【総務省・IPAデータ】PCキッティングがきついのは体制の問題|中小企業等で専門部署がある企業は2024年時点で9.3%、兼務が21.0%

PCのキッティングを担当していて、こんな状態になっていませんか。
- 新入社員ぶんのPCを毎年ひとりで設定していて、正直きつい
- 通常業務と並行なので、繁忙期は夜や土日に食い込んでしまう
- 外注や自動化を提案したいのに、社内を説得する材料が手元にない
結論から書きます。キッティングがきついのは、担当者の手際や慣れの問題ではなく、体制の問題として説明できます。 1台あたりにやることが増えた一方で、担い手の置き方はほとんど変わっていないからです。
この記事では、総務省とIPAの公的調査を根拠に、その構造を整理します。ベンダーの独自調査や、出所のはっきりしない費用相場は使いません。
この記事のポイント
- 情報セキュリティ対策に専門部署(担当者)がある中小企業等は2024年時点で9.3%、兼務での任命が21.0%です。出典はIPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」。キッティングを兼務で回している状態は例外ではありません
- テレワーク導入率は2025年時点で50.1%、クラウド利用率は83.5%(出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」、常用雇用者100人以上の企業が対象)。1台あたりの設定項目は広がりました
- セキュリティ管理を外部委託している企業は2025年時点で20.2%(同調査)。委託は増えていますがまだ5社に1社で、稟議の材料は自分で用意する必要があります
この記事を読み終えると、自分の負荷がどこから来ているのかを言葉にでき、自動化・外部委託・社内交渉のどれから手を付けるかを判断できます。
PCキッティングがきついのは、作業そのものより体制と時期の偏りに理由がある

キッティングがきついと感じる理由は、いくつも挙がりますよね。設定項目の多さ、4月の新入社員対応への集中、ミスが許されない緊張感、端末の開梱や運搬といった作業もあります。
ただ、これらが同時に重なる背景には共通の条件があります。増えたのは1台あたりの作業で、変わっていないのが担い手の体制です。
IPAが2024年に実施した調査を見てみます。情報セキュリティ対策に専門部署(担当者)がある中小企業等は9.3%、兼務での任命が21.0%でした。
専任の体制を持てている企業は1割に届きません。キッティングを兼務で回している状態は、けっして例外ではないということです。
そもそもキッティングという言葉が指す範囲は、会社ごとに違います。キッティングとセットアップの違いを整理しておくと、自分が抱えている工程を人に説明しやすくなります。
ポイント
- 端末の前提が変わった: 社外利用を前提にした設定が標準になり、1台あたりの確認項目が広がりました
- 体制は兼務のまま: 専門部署がある中小企業等は2024年時点で9.3%、兼務での任命が21.0%です
- 作業が特定の時期に集中する: 入社・異動・リース満了が重なる月に、兼務の一人へ負荷が集まります
テレワーク導入率は2025年時点で50.1%と、2019年の2.5倍で定着している
まず端末の使われ方から確認します。総務省の調査によると、テレワークを導入している企業の割合は2025年時点で50.1%です。対象は常用雇用者100人以上の企業です。
推移を見ると、2019年20.1%、2020年47.4%、2021年51.8%、2022年51.7%、2023年49.9%、2024年47.3%、2025年50.1%と動いています。コロナ禍のピークからは下がったものの、2019年の2.5倍の水準で高止まりしています。
業種や規模による差も大きく、2025年時点で情報通信業92.8%、運輸業・郵便業32.5%、従業者2,000人以上の企業81.2%でした。なお導入率は企業単位の指標で、対象者が一部の部署に限られている場合があります。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(常用雇用者100人以上の企業が対象。2019〜2025年の7年分は報告書(企業編)p.13 図表4-1の同一時系列から取得。別紙の図表は無回答を除いて集計)
クラウド利用率83.5%で、SaaSアカウントの初期設定もキッティングに入ってきた
次にクラウドの普及状況です。総務省の調査では、クラウドサービスを利用している企業の割合は2025年時点で83.5%でした。こちらも常用雇用者100人以上の企業が対象です。
利用率は2010年の14.1%から一貫して上がり続けています。業務システムが社内サーバーからSaaSへ移れば、端末を渡す前にIDを発行し、アカウントを紐づける工程が発生します。
キッティングの中身は、OSとアプリの設定から、ID発行・アカウント紐づけ・端末管理への登録まで広がりました。 VPNの設定や端末の暗号化も同じ流れで加わっています。
ただし、クラウド化が作業を増やす方向だけに働くわけではありません。クラウドから設定を配信する方式を使えば、手作業そのものは減らせます。
作業が一律に増えたというより、1台あたりの確認項目が分散したと捉えるほうが実態に近いです。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1(2025年)/同 別紙2(2024年)/総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」(2023年)/総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」(2022年)/総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」(2021年)/総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」(2018年)/総務省「平成29年通信利用動向調査の結果」(2013〜2017年)/総務省「平成24年通信利用動向調査の結果」(2012年)/総務省「平成23年通信利用動向調査の結果」(2010年・2011年)
端末側の前提は5年で変わったのに、体制は兼務のまま据え置かれている
ここまでの数値を並べます。テレワーク導入率は2025年時点で50.1%、クラウド利用率は83.5%です。一方、IPAの2024年調査では専門部署がある中小企業等は9.3%、兼務での任命が21.0%でした。
総務省の調査では、2018年時点で「運用・管理の人材が不足」を問題点に挙げた企業が44.4%でした(情報通信ネットワーク利用企業の複数回答)。同調査では前年から7.1ポイント上昇したと記載されています。
この2つの数値から読み取れるのは、端末の前提と担い手の体制がかみ合っていない状態です。1台あたりにやることが増えた一方で、担い手は兼務のまま据え置かれています。
入社・異動・リース満了が重なる月に作業が集中すれば、その負荷は兼務の一人に集まります。もっとも、集中の度合いを測った公的統計は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。
注意
ここで並べている2つの調査は母集団が異なります。総務省「通信利用動向調査」は常用雇用者100人以上の企業、IPAの実態調査は中小企業等が中心です。同じ企業群の話として読むと誇張になります。また「テレワークを導入している企業の割合」は企業単位の指標です。導入企業の中で対象者が一部に限られていれば、管理対象の端末数の増え方は小さくなります。
出典: IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」(2024年10〜11月実施、有効回答4,191件)/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1/同 別紙2/総務省「通信利用動向調査(平成30年調査)」
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キッティングを兼務で回している企業は多く、規模が大きくなるとまず増えるのは専任ではなく兼務

「自分だけがきついのではないか」と感じることはありませんか。データを見るかぎり、兼務で回している状態はごく一般的です。
IPAの2024年調査では、専門部署(担当者)があると答えた中小企業等は9.3%でした。兼務だが担当者を任命していると答えた企業は21.0%です。
規模が大きくなったときにまず増えるのは、専任ではなく兼務です。 つまり端末や社員が増えても、誰か一人が本来業務と並行して受け止める形が続きます。
兼務で回す前提そのものは、情シスの課題として以前から指摘されてきた論点です。自社の規模に当てはめて読んでみてください。
ポイント
- 全体の水準: 専門部署あり9.3%、兼務での任命21.0%(2024年・IPA、中小企業等が対象)
- 規模が上がると兼務が増える: 専任化が進むというより、兼務という形で担当者が置かれます
- 設問は情報セキュリティ対策の体制: キッティングを含むIT運用全般の体制と一致する保証はありません
101名以上の中小企業では兼務51.9%が専任34.6%を17.3ポイント上回る
規模別に見ると、傾向がはっきりします。IPAの2024年調査で中小企業(101名以上)を見ると、専門部署(担当者)があると答えた企業は34.6%、兼務での任命は51.9%でした。
兼務51.9%が専任34.6%を17.3ポイント上回っています。中小企業(100名以下)でも専門部署あり14.8%に対し兼務での任命が37.6%で、規模が大きくなるほど専任化するのではなく、まず兼務が増えるという形です。
キッティングの負荷を一人で抱えている感覚は、この規模帯でとくに強くなりやすいと考えられます。自分の段取りが悪いからではなく、体制がその段階にあるということです。
ただし101名以上の区分は回答数がn=295と他の区分より小さく、設問も情報セキュリティ対策の体制を尋ねたものです。

出典: IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」(Webアンケートによる自己申告。101名以上はn=295)
小規模企業では専任4.4%と兼務11.1%を足しても15.5%にとどまる
小さい会社ではさらに事情が変わります。同じ2024年の調査で、小規模企業者では専門部署(担当者)があると答えた企業が4.4%、兼務での任命が11.1%でした。
ここでの小規模企業者は、商業・サービス業で1〜5名、製造業その他で1〜20名の企業を指します。専任4.4%と兼務11.1%を足しても15.5%で、担当者が任命されていない企業が大半です。
全体の水準である専門部署あり9.3%、兼務21.0%と比べても低い値です。いわゆる「ひとり情シス」という言葉が指す状態の一端が、ここに表れています。
とはいえ、担当者がいない=誰もやっていない、ということではありません。経営者や他部署の社員が片手間で担っている可能性があります。
また兼務率の高さは、担当者不在から任命済みへ進む過程とも読めます。兼務が多いこと自体を負荷の証拠と断定はできません。
出典: IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」(2024年10〜11月実施、有効回答4,191件。経営層および情報システム/情報セキュリティ担当マネージャが回答)
人を増やしてもキッティングの負荷が下がりにくい理由は、不足が「量」より「質」にあるため

繁忙期にアルバイトや派遣を入れても、思ったほど楽にならなかった経験はありませんか。人手を足しても担当者の負荷が下がりにくいのには理由があります。
IPA「DX動向2026」によると、DXを推進する人材の「量」が不足していると答えた企業は2025年時点で85.5%でした。「質」が不足していると答えた企業は88.8%で、量よりも高い水準です。
企業側の認識は、頭数を増やせば解決するという段階を超えています。 キッティングでも、手を動かす人より、手順を決める人のほうが足りていない状態が起きがちです。
この見方を、次の2つの見出しで数値と実務の両面から確認します。
注意
この設問が尋ねているのはDXを推進する人材の過不足で、端末運用を担う担当者のスキルを直接測ったものではありません。また「質」が何を指すかは回答企業ごとに異なります。企業の認識を示す数値として読んでください。
人材の「質」が不足していると答えた企業は2025年時点で88.8%まで上昇している
まず推移を確認します。DXを推進する人材の「質」が不足していると答えた企業は、2024年86.1%から2025年88.8%へ2.7ポイント上がりました。ここでの「不足」は、やや不足と大幅に不足の合計です。
2025年時点で「質」の不足88.8%は、「量」の不足85.5%を3.3ポイント上回っています。いずれもDXに取組んでいると回答した企業が母数です。
ただし内訳を見ると方向が分かれます。「質」が「大幅に不足している」は、2024年58.9%から2025年52.9%へ6.0ポイント下がりました。IPAは「量」についても同じ傾向を記述しています。「量」の「大幅に不足」は2023年62.1%、2024年58.5%、2025年50.1%と推移し、やや解消傾向にあるとされています。
この推移から読み取れるのは、不足を訴える企業の裾野は広がった一方で、深刻度は下がっているという両面の動きです。足りないのは人数より中身だという見方は変わりませんが、不足の中身は変わりつつあります。
ただし比較できるのは2024年と2025年の2時点のみです。2.7ポイントの上昇は調査誤差の範囲に収まる可能性があり、傾向として断定はできません。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、有効回答1,799社。DXに取組んでいると回答した企業が対象)
「大幅に不足」は52.9%で過半数を占めるが前年からは低下し、負荷の中心は手順の設計と例外対応にある
不足感の深さも見ておきます。同じ調査で、人材の「質」が「大幅に不足している」と答えた企業は2025年時点で52.9%でした。過半数を占めますが、2024年の58.9%からは6.0ポイント下がっています。
総務省の調査でも、2018年時点で「運用・管理の人材が不足」を挙げた企業は44.4%でした。人が足りないという声は、以前から継続して確認できます。
ここから読み取れるのは、深刻な不足が薄れても、判断を伴う工程を任せられる人は薄いまま広く残っているという状態です。キッティングで時間を奪うのは、手を動かす工程だけではありません。実際に負荷が重いのは、手順の設計、例外機種への対応、ツールの選定といった判断を伴う工程です。
だから頭数を足しても、設計を担う人の負荷はそのまま残ります。むしろ作業者が増えるほど、手順の説明と確認に時間を取られることもあります。
一方で、開梱・検品・梱包・発送のように切り出せる工程もあります。何を外に出せるかは、後半の外部委託のセクションで整理します。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査。実査は2026年、株式会社NTTデータ経営研究所。日本標準産業分類19業種の経営層またはICT関連事業部門が対象で、有効回答1,799社)/総務省「通信利用動向調査(平成30年調査)」
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キッティングの自動化が進みにくいのは、規模が小さいほど体制と担い手が同時に欠けるため

「自動化すればいい」と言われても、手が回らないまま手作業が続いていませんか。自動化が進まない背景にも、規模による構造の差があります。
IPA「DX動向2026」によると、DXに取組んでいる企業の割合は2025年時点で全体の75.7%でした。ただしこの数値は規模によって大きく開きます。
標準化や自動化に着手できるかどうかは、担当者の意欲よりも社内の体制に左右されます。 設計とツール習熟に工数がかかるぶん、着手には余力が必要だからです。
なお、自動化していないことが遅れているとは限りません。年間の対応台数が少なければ、手作業のほうが合理的な場合もあります。
ポイント
- 年間の対応台数を数える: 台数が少なければ、設計工数を回収できない場合があります
- 設定内容が標準化できているか確認する: 部署ごとに設定が違うままでは自動化の効果が出ません
- 設計を担う人の時間を確保する: DXに取組む企業は2025年時点で全体75.7%ですが、着手には余力が要ります
DXに取り組む企業は従業員100人以下で41.6%、1,001人以上で98.7%と57.1ポイント開く
規模別の数値を見ます。IPA「DX動向2026」では、DXに取組んでいる企業の割合が従業員1,001人以上で98.7%、100人以下で41.6%でした。
両者の差は57.1ポイントで、全体の75.7%を挟んで二極化しています。 2025年時点の調査結果です。
標準化や自動化に着手する体制そのものが、規模によって大きく違うということです。100人以下の企業では、取り組み自体が始まっていないケースが半数を超えます。
ただしDXへの取組みは自己申告です。規模が大きい企業ほど、社内の施策をDXと認識して回答しやすいというバイアスが考えられます。

出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、有効回答1,799社。DXへの取組みは自己申告)
専任がいない企業ほど「今回は手作業のほうが早い」が積み上がる
2つの調査を並べてみます。DX取組率は従業員100人以下で41.6%です。IPAの中小企業実態調査では、専門部署がある企業が小規模企業者で4.4%、中小企業(101名以上)で34.6%でした。
ここから読み取れるのは、規模が小さいほど自動化に着手する体制と、それを担う専任者が同時に欠けている状態です。2つの調査を直接つなげることはできませんが、差のつき方は同じ方向を向いています。
自動化は最初の設計とツール習熟に工数がかかるため、兼務の担当者ほど目の前の台数を手で捌く判断になりやすいと考えられます。その積み重ねで、いつまでも手作業が残ります。
これは因果関係ではなく、仮説として提示するものです。台数が少ない企業が投資を見送るのは、経営判断として妥当な場合もあります。
注意
IPA「DX動向2026」とIPA「中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」は、調査の母集団も設問も異なります。DX取組率と専門部署の設置率を直接つなげて因果関係を示すことはできません。ここでは「同じ方向に差がついている」という観察として扱っています。
手作業を減らす方法はクローニング、ゼロタッチ、MDMの3段階に整理できる
打ち手の選択肢も整理しておきます。キッティングの省力化は、大きく3つの段階で考えると分かりやすいです。
- クローニング: 設定済みの1台からマスターイメージを作り、複製して展開する方式です。同じ機種と同じ構成が続く場合に効果が出ます
- ゼロタッチ方式: 端末を開封して電源を入れると、クラウド側から設定とアプリが自動的に配信される方式です。拠点や在宅の利用者へ直送できます
- MDM・IT資産管理ツール: 配布後の設定変更、資産情報の管理、紛失時の対応までを継続的に扱います
配布までを速くするならクローニングやゼロタッチ、配布後の運用まで見るならMDMや資産管理ツールを組み合わせるという考え方になります。
ただし、どの方式にもライセンスやネットワーク、対応機種といった前提条件があります。自社の端末構成で使えるかを先に確認してください。
なお、これらのツールの導入率を示す公的データは今回のリサーチでは見つかりませんでした。そのため本記事では特定の製品や普及度の数値には踏み込みません。
出典: IPA「DX動向2026」(2025年度調査、有効回答1,799社)/IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」
セキュリティ管理を外部委託している企業は2025年時点で20.2%と、まだ5社に1社

外注を考え始めると、他社はどうしているのかが気になりますよね。委託の広がりを示す数値から確認します。
総務省の調査によると、セキュリティ対策として「セキュリティ管理のアウトソーシング」を行っている企業は2025年時点で20.2%でした。対象は常用雇用者100人以上の企業のうち、インターネットを利用している企業(2025年 n=2,480)です。
外に出している企業は5社に1社です。外注を検討しているのは自社だけではありませんが、社内に前例がない状態で判断することになります。
だからこそ、比較検討の材料は自分で用意する必要があります。次の見出しで、委託の伸び方と対策実施率の対比を見ていきます。
注意
この20.2%はセキュリティ管理の外部委託を行っている企業の割合で、キッティング業務の委託率ではありません。キッティングの外注率を示す公的統計は今回のリサーチでは見つかっておらず、この数値を代替指標として読むと過大解釈になります。委託という選択肢がどの程度一般的かを見る目安として扱ってください。
外部委託は2024年18.3%から2025年20.2%へ伸び、対策実施率は98%前後でほぼ頭打ち
2時点の数値を並べます。セキュリティ管理のアウトソーシングを行っている企業は、2024年18.3%から2025年20.2%へ1.9ポイント増えました。
一方、何らかのセキュリティ対策を実施している企業は2024年97.7%、2025年98.3%です。いずれの数値も、常用雇用者100人以上の企業のうちインターネットを利用している企業が母数です(2025年 n=2,480、2024年 n=2,314)。やるべきこと自体はほぼ全社に行き渡っている一方、外に出す企業は2割にとどまります。
この構図から読み取れるのは、委託が特別な選択ではないものの、多数派でもないという位置づけです。社内に前例がなければ、判断材料は自分で集めるしかありません。
ただし比較できるのは2024年と2025年の2時点のみです。1.9ポイントの変化を増加傾向と断定することはできません。

出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(常用雇用者100人以上の企業のうちインターネットを利用している企業が対象。2025年 n=2,480、2024年 n=2,314。2025年の値は無回答を除いて集計)
委託で外に出せるのは作業で、仕様の設計は社内に残る
委託を検討するときは、何が変わり何が残るかを先に整理してください。自社対応と外部委託の違いは、次のように分けられます。
| 比較の軸 | 自社で対応する場合 | 外部に委託する場合 |
|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | 入社・異動の時期に担当者へ集中する | 作業工程を切り出せば平準化しやすい |
| 台数変動への対応 | 台数が増えるほど残業と休日対応が増える | 契約範囲内であれば台数変動を吸収しやすい |
| 設定変更の速さ | その場で判断して変更できる | 仕様変更の連絡と反映に時間がかかる |
| ノウハウの蓄積 | 手順と例外対応が社内に残る | 作業ノウハウが社外に移りやすい |
| 情報の持ち出し範囲 | 社内で完結する | 端末やアカウント情報の取り扱い範囲を決める必要がある |
| 社内に残る作業 | すべて社内 | 仕様書の作成、検収、利用者への引き渡しは社内に残る |
委託で外に出せるのは作業であって、標準設定をどう決めるかという設計は社内に残ります。 ここを曖昧にしたまま発注すると、やり取りの往復で工数が戻ってきます。
費用の相場については、この記事では数値を出しません。Web上で流通する単価はベンダーや比較サイトの独自数値で、公的統計の裏づけがないためです。自社の設定項目を一度書き出し、同じ条件で複数社から見積もりを取れば、比較できる数字は自社で作れます。
出典: 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2(20.2%・18.3%・98.3%・97.7%は、常用雇用者100人以上の企業のうちインターネットを利用している企業が母数。2025年 n=2,480、2024年 n=2,314)
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委託やツール導入を社内で通すには、負荷を数値で示す材料が必要になる

外注もツールも提案したのに通らなかった、という話はよく聞きます。原因は説明の上手さではないかもしれません。
IPAが2016年に実施した調査を見てみます。対象は従業員300人以上の企業で、日本の回答数はn=755です。
情報システム部門の責任者・担当者の54.9%は、セキュリティ要員が不足していると回答しました。一方でCISO等の回答者は、58.7%が要員は十分と回答しています。
現場の逼迫が決裁者に届いていない状態では、必要性そのものが共有されません。 だから交渉の前提として、負荷を数値で示す材料が要ります。
社内で打ち手を尽くしても状況が変わらない場合、情シスの転職市場を確認して選択肢を広げる方法もあります。まずは社内で示せる材料をそろえてみてください。
ポイント
- 年間・月間の対応台数: 新規配布、機種変更、返却まで含めて数えます
- 1台あたりの所要時間: 設定・検品・引き渡し・問い合わせ対応を分けて記録します
- 繁忙月の偏り: どの月に何台集中したかを月別に並べます
2016年の調査では現場の54.9%が要員不足と答え、経営層は58.7%が十分と答えた
この認識差は、同じ調査の中で確認できます。IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」では、2016年時点で情報システム部門の責任者・担当者の54.9%が要員は不足していると回答しました。
同じ調査でCISO等の回答者は、58.7%が要員は十分と回答しています。同一の企業群を対象にしながら、立場によって評価が反対を向いているという結果です。ここから読み取れるのは、稟議が通らない理由が担当者の説明力だけではないという点です。
ただし、これは2016年時点の調査結果です。「十分」と「不足」は別々に集計された数値で厳密な補数関係になく、中小企業では同じ乖離が生じない場合もあります。

出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書(Web Archiveのスナップショット)/同 報告書(Web Archiveのスナップショット)(2016年調査、従業員300人以上、日本n=755)
専門部署の設置率は日本45.2%で、米国69.1%を23.9ポイント下回る
同じ調査の国際比較も見ておきます。2016年時点で情報セキュリティ対策の専門部署(担当者)があると回答した企業は、日本45.2%に対して米国69.1%でした。
その差は23.9ポイントで、日本は体制を持つこと自体が相対的に少ないという結果です。対象はいずれも従業員300人以上の企業です。
ここから読み取れるのは、専任を置かずに兼務でやりくりする形が、日本では以前から常態だったという背景です。兼務の担当者が抱え込む構図は、最近になって生まれたものではありません。
とはいえ、2016年時点の調査である点は繰り返し確認が必要です。国ごとに「専門部署」の定義や回答の基準が異なる可能性もあります。
キッティングの工数を測った公的統計は無いため、自社で記録するところから始める
最後に、この記事で書けなかったことをはっきりさせておきます。公的調査は、人材が足りているか、体制があるか、委託しているかという状態を継続的に把握しています。
実際、総務省の調査では2018年時点で「運用・管理の人材が不足」を挙げた企業が44.4%でした。前年からは7.1ポイント上昇しています。
IPAの2024年調査では、専門部署あり9.3%、兼務での任命21.0%が把握されています。総務省の2025年調査では、セキュリティ管理の外部委託が20.2%と集計されています。
一方で、キッティング1台あたりの所要時間、年間の対応台数、繁忙期の集中度を測った公的統計は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。担当者は自分の負荷を裏づける公的な基準値を持てないまま、体感で説明せざるを得ない状態に置かれています。
だからこの記事では、他社の平均工数も費用相場も数値で示していません。出所のはっきりしない数値を根拠にすると、社内の説明もそこで止まってしまいます。
代わりにおすすめしたいのが、自社で記録することです。対応台数、1台あたりの所要時間、繁忙月の3つを記録するだけで、公的統計より役に立つ自社のデータが手に入ります。
注意
ここで述べているのは「今回確認した範囲では見つからなかった」という事実で、該当する公的統計が存在しないことの証明ではありません。業界団体やベンダーの独自調査に該当データがある可能性は残ります。また2018年の「運用・管理の人材が不足」という設問についても、その後の年に同じ設問が継続しているかを確認できていないため、廃止されたと読むことはできません。
出典: IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書(Web Archiveのスナップショット)/同 報告書(Web Archiveのスナップショット)/IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」/総務省「通信利用動向調査(平成30年調査)」/総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2
PCキッティングの負荷に関するよくある質問

検索されることの多い疑問を、Q&A形式でまとめました。
Q1. キッティングがきついのは、自分の手際が悪いからでしょうか。
体制の側の問題として説明できます。
IPAの2024年調査では、情報セキュリティ対策に専門部署がある中小企業等は9.3%、兼務での任命が21.0%でした。中小企業(101名以上)では兼務51.9%が専任34.6%を上回り、兼務で回している状態は例外ではありません。
Q2. 1台あたり何時間かかるのが普通ですか。
公的統計に基準値がないため、この記事では目安時間を示しません。今回確認した範囲では、キッティングの所要時間を測った公的調査は見つかりませんでした。自社で設定・検品・引き渡しの時間を分けて記録すると、社内で使える基準値を作れます。
Q3. 何台からなら外注を検討すべきですか。
台数の目安は公的データでは示せません。判断の観点は、繁忙月にどれだけ集中するか、設定内容が標準化されているか、社内に残す工程を決められるかの3点です。参考として、セキュリティ管理を外部委託している企業は2025年時点で20.2%でした。
Q4. 繁忙期だけ人を増やせば解決しますか。
切り出せる工程と切り出せない工程があります。開梱、検品、梱包、発送は人を増やした効果が出やすい工程です。一方で手順の設計、例外機種への対応、ツール選定は判断を伴うため、担当者の負荷として残ります。
Q5. キッティングは情シスの本来業務に含まれますか。
多くの企業で情シスが担っていますが、担当範囲は会社ごとに違います。総務や購買が調達を持ち、情シスが設定と資産登録を持つ形もあります。誰がどこまで持つかを一度文書にしておくと、繁忙期の調整がしやすくなります。
Q6. 手作業をやめたいのですが、何から始めるべきですか。
設定項目の棚卸しから始めてください。現在どの端末に何を設定しているかを一覧にすると、部署ごとに違う設定や不要な手順が見えてきます。標準の設定内容が決まってはじめて、クローニングやゼロタッチ方式の検討に進めます。
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まとめ

PCキッティングがきついのは、担当者の手際ではなく体制の問題として説明できます。この記事で確認した内容を整理します。
- 端末の前提は変わった。テレワーク導入率は2025年時点で50.1%、クラウド利用率は83.5%(総務省、常用雇用者100人以上の企業が対象)
- 担い手の体制は兼務のまま。専門部署ありは2024年時点で9.3%、兼務での任命が21.0%(IPA、中小企業等が対象)
- 規模が上がるとまず兼務が増える。中小企業(101名以上)では兼務51.9%が専任を上回る
- 増員だけでは下がらない。DXを推進する人材の「質」が不足していると答えた企業は2025年時点で88.8%(IPA)
- 委託はまだ多数派ではない。セキュリティ管理の外部委託は2025年時点で20.2%(総務省)
打ち手は、標準化・自動化、外部委託、社内交渉の3系統です。どれを選ぶ場合でも、自社の負荷を示す材料が出発点になります。
明日からやることは1つに絞ってください。今月の対応台数と1台あたりの所要時間を記録することです。 記録が1か月分たまれば、繁忙月の偏りも見えてきます。
この記事の要点
- きつさの正体は、1台あたりの作業の広がりと、兼務のままの体制との差にあります
- 兼務で回している企業は多く、規模が上がると専任より先に兼務が増えます
- 打ち手は標準化・自動化、外部委託、社内交渉の3系統から選びます
- まずは対応台数・1台あたりの所要時間・繁忙月の3つを記録してください
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キッティングの手順は、担当者の頭の中にたまりがちです。新しく入った担当者に引き継ごうとしても、まとまった説明の時間が取れないまま繁忙期に入ってしまうこともありますよね。
情シスカレッジは、新人・ひとり情シスのためのマイクロラーニングLMSです。短い動画で学び、小テストで理解を確認する形式なので、業務の合間に少しずつ進められます。
情シスカレッジの特徴
- 数分の動画+小テスト: すきま時間で学べ、理解度をその場で確認できます
- 必修割り当て・期限・進捗ダッシュボード: 誰がどこまで進んだかを管理者がひと目で把握できます
- 自社カリキュラム編成・CSV教育記録: 自社に必要な講座を組み合わせ、教育記録をCSVで出力できます
導入は5名から可能で、請求書払いに対応しています。初期設定は約10分で完了します。
※出典
- IPA「2024年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査報告書」
- IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書(Web Archiveのスナップショット)
- IPA「企業のCISOやCSIRTに関する実態調査2017」報告書・国際比較(Web Archiveのスナップショット)
- IPA「DX動向2026」
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙1
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」別紙2
- 総務省「令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)」
- 総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成30年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成29年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成24年通信利用動向調査の結果」
- 総務省「平成23年通信利用動向調査の結果」

