【IPA・総務省データ】セキュリティ教育のeラーニング|2024年の実施率11.0%は教育方法で2番目、規模別の差と進め方

従業員向けのセキュリティ教育は、やらなければと思いつつ後回しになりやすい仕事ですよね。とくにひとり情シスや兼務の担当者だと、次のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
- セキュリティ教育をやりたいが、集合研修を開く時間も講師もいない
- eラーニングにすれば、本当に全員が受けてくれるのか不安
- 同じくらいの規模の会社は、どんな方法で教育しているのか知りたい
先に結論をお伝えします。IPAの中小企業調査で、eラーニングはセキュリティ教育の方法として2番目に多く使われている方法です。
また、企業規模が大きいほど使われる割合が高いという結果でした。ただし、本記事で確認したIPA・総務省の調査には、効果を手法別に比べたデータが無いため、効果は自社で記録して確かめる必要があります。
この記事で扱うのは、IPAと総務省の調査データにもとづくeラーニングの実施状況と規模別の差です。そのうえで、集合研修との使い分けと、担当者1人でも続けられる進め方を解説します。
この記事のポイント
- IPAの2024年度調査で、セキュリティ教育の方法としてeラーニングを実施している中小企業等は11.0%です。関連情報の周知(21.2%)に次ぐ2番目の方法です(出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書)
- 2024年度の実施率は企業規模で大きく異なり、小規模企業者5.3%、中小企業(小規模企業者を除く)の100名以下18.4%、101名以上36.6%です(出典: 同上)
- 本記事で確認したIPA・総務省の調査にはeラーニングの効果を手法別に比べたデータが無いため、受講率や理解度テストの結果を自社で記録して確かめることが大切です
セキュリティ教育のeラーニングは、少ない担当者で全従業員に同じ内容を届けるための方法

セキュリティ教育のeラーニングとは、パソコンやスマートフォンで教材を受講してもらい、その受講状況を記録する教育方法です。担当者が全員を集めて説明しなくても、全従業員に同じ内容を届けられます。
eラーニングは、大きく2つの要素で成り立っています。1つは、誰に何を受けてもらうかを割り当て、受講状況を記録する仕組みで、一般にLMS(学習管理システム)と呼ばれるものです。
もう1つは、動画やスライド、小テストなどの教材です。
ポイント
- 受講管理(LMS): 受講者への割り当て、期限の設定、進み具合の記録を行う
- 教材: 動画やスライドで、不審なメールの見分け方などを学ぶ
- 小テスト: 教材の内容を理解できたかを、その場で確認する
ここからは、なぜ全従業員への教育が必要なのか、eラーニングで何を学ぶのかを順に見ていきます。
2018年の総務省調査では、従業員のセキュリティ意識の低さを40.6%、人材不足を44.4%の企業が課題に挙げていた
教育の必要性と、教育を担う人手の不足は、2018年の時点で同時に課題として挙がっていました。総務省の通信利用動向調査(常用雇用者100人以上の企業が対象)の2018年の値は次のとおりです。
| 指標 | 値 | 調査年 |
|---|---|---|
| 問題点「従業員のセキュリティ意識が低い」 | 40.6% | 2018年 |
| 問題点「運用・管理の人材が不足」 | 44.4% | 2018年 |
| 「人材が不足」の前年からの上昇幅 | 7.1ポイント | 2018年 |
| 標的型メール対策としての「社員教育」 | 58.0% | 2018年 |
表の出典: 総務省「平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)」(「問題点」はネットワーク利用上の問題点。「社員教育」の分母は標的型メールへの対策を実施している企業)
この表から読み取れるのは、従業員の意識の低さと人材不足が、どちらも4割台で並んでいた点です。少ない人手で全員に教育を届ける方法として、eラーニングが検討される背景がここにあります。
ただし、これは2018年単年のデータで、現在も同じ状況とは言えません。また「社員教育」の58.0%は、ほかの2項目と分母が異なります。
標的型メールを受け取った企業は2025年も31.7%あり、従業員一人ひとりへの教育が欠かせない
攻撃の入口は、従業員一人ひとりが受け取るメールです。そのため、セキュリティ教育は全従業員に行う必要があります。
総務省の通信利用動向調査によると、2025年の調査で、インターネットを利用する企業(常用雇用者100人以上)のうち、過去1年間のセキュリティ被害として「標的型メールが送られてきた」を選んだ企業は31.7%でした。開くかどうかを判断するのは受け取った本人なので、全員が見分け方を知っておくことが大切です。eラーニングで扱う主なテーマは次のとおりです。
- 不審なメールの見分け方と、添付ファイルを開く前の確認
- パスワードの管理と使い回しの禁止
- 情報の持ち出しに関する社内ルール
- SNSで業務情報を発信するときの注意点
- インシデントに気づいたときの報告先と手順
いずれも規模にかかわらず全員に必要な基本の内容で、同じ内容を一斉に届けられるeラーニングに向いています。IPAは「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」の付録として、従業員への周知に使える情報セキュリティハンドブックのひな形などを無償で公開しているため、教材を自作する前に確認しておくと効率的です。
出典: 総務省「平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」
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クラウド型のeラーニングを使う企業は、2016年の12.2%から2025年の25.2%へ約2倍に増えた

eラーニングという仕組みそのものは、クラウドサービスとして企業に定着しつつあります。総務省の通信利用動向調査によると、クラウドサービスの用途としてeラーニングを選んだ企業は、2016年の12.2%から2025年には25.2%になりました。
なお、この章で扱うのはセキュリティ教育に限らない、全用途のeラーニングの値です。語学や資格の学習なども含まれます。
注意
この章の値は、総務省調査の対象企業のうち「クラウドサービスを利用している企業」が、用途としてeラーニングを選んだ割合です。語学・資格学習などを含む全用途の値で、セキュリティ教育をeラーニングで実施している企業の割合ではありません。
増え方は一定ではなく、2024年に1.7ポイント、2025年に2.6ポイントと直近2年で伸びが大きい
クラウド型eラーニングの利用は、2024年と2025年に伸びが大きくなっています。ただし、毎年同じペースで増えたわけではありません。
総務省の報告書本編の値は、2016年12.2%、2017年12.3%、2018年14.3%です。その後は2022年20.7%、2023年20.9%、2024年22.6%、2025年25.2%でした。
前年差(本記事の計算)は、2017年が+0.1ポイント、2023年が+0.2ポイントとほぼ横ばいです。2024年は+1.7ポイント、2025年は+2.6ポイントでした。2019〜2021年は値が無く、2018〜2022年の+6.4ポイントがどの年に生じたかは分かりません。

図の出典: 総務省「平成29年通信利用動向調査報告書(企業編)」/同「平成30年」/同「令和6年」/同「令和7年」
この推移から読み取れるのは、2016年から2025年までの約10年で13.0ポイント増え、約2.07倍になったという点です(本記事の計算)。ただし、分母のクラウド利用企業自体も年によって変わるため、割合の変化には分母の変化も含まれます。また、総務省は平成29年(2017年)調査から情報通信業を独立した産業として集計しており、報告書の中で経年比較には留意が必要としています。
25.2%は常用雇用者100人以上のクラウド利用企業での全用途の値で、セキュリティ教育の実施率とは別の指標になる
2025年の25.2%は、セキュリティ教育の実施率として読んではいけない値です。引用するときは、次の3点に注意してください。
- 母集団は、常用雇用者100人以上の企業のうちクラウドサービスを利用している企業です。
- 用途はセキュリティ教育に限らず、語学や資格の学習なども含みます。
- 報告書本編と結果概要で0.1ポイント差があります(本記事の計算)。2025年は本編25.2%・概要25.3%、2024年は本編22.6%・概要22.7%です。集計方法や無回答の扱いの違いによる差で、本記事は本編の値を使います。
このため、次の章で見るIPAの調査とは、対象企業の規模も設問も違います。2つの値は並べて比べられないため、この章の値は流れをつかむ参考として読んでください。
出典: 総務省「平成29年通信利用動向調査報告書(企業編)」/同「平成30年」/同「令和6年」/同「令和7年」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)」
セキュリティ教育の方法としてeラーニングを実施する中小企業等は2024年度に11.0%で、教育方法の中で2番目に多い

ここからは、セキュリティ教育そのものの実施方法を見ていきます。使うのは、IPA(情報処理推進機構)の「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」です。Web調査で、有効回答は4,191件です。
この調査では、従業員への情報セキュリティ教育をどのような方法で行っているかを、複数回答で尋ねています。結論から言うと、eラーニングは関連情報の周知に次いで、2番目に多い教育方法です。
教育方法別では、eラーニング11.0%が関連情報の周知21.2%に次いで2番目に多い
2024年度の調査で、eラーニングは中小企業等が行う教育方法の2番目でした。全体(4,191件)に占める各方法の実施率は、図表2のとおりです。
1番目は、社内メールや回覧、掲示板などによる関連情報の周知で21.2%です。2番目がeラーニングで11.0%でした。続いて社内の研修や勉強会が10.4%、外部講習会やセミナーの聴講が7.7%、標的型攻撃メール訓練などの訓練が7.3%です。

図の出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書(複数回答)
eラーニングは、社内研修、外部講習会、訓練のいずれよりも実施率が高くなっています。ただし、社内の研修や勉強会との差は0.6ポイント(本記事の計算)と小さく、ほぼ並ぶ結果でした。この2つの関係は、後の章で企業規模別に見ていきます。
中小企業等の63.6%は教育を特に実施しておらず、実施している企業に限るとeラーニングの利用は約3割になる
11.0%という値は、教育を実施していない企業も含めた全体に対する割合です。そのため、eラーニングがどのくらい選ばれているかを見るには、分母に注意が必要です。
IPAの2024年度調査では、従業員へのセキュリティ教育を実施していない中小企業等が63.6%ありました。教育を実施している企業は残りの36.4%です(本記事の計算)。この36.4%に限ると、eラーニングの11.0%は約3割にあたります(11.0÷36.4≒30%、本記事の計算)。
この「約3割」は、「特に実施していない」とほかの選択肢が同時に選ばれていない前提での概算です。
このデータから読み取れるのは、全体の11.0%が小規模企業者の値に強く引っ張られているという点です。小規模企業者は回答の約66%(2,775件÷4,191件、本記事の計算)を占め、そのeラーニング実施率は5.3%です。eラーニングが使われていないのではなく、小規模企業者の多くでは教育そのものがまだ行われていないと読むほうがデータに合います。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書/同 概要説明資料
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eラーニングの実施率は企業規模による差が大きく、101名以上の中小企業では36.6%に達する

IPAの調査は、回答企業を3つの規模に分けて集計しています。小規模企業者(2,775件)、中小企業の100名以下(1,121件)、中小企業の101名以上(295件)です。報告書の区分表では、小規模企業者は商業・サービス業で従業員1〜5名、製造業その他で1〜20名の企業です。「100名以下」はこれを除いた中小企業(商業・サービス業6〜100名、製造業その他21〜100名)で、「101名以上」は中小企業の範囲に入る101名以上の企業です。
全体の値だけでなく、自社と同じ規模区分の値と比べることが大切です。まずは自社がどの区分に当たるかを確認してから、読み進めてみてください。
ポイント
- 全体の値は、回答の多い小規模企業者の影響を強く受けている
- 自社の状況は、自社と同じ規模区分の値と比べる
- IPAの調査は中小企業等が対象で、大企業の値は含まれていない
小規模企業者5.3%、100名以下18.4%、101名以上36.6%と、規模が上がるほど実施率が高い
2024年度の調査で、eラーニングの実施率は企業規模が大きいほど高くなっていました。101名以上の中小企業では、3社に1社以上がeラーニングを使っています。
規模別の実施率は、小規模企業者が5.3%、100名以下が18.4%、101名以上が36.6%です。小規模企業者と101名以上では、30ポイント以上の開きがあります(本記事の計算)。

図の出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
なお、101名以上の回答は295件と、ほかの区分より少なくなっています。また、この調査は中小企業等だけが対象で、大企業の値はありません。101名以上の値を、大企業を含む「従業員の多い企業全般」の値として読まないように注意してください。
どの規模でもeラーニングは訓練より実施率が高く、規模による差は訓練のほうが大きい
どの規模区分でも、eラーニングの実施率は訓練を上回っています。一方、小規模企業者と101名以上の差を倍率で見ると、訓練のほうが大きくなっています。
| 教育の方法 | 小規模企業者 | 100名以下 | 101名以上 | 倍率(101名以上÷小規模企業者) |
|---|---|---|---|---|
| 関連情報の周知 | 12.1% | 34.6% | 55.9% | 約4.6倍 |
| eラーニング | 5.3% | 18.4% | 36.6% | 約6.9倍 |
| 社内の研修や勉強会 | 5.2% | 18.0% | 30.8% | 約5.9倍 |
| 外部講習会やセミナーの聴講 | 3.6% | 13.3% | 24.7% | 約6.9倍 |
| 訓練 | 2.7% | 13.6% | 27.1% | 約10倍 |
表の出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書(2024年度、複数回答。倍率は本記事の計算)
倍率がもっとも小さいのは関連情報の周知、もっとも大きいのは訓練で、eラーニングはその中間です(表のとおり)。なお、このデータは実施率を示すもので、方法ごとの取り組みやすさや効果を測ったものではありません。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
eラーニングと集合研修は優劣ではなく、従業員数と担当者の体制で使い分ける

eラーニングと集合研修は、どちらが優れているかで選ぶものではありません。自社の従業員数と、教育を運用する担当者の体制に合わせて使い分けるのが現実的です。
この章では、まず規模別のデータで両者の実施率を比べます。そのうえで、それぞれの特徴と組み合わせ方を整理します。
100名以下の企業ではeラーニングと社内研修の実施率がほぼ同じで、差が開くのは101名以上から
2024年度の調査で、100名以下の企業ではeラーニングと社内研修の実施率はほぼ同じでした。差がはっきり開くのは101名以上です。
eラーニングは小規模企業者5.3%、100名以下18.4%、101名以上36.6%です。社内の研修や勉強会は5.2%、18.0%、30.8%で、差は順に0.1、0.4、5.8ポイントでした(本記事の計算)。関連情報の周知は12.1%、34.6%、55.9%で、これに対するeラーニングの比率は0.44倍、0.53倍、0.65倍です(本記事の計算)。

図の出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
このデータから読み取れるのは、規模が大きいほど教育方法の中でeラーニングの比重が増している点です。従業員が多いほど、全員に同じ内容を届ける手段として選ばれやすい可能性がありますが、これは仮説にとどまります。
0.1〜0.4ポイントの差はごくわずかで、両者はほぼ同水準と見るのが妥当です(値は報告書のグラフに表示された数値で、目視の読み取り値ではありません)。また複数回答のため、両方を併用している企業も多いと考えられます。
eラーニングは受講時間を選べて記録が残り、集合研修はその場で質問や議論ができる
基本の知識はeラーニングで全員に届け、質疑が必要なテーマは短い集合研修で補うという組み合わせがおすすめです。2024年度の全体でも、eラーニング11.0%と社内の研修や勉強会10.4%はほぼ同じ実施率でした。
| 比較の観点 | eラーニング | 集合研修 |
|---|---|---|
| 受講の時間・場所 | 各自の都合で受けられる | 決まった日時に集まる |
| 内容のばらつき | 全員が同じ内容を受ける | 講師や回で差が出やすい |
| 受講記録 | 受講やテスト結果が自動で残る | 出欠を別に記録する |
| 質問・議論 | 一方向で、流し見になりやすい | その場で質問や議論ができる |
| 準備と運用の手間 | 回数が増えても手間が増えにくい | 日程や講師の準備が毎回必要 |
表は本記事による整理です(数値データではありません)。
eラーニングの弱点は、一方向になりやすく、流し見で終わる可能性がある点です。自社固有のルールや事例をもとにした話し合いは、短い集合研修で補うと無理なく続けられます。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
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ひとり情シスがeラーニングを進めるときは、担当者1人でも回る仕組みを先に作る

ひとり情シスや兼務の担当者がeラーニングを始めるなら、担当者が1人でも回る仕組みを最初に作ることが大切です。教材を集めることより先に、割り当てと記録の流れを決めておくと、続けやすくなります。
進め方の3ステップ
- 仕組みを選ぶ: 割り当て・期限・進捗確認を手作業にしない
- 訓練と組み合わせる: eラーニングで知識を、訓練で行動を確かめる
- 結果を記録する: 受講率やテストの結果を残し、前回と比べる
兼務担当者の割合の差は1.4倍だが、eラーニング実施率の差は約2倍あり、担当者を置くだけでは埋まらない
担当者を任命するだけでは、eラーニングの実施率の差は説明しきれません。そのため、兼務でも回せる仕組みを選ぶことが重要です。
IPAの2024年度調査で、体制が「兼務だが担当者が任命されている」企業は、100名以下で37.6%、101名以上で51.9%でした。101名以上でも、もっとも多い体制は兼務です。
両区分の差は、兼務担当者の割合が約1.4倍です(本記事の計算)。一方、eラーニング(18.4%と36.6%)と訓練(13.6%と27.1%)の実施率は、どちらも約2倍の差がありました。
このデータから読み取れるのは、担当者の配置とeラーニングの実施は同じ方向に動くものの、差の大きさは一致しない点です。ただし企業単位のクロス集計は無く、どちらも企業規模という共通の要因の結果である可能性が高いため、因果関係とは言えません。
兼務でも回せるかは、次の観点で確認してください。
- 受講の割り当て、期限、進捗確認を自動化できるか
- 1本数分程度の短い教材がそろっているか
- セキュリティ特化型か研修全般の汎用型か(教育の範囲で選ぶ)
- 受講記録やテスト結果を出力できるか
eラーニングで知識を身につけ、標的型攻撃メール訓練で実際の行動を確かめる順に組み合わせる
eラーニングで基本の知識を全員に届けてから、訓練で実際の行動を確かめるという順番がおすすめです。eラーニングで確かめられるのは、従業員が「知っているかどうか」です。一方、標的型攻撃メール訓練では、訓練用のメールを開かずに報告できるかを確かめます。
IPAの2024年度調査で、訓練の実施率は全体7.3%、100名以下13.6%、101名以上27.1%でした。どの規模でもeラーニングより低いため、eラーニングの後に訓練を加えると段階を踏んで進められます。
なお、総務省の2018年の調査は常用雇用者100人以上の企業が対象です。標的型メール対策を実施している企業の58.0%が、社員教育を挙げていました。教育は以前から広く選ばれてきた対策です。
eラーニングの効果を示す公的統計は無いため、受講率と理解度テストの結果を自社で記録する
eラーニングの効果は、本記事で確認した公的統計では確かめられません。自社で記録して確かめることが必要です。IPAや総務省の調査が測っているのは、教育を実施しているかどうかまでだからです。
IPAの2024年度調査が示すのは、eラーニングの実施率(11.0%)や教育を特に実施していない割合(63.6%)です。総務省の調査も、2025年に標的型メールが送られてきた企業(31.7%)を示すにとどまります。教育の方法と被害の関係を示すデータはありません。
この状況から読み取れるのは、受講完了率や理解度、被害の減少といった効果は、公的な一次データでは確認できない点です。ただし、民間調査や本記事で扱っていないIPAの過去調査には、関連するデータがある可能性もあります。
自社では、受講完了率、理解度テストの正答率、訓練メールの報告率を記録し、前回の結果と比べてみてください。
注意
eラーニングを導入しただけで被害が減るとは言えません。効果は自社の記録で確かめてください。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書/同 概要説明資料/総務省「平成30年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/IPA「組織における標的型攻撃メール訓練は実施目的を明確に」
まとめ: セキュリティ教育のeラーニングは、自社と同じ規模の企業の実施率を目安に、記録しながら続ける
セキュリティ教育のeラーニングは、少ない担当者で全従業員に同じ内容を届けられる方法です。この記事の要点を振り返ります。
- IPAの2024年度調査で、eラーニングは中小企業等の教育方法として2番目に多く、実施率は11.0%でした
- 2024年度の実施率は、小規模企業者5.3%、100名以下18.4%、101名以上36.6%と規模で大きく異なります
- 100名以下ではeラーニングと社内研修がほぼ同じ実施率で、従業員数と担当者の体制に合わせて使い分けるのが現実的です
- 本記事で確認した公的統計にはeラーニングの効果を示すデータが無いため、受講率や理解度テストの結果を自社で記録して確かめることが大切です
まずは自社の規模区分の値と比べ、短い教材から始めてみてください。受講の記録を残しておけば、次の教育を計画するときの判断材料にもなります。
出典: IPA「2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」報告書
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情シス担当者の学びと教育記録の管理には「情シスカレッジ」
この記事では、兼務でも回せるeラーニングの仕組みと、受講記録を残して効果を確かめる考え方を紹介しました。従業員への教育を企画する担当者自身にも、知識を学び続ける時間と、学んだ記録を管理する仕組みが必要です。とくにひとり情シスの方は、まとまった学習時間を取りにくいのではないでしょうか。
「情シスカレッジ」は、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。業務の合間に少しずつ学べる形になっているため、研修の時間を確保しにくい現場でも進められます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画と小テストで、すきま時間に学習を進められる
- 必修の割り当て・期限の設定・進捗ダッシュボードで、受講状況を管理できる
- 自社のカリキュラムを編成でき、教育記録をCSVで出力できる
導入は5名から可能で、請求書払いに対応しています。初期設定は約10分で完了します。まずはサービスの内容を確認してみてください。
※出典

