
- マクロの層: 国全体で何人足りないかの推計。2018年22万人、2025年36万人、2030年は標準ケースで44.9万人、幅を取れば16.4万人から78.7万人(経済産業省、2019年公表の推計)
- ミクロの層: 企業に体制の有無を聞くもの。専門部署がある9.3%、組織的には行っていない69.7%(2024年度・IPA、中小企業等)
- 空白の中間層: 1人の担当者が運用保守と企画にそれぞれ何時間使っているかという業務時間の内訳
IPA「DX白書2023」のエグゼクティブサマリーも確認しましたが、該当する図表はありません。そのため本記事では、業務時間の割合を示す数値を使っていません。
出所のはっきりしない数値に頼るより、自社で測るほうが確実です。1〜2週間分の作業ログを取り、この記事で挙げた対策項目と業務カテゴリに割り当ててみてください。公的統計より役に立つ、自社のデータが手に入ります。
注意
ここで述べているのは「今回参照した総務省・経済産業省・IPAの各調査では扱われていない」という範囲の話です。業界団体の有償調査や未確認の政府統計に該当データが存在する可能性は残ります。また経済産業省の需給ギャップは2019年公表の推計値です。
出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」/同調査報告書/IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」/IPA「DX白書2023」
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まとめ
情報システム部の仕事は、4つの領域に分けると把握しやすくなります。根拠を整理します。
- 守りの運用: 項目ごとの実施率で見る。端末へのウイルス対策プログラムの導入は82.0%、ウイルス対策対応マニュアルの策定は19.7%(2025年・総務省)。重心は導入から運用へ移っている
- 業務システムの管理: クラウドで給与、財務会計、人事を利用する企業は56.3%(2025年・総務省、クラウド利用企業)。全社共通の業務が先にクラウド化されている
- 担当の割り当て: 専門部署がある中小企業等は9.3%、兼務での担当任命は21.0%(2024年度・IPA)。何を導入しているかと誰が担当しているかは別の問い
- 企画・改善に必要なスキル: 基本情報技術者試験の合格率は令和7年度で38.3%。学習時間の見積もりは更新が必要
- 業務時間の内訳は、今回参照した総務省・経済産業省・IPAの各調査では扱われていない
明日からやることは1つに絞ってください。自分の業務を、この記事で挙げたセキュリティ対策の項目リストに突き合わせることです。
担当が決まっている業務と決まっていない業務を仕分けるだけで十分です。その一覧は、自分の担当範囲を説明するときにも使えます。
情シスカレッジのご紹介
この記事で見たとおり、情報システム部の仕事は兼務で任命されるケースが多く、社員への教育まで担当範囲に入ります。とはいえ、日々の対応に追われながらまとまった研修時間を取るのは難しいですよね。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。短い動画で学び、小テストで理解を確認する形式なので、業務の合間に少しずつ進められます。
ポイント
- 数分の動画+小テスト: すきま時間で学べ、理解度をその場で確認できます
- 必修割り当て・期限・進捗ダッシュボード: 誰がどこまで進んだかを管理者がひと目で把握できます
- 自社カリキュラム編成・CSV教育記録: 自社に必要な講座を組み合わせ、教育記録をCSVで出力できます
導入は5名から可能で、請求書払いに対応しています。初期設定は約10分で完了します。
※出典
- 総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」
- 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」
- 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成29年通信利用動向調査の結果」
- IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」
- IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査(概要)」
- IPA「情報処理技術者試験 統計情報(基本情報技術者試験)」
- IPA「情報処理技術者試験 統計情報(令和7年度)」
- IPA「ITパスポート試験 応募者数・受験者数・合格者数」
- IPA「情報処理安全確保支援士 登録状況(2026年4月1日時点)」
- IPA「DX白書2023」
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(2019年公表)
- 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(2019年公表)
- JPCERT/CC「活動四半期レポート(2025年度第4四半期)」
- JPCERT/CC「インシデント報告対応レポート(2023年度第4四半期)」

