【総務省データ】ファイアウォールとは|仕組みと種類、企業の設置率51.8%(2025年)と業種別の差

ファイアウォールは、情シスの仕事をしていれば毎日のように耳にする言葉ですよね。ただ、いざ上司や他部署に説明しようとすると、意外と言葉に詰まることがあります。
- ファイアウォールが何を止めているのか、うまく説明できない
- WAFやUTM、IDS/IPSとの違いがあいまいなままになっている
- 他社はどのくらいファイアウォールを導入しているのか知りたい
先に結論をお伝えします。ファイアウォールは、通してよい通信と止める通信をルールで決める、基本的なセキュリティ対策です。それでも、総務省の調査で設置していると答えた企業は、2025年時点で約半数にとどまります。
この記事では、ファイアウォールの仕組みと種類、ほかの対策との違いを整理します。そのうえで、設置率の推移と業種別の差、数値を引用するときの注意点を公的データで解説します。
この記事のポイント
- 企業(常用雇用者100人以上)のファイアウォール設置率は2025年で51.8%、2022年は51.5%で、4年間ほぼ横ばい(出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」)
- 2024年は金融・保険業89.8%、サービス業その他38.9%で、値が掲載されている業種の中で最大2.3倍の差がある(出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」)
- 同じ調査でも報告書の本編と概要版で値が異なるため、引用するときは資料の種類を明記する
ファイアウォールは社内外の通信を規則に沿って許可・遮断する仕組み

ファイアウォールとは、社内ネットワークとインターネットの間の通信を管理する仕組みです。あらかじめ決めたルールに沿って、通信を通したり止めたりします。IPAもネットワーク管理の基本的な対策として、ファイアウォールによるアクセス制御を挙げています。
一方で、総務省の調査では、2025年時点でファイアウォールを設置・導入している企業は51.8%でした。この数値の詳しい読み方は、後半の設置率の章で説明します。
ファイアウォールは送信元・宛先・サービスの組み合わせで通してよい通信を決める
ファイアウォールの基本は、業務に必要な通信だけを許可し、それ以外はすべて止めるという考え方です。何でも通す状態から危険なものを探して止めるのではなく、通してよいものを先に決めておきます。
このような考え方をとるのは、外部から社内の機器に届く通信を最小限にするためです。開いている入口が少ないほど、攻撃者が入り込める経路も少なくなります。
具体的には、「どこからの通信か」「どのサーバーあての通信か」「どのサービスを使う通信か」の組み合わせでルールを作ります。たとえば、外部からは公開用のWebサーバーへの閲覧の通信だけを受け付けます。社内の業務サーバーへの通信は受け付けない、といった設定です。こうした入口の管理は、不正アクセスを防ぐための土台になります。
ファイアウォールは、社内ネットワークとインターネットの境目に置かれるのが一般的です。境目で通信を選別し、必要最小限の通信だけを通すのがファイアウォールの役割だと押さえておきましょう。
通信の制御方式はパケットフィルタリング型・アプリケーションゲートウェイ型・サーキットレベルゲートウェイ型の3つ
ファイアウォールが通信を許可するか判断する方式は、主に次の3つに分かれます。方式によって、通信のどこまでを確認して判断するかが違います。
| 方式 | 何を見て判断するか | 特徴 |
|---|---|---|
| パケットフィルタリング型 | 送信元・宛先のIPアドレスやポート番号 | 処理が軽く、多くの製品が備える基本の方式 |
| アプリケーションゲートウェイ型 | Webやメールなど、アプリケーションごとの通信の内容 | 内部と外部の通信を中継するため、細かく制御できる。その分、処理の負荷は大きい |
| サーキットレベルゲートウェイ型 | 通信の接続(セッション)の状態 | 接続の単位で中継し、通信内容までは確認しない |
なお、この3分類は日本の解説書などでよく使われる分け方です。米国NISTのファイアウォールのガイドライン(SP 800-41 Rev.1)のように、通信の状態を記録して判断するステートフルインスペクションを独立した方式として挙げる資料もあり、分け方は資料によって異なります。
方式とは別に、置き方による分け方もあります。ネットワークの境目に専用機器として置くハードウェア型と、パソコンやサーバーに入れて使うソフトウェア型です。WindowsなどのOSに標準で入っているパーソナルファイアウォールも、ソフトウェア型の一つです。
近年は、アプリケーションを識別して制御する次世代ファイアウォール(NGFW)も使われています。クラウド上で提供されるFWaaSと呼ばれる形態もあります。まずは3つの方式と、ハードウェア型・ソフトウェア型という置き方の違いを押さえておけば十分です。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編 解説書/NIST SP 800-41 Rev.1「Guidelines on Firewalls and Firewall Policy」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」
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ファイアウォールだけでは防げない攻撃があり、WAFやIDS/IPSと役割を分けて使う

ファイアウォールを入れていれば安心、というわけではありません。ファイアウォールは、許可した通信の中に紛れ込んだ攻撃までは止めにくいためです。
基本となるパケットフィルタリング型のファイアウォールは主に、通信の送信元や宛先、ポート番号を見て判断します。そのため、公開しているWebサイトあての通信は、中身に攻撃が含まれていても許可されたまま通ってしまいます。Webアプリケーションの弱点を突く攻撃などが、その例です。
こうした攻撃に備えるため、企業はほかの対策と組み合わせて使います。主な対策の役割の違いは、次のとおりです。
| 対策 | 守る対象 | 主に見ているもの | ファイアウォールとの関係 |
|---|---|---|---|
| ファイアウォール | 社内ネットワーク全体 | 送信元・宛先・ポート番号 | 通してよい通信を決める入口の対策 |
| WAF | Webアプリケーション | Webアプリケーションへの通信の内容 | ファイアウォールが通したWebの通信を、さらに確認する |
| IDS/IPS | ネットワークや機器 | 通信の中身や不審なふるまい | IDSは不審な通信を知らせ、IPSは自動で遮断する |
| UTM | 社内ネットワーク全体 | 複数の対策をまとめて確認 | ファイアウォールやIDS/IPS、ウイルス対策などを1台にまとめた製品 |
表の出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編 解説書をもとに作成
IPSの仕組みは、IPS(不正侵入防止システム)の記事で詳しく解説しています。複数の機能をまとめた製品については、UTM(統合脅威管理)の記事も参考にしてみてください。
導入している企業の割合にも差があります。総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)」の別紙2を見てみましょう。この概要版では、2025年のファイアウォールの設置率は51.9%です。一方、WAFは2025年で19.5%、2024年で17.4%でした。
この数値から読み取れるのは、ファイアウォールに比べて、Webアプリケーションを守る対策はまだ広がっていないという点です。自社でWebサイトやWebサービスを公開している場合は、ファイアウォールとは別にWAFの必要性を確認してみてください。
注意
ここで比べた2025年のファイアウォールの51.9%とWAFの19.5%は、どちらも総務省の概要版(別紙2)の数値です。WAFの2024年の17.4%も、同じ概要版の値です。本記事のほかの章では報告書の本編の数値を使っており、資料の違いについては次の章で説明します。
出典: IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編 解説書/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」
企業のファイアウォール設置率は2022〜2025年の4年間、51〜53%で横ばいが続いている

ここからは、企業がどのくらいファイアウォールを導入しているのかを見ていきます。使うのは総務省の「通信利用動向調査」です。この調査の企業調査は、常用雇用者が100人以上の企業を対象にしています。設置率は、そのうちインターネットを利用している企業の回答から算出した割合です。この調査は、企業が実施しているセキュリティ対策を、選択肢の中から選んでもらう形式でたずねています。
結論から言うと、ファイアウォールは基本的な対策とされながら、設置している企業は4年続けて約半数にとどまっています。
2025年の設置率は51.8%で、4年間の変動幅は1.3ポイントにとどまる
総務省の報告書(本編)によると、2025年時点でファイアウォールを設置・導入している企業は51.8%です。2022年からの推移は次のとおりです。
| 調査年 | ファイアウォールの設置・導入率 |
|---|---|
| 2022年 | 51.5% |
| 2023年 | 52.8% |
| 2024年 | 52.2% |
| 2025年 | 51.8% |
表の出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」(いずれも本編)

最も高いのは2023年の52.8%で、その後は2年続けて少し下がっています。ただ、4年間の最大値と最小値の差は1.3ポイントです。
この推移から読み取れるのは、設置率が「下がった」というより、約半数の水準で横ばいが続いているという点です。前年との差はいずれの年も小さく、大きな変動とは言えません。基本の対策でありながら、残りの半数の企業には広がっていない状態が続いています。
同じ調査でも本編と概要版で値が最大0.3ポイント異なるため、引用するときは資料名を明記する
総務省は同じ調査の結果を、「報告書(本編)」と「結果の概要(別紙2)」の2種類の資料で公表しています。この2つの資料では、ファイアウォールの設置率の値が少し違います。
2024年は、本編が52.2%、概要版が52.5%でした。2025年は、本編が51.8%、概要版が51.9%です。値が異なるのは、割合を計算するときの母数の扱いが違うためです。概要版は「無回答を除いて算出している」と注記しています。一方、本編の図表は、無回答の企業も母数に含めた割合です。どちらかが誤りというわけではありません。
注意したいのは、この資料間の差が、前年からの変化と同じくらいの大きさだという点です。たとえば2024年から2025年の下がり幅は、本編で比べるか概要版で比べるかによって変わります。どちらの資料を使うかで、読み手が受ける「下がった」という印象も変わってしまいます。
本記事では、経年の比較を本編の数値で揃えています。社内資料に設置率を引用するときは、本編と概要版のどちらの値かを書き添えておきましょう。
注意
本編と概要版の値を混ぜて年ごとに並べると、実際にはない増減が見えてしまうことがあります。経年で比べるときは、同じ種類の資料の値だけを使ってください。
残り約半数の企業がファイアウォールの機能をまったく使っていないとは限らない
「設置率が約5割」と聞くと、半数の企業は無防備だと感じるかもしれません。ですが、残り半数の企業がファイアウォールの機能をまったく使っていない、とは言い切れません。
その理由は、調査の聞き方にあります。この設問は、企業が「ファイアウォールの設置・導入」という選択肢を自分で選ぶ形式です。UTMやルーターの内蔵機能、クラウド側の通信制限で同じ制御をしている企業もあると考えられます。その場合でも、回答者がこの選択肢を選ばない可能性があります。
この点から考えると、2025年の51.8%は「未導入の企業が約5割ある」という意味とは限りません。「ファイアウォールとして認識され、管理されている設置が約半数」と読む方が実態に近いと考えられます。
情シスとしては、自社のUTMやルーターでファイアウォール機能が有効になっているかを確認しておきたいところです。機器の棚卸しの際に、ファイアウォール機能の有無と設定内容もあわせて確かめてみてください。
出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査の結果(概要)別紙2」
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ファイアウォールの設置率は業種で最大2.3倍異なり、2024年の金融・保険業は89.8%

全体の設置率は、4年間で1.3ポイントしか動いていませんでした。これに対して、業種による差はずっと大きくなっています。
2024年の報告書(本編)では、値が掲載されている業種のうち、最も高い金融・保険業が89.8%、最も低いサービス業その他が38.9%でした。業種の違いのほうが、年ごとの変化よりもはるかに大きいことが分かります。
2024年は金融・保険業89.8%に対し、サービス業その他は38.9%で約51ポイントの差がある
2024年の業種別の設置率を見ると、金融・保険業とサービス業その他の間には約51ポイントの差があります。

図の出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」図表5-4のデータをもとに作成
グラフのとおり、最も高いのは金融・保険業の89.8%です。続いて不動産業66.9%、建設業62.8%、製造業61.9%、卸売・小売業52.8%と並びます。値が掲載されている業種のうち、全体の52.2%を下回るのは、運輸業・郵便業の39.8%と、サービス業その他の38.9%の2業種でした。
この結果から読み取れるのは、「設置率は約52%」という全体の値が、9割近い業種と4割を切る業種をならした数値だという点です。自社の水準を他社と比べるときは、全体の値より同じ業種の値を使う方が実態に近くなります。
なお、業種によって差が生じる理由は、このデータだけでは判断できません。扱う情報の性質や、業種ごとの企業規模の構成など、さまざまな要因が考えられるためです。
2025年も不動産業・製造業・建設業は60%台、運輸業・郵便業とサービス業は40%前後の2つの層に分かれている
2025年の報告書でも、業種による差の傾向は2024年と変わっていません。 両年とも値が掲載されている5業種を並べると、次のとおりです。
| 業種 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 不動産業 | 66.9% | 69.8% |
| 建設業 | 62.8% | 60.7% |
| 製造業 | 61.9% | 62.7% |
| 運輸業・郵便業 | 39.8% | 44.4% |
| サービス業、その他 | 38.9% | 39.6% |
表の出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」図表5-4(いずれも本編)
表のとおり、2年とも上位は不動産業・建設業・製造業の3業種で、下位は運輸業・郵便業とサービス業その他の2業種です。上位と下位の顔ぶれは入れ替わっていません。
この並びから読み取れるのは、業種による差は1年だけのばらつきではなく、続いている差だという点です。ただし、比べられるのは2年分だけです。運輸業・郵便業は前年から4.6ポイント上がっていますが、この幅も大きな変動とは言えません。今後の調査で並びが続くかを見ていく必要があります。
報告書で追える業種は一部に限られ、2025年の金融・保険業と卸売・小売業の値は掲載されていない
業種別の値を使うときは、報告書に載っていない業種がある点に注意が必要です。
報告書の業種別の表は、業種ごとに実施率の高い上位5項目だけを載せています。そのため、ファイアウォールが5位以内に入らなかった業種は、値が掲載されていません。
2024年は、金融・保険業が89.8%、卸売・小売業が52.8%と分かっています。しかし、2025年の報告書ではこの2業種の値は掲載されていません。2025年に値がある業種は、建設業、製造業、運輸業・郵便業、不動産業、サービス業その他の5つです。情報通信業は、2024年と2025年のどちらの報告書にも値がありません。
企業規模別の設置率も、報告書には見当たりませんでした。この状況から考えると、自社と同じ業種・同じ規模の企業と比べられる材料は、報告書の範囲では限られていると言えます。
注意
2025年の金融・保険業、卸売・小売業、情報通信業の値と、企業規模別の値は、報告書には掲載されていません。報告書以外の統計表に掲載されている可能性はありますが、本記事では報告書に載っている値だけを使っています。
出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」
まとめ: ファイアウォールは基本の対策だが、設置企業は2025年時点で約半数にとどまる

ファイアウォールは、業務に必要な通信だけを許可し、それ以外を止める仕組みです。ただし、許可した通信に紛れ込む攻撃は止めにくいため、WAFやIDS/IPSと役割を分けて使います。
総務省の報告書(本編)によると、ファイアウォールを設置している企業は2025年時点で51.8%でした。4年間ほぼ横ばいで、基本の対策でありながら設置企業は約半数にとどまっています。
一方、2024年は金融・保険業89.8%、サービス業その他38.9%と、業種による差は大きくなっています。全体の値だけを見て、自社の水準を判断しないことが大切です。
最後に、情シスとして確認しておきたい点をまとめます。
情シスが確認しておきたいこと
- UTMやルーターに組み込まれたものも含め、自社のファイアウォール機能が有効になっているか、ルールが必要最小限になっているかを確認する
- 他社と比べるときは、全体の値より同じ業種の値を使う
- 社内資料に設置率を引用するときは、総務省の本編と概要版のどちらの値かを明記する
出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査報告書」/総務省「令和7年通信利用動向調査報告書」
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※出典

